そばには栄養がある?ない?真相を徹底解説!米とのカロリー比較やダイエットについても解説
そばは日本で古くから愛される食品のひとつで、長い歴史があります。しかし、麺類の多くがあまり栄養価の高くないことから、そばも栄養がないと勘違いされがちです。
この記事では、実は栄養豊富なそばについて、栄養の種類や効能、他の主食類との比較、ダイエットへの向き不向きなどを徹底解説します。
この記事でわかること
- そばは胚芽や甘皮を全て使うため栄養豊富
- そばは血糖値の上昇を抑えやすい低GI食品
- そばは高タンパク低カロリーな食材としてダイエットにも適している
「そばには栄養がない」は真っ赤な嘘!古くから愛される栄養満点な食材
年越しの定番料理や地方の名物料理など、日本の食文化と深い関わりのあるそばは、見た目やシンプルな調理方法から「栄養がない」と勘違いされがちです。
しかし、そばは栄養価の高い胚芽や甘皮をそのまま挽いて粉状にし製麺するため、豊富な栄養素を含んでいます。そばの歴史は縄文時代から始まったと考えられており、中国を原産地としたそばが現在の長崎県周辺に伝わり、日本に普及したと言われています。
当時のそばは現代のような麺状ではなく、そばの実をお粥のようにして食べていました。米の代用品として栽培されることも多く、特に米が育ちにくい山間部などでは貴重な食料源として重宝されていたようです。日常的にそば米を食べていた人に長寿な人が多かったとも言われており、そばの持つ豊富な栄養も要因の一つではないかと考えられています。
そばに含まれる栄養
そばに含まれる栄養には以下のものがあります。
- タンパク質
- 炭水化物(デンプン)
- ミネラル類
- ビタミン類
- 必須アミノ酸
- 食物繊維
特に、人間の体に欠かせない必須アミノ酸が豊富に含まれることや、主食への含有量が少なくなりがちなビタミン類が豊富なこともそばが持つ栄養の特徴と言えるでしょう。
そばと他の主食グループの栄養を比較
食品をグループ分けした際、そばは主食に分類されます。そこで、他の主食である白米やうどんなどと栄養を比較してみましょう。
今回は、生そば(ゆで)、精白米(うるち米)、生うどん(ゆで)の100g当たりの栄養を比較します。
カロリー
エネルギー量(kcal) | |
そば | 130 |
白米 | 156 |
うどん | 95 |
そばと白米は僅差でしたが、そばの方が低カロリーという結果になりました。
一方、うどんは主食グループのなかで最もカロリーが低い結果となっています。これは、うどんを茹でた際、麺のなかに水分を含むためではないかと考えられます。
タンパク質
タンパク質 | |
そば | 4.8 |
白米 | 2.5 |
うどん | 2.6 |
タンパク質の含有量はそばが圧倒的に多いです。また、食べ方を工夫することでより多くのタンパク質を摂取することもできますが、その方法は後で紹介していきます。
ミネラル類
鉄(mg) | カリウム(mg) | マグネシウム(mg) | リン(mg) | |
そば | 0.8 | 34 | 27 | 80 |
白米 | 0.1 | 29 | 7 | 34 |
うどん | 0.2 | 9 | 6 | 18 |
ミネラル類においては、そばの栄養豊富さが際立つ結果となりました。特に、マグネシウムやリンの含有量は、白米やうどんと比較しても圧倒的にそばが多いです。
ビタミン類
ビタミンB1(mg) | ビタミンB2(mg) | ビタミンB6(mg) | |
そば | 0.05 | 0.02 | 0.04 |
白米 | 0.02 | 0.01 | 0.02 |
うどん | 0.02 | 0.01 | 0.01 |
主食に不足しがちなビタミン類ですが、そばには豊富なビタミンが含まれていることが分かります。特に、ビタミンB1の含有量は群を抜いていると言えるでしょう。
そばの栄養による効能5つ
そばに豊富な栄養が含まれていることがよく分かったところで、具体的にそばを食べることでどのような効能が期待できるのかみていきましょう。
1.良質なタンパク質がとれる
そばに含まれているタンパク質は含有量もさることながら、質の良さも注目されています。摂取したタンパク質は、アミノ酸などに分解されて吸収されますが、そばから摂取したタンパク質には人間の体に不可欠な必須アミノ酸が多く含まれています。
必須アミノ酸は人間の体内で生成できないため、食事から摂取する必要があります。その点、そばは必須アミノ酸の摂取に適した食材です。また、そば粉に含まれるタンパク質は消化しやすいため、100%そば粉で作られる十割そばは胃に優しく負担を抑えつつ、豊富な必須アミノ酸を摂取できる栄養満点な食材と言われています。
2.血糖値の上昇を抑える
GI値 | |
春雨 | 30 |
そば | 55 |
そうめん | 68 |
パスタ | 65 |
ごはん | 84 |
うどん | 85 |
そばに含まれる食物繊維は水溶性で、小腸に届くと栄養素を緩やかに吸収させる働きを持ちます。そのため、そばは食事中の血糖値の急上昇を抑えてくれる低GI食品にも指定されています。
