白菜の栄養と効能を徹底解説!効果的な食べ方やおすすめレシピ・選び方・保存方法も紹介
お鍋やサラダ、汁物など、さまざまな料理に使える定番の冬野菜・白菜。根元は白く葉先は淡い黄緑色をしていて、何となく「栄養がないのでは?」と思っている人も多いのではないでしょうか。
実は、白菜はさまざまな栄養を含み、多様な効能が期待できる野菜です。
この記事では、白菜の栄養について徹底解説します。白菜を食べることで期待できる効能や栄養を残さず摂る効果的な食べ方、美味しい白菜の選び方、保存方法なども紹介しています。
この記事でわかること
- 白菜はヘルシーで栄養豊富な野菜
- カリウム、カルシウム、ビタミンC、葉酸が特に豊富
- 白菜は生で食べる方が栄養をしっかり摂れる
- 白菜の栄養を効率的に摂るなら漬物・キムチがおすすめ
冬野菜を代表する「白菜」とは
冬になるとスーパーなどで多く流通する白菜は、アブラナ科アブラナ属の野菜。キャベツと見た目がよく似ていますが、こちらもアブラナ科アブラナ属なので同じ種類の野菜です。
古い歴史を持つ野菜ですが、日本で食べられるようになったのは江戸時代後期と言われています。品種改良により、現在は内葉がオレンジ色をした白菜や小型の白菜なども栽培されるようになりました。
白菜は品種や種まきの時期によって収穫期が異なり、春に収穫を迎える春白菜や夏に収穫される夏白菜もあります。しかし、一般的には秋冬に収穫するものが多いため、冬野菜として広く知られています。
白菜の産地は?全国出荷量ランキング
都道府県 | 出荷量 |
---|---|
1.茨城県 | 227,600t |
2.長野県 | 207,200t |
3.北海道 | 22,000t |
4.群馬県 | 20,800t |
5.宮崎県 | 20,500t |
参考:作物統計調査|厚生労働省
白菜の産地と言われて、パッと都道府県をイメージできる人はそう多くないでしょう。
厚生労働省が発表している作物統計調査によると、令和4年に最も多くの白菜を出荷したのは茨城県、次いで長野県が続きます。白菜の2大産地とされる茨城県、長野県では合計434,800tもの白菜を出荷しており、全国で流通している白菜の約6割は茨城県産もしくは長野県産です。
続いて、北海道、群馬県、宮崎県と続き、北海道では岩見沢市で白菜の栽培が盛んです。
白菜の旬の時期は春?夏?冬?
白菜は種まきの時期や品種によって収穫時期が異なります。そのため、春白菜、夏白菜、秋冬白菜とそれぞれに旬の時期が違います。しかし、その大半は秋冬白菜であるため、冬野菜のイメージが強いです。
ちなみに、白菜の産地として有名な長野県は春白菜と夏白菜の栽培が盛んで、茨城県は秋冬白菜の栽培が盛んです。
2大産地でそれぞれ違う時期に旬を迎える白菜を栽培しているため、白菜は1年中買い求めやすい野菜として流通しています。
「白菜は栄養がない」は大間違い
白菜と聞くと淡泊な味わいと薄い色合いから、栄養がないというイメージを持っている人も少なくありません。確かに緑黄色野菜に比べればそう多くはないでしょう。しかし、体に必要な栄養がバランス良く含まれている他、調理次第では一度に沢山の量を食べることもできます。
白菜にはカルシウムが含まれていますが、同時にカルシウムの吸収をサポートするビタミンKも含まれるなど栄養素の配分も申し分ありません。カロリーも低く、ダイエット中には特に重宝される野菜です。
【一覧】白菜に含まれる栄養素
白菜に含まれる主な栄養には以下のものがあります。
エネルギー | 12kcal | 亜鉛 | 0.3mg |
---|---|---|---|
水分 | 93.9g | βカロテン(ビタミンA) | 1.900㎍ |
たんぱく質 | 1.3g | レチノール(ビタミンA) | 160㎍ |
炭水化物 | 2.6g | ビタミンB1 | 0.05mg |
ナトリウム | 21mg | ビタミンB2 | 0.13mg |
カリウム | 300mg | ビタミンB6 | 0.14mg |
カルシウム | 140mg | ビタミンC | 88mg |
マグネシウム | 27mg | ビタミンK | 130㎍ |
リン | 37mg | 葉酸 | 150㎍ |
鉄 | 2.3mg | 食物繊維 | 2.2g |
ながさきはくさい(生)100gあたりに含まれる栄養
参照:食品成分データベース
同じく冬野菜の代表格として知られる大根と比較すると、カリウムは約0.5倍、リンは約2倍、葉酸は約5倍、大根には含まれないビタミンAも豊富に含まれています。
白菜の栄養から期待できる効能
白菜の栄養から期待できる効能にはさまざまなものがあります。
【ビタミンC】風邪予防・美肌効果
