北海道のご当地グルメ・名物・郷土料理 道北編(旭川・稚内・富良野・美瑛方面など)
「北海道グルメ」と言っても、地方や地域によって顕著に違いが出るもの。豊かな土地と北の荒波が広がる道北では、寒さも厳しく、土地柄と先人たちの知恵を生かした食べ物や食材が豊富に揃っているのが特徴。ほかのエリアとはまた違った、魅力に溢れています。
その土地・その地域で味わってもらうのが一番ですが、近年は日本各地で催される北海道物産展やECサイトでも気軽に手に入るようになってきました。今回は道北に注目して、ご当地グルメと数々の名物を紹介します。
道北のローカルグルメ
観光地としても人気の旭川や富良野をはじめ、日本最北端の町・稚内とその周辺をおもに道北と言います。北に行けば行くほど冬の寒さは厳しく、日本海やオホーツク海を抜けてきた風が夏でも冷涼な気候を保ちます。港町では海の幸、平野部では広大な敷地を生かした酪農と畜産物が豊富です。
旭川と言えば、醤油ラーメン
北海道のラーメンを語るうえで欠かせないのが、3つの地方に分けられるということ。札幌は味噌、函館は塩、そして道北の旭川が醤油です。
旭川ラーメンのベースは鶏ガラ・豚骨スープと、魚介スープの2種類に分けられ、いずれもスープに背脂がたっぷりとのっているのが特徴。旭川は毎年冬になると、厳寒期にマイナス13℃まで気温が下がることに由来しており、背脂によってスープの温度が下がりにくく、熱々のまま味わえるからなんだとか。麺は札幌ラーメンと同じく、太めの縮れ麺を使用しているところが多いです。
旭川で人気の醤油ラーメン店
店名 | 住所 | 参考料金 |
---|---|---|
らぅめん青葉 | 北海道旭川市2条通8丁目左8 二条ビル 名店街 | 正油らぅめん ¥800 |
旭川ラーメン 梅光軒 神居店 | 北海道旭川市神居2条1-1-12 | 醤油ラーメン ¥800 |
らーめんや天金 | あさひかわラーメン村店:北海道旭川市永山11条4丁目119-48 パワーズ内 | 正油ラーメン ¥800 |
蜂屋 五条創業店 | 北海道旭川市3条通15丁目左8 5・7小路 ふらりーと内 | しょうゆラーメン ¥800 |
旭川ラーメン 一蔵 | 北海道旭川市3条通7丁目 山田ビル1F | 一蔵ラーメン ¥750 |
らーめん鷹の爪 本店 | 北海道上川郡鷹栖町南1条2-9-8 | 醤油ラーメン ¥700 |
らーめん山頭火 旭川本店 | 北海道旭川市1条通8-348-6 MANNY BLD 1F | しょうゆらーめん ¥820 |
ラーメン専門 つるや | 北海道旭川市4条通19丁目左10 | 正油ラーメン ¥850 |
醤油ラーメン×ホルモン焼き「ホルメン」
明治末期から昭和20年頃まで、旭川は養豚業が盛んでした。それに付随して豚骨スープが考え出されたとされています。豚骨の匂いを消し、風味を加える工夫として昆布や煮干しなどの魚介類を合わせるようになり、これが現在の旭川ラーメンの特徴でもあるWスープの原点です。
一方で養豚業によってホルモンを塩で食べるという独自の文化も浸透し、いつしかラーメンと塩ホルモンが旭川の二大ソウルフードに。この2つを掛け合わせたのが、「旭川しょうゆホルメン」というわけです。
旭川しょうゆホルメンが食べられる店
店名 | 住所 | 参考料金 |
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羅亜~麺 加藤屋 北門本店 | 北海道旭川市北門町9丁目2644-6 | ¥900 |
いってつ庵 | 北海道旭川市永山11条4丁目119-48 あさひかわラーメン村 | ¥900 |
らーめん 耀 | 北海道旭川市流通団地1条1丁目35-4 | ¥900 |