その他、そばに含まれるポリフェノールの一種「ルチン」も血糖値の上昇を抑える効果が期待できるため、血糖値の急上昇を抑えたいという人にはぴったりでしょう。
ただし、血糖値の上昇を抑えるものの糖質が少ない訳ではないため、糖質の摂取量を抑えたい人は食べ過ぎに注意してください。
3.肝臓の働きを助ける
そばにはコリンというビタミンが含まれています。ビタミンB郡に属するコリンには、肝臓の働きを助ける効果が期待できます。コリンは肝臓の脂質代謝に欠かせない栄養で、必須栄養素にも指定されています。コリンが不足してしまうと脂肪肝などのリスクが上昇してしまうとも言われているので、積極的に摂取する方がよいでしょう。
お酒を飲んだ後は、シメにさっぱりとそばを食べたいという人も多いですが、そばはお酒のシメにもぴったりです。コリンによって肝臓の働きを助ける意味でも、シメのそばは利にかなっていることが分かります。
コリンには、肝臓の働きを助ける他にも、高血圧の予防や脳の活性化にも効果が期待できると言われています。
4.丈夫な体作りをサポートする
そばには、丈夫な体を作るうえで欠かせないさまざまな栄養素が含まれています。特に、ビタミンB郡や必須アミノ酸の一種であるリジンは、子どもの成長や健康な体の維持のためにも必要です。
リジンはホルモンや酵素の成分となりますが、米や小麦など日常的に主食としているものにはあまり含まれていません。主食としてそばを食べることで、リジンをしっかりと摂取できるようになるでしょう。
また、ビタミンB1やB2、B6は疲労回復や免疫力の向上に効果が期待できます。そばを食べて、これらの栄養を取り込み健康で丈夫な体を維持しましょう。
5.体内から老化を防ぐ
そばに含まれるポリフェノールの一種・ルチンには抗酸化作用が期待できます。抗酸化作用によって体内の活性酸素が抑制されることで、体内から若々しい体を維持しやすくなるでしょう。
また、ルチンには血管を丈夫にする働きもあるため、高血圧や脳卒中、動脈硬化など血管に関係する病気の予防にも効果が期待できます。
そばの栄養を余すことなくいただける「そば湯」
そば屋さんなどでお品書きに見かけることのある「そば湯」。そば好きな人や通の人が好むイメージを持っている人もいるのではないでしょうか。
そば湯とは、そばを茹でた際のゆで汁のことを言います。そばに含まれる良質なタンパク質は水溶性のため、どうしても茹でた際に流出してしまいます。
生そば | ゆでそば | 干しそば(乾麺) | 干しそば(ゆで) | |
100gあたりのタンパク質含有量 | 9.8g | 4.8g | 14.0g | 4.8g |
どうせなら、そばの持つ良質なタンパク質を余すことなくいただきたいですよね。そこでおすすめなのが、そば湯です。
そば湯には、そばの持つ栄養素が豊富に含まれているため、栄養面を考えるならぜひ飲んでみてください。そのまま飲むとそばの風味が濃く感じられます。そのまま飲むのが好みに合わない人は少量の麺つゆなどを入れると美味しく味わえるでしょう。
そばはダイエットに適した栄養満点の食品
そばは低カロリー高タンパクな食品として、ダイエット中の主食としてもおすすめです。しかし、そばをダイエット中に食べる時には、なぜダイエットに効果的なのかを理解したうえで食べる必要があるでしょう。
いくらダイエットに適しているからといって、そばを食べているだけでは痩せません。
続いては、そばの持つ栄養から何故ダイエットに向いていると言われるのか解説していきます。
そばは主食の置き換えダイエットに適している
日本人の主な主食は米やパン、麺類で言えばうどんなどがメジャーではないでしょうか。米やうどんは、カロリーはそこまで高くないもののタンパク質の含有量が少なく、一方でパンは高タンパクで高カロリーです。
ダイエット中にタンパク質が不足して筋肉が分解されてしまうと、期待する成果が得られないことが多いです。いくら体重が減っても、筋肉を失ってしまうと代謝が悪くなりダイエット効率の低下やリバウンドを引き起こすこともあるでしょう。ダイエット中は、良質なタンパク質をとりつつ、カロリーを抑えることが重要です。
その点、そばは米やうどんと同程度のカロリーに抑えつつ、食パン並みのタンパク質を含んでいます。そのため、米やパンなどの主食をそばに置き換えることでカロリーをコントロールしつつ効率良くタンパク質を補うことができる、という点でダイエットに向いていると言えます。
ダイエットにはGI値のコントロールが重要
食べ物は最終的に糖に分解されて体内に吸収されます。その際、血流に多くの糖が含まれることになり、これが血糖値として測定されます。
血液中の糖を体内に必要なエネルギーとして処理するのが、すい臓から分泌されるインスリンというホルモンです。しかし、インスリンが糖を処理できる量には限界があり、処理しきれない分は脂肪に変化させてしまいます。
つまり、ダイエットを成功させるにはインスリンの処理能力を上回らないように、血糖値を急上昇させないことが大切です。そばは血糖値を上げにくい低GI食品」のため、食べたものを脂肪に変換させにくくダイエットに適していると考えられています。
糖質制限ダイエットにはそばは不向き?