ビタミンCは免疫力の要である白血球の活性化や増強効果を持つ栄養素です。そのため、しっかりビタミンCを摂ることで、風邪などの感染症予防の効果が期待できます。
ビタミンCはコラーゲンの生成に使われる栄養素でもあります。ビタミンCを積極的に摂ることでシワの予防効果が期待できるでしょう。同時に、抗酸化作用によって内面から肌を美しく保ってくれる働きも期待できます。
【ビタミンK】カルシウムの吸収促進・骨粗しょう症予防
ビタミンKはカルシウムの吸収を促し、骨からカルシウムが溶けて流出するのを防ぐ働きがあります。強い骨を作るために欠かせない栄養素でもあるため、骨の量が減って脆くなり骨折を引き起こしやすくする骨粗しょう症を予防する効果も期待できるでしょう。
また、ビタミンKは血液凝固に関係する栄養素でもあります。血液は体内ではサラサラと流れていますが、怪我などをして体外に流出した場合、失血を防ぐために血を固めて流出を防ぐ働きを持ちます。この際に活躍する血液凝固因子を生産するために欠かせない栄養素がビタミンKです。
ビタミンKが不足してしまうと、怪我などをした時に血が止まりにくくなってしまうため、積極的な摂取が大切です。
【葉酸】細胞分裂・DNAの合成・貧血予防
葉酸はビタミンB群に属する栄養素で、細胞分裂や正常なDNAの合成に欠かせない栄養素です。そのため、胎内で赤ちゃんが細胞分裂を繰り返す妊娠初期の女性には積極的な摂取が推奨されています。
その他、葉酸はビタミンB12と共に赤血球の生産に関係している栄養素です。しっかり摂取することで貧血予防に繋がり、血液量が増えれば代謝を上げる効果なども期待できます。
【亜鉛】味覚の正常な働き・身体の発育
私達が何かを食べた時に感じる味は、舌にある「味蕾(みらい)」という器官の働きによるものです。味蕾が正常に働くためには新陳代謝が必要ですが、この際に必要とされる栄養素が亜鉛です。亜鉛が不足してしまうと、味蕾が正常に働かず味覚障害などを引き起こしてしまう恐れがあります。
また、亜鉛はたんぱく質を合成する際にも必要とされる栄養素です。胎児や乳児、幼児など、身体の成長が著しい年代の子どもにとって大切な栄養と言われています。年代に関わらず充分な摂取が推奨されている栄養素です。
【カリウム】むくみ解消・高血圧予防
カリウムは体液の浸透圧を調整するために欠かせない栄養素です。多すぎる体液を排出し、体内を適度な体液で満たすために欠かせません。
そのため、不要な水分が原因でおこるむくみの解消にも、カリウムの積極的な摂取が推奨されています。
また、カリウムは余分なナトリウムを排出する働きも持っているため、高血圧の予防効果も期待できるでしょう。血圧が高めの方は、カリウムを多く含む食品を接触的に食べるのがおすすめです。
【食物繊維】便秘改善・肥満予防
白菜には、水に溶ける水溶性食物繊維と水に溶けない不溶性食物繊維の、2種類の食物繊維が含まれています。
水溶性食物繊維は、血糖値の上昇を抑える働きや血中のコレステロール値を下げる働きがあります。また、腸内に存在する善玉菌のエサとなり、腸内環境の正常化を促す効果も期待できる注目の栄養素です。血糖値の上昇やコレステロール値を下げる働きによって、ダイエット効果も期待できるでしょう。
一方の不溶性食物繊維は、腸内で便をかさましして排便をスムーズにしてくれる働きがあります。便が増えることで腸が活発に動き、便秘の改善効果が期待できます。
【イソチオシアネート】抗酸化・殺菌・解毒作用
イソチオシアネートとは、アブラナ科の野菜が持つ辛味成分に含まれている物質の総称です。野菜の持つ酵素と混ざり合うとさまざまな種類のイソチオシアネートに化学変化を起こし、その種類は100種以上あると言われています。
イソチオシアネートには、抗酸化作用、殺菌作用、解毒作用などが期待できます。その他にも、イソチオシアネートは抗酸化作用による動脈硬化の予防や殺菌作用による風邪・インフルエンザの予防効果についても注目を集めている成分です。
ダイエット効果を得たい人にも白菜がおすすめ
白菜は低カロリーで低糖質な野菜です。食物繊維によって便通が良くなる効果や血糖値の上昇を抑える効果などダイエットにもおすすめの効果を多くもつ野菜です。
白菜は歯ごたえもあるため、よく噛むことで満腹感を得やすい他、豊富なカリウムによってむくみを解消する効果も期待できるでしょう。さらに、ビタミンCによる美肌効果やカルシウムによって脂肪の合成を抑える効果も期待でき、綺麗に痩せたいという人におすすめです。
ただし、白菜はその大半を水分が占めているため、腹持ちが悪い点に注意が必要です。脂質の少ない鶏胸肉やササミなどと一緒に食べ、タンパク質をプラスするなど栄養をバランス良くとりながら上手にダイエットをしましょう。
白菜の栄養をしっかりとるには生食と加熱調理どっちがいい?
