ごぼうに含まれる食物繊維の量と効果は?栄養豊富で健康維持にぴったり
栄養が豊富で、煮物や炒めものなど幅広い料理に用いられるごぼう。「ごぼうの食物繊維量は?」で辿りついた方は、きっと食生活にごぼうを取り入れようと考えているでしょう。
ごぼうは野菜の中でもトップクラスで、食物繊維量が多い野菜です。水溶性食物繊維と不溶性食物繊維がバランスよく含まれているので、高い整腸作用のほか急激な血糖値の上昇を抑える作用があります。
この記事では、ごぼうに含まれる食物繊維の量や、ごぼうの栄養素を無駄なく摂取するおすすめの調理法などを紹介します。
この記事でわかること
- ごぼうに含まれる食物繊維は100gあたり約5.7g
- ごぼうは便秘改善に役立つ野菜
- 油を使って調理するとごぼうの栄養を逃さない
- ごぼう茶にも多くの食物繊維が含まれる
- 北海道はごぼうの生産が盛んなエリアのひとつ
ごぼうに含まれる食物繊維の量は100gあたり約5.7g!
食物繊維は、消化・吸収されずに小腸から大腸まで届く成分です。便通を整えて、便秘を防止・改善するはたらきがあります。ごぼうに含まれる食物繊維の量は、生の状態で100gあたり約5.7gです。野菜別の食物繊維の含有量をまとめました。
食材 | 食物繊維量(100gあたり) | 食材の重さ目安 |
---|---|---|
ごぼう(生) | 5.7g | 1本180g |
にんじん(生) | 2.8g | 1本130g |
ほうれんそう | 2.8g | 1束250g |
大根(ゆで) | 3.6g | – |
キャベツ | 1.8g | – |
このように、ごぼうは他の野菜と比べても食物繊維の量が多い食材ということがわかります。
また、ごぼうを茹でた場合の食物繊維の量は100gあたり約6.1gです。ごぼうは生で食べられることがほとんどないため、基本的に茹でた状態の食物繊維量で考えましょう。
ごぼうに含まれる食物繊維以外の栄養素
ごぼうには食物繊維のほかにも、さまざまな栄養素が含まれている野菜です。その中でも特に注目すべき栄養素は次の通りです。
ごぼうの主な栄養素
- ミネラル
- ビタミン類
- ポリフェノール
- サポニン
ごぼうにはカルシウムやリン、鉄、亜鉛をはじめとした数種類のミネラルが含まれています。カルシウムやマグネシウム、リンは丈夫な骨を作り、亜鉛は細胞を作るために必要なミネラルです。ミネラルほどではありませんが、ビタミンもごぼうに多少含まれています。
ポリフェノールは抗酸化作用を持つ栄養素です。細胞の老化を防止するほか、栄養素の酸化を防ぐはたらきがあります。ごぼうをカットして放置すると断面が変色しますが、これはポリフェノールが空気中の酸素によって酸化するためです。ポリフェノールは水に溶けやすい性質があるので、ポリフェノールを摂取するなら天ぷらなどにして食べるのがおすすめです。
また、サポニンも抗酸化作用を持っていて、紫外線や酸素による身体の老化を防ぎます。さらに血管内のコレステロールを排除して、体臭の改善やサラサラな肌へ導く効果も期待できます。そのため、ごぼうはスーパーフードといっても過言ではありません。
ごぼう以外で食物繊維が豊富な食品
ごぼう以外にも、食物繊維が豊富な食品には以下のものがあります。
主な食品と100gあたりの食物繊維量
- モロヘイヤ:5.9g(100gあたり)
- えだまめ(生):5g(100gあたり)
- アボカド:5.6g(100gあたり)
- ライ麦パン:5.6g(100gあたり)
- オートミール:9g(100gあたり)
- きなこ:16.9g(100gあたり)
- 焼きのり:36g(100gあたり)
モロヘイヤやアボカドには、ごぼうと同じくらいの量の食物繊維が含まれています。野菜以外では、ライ麦パンやオートミールも食物繊維が豊富です。同じグラム数で考えると、ごぼうよりもきなこや焼きのりの方が食物繊維が多いですが、きなこや焼きのりを100g食べることはあまりないかと思います。
