薄荷とミントは別もの?違いと効能を解説

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ハッカ飴やハッカ油などで有名な薄荷は、北海道名物のひとつ。爽やかな香りやスッキリした清涼感が特徴ですが、「ミントとどう違うんだろう?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、薄荷とミントの違いや種類別の特徴、使い方まで詳しく解説します。

    この記事でわかること

  • 薄荷はミントの仲間
  • 薄荷とミントの最大の違いは、清涼感
  • 虫よけや臭い消し、入浴剤など使い方が幅広い!
  • 北海道ご当地ラーメン
  • スープカレー特集

薄荷といえば北海道の北見!

薄荷といえば北海道の北見!

北海道名物として知られる薄荷は、道東エリアの北見市で多く作られています。その歴史は長く、日本はもとより世界にまで名が知られたことも。薄荷とミントの違いの前に、薄荷について知識を付けていきましょう。

世界にとどろいた薄荷の歴史

日本に薄荷が伝わったのは2000年以上前。3500年前から古代ギリシャで生薬として使われていた薄荷が中国から日本に伝わり、平安時代には貴族の食卓に、室町時代には薬種として使われたという記録があります。

薄荷栽培は19世紀に岡山で始まり、明治時代には日高門別、八雲町で試作が行われ、旭川市永山町で成功した後に、北見に薄荷がやってきました。

明治29年に始まった北見での薄荷栽培は、思わぬ収穫量を実現し、可能性が見えてきます。北見や湧別斜里など栽培地域を広げ、明治44年には、最高値を記録し、北見の作付面積は全国の86%を占めました。

世界にもとどろいた薄荷の歴史

第一次世界大戦や関東大震災などに影響を受け、一時は薄荷栽培が衰退したものの、昭和初期に復活を遂げます。昭和9年から北見ハッカが輸出されるようになり、昭和13年・14年には世界の生産量の7割を占めるハッカ王国として、世界に名をとどろかせました。

その後は、海外産の薄荷や合成ハッカの登場、輸入関税の引き下げなどの影響を受け、北見ハッカ工場は閉鎖に。北見が誇る薄荷の歴史を伝えるために、北見薄荷通商が設立され、様々な薄荷アイテムを提案しています。

アロマやスプレーなど人気アイテムで再注目

アロマやスプレーなど人気アイテムで再注目

世界的な薄荷産地だった頃に比べると規模は小さくなったものの、薄荷を使った食品やアイテムは人々の生活に馴染んでいます。

北見薄荷通商が中心になって生み出した、ハッカ油やコスメ、雑貨など、薄荷を使ったアイテムが近年再注目。ハンカチの着香料や食品の香料などに使われている「ハッカ油」、香りとともに肌を保湿できる「ミントクリーム」、ハッカ油を染み込ませた「ハッカようじ」など、ユニークなアイテムが販売されています。

爽やかな香りや優しい風味が色々なものにマッチし、新しいアイテムが登場しているので、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。

薄荷とミントは同じ? その違いとは

薄荷とミントは同じ?その違いとは

香りや味を知っている方にとっては、「薄荷とミントって何が違うの?」と思うかもしれません。似ているところは多いですが、完全に同じものではないので、違いを理解していきましょう。

薄荷・ミントとは

薄荷とミントは、同じシソ科の植物です。シソ科には、「ハッカ属」「メンタ属」「ミント属」があります。薄荷はシソ科ハッカ属、ミントはシソ科の総称であるため、ミントの仲間に薄荷があるという考え方が正しいでしょう。

薄荷という名前は日本や中国での呼び方で、英語では「ミント(Mint)」です。そのため、英語名で見ると、日本で栽培されている和種ハッカは「Japanese peppermint」、西洋ハッカは「Peppermint」のように、どちらも「mint」と付いています。

主な違いは清涼感

分類こそ同じシソ科ですが、主に薄荷と呼ばれる和種ハッカと、ペパーミントやスペアミントでは、清涼感に違いがあります。

薄荷は、爽やかさの元になるメントールという成分が最も多く、清涼感が強いため、加工品の原料に使用されるだけではなく、抽出したハッカ油も販売されています。

ミントは、メントールの量が薄荷より少なく、ハッカ油を抽出するほどの清涼感はありません。香りづけとして料理やドリンクに添えるなど、さりげない爽やかな香りが広がります。

ただ、品種改良が行われたことで、香りが強いミント、精油に使う薄荷など、それぞれに特徴を持った薄荷やミントも登場。違いを理解しつつ、品種それぞれの特徴にも目を向けてみると、奥深い薄荷の世界に踏み入れるはずです。

薄荷は1種類だけではない!主なハッカと特徴

薄荷は、1つの植物の名前ではなく、実は世界中にたくさんの品種があります。一般的にハッカと呼ばれる品種から、日本各地の薄荷、世界の薄荷まで特徴を知っていきましょう。

和種ハッカ

和種ハッカ

和種ハッカは、日本原産の品種で、一般的な薄荷の種類です。ミントの違いで触れたように、薄荷の中でも清涼感の元になるメントール量が多いのが特徴。ペパーミントにある、痰を排出しやすくする去痰作用を持つメントフランは含まれていません。

薄荷は、所ジョージさんが出演する「所さんの目がテン!」でも取り上げられました。45度の熱めのお風呂にハッカ油を入れたところ、実験に参加した方は冷たく感じたそう!メントールが皮膚や舌を刺激し、脳を冷たいと勘違いさせたという結果がわかりました。薄荷ならではの清涼感は、和種ハッカの一番の特徴でしょう。