白菜に含まれる栄養のなかには、水に溶けてしまうものや加熱に弱いものなどがあります。生食、加熱調理、どちらが白菜の栄養をしっかり摂れるのかについてみていきましょう。
生食の場合
白菜にはビタミンCやビタミンBなど、水に溶けて流出しやすい栄養素が豊富に含まれています。これらの栄養は、生食で食べた時の方が余すことなく摂れるでしょう。
サラダや漬物など、サッと水で洗って食べる食べ方がおすすめです。
また、白菜に含まれるイソチオシアネートや葉酸も熱に弱いため、生食した方が栄養を豊富に摂れることが分かっています。
加熱調理の場合
茹でたり焼いたりすると、水溶性の栄養や熱に弱い栄養は減少してしまいます。ビタミンBやビタミンCなどの水溶性ビタミンは茹でる際に栄養が流出してしまうため、スープなど汁まで食べる方がしっかり栄養をとれるでしょう。
その他、イソチオシアネートや葉酸などは熱に弱いため、加熱調理すると充分に栄養が採れなくなります。
栄養をしっかり摂りたいのであれば、白菜は生で食べる方がおすすめです。一方、便秘の改善や腸内環境を整えたいなどの目的で白菜を食べる人は、加熱調理を選んでみてください。
白菜はその大半が水分で構成されているため、加熱することでカサが減り一度に沢山食べることができます。たっぷり食物繊維を摂りたい人は、白菜を加熱してカサを減らして食べるのがよいでしょう。茹でた際の汁にも栄養が溶け込んでいるため、スープにして汁まで食べると水溶性ビタミンを残さず摂ることができます。
美味しい白菜を選ぶポイント
冬になると店頭に並ぶ事が多くなる白菜。より美味しい白菜を選ぶ際は以下のポイントをチェックしてみてください。
- しっかりと巻いている
- 重みがある
- 芯の切り口が白いもの
- 葉の上部に弾力があるもの
上記のポイントを満たす白菜は、新鮮で美味しい可能性が高いです。反対に、外側の葉がしなびているものや軽いもの、芯の切り口が茶色に変色しているものは鮮度が落ちている場合があるため注意してください。
白菜を上手に保存する方法
白菜は1玉が大きいため、1度に全部を食べ切ることは滅多にないでしょう。そのため、残った物を上手に保存する必要があります。
丸ごと保存する場合は新聞紙で包んで保存する
白菜を丸ごと保存する際には、適度な湿度を保ちつつ通気性も確保できる新聞紙を活用しましょう。白菜をキッチンペーパーで包んだ上から新聞紙でしっかりと包んで保存してください。
冬場など気温が低い季節は、必ずしも冷蔵庫に保存しなくてもOKです。風通しのよい冷暗所で保存しましょう。夏場で気温が高い場合は、冷蔵庫の野菜室などで保存した方が鮮度を保ちやすくなります。
カットして保存する場合はラップで包んで保存する
カットした白菜は比較的傷みやすいです。芯の部分から傷み始めるため、V字に切り込みを入れて芯を取り除いてから保存しましょう。
芯を取り除いた白菜はラップで密閉して、冷蔵庫の野菜室で保存してください。
立てて保存する
野菜は、自然に育っている時と同じ状態を保つことで、新鮮な状態を保ちやすくなることが分かっています。白菜を保存する時にも、なるべく立てて保存することで新鮮な状態を維持しやすくなるでしょう。
冷凍保存する
白菜は冷凍保存することもできます。よく洗った白菜をしっかり拭いて水気を切り、適度な大きさにカットして冷凍用保存袋に入れて保存しましょう。調理に使う際には、そのまま加熱して手軽に使えます。
また、大量の白菜を冷凍保存したい時には、一度サッと茹でて水気をしっかり絞ってから冷凍保存するのもおすすめです。カサが減るため、僅かなスペースでも多くの白菜を冷凍保存できます。
白菜の繊維質は冷凍すると壊れてしまうため、シャキシャキとした食感は失われてしまいます。冷凍保存した白菜はスープや煮物など、クタっとした食感でも美味しく食べられる料理に使うとよいでしょう。
