北海道は小麦の生産量1位! 個性豊かなブランド小麦を知ろう
焼きたての香ばしい香りに、つい手が伸びてしまうパンやクッキー。その原料は小麦です。小麦はパンや焼き洋菓子のほか、うどんやパスタなどの麺類、味噌や醤油などの調味料にも使われている身近な食材です。
毎日の食卓に欠かせない小麦ですが、実はほとんどを外国からの輸入に頼っていることをご存知でしょうか。貴重な国産小麦の生産量第1位は北海道!高品質で安心な小麦は、北海道から全国各地へ届けられています。
この記事では、北海道産小麦の特徴と、「キタノカオリ」「ゆめちから」などの代表的な北海道産ブランド小麦についてご紹介します。
この記事でわかること
- 北海道では国内産小麦の約7割を生産している
- 小麦栽培は十勝やオホーツク地方が盛ん
- 小麦には「秋まき」と「春まき」がある
- 北海道の小麦の約9割は「秋まき」小麦
小麦の国内自給率
日本で消費されている小麦は、年間一人あたり31.7kgといわれています。そのうち国内産は15%ほど。残り85% は、外国からの輸入に頼っています。
また、元々国内で作られてきた小麦は、日本めん(うどんなど)用の中力粉がメイン。国内産の小麦はパンや中華麺には不向きな品種だったため、輸入に頼らざるを得ませんでした。
そんな中でも北海道では、従来からパン・中華麺用の小麦栽培の研究が進められてきました。安定した生産のために品種改良を重ねて、耐病性のある「きたほなみ」や「ゆめちから」などの小麦が誕生したことで、一気に北海道産小麦の栽培が広がったのです。
小麦の生産量
北海道の小麦の生産量は日本一。国産小麦の66%は北海道で生産されています。 令和3年度産の国内の小麦生産(収穫)量ランキングがこちらです。
順位 | 都道府県 | 収穫量 | シェア |
---|---|---|---|
1位 | 北海道 | 72万8,400t | 66% |
2位 | 福岡県 | 7万8,100t | 6% |
3位 | 佐賀県 | 5万6,700t | 5% |
次に愛知県、三重県と続きますが、北海道の生産(収穫)量が圧倒的であることが分かります。
北海道小麦の産地
日本の食料自給率を上げるために研究を重ね、小麦の生産量を増やしてきた北海道。国内産小麦の約7割が北海道産であることが分かりました。 では、北海道の中でも小麦の栽培が盛んな地域はどこなのでしょうか。次からは北海道小麦の主な産地について、ご紹介していきます。
北海道の主な小麦栽培地
こちらが北海道の小麦収穫量ランキング(平成27年度)です。
順位 | 市町村 | 収穫量 |
---|---|---|
1位 | 音更町 | 5万1,200t |
2位 | 帯広市 | 4万7,500t |
3位 | 芽室町 | 4万5,600t |
4位 | 北見市 | 3万1,800t |
5位 | 幕別町 | 2万9,800t |
6位 | 岩見沢市 | 2万7,200t |
7位 | 大空町 | 2万3,700t |
出典:農林水産省「作物統計」
北海道小麦の栽培地は、音更町や帯広市、芽室町など十勝地方がメインです。続いて北見市や大空町などのオホーツク地方、岩見沢市などでも栽培が盛んに行われています。
北海道小麦の特徴
十勝やオホーツク地方を中心に広がった小麦栽培。その理由には、北海道のある特徴が関係していました。
なぜ北海道で小麦栽培が盛んなの?