和種といっても、海外に分布する原種もあり、成分は微妙に異なります。北米やヨーロッパの和種ハッカには、プレゴンという成分やメントフランを含有する品種もあるそうです。

西洋ハッカ

西洋ハッカは、一般的にペパーミントと呼ばれている品種です。和種ハッカよりもメントールの量が少なく、ちょうどよいスッキリ感があります。そのため、キシリトールガムや歯磨き粉など、オーラルケアアイテムでよく使われていますよ。

スペアミント

スペアミント

スペアミントも、耳にした方が多い薄荷の品種ではないでしょうか。ヨーロッパ原産の品種で、アメリカで生産される薄荷の85%はスペアミントです。甘い香りを持つカルボンという成分が含まれているので、料理の香りづけに使われています。サラダや肉料理のほか、ハーブティーやモヒートなどに入っているのも、実はスペアミントです。

他にもたくさん!日本のハッカたち

日本では、現在栽培されている薄荷になるまでに、様々な品種がつくられてきました。「北見しろけ」「あかまる」「ほくしん」などが当初つくられていて、「まんよう」「すずかぜ」など改良種が生まれながら、収穫量や質が上がっていきます。

現在では、北海道で和種を改良した「北大」や国内に自生している「赤坂ハッカ」「天白ハッカ」「白花ハッカ」など、様々な薄荷が日本にありますよ。

外国にも多くのハッカがある

海外にも、たくさんの薄荷があります。スペアミントと交配してペパーミント誕生につながった「ウォーターミント」、サイズが大きく丸い葉を持つ「ボウルズミント」など、品種は様々。

フルーツの匂いがする薄荷も多く、「アップルミント」「レモンミント」「パイナップルミント」「グレープフルーツミント」「ジンジャーミント」などもあります。

薄荷の使い方はこんなにある!

薄荷で最もポピュラーなのは、ハッカ飴ではないでしょうか。ドロップスなどに一つは入っていて、子どもの頃はちょっと苦手だった方も多いかもしれません。薄荷は進化していて、もっとたくさんの使い方や楽しみ方があります!気になる使い方があったら、ぜひ試してみてくださいね。

虫よけ

薄荷の持つメントールの香りは、人間は爽やかに感じますが、虫は苦手にしていると言われています。小動物もあまり得意ではないとされているので、虫よけや獣よけに効果を期待できますよ。バーベキューやキャンプ、登山など、屋外にいる時間が長いときに虫よけスプレーとして、ぜひ使ってみてはいかがでしょうか。

マスクスプレー

マスクスプレー

今や身につけるのが当たり前になったマスク。長時間つけていると、苦しく感じたり、臭いが気になったりすることがあるのではないでしょうか。マスクにハッカ油で溶かしたスプレーを吹きかければ、清涼感が広がり、口回りをスッキリできます。

薄荷の清涼感には心を静めたり、リラックスさせたりする効果もあるそう。職場で気分を変えたいとき、集中したいときに、シュッと吹きかけてみると良いでしょう。

匂いのリフレッシュ

薄荷は臭い消しとしても、効果的な成分を含んでいます。靴からの臭いが気になる玄関、雑菌の多いトイレなどで使用すると、嫌な臭いが爽やかな香りに変わるはず。ふきんや雑巾など、臭いがたまりがちなアイテムの臭い消しにもおすすめです。

掃除

掃除

薄荷は、殺菌・抗菌効果があることも知られています。まな板の大腸菌がわずかな量で滅菌されたという報告があり、掃除でもその働きは嬉しいものです。雑巾やシートに含ませて拭き掃除をしたり、気になる場所に吹きかけたりするだけで、雑菌を退治できます。おまけに爽やかな香りも広がって、一石二鳥です!

入浴剤

お風呂に薄荷を入れると冷たく感じるという実験を紹介しましたが、お湯の温度は下がっていません。お湯に長く浸かることができ、血行を良くする効果によって湯冷めしにくいのも嬉しいポイントです。薄荷の香りも広がり、心地よいバスタイムを過ごせるでしょう。暑すぎるお湯はかえって体に負担がかかること、ハッカ油の入れすぎは香りが強すぎることには、注意してください。

アロマ

アロマ

ディフューザーや加湿器などのアロマにも、薄荷が使われることがあります。爽やかな香りが部屋に広がり、心を落ち着けてくれるので、日々のリフレッシュにぴったり。ただし、機器によってはオイルに対応していないものもあります。故障や不調の原因になるので、必ず対応した機種でハッカ油を使いましょう。

まとめ

薄荷とミントの大きな違いは清涼感。メントールが多い薄荷は爽やかさが強く、様々なアイテムの香りづけやハッカ油などで使われています。使い方は豊富で、アウトドアでの虫よけ、マスクの匂い対策、お風呂でのリフレッシュなど、日々の生活でも役立つこと間違いなし。薄荷について詳しく理解し、ぜひ暮らしに取り入れてみてくださいね!

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菅原 光拳
ライター / フリーエディター
札幌生まれ、北広島市育ち。学生時代に釧路で環境と自然教育を学んだのち、卒業後も北見を拠点に道東で7年間を過ごす。現在は北海道観光をはじめ、ライフスタイルメディアなど多様なジャンルの記事を執筆中。