そのほかにきのこ類や豆類、干し果物にも食物繊維が多く含まれています。食物繊維以外の栄養バランスも考慮して、日々の食事に食物繊維を取り入れましょう。
ごぼうに含まれる2種類の食物繊維
食物繊維は整腸作用を持つ栄養素です。そんな食物繊維には大きく分けて次の2種類があります。
食物繊維の種類
- 水溶性食物繊維
- 不溶性食物繊維
水に溶ける性質を持つ食物繊維を「水溶性食物繊維」、水に溶けない性質を持つ食物繊維を「不溶性食物繊維」と言います。水溶性食物繊維は海藻類や果物類などに含まれていることが多いです。一方で、不溶性食物繊維を多く含んでいるのは野菜類や穀類です。
ごぼうはどちらの食物繊維もバランスよく入っており、生のごぼう100gあたり、水溶性食物繊維が2.3g、不溶性食物繊維が3.4g含まれています。ここからは、それぞれの食物繊維の特徴や効果について解説していきます。
水溶性食物繊維|血糖値の急激な上昇を抑える
水溶性食物繊維とは水に溶けやすい食物繊維で、ネバネバ系とサラサラ系があります。
水溶性食物繊維の特性
- 粘性
- 吸着性
- 発酵性
粘着性がある水溶性食物繊維は、時間をかけて小腸から大腸へ移動するため、空腹感を抑えることができます。食べ過ぎを防ぐと同時に糖質の吸収をゆるやかにして、食後の血糖値の急激な上昇を抑えるはたらきがあります。吸着性もあり、胆汁酸やコレステロールなどを吸着して体外へ排出することが可能です。さらに大腸内で発酵されることでビフィズス菌などを増やし、腸内環境を整えます。
水溶性食物繊維を多く含む食品には昆布やわかめ、大麦などがあり、ごぼうには「イヌリン」という水溶性食物繊維が含まれています。イヌリンは整腸作用があるほか、血中の中性脂肪を低減させることが特徴です。
不溶性食物繊維|便秘を改善する
不溶性食物繊維は水に溶けにくい食物繊維です。主に野菜に含まれており、ボソボソ・ザラザラとした食感が特徴的です。
不溶性食物繊維の特性
- 保水性
- 繊維状・へちま状
- 発酵性
保水性が高い不溶性食物繊維は胃や腸で水分を吸収して大きく膨らみ、腸のはたらきを活発にして便秘改善を促進します。繊維状・へちま状のような食品に含まれており、ボソボソと食感が多いです。食べる時の咀嚼回数が増えることによって、食べ過ぎを防ぐほか、子どもの顎の発育を促してきれいな歯並びへと導く遠因にもなります。水溶性食物繊維と同様に発酵性があるので、腸内環境を整えることが可能です。
また不溶性食物繊維を多く含む食品には野菜やきのこ類、穀類、階層などがあり、ごぼうには「リグニン」「ヘミセルロース」などの不溶性食物繊維が含まれています。中でもリグニンはがん予防や胆汁酸を排泄させることが特徴です。
ごぼうに含まれている食物繊維の効果
ごぼうに含まれる食物繊維の効果は次の通りです。
ごぼうの食物繊維の効果
- 整腸作用・便秘改善
- 生活習慣病の予防・改善
- 便のかさを増やす
- 便を柔らかくする
ごぼうは水溶性・不溶性食物繊維がバランスよく含まれている食品です。食物繊維は便通を整えて腸内環境を整える作用と、脂質や糖、ナトリウムなどを吸着して排泄してくれる作用があり、生活習慣病の予防・改善につながる成分です。
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維はどちらも整腸作用がありますが、水溶性食物繊維は便をやわらかくするのに対し、不溶性食物繊維は便のかさを増やすという違いがあります。健康な身体を作るためには、食物繊維は水溶性と不溶性をバランスよく摂取することが大切です。そのため、どちらもバランスよく含まれているごぼうを毎日の食事に取り入れましょう。
日本人は食物繊維が不足している?ごぼうで不足分を補う
日本人は食物繊維の摂取量が不足しているため、意識的に食物繊維を摂取することが大切です。