旭川ラーメン さいじょう | 北海道旭川市春光1条8丁目2-18 | ¥900 |
らーめん夢想 | 北海道旭川市流通団地1条3丁目 浅田青果前 | ¥900 |
もう一つの麺グルメ、旭川しょうゆ焼きそば
旭川食品加工協議会によって、地産地消のグルメとして誕生したのが「旭川しょうゆ焼きそば」です。①旭川産の米粉や北海道産の小麦をブレンドした特注麺を使う ②旭川の醤油タレを使うこと ③道北および旭川産の食材を1品以上使用すること の3つをクリアしたメニューのみが、この名を謳うことができます。
現在は旭川市内の飲食店「栄幸丸」や「粉もんず」各店、「居酒屋 ちょうちん旭川」など13店舗にて、それぞれ異なる味わいを楽しめます。
テレビ番組で大注目! 新子焼き
新子焼きは、テレビ番組で取り上げられてからブレイクした旭川の地元B級グルメ。最近では旭川市民にとっての定番メニューと呼べる料理で、鶏の半身を丸ごと焼いたダイナミックな鶏料理です。
ももはジューシーなうまさ、ささみはヘルシーに、胸はさっぱり、手羽は脂がのった味わい、ぼんじりはとろける食感といった具合に、鶏の美味しさをすべて味わえるというのが、この新子焼きの魅力。基本は塩かタレで味付けし、お店はもちろん、スーパーなどでも手に入れられる庶民的な名物となっています。
ジュンドッグ
美瑛町の洋食レストラン「洋食や 純平」が考案し、道北民なら知らない人はいないであろうテイクアウトのご当地グルメ。エビフライなどの具材をご飯で巻いた洋風のおにぎりで、筒形の形状から和風ホットドッグと表現されることも。
美瑛では現在、2014年リニューアルオープンした「洋食とCafe じゅんぺい」で味わえるほか、旭川では「ピジョン館」がジュンドッグ製造・販売。JR旭川駅のKioskや旭山動物園、旭川市内の病院、道の駅、旭川空港などで購入可能です。 具材は「えびフライ」「チキンカツ」「ソーセージ(粗挽き)」「えびフライ大葉巻き」の4種類で1つ400円(税込)。
インパクト大! 富良野オムカレー
国民食のカレーとオムライスを組み合わせた、なんとも大胆なローカルグルメです。まちおこしの一環として誕生したオムカレーにはいくつかルールがあり、その基準を満たしたお店のみが販売を許されています。
- 富良野産のお米を使用し、ライスにもひと工夫すること
- 卵は富良野産を使い、オムカレーの中央に旗を立てる
- 富良野産のチーズ(バター)またはワインを使用
- 野菜や肉、福神漬けなども富良野産・北海道産にこだわる
- 富良野産の食材にこだわった一品と、ふらの牛乳をつける
- 料金は税抜き1,100円以内で提供すること
とてもハードルの高い条件ですが、富良野産・北海道産であることを第一に考えた、食べる側としては何ともうれしい内容。富良野市内にある「正直村」や「ふらわ」、「ナチュラルダイニング」など6店舗にて楽しめますよ。
オムカレーの一強・唯我独尊
前述の「富良野オムカレー」の加盟店ではありませんが、独自のメニュー開発と美味しさを追究して、カレー店として富良野で一番の人気を誇るのが、「唯我独尊」(ゆいがどくそん)です。ここでは「オム+ソーセージカレー」をはじめ、自家製ソーセージを生かしたカレーが各種楽しめます。
くまげらの「和牛ローストビーフ丼」
ドラマ「北の国から」ファンにはたまらない、ロケ地にもなった富良野の郷土料理店「くまげら」。オーナー自身もドラマに二度出演しており、作家・倉本聰氏のエッセイ集「北の人名録」にも紹介されるちょっとした有名人です。山賊鍋やシカ肉の生姜焼きなどのメニューが定番ですが、特に人気なのは、富良野産和牛のサーロインをレアに仕上げた中心しか使わないという「和牛ローストビーフ丼」。2,000円(税込)とちょっとお値段は張りますが、ここでしか味わえない逸品です。
美瑛カレーうどん