白菜の栄養を残さず食べられるおすすめレシピ
白菜は上手に調理することで、豊富な栄養を残さず摂ることができます。続いては、白菜の栄養をたっぷり摂れるおすすめレシピを紹介していきます。
タンパク質もしっかり摂れる!白菜のクリーム煮
カルシウムの吸収を促すビタミンKを豊富に含んでいる白菜は、カルシウムをたっぷり含む牛乳と一緒に摂るのがおすすめです。クリーム煮にすることで、タンパク質もしっかり摂れるので、育ち盛りのお子さんにもおすすめのレシピです。
材料
白菜のクリーム煮の材料は以下のとおりです。
- 白菜
- 鶏肉
- 好みの野菜(玉ねぎ、にんじん、じゃがいも、きのこ類など)
- 牛乳
- バター
- 小麦粉
- コンソメ
- にんにく
- 塩こしょう
バターは、マーガリンやサラダ油でも代用することができます。
作り方
白菜のクリーム煮の作り方は以下のとおりです。
- 肉、野菜を適当な大きさにカットする
- 2.フライパンにバターを少量入れて、刻んだニンニクを炒め香りを出す
- 3.カットした肉や野菜を炒め、塩コショウで軽く味付けする
- 4.残りのバターを加えて小麦粉を入れて、よく全体を混ぜる
- 5.牛乳を加えて、好みの硬さになったらコンソメ・塩胡椒で味を整えて煮込み完成
こってりとした味わいを好む人はチーズを加えるのもおすすめです。小麦粉を加えると焦げ付きやすくなるため、火加減には注意してください。
栄養を余すことなく!白菜とツナのサラダ
熱に弱い葉酸やイソチオシアネートなどの栄養を残さず食べたいなら、白菜をそのままサラダとして食べるのがおすすめです。
材料
白菜とツナのサラダの材料は以下のとおりです。
- 白菜
- ツナ
- お好みのサラダ野菜(キュウリ、トマトなど)
- 塩
- マヨネーズ
- ブラックペッパー
キュウリやトマトなど、他のサラダ野菜を使うと彩りがよくなります。
作り方
白菜とツナのサラダの作り方は以下の通りです。
- 白菜を小さめの一口大にカットする
- 2.少量の塩を振って数分置く
- 3.白菜から水分が抜けてくるのでしっかりと絞る
- 4.白菜をツナを混ぜ合わせ、マヨネーズ、ブラックペッパーで味を整えて完成
- 白菜から絞った水にもビタミンBやビタミンCなどの栄養がたっぷり含まれています。スープなどに加えて残さず食べるのがおすすめです。
もっと白菜の栄養を効率的に摂りたいなら漬物がおすすめ
白菜はヘルシーでさまざまな栄養を持つ野菜なので、積極的に食卓に摂り入れたいですよね。しかし、ある方法で白菜を食べると生で食べるよりも効率的に栄養を摂ることができます。
それが「漬物」です。
ぬか漬や塩麹漬け、キムチなど、乳酸発酵によって作る漬物は、本来なら持たない筈の栄養を野菜にプラスしてくれます。白菜も例に漏れず、乳酸発酵を用いる漬物にすると、乳酸菌を豊富に摂れるため、腸内環境の正常化や免疫力の向上効果も期待できるでしょう。
効率良く白菜の栄養を摂りたいという人は、ぬか漬けや塩麹漬け、キムチなど、乳酸発酵で作られている漬物にして白菜を食べるのがおすすめです。
まとめ
白菜に含まれる栄養について紹介してきました。白菜はビタミンBやビタミンC、カリウム、亜鉛、葉酸などさまざまな栄養を含んでいることが分かりましたよね。さらに、アブラナ科の野菜に含まれるイソチオシアネートは、さまざまな効果が期待でき、特に注目の栄養です。
ただし、白菜に含まれる栄養は茹でたり煮たりすると損なわれてしまうものも多いため、食べ方にも充分注意しましょう。
今回の記事でも紹介しましたが、白菜の栄養を効率良くたっぷり摂りたいなら、漬物にして食べるのがおすすめです。ぜひ、体に必要な栄養を豊富に持つ白菜を上手に食べてみてくださいね。