厚生労働省が策定した「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、1日あたりの食物摂取量は、18〜64歳の男性で21g以上、女性で18g以上とされています。しかし、同様に厚生労働省は日本人の食物繊維の平均摂取量が減少傾向にあるとし、最近の報告によれば平均摂取量は1日あたり14g前後と推定されています。たとえば成人女性の場合は、1日4gの食物繊維が不足している計算です。
不足分の食物繊維をごぼうで補う場合、生のごぼうで70g、茹でたごぼうで65gが摂取量の目安です。ごぼう1本が約180gなので、毎日ごぼうを2〜3分の1本食べる必要があります。煮物や炒め物、揚げ物などにしてごぼうを取り入れて、不足している食物繊維を補いましょう。
ごぼうの栄養を無駄なく摂取する食べ方
ごぼうにはポリフェノールや水溶性食物繊維など、水に溶けやすい栄養素が多く含まれています。水の中につけてアク抜きをしすぎると、栄養が逃げてしまうので注意が必要です。ポリフェノールや水溶性食物繊維を無駄なく摂取するためには、油で揚げたり炒めたりして食べるのがポイントです。
たとえば味噌汁や豚汁と一緒にごぼうを食べるなら、ささがきしたごぼうをアク抜きするのではなく、軽く炒めてから一緒に食べることをおすすめします。油で炒めることで、ごぼうのアクが感じにくくなり、栄養を残したままおいしく食べることができます。仮にアク抜きして食べる場合は、水や酢水に浸す時間は10分程度にして、アクを抜きすぎないようにしましょう。
また、ごぼうの皮はできる限り残して食べるのもポイントです。皮には香りやうまみが多く含まれていて、皮を剥いてしまうとごぼうのおいしい部分も失われてしまいます。ごぼうを皮ごと食べられるように、土を洗い落とす際はスポンジで軽くこする程度にしましょう。
おすすめのごぼう料理!ごぼうで食物繊維を摂取しよう
ごぼうの栄養を無駄なく摂取するには、油を使った料理か汁ごと食べられる料理が適しています。
おすすめのごぼう料理
- きんぴらごぼう
- ポタージュ
- 豚汁
- かき揚げ
- 炊き込みご飯
きんぴらごぼうは油で炒めるため、アクをあまり取らなくても食べやすいです。ポタージュや豚汁に入れて汁ごと食べれば、ごぼうから流れ出た水溶性の栄養も逃さず摂取することができます。油で揚げるなら、かき揚げやから揚げにして食べるのもおすすめです。ごぼう料理はバリエーションが豊かで、そのほかにも炊き込みご飯や煮物にしてもおいしく食べられます。
ごぼう茶にも食物繊維が含まれる
ごぼう茶とはごぼうを刻んで乾燥させ、焙煎して作るハーブティーのひとつです。大地の豊かな風味が特徴的で、ハーブティーの中でも飲みやすいです。
ごぼう茶に含まれる栄養成分はごぼうと同じなので、イヌリンなどの食物繊維はもちろん、サポニンやポリフェノールなど健康に良い成分が含まれています。普段のティータイムをごぼう茶に置き換えることで、腸内環境を整えることができます。
さらにカロリーは100gあたり約0kcalです。カフェインも含まないので、時間を問わずに飲めるのもごぼう茶の特徴です。
ごぼうの旬と生産が盛んなエリア
ごぼうの生産が盛んなエリア上位3つは次の通りです。
ごぼうの生産量ランキング
- 1位:青森県(35.4%)
- 2位:茨城県(11.0%)
- 3位:北海道(8.9%)
ごぼうの生産量第3位は北海道です。中でも、十勝管内やオホーツク管内、そして洞爺湖町やむかわ町などでもごぼうの生産が盛んに行われています。漬物用の「ヤマゴボウ」は厚沢部町で生産されています。また九州や関東あたりでは、「サラダゴボウ」と呼ばれるアクの少ないごぼうの栽培も盛んです。
ごぼうの旬は8月〜11月の秋頃です。地域によって細かな生産時期は異なりますが、栽培時期は4月〜11月、収穫時期は8月〜11月となります。
まとめ
ごぼうに含まれる食物繊維の量は野菜の中でもトップクラスです。水溶性食物繊維と不溶性食物繊維がバランスよく含まれているので、高い整腸作用を期待できます。
普段の食生活にごぼうを取り入れるのなら、栄養を逃さず摂取するために調理法にこだわってみてください。