美瑛産の小麦を使い、コシのあるうどんとカレーの組み合わせが魅力的なB級グルメが、この美瑛カレーうどん。スタンダードなカレーうどんのほかに、野菜や天ぷらをのせてカレーのつけ汁で食べるつけ麺タイプや、ドリアのようにうどんの上にカレーとチーズをのせて焼いた焼きカレーうどんといったバリエーションがあるのも特徴。
ご当地グルメとして提供されるレストランでは、ウェルカムドリンクとして「びえい牛乳」を提供するというルールもあるので、せっかくなのでオフィシャル店を訪れてみて。
水タコをふんだんに使った留萌たこめし
留萌沖で水揚げされる特産が水タコです。そのため、留萌ではこの水タコを使った料理が名物になっています。
の中でも人気となっているのが、たこめしです。留萌産の水タコを使ったたこめしは、市内の料理人たちによって作られた「るもいたこめし共和国」という集まりによって広められ、いまでは道北を代表する名物になっています。
利尻昆布ラーメン
道北の離島・利尻島にある「利尻らーめん味楽」が、市場では高値で取り引きされる利尻昆布をふんだんに使って和風スープのラーメンを作ったことが誕生の始まり。注文ごとに中華鍋で醤油ダレを焦がし、豚骨と鶏ガラのブレンドスープを注いだ一杯は、濃厚な昆布ダシと動物系の旨みが相まって、最後まで飲み干せる極上の味わい。同店が元祖ではありますが、近年は利尻島の漁業組合が開発したインスタント袋麺も人気を博しています。
思わず取り寄せたくなる、道北スイーツ
菓子司 新谷の「ふらの雪どけチーズケーキ」
北海道・富良野の雪どけをイメージしたこのケーキは、新雪のようなふんわりとろける生クリームを使用。雪が積もった大地を濃厚なクリームチーズで、雪どけを待つ草木をブルーベリー入りの山ぶどうジャムで表現した、ストーリーに溢れたチーズケーキです。
牛乳瓶に入ったプリン
道産のバターや生クリーム、新鮮な卵、富良野産小麦にこだわったスイーツ作りを行う「フラノデリス」の代表作。熱伝導にすぐれた「ふらの牛乳」の空き瓶を見つけたことに始まり、今では北海道物産展やテレビ番組で取り上げられるほど有名になりました。
ラベンダーソフト
富良野を語るうえで外せないのがラベンダー。さすがに取り寄せはできませんが、この美しい紫を映したラベンダーソフトが現地で観光客に人気。中富良野にあるラベンダーの聖地「ファーム富田」で味わうことができますよ。
御菓子司 小鹿(こしか) の「流氷まんじゅう」
日本最北端の宗谷岬に流れ着く、流氷をイメージした稚内を代表するお菓子です。ふわふわでしっとりとしたスポンジケーキにホワイトチョコをコーティング。まんじゅうだけど、餡は入っていないという商品です。
名寄ふうれん特産館のソフト大福
名寄市の道の駅はもちろん、新千歳空港店でも入荷と同時にすぐ完売してしまう「ソフト大福」は、冷やしても固くなりにくく、そのままでも冷たくしてもおいしい優れもの。
風連町は道内一のもち米生産地で、そのもち米を生かしたソフト大福は、食べやすい大きさと食感、ハスカップやかぼちゃ、青えんどうなど様々な味があるのも魅力です。
一度は見たことがあるハズ!? ビタミンカステーラ
3時のおやつとして、道民にはなじみ深い「ビタミンカステーラ」は、誕生から100年を超える名品。スーパーやコンビニなどで気軽に手に入れられるこのカステラは、「高橋製菓」の創業者が長崎カステラの製法を学んだことが誕生の始まりなんだとか。100年前、カステラは高級品だったものの、誰もが気軽に食べられるようにと低価格で販売したことが、今日まで長く愛され続けている理由なのかもしれません。
高い評価を受ける、道北の名食材
冷涼な気候が生む道北の恵みは、どれも逸品。近年はブランド化が進み、プロを中心に高評価を得る食材が増えてきました。
留萌・羽幌・増毛の甘エビ