ダイエットにはさまざまな方法がありますが、近年注目されているのが糖質の摂取を控える糖質制限ダイエットです。
糖質制限ダイエットでは、食事からの糖質摂取を大幅に制限することで、新たな脂肪を生み出すことを抑え、すでに体内にある脂肪をエネルギーとして燃焼させます。効率的に痩せることができるとして人気が高いですが、人間の脳は糖をエネルギーとして稼働しているため糖質の過剰な制限は必ずしも推奨されるものではありません。
安全に、健康的に糖質制限ダイエットをするのであれば、ある程度の糖質を摂取しつつ、低糖質な食品を選ぶのが望ましいと言えるでしょう。そこで、「そばはGI値が低いから糖質制限ダイエットに向いているのでは?」という声が聞かれます。
結論から言えば、そばはGI値は他の主食に比べると低いものの、糖質量自体は大差ありません。糖質量は、炭水化物から食物繊維を覗いた分量で算出できるため、それぞれの主食の糖質量は以下のとおりです。
そば | 白米 | 食パン | うどん | スパゲッティ | |
100gあたりの炭水化物量(g) | 26.0 | 37.1 | 46.4 | 21.6 | 32.2 |
100gあたりの食物繊維総量(g) | 2.9 | 1.5 | 4.2 | 1.3 | 3.0 |
100gあたりの糖質量(g) | 23.1 | 35.6 | 42.2 | 20.3 | 29.2 |
主食とされる食品のなかでは比較的少ないものの、本来の糖質制限ダイエットでは肉や魚などほとんど糖質を含まない食品をとる方法が主流です。糖質制限メニューとして定番の牛肉のももステーキの糖質量は0.3gなので、糖質制限ダイエットにおいてそばの糖質量は低いとは言い難いでしょう。
つまり、健康的に糖質制限ダイエットを行ううえで少量の主食を含めるのであれば、比較的低糖質で、かつ低GI食品であるそばが適しています。しかし、本格的に糖質を制限する場合には、他の主食と同程度の糖を含むそばは向かないということになるでしょう。
そばの栄養に関する注意点
そばは種類や製造方法によっても栄養成分量が異なります。そこで、最後にそばの栄養に関する注意点を紹介します。
そばは小麦粉の含有量によって栄養が違う
そばには、100%そば粉で作る十割そばや、80%がそば粉20%が小麦粉で作る二八そばなどがあります。そもそも、食品規準では3割以上そば粉が配合されていればそばとして販売できるため、もっとそば粉の配合量が少ないそばも存在します。
小麦粉の配合量が多くなると、カロリーや糖質量・タンパク質の種類なども変化します。今回紹介したそばの栄養はそば粉由来のものが多いため、そば特有の栄養をしっかり取りたい場合やダイエットに活用したい場合は十割そばを選ぶのがよいでしょう。
そばのタンパク質にアレルギーを引き起こす可能性も
そばはアレルギーを引き起こしやすい食品として特定原材料7品目にも含まれています。そのため、そばアレルギーのある人は注意が必要です。アレルギーが軽〜中度の場合は蕁麻疹や喘息、下痢などの症状が見られ、重度の場合のどが腫れあがって呼吸困難を起こすこともあります。
また、そばのタンパク質は水溶性のため、そばを茹でた後ゆで汁(そば湯)や、そばを茹でているときの湯気にもアレルゲンが含まれます。アレルギーのある人は、そば湯や湯気にも注意が必要です。
まとめ
そばの栄養について紹介してきました。そばは日本の歴史にも深く関わり、栄養について解明される前から愛されてきた食品です。現代では味に加えて栄養価も高く評価されており、主食の置き換えなどによってダイエット効果も期待できるでしょう。
知れば知る程魅力溢れる栄養満点のそばを、ぜひ美味しく召し上がってください。