北海道が小麦栽培に向いている大きな理由は、収穫期に雨が少ないこと。梅雨の影響が少ない上に夏も涼しく、乾燥した北海道の気候は、小麦の栽培にぴったりなんです。
また、小麦は連作障害が起こりやすい作物。同じ場所で同じ品種を作り続けると土壌の栄養バランスが崩れ、病気や害虫の被害が大きくなります。そのため、小麦栽培には広い土地が必要です。
北海道の小麦は、大豆と隣合わせで作っているところが多いと言われています。小麦と大豆を交互に栽培できる広い土地があることも「北海道ならでは」と言えるでしょう。
小麦の「春まき」と「秋まき」
広い土地と乾燥した気候を生かして栽培を続けてきた北海道の小麦ですが、栽培は年に2回行われています。 春に種を蒔く小麦は「春まき」、秋に種を蒔く小麦は「秋まき」と呼ばれ、それぞれ用途や特徴が異なります。 続いては「春まき小麦」と「秋まき小麦」について、ご紹介していきましょう。
春まき小麦
春まき小麦は、4〜5月頃に種を蒔いて夏に収穫します。生育期間が短く収穫量が少ないため、「幻の小麦」と呼ばれる品種もあるほど。収穫期と降雨期が重なりやすく品質が安定しないのも、春まき小麦の流通が少ない原因のひとつです。
貴重な春まき小麦ですが、タンパク値が高くパン作りにはぴったり。ふんわりもっちりとした食感が、春まき小麦の特徴です。焼くと小麦特有の豊かな香りと風味が広がり、根強いファンも多い小麦と言われています。
- 代表的なブランド
「春よ恋」「ハルユタカ」「はるきらり」
秋まき小麦
秋まき小麦は9月頃に種をまき、雪の下で冬を越して夏に収穫します。春まき小麦に比べて栽培期間が長いので、収穫量が多いのが特徴です。
現在栽培されている北海道の小麦のほとんどは、秋まき小麦です。元々はうどん用として栽培されていた秋まき小麦でしたが、病気に強い品種が作られたことで作付面積が増え、パンや中華麺用の小麦も生産されるようになりました。
- 代表的なブランド
「きたほなみ」「きたもえ」「キタノカオリ」「ゆめちから」
北海道産小麦の代表的ブランド
北海道小麦のブランドには、どんな種類があるのでしょうか。 今回は流通量の多い「秋まき小麦」をピックアップして、それぞれの特徴をご紹介していきます。
きたもえ
「きたもえ」は、作付面積が少なく収穫量は多くありませんが、病気に強い品種の小麦です。 うどん麺用の中力粉として使われており、めんにしたときに色が白く美しいことが特徴。北海道で多く栽培されている小麦「きたほなみ」の「母」でもあります。
きたほなみ
「きたほなみ」は、北海道小麦の作付面積9割を占める、まさに代表的なブランドです。小麦に含まれるタンパク質値が他の品種に比べて低く、薄力・中力系に分類されます。 粉の白さときめ細かさが特徴で、クッキーやケーキなどの洋焼菓子にはもちろん、うどんやそうめんなどの製麺にも適しています。
キタノカオリ
「キタノカオリ」は、岩見沢市を中心に開発を重ねてできた品種の小麦です。 強力粉として製パン性が高いことが大きな特徴。独特の黄色みがかった粉色も魅力のひとつです。小麦の香りが強くやや甘味が感じられる味わいには、ファンも多いと言われています。 作付地域が限定されていることと、近年の気候変動により収穫量が減少していることから、「幻の小麦」になりつつあるブランドです。
ゆめちから
「ゆめちから」は、北海道初の超強力小麦優良品種として分類されています。「超」強力粉である「ゆめちから」は、タンパク値が14%と非常に高いことが特徴。パンにすると、もちもちとした弾力のある食感を楽しむことができます。 従来から流通しているタンパク値が高い小麦粉は、外国産が主流です。品質管理のため農薬が添付されていることが多く、国産の安心安全な強力粉は貴重と言えるでしょう。
また、中力粉である「きたほなみ」と相性が良く、ブレンドすることにより用途や消費拡大にもつながる、注目の品種です。近年は道産小麦100%のパスタ麺として、この「ゆめちから」が採用された商品も登場しています。
まとめ
様々な品種が開発され、おいしさの可能性を広げ続けている北海道の小麦。小麦の魅力や特徴を知ることで、そのおいしさはより一層深まります。休日のおうち時間には、北海道産小麦を使ったパンやお菓子作りに挑戦してみるのもおすすめです。ぜひ色々な北海道小麦を使って、違いを楽しんでみてくださいね!