留萌振興局に属する留萌市・羽幌町・増毛町は、日本を代表する甘エビの名産地。なかでも水揚げ量トップクラスを誇る羽幌町では、捕れたての甘エビが浜値で手に入るほか、毎年6月に行われる「はぼろ甘エビまつり」には道内外から多くの甘エビ好きが集まる。
稚内牛乳
広大な土地と冷涼な気候が牧草を育てるのに適していると言われる稚内。日本でも数少ない放牧型酪農を営む牧場で生産された生乳は、深いコクとまろやかな味わい。成分無調整のため、夏と冬でミルクの色や味わいが変化するのも特徴です。
利尻・礼文のバフンウニ
ウニは北海道の全域で採取できる海産物ですが、その中でも利尻島と礼文島で捕れるバフンウニは、栄養豊富な昆布をエサとして育つため、大きさ・味ともに一級品。高級食材として、一目置かれる存在となっています。
厳選された餌で仔牛から育てる宗谷黒牛
宗谷黒牛は日本の北端にある宗谷岬牧場で育てられる肉牛で、餌に直産牧草を与え仔牛から一貫生産されている、非常に手間のかかったブランド牛です。柔らかな肉質と、脂肪分が少なめでコクのある味わいが特徴。
ステーキはもちろん、すき焼きやしゃぶしゃぶ、焼肉とあらゆる方法で楽しむことができ、地元・稚内の飲食店では握り寿司としても提供されています。
富良野の自然が産んだかみふらのポーク
雄大な十勝岳連峰のふもとに位置する上富良野町内では、3,500頭の母豚が飼育されていて、年間7万頭を超える肉豚が出荷されています。
養殖から肥育までを一貫して行っており、食肉加工施設や大手ハムメーカーと連携して高品質でおいしい豚肉を生み出しています。ポイントは配合飼料を使っているということで、肥育後期には麦を10%以上ブレンドした特別な餌で、締まりが良いと評判の肉質の豚を育てています。
三大メロンに数えられる富良野メロン
北海道のメロンといえば夕張メロンの知名度がナンバーワンですが、道北の富良野にもブランドメロンが栽培されています。
盆地となっている富良野は1日の寒暖差が少ないため、メロン栽培に適した土地で、北海道では夕張メロンなどとならぶ三大メロン産地のひとつです。富良野でのメロン栽培の歴史は長く、1970年代から現在まで品種改良や栽培方法の研究を重ねながらつくられています。
道北を代表する郷土料理
北海道の郷土料理はオリジナリティーが高く、全国的にも人気の料理がたくさんあります。
保存食として伝えられてきたニシン漬け
ニシン漬けは北海道のニシンを使うものの中でも代表的な郷土料理で、留萌地方を中心に古くから愛されています。
その起源は江戸時代からと歴史も古く、ニシン漁のピークは明治時代で100万トン近くの水揚げ量がありました。しかし、昭和30年頃から急激に減ってしまっています
ニシン漬けは漁がピークだった時代から家庭で作られてきた、まさに郷土料理にふさわしいもので、寒い冬を越すための貯蔵用の食料でした。その伝統は今なお続いていて、北海道の代表的な冬の家庭料理となっています。ニシン漬けは春にとれたニシンを干物として保存し、晩秋に野菜などと一緒に米糠と塩で漬け込んだものです。
発酵食の飯寿司(いずし)
飯寿司というのは米麹につけた魚や野菜を乳酸発酵させて寿司にしたもの。北海道でとれるホッケやサケ、はたはた、ニシン、秋刀魚などが使われるため、北海道ならではの郷土料理として有名です。
この飯寿司もまた冬の間の保存食として定着していて、晩秋につけたものを正月に食べるという習慣がありました。
まとめ
魅力的な食材の名物や名産品がたくさんある北海道ですが、その中でも道北は広大な自然や北海道の中でも特に寒い地域ならではの郷土料理がふんだんに用意されている地域です。
実際にその地を訪れて北海道の味覚を楽しむもよし、自宅でお取り寄せして北の大地に想いを馳せるもよし。これを機会に、ぜひ道北のグルメや名物をお楽しみくださいませ。