どうして北海道の七夕は8月なの!? その理由を歴史的背景から解説
一年に一度、織姫と彦星が出会う「七夕」。一般的に七夕は7月7日ですが、北海道では8月7日なのをご存知ですか? 本州と北海道では一体なぜ、時期が異なるのでしょう。
織姫と彦星が2回会っているわけではなさそうなので、北海道で1カ月ずれている理由を詳しく調べてみました。気になる独自の風習もわかったので、最後までご覧ください。
北海道の七夕は、なぜ8月なの?
北海道で七夕の日程が異なる理由は、新暦と旧暦によるもの。そしてこの新暦と旧暦の違いは、「太陽暦(グレゴリオ歴)」が使用されているかどうかになります。
太陽暦(英: solar calendar)とは、地球が太陽のまわりを一周する時間(約365.24日)に近い365日を一年とし、日数による区分と太陽運行とのズレをうるう日で調節する仕組みの暦Oxford Languagesより
旧暦の7月7日は、太陽暦を使う新暦では8月にあたります。新暦へ変わる際に、七夕の日程について国による話し合いが行われたそうなのですが、国が出したのは「各地域の長に任せる」という結論だったとか。これにより、7月と8月の2つになってしまったというわけです。
ちなみに北海道の七夕は、ほとんどの地域で新暦の8月7日に行われますが、新暦の7月7日に行われる地域も一部あります。それが、函館市と根室市です。これは、貿易港として発展していく中で首都圏に負けないように同じ日である7月になったという説があります。
北海道独自の「ローソクもらい」
北海道ではその昔、七夕に子供たちが浴衣を来てロウソクを集め歩くという独自の風習がありました。その名も「ローソクもらい」です。就学前〜小学校低学年の子どもたちによるハロウィンに似たイベントで、子どもたちがちょうちんを持って、近所の家々を回ります。各家庭は、訪れた子どもたちに用意したお菓子やローソクを渡します。
「ローソク出せ」や「ローソク一本ちょうだい」と子どもたちが歌いながら歩くのが特徴です。歌詞は地域ごとに異なっており、北海道内でも統一されていません。ちなみに、歌詞の中にある「かっちゃく」は北海道の方言で、「ひっかく」という意味になります。
また、この「ローソクもらい」は、青森の「ねぶた」から伝わった説が有力です。というのも、ねぶたには、火を灯すためにローソクが大量に必要でした。ローソクを集めるために「ローソク一本ちょうだい」と歌いながら集めていたのだそう。とはいえ近年は、防犯上の問題などからあまり行われなくなってきているのが現状です。
北海道では短冊を柳につるす
北海道の七夕は、本州と異なる点がまだあります。七夕では短冊に願いを書いて笹の葉につるすのが一般的ですが、北海道では笹や竹に吊るすことをしません。笹や竹を使わない理由は、北海道では細長い笹や竹が手に入らなかったから。
その代わりに短冊を柳の木につるします。寒い北海道では柳の木が手に入り、葉の形が竹に似ていることもあったため代用されるようになったという説があります。
七夕には星空を見よう!
七夕には、星に願いごとをしましょう。織姫の星は「こと座のベガ」、彦星の星は「わし座のアルタイル」とされています。七夕の夜は星空を眺め、ベガとアルタイルの2つの星を探してみましょう。北海道は空気が澄んでいるため、8月はとても夜空がきれいです。
北海道の七夕祭り
最後に、北海道で行われているおすすめの七夕祭りを紹介します。
おびひろ広小路七夕まつり
北海道帯広市の広小路商店街で行われる「おびひろ広小路七夕まつり」は、毎年8月初旬に行われます。まつりでは、交通安全イベントやカラオケ大会が開催され、子どもから大人まで楽しめるイベントとなっています。
また、「おびひろ広小路七夕まつり」の見どころは、「仙台七夕まつり」をモチーフに作られた大型の七夕飾り。七夕飾りに使用する竹は、実際に仙台から取り寄せているようです。
ちなみに、竹への飾りつけは各商店や地元民の手作りです。七夕飾りはコンテスト形式で実施され、賞も贈られます。
開催場所 | 帯広市広小路アーケード街 |
---|---|
問合せ | 0155-23-5675 |
小さなふるさとづくり「七夕の夕べ」花火大会
北海道ニセコ町のニセコ町運動公園で開催される「小さなふるさとづくり七夕の夕べ花火大会」。目玉は、約2,000発も打ちあがる花火です。
このほか、熱気球のフライト体験や地元バンドの野外ライブなど催しが充実。「七夕の夕べ」花火大会は、老若男女が楽しめるイベントとなっており、毎年家族連れで賑わっています。
開催場所 | ニセコ町運動公園(ニセコ町字富士見168) |
---|---|
問合せ | 0136-44-2214 |
銀座七夕祭り
北海道旭川市の銀座商店街で行われる「銀座七夕祭り」には、「仙台七夕まつり」をモチーフにした七夕飾りがあります。七夕飾りでは、願い事を短冊に書き、柳の木に吊るして願います。
本場「仙台七夕まつり」にあやかり、笹かまぼこや萩の月など仙台物産展が開かれるなど、開催期間中の土曜・西曜日は大勢の人で賑わいます。
開催場所 | 旭川市1条通~4条通14・15丁目付近 銀座商店街 |
---|---|
問合せ | 0166-23-1210 |
まとめ
ここまで、北海道の七夕が8月である理由を紹介しました。古き良き文化や風習を残しつつ、子どもたちのかわいらしい歌声が聞こえてくる「ローソクもらい」は、北海道ならではのイベントです。本州の人が驚くハロウィンのような「北海道独自の七夕祭り」を楽しむことができるでしょう。