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八角ってどんな魚? 北海道ならではのおいしい魚の正体と食べ方

八角ってどんな魚? 北海道ならではのおいしい魚の正体と食べ方の画像

北海道ならではの珍しい魚として知られる八角(ハッカク)。道内でも流通数が少ないため、北海道民でも見たことがない、知ってるけど食べたことがないという人も多いほど。そんな謎の多い海産物ですが、その味わいは非常に評価が高く、食べ方のバリエーションも豊富。本記事では、八角の特徴やさばき方、美味しい食べ方などをご紹介します。

この記事でわかること

  • 八角は脂の旨みと食感を楽しめる魚
  • 一番おいしい旬は12月~2月!
  • 美味しい八角は目がきれいで、エラが赤い

八角(ハッカク)ってどんな魚?

八角(ハッカク)ってどんな魚?

画像を見るかぎり、ギョッとする見た目の魚ですが、まずは「八角(ハッカク)ってどんな魚?」という疑問を解決していきましょう。生息地やサイズ、栄養など、特徴を詳しく解説します。

正式名称は「トクビレ」

北海道では“八角”という名前で知られていますが、正式名称は「トクビレ」と言います。分類は「スズキ系スズキ目カジカ亜目トクビレ科トクビレ属」となっており、特徴的なヒレを持つことからその名前で呼ばれるようになったと言われています。富山県では、八角ではなくトクビレという呼び名が一般的なのだとか。地域によっては「カガラミ」「カクヨ」と呼ばれることもあるそうで、名前が各地で変わるというのも特徴と言えます。

北海道で八角と呼ばれているのは、身を横に切ったときに八角形になることが理由のひとつ。大きく開いた背ビレや尻ビレも特徴的ですが、断面の形も他の魚にはなかなかない特徴と言えます。

北海道・東北地方に生息している

八角(ハッカク)の主な産地は、北海道のオホーツク海、富山湾、岩手県です。朝鮮半島の東側などでも漁獲されるようですが、日本周辺で水揚げされることの方が多くなっています。

底生魚の一種で、普段は海の底を這うように生活しています。そのため、同じ生態を持つカレイなどの底刺し網漁などで一緒に水揚げされることが多いです。八角だけにターゲットを絞った漁は少なく、副産物として捕られます。現在も希少な魚ですが、かつてはもっと珍しく、市場に出回らなかった時期も。漁師さんが美味しさに感動し、次第に市場や魚屋などに広がっていきました。

サイズは大きいもので40cm~50cm

八角は、大きいもので40~50cmのサイズがあります。オスは50cm前後、メスは35cm前後まで成長。特徴的なヒレを広げると、もっと大きく見えそうですが、見た目の迫力に比べると意外に小さく感じるかもしれません。

オスとメスで身体の特徴が異なる魚種

八角は、性的二形というオスとメスで身体の特徴が異なる性質を持つ魚。見た目の違いで雌雄がわかるので、市場や鮮魚店などで選ぶ際に違いの知識が役立つでしょう。

オスは、八角の特徴である大きなヒレを持ち、50cm前後まで大きくなります。フォルムが八角形に近いのもオスで、一度見たことがある人の記憶にあるのはオスが多いかもしれません。

一方、メスは、オスほどヒレが大きく発達せず、サイズも35cm前後と一回り小さくなります。見た目だけではなく、味にも違いがあるそうで、一般的にオスの方が美味しいと言われています。とはいえ、メスも大きく味が落ちるわけではありません。脂乗りがオスに劣る分、あっさりとした味わいが好みの人には人気です。味が良いことでオスは高価になりがちなので、味わいの好みや価格で雌雄を選ぶと良いでしょう。

ビタミンを多く含む栄養価の高い魚

八角には、多くビタミンが含まれています。ビタミンB6を特に多く含んでおり、エネルギー補給や筋肉の成長、血液の生成などに欠かせない栄養分です。他にも、たんぱく質やカリウムなども豊富。低脂肪・低コレステロールとされ、健康な食生活や体づくりに嬉しい魚と言えるでしょう。

魚好きにはたまらない、絶品の魚

八角(ハッカク)は美味しい魚!

八角(ハッカク)の特徴を知った上で、気になるのがそのお味。迫力のある見た目からはあまりイメージできない、上質な味わいが特徴です。味とあわせて、旬の時期もチェックしていきましょう。

脂の旨みと甘み、しっかりした食感がクセになる

八角の身には、同じ白身魚よりも濃厚な脂が入っています。少し濁った白っぽい色で、口に入れると脂が溶け出し、甘みや旨みを感じられるのが味の特徴です。オスの方が脂が多いので人気ですが、脂控えめのメスもすっきりした脂の味わいを楽しめます。

食感は、コリコリした歯ごたえの良さが魅力。脂の美味しさを感じながら、ゆっくりと噛んで楽しめる食べ応えも人気の理由です。

旬は12月~2月頃! でも年中楽しめる

八角は比較的珍しい魚ゆえ、美味しく食べられる以上のことは分かっていないことも多いのだそう。旬についても明確ではありませんが、味の良さから12月~2月の冬と言われています。旬が最も美味しく食べられる時期ですが、八角は一年を通して水揚げはされているため、旬の時期以外でも楽しむことができます。そもそも希少性が高い魚なので、市場などで見つけたらすぐに購入するのがおすすめです。

広尾漁業協同組合 食品部
八角一夜干し(3尾入り) 2袋セット
2,300(税込)

捌くと断面が八角形だから「八角」という名が付いたこの魚は、おもに北海道で水揚げされる珍しい白身魚です。かつては安くて旨い安価な魚でしたが、味の良さと漁獲量の減少などを背景に、近年は首都圏や関西の寿司店などで高級魚として取り引されるようになりました。

八角のさばき方

さばき方のイメージ

鮮魚で八角(ハッカク)を手に入れた場合は、さばく必要があります。さほど難しくはないので、身だけではなく、皮や骨もきれいに残して隅々まで美味しく食べることができますよ。(画像はイメージ)

これだけできればOK! 3枚おろしの手順

さばき方の基本は3枚おろし。形が独特なので、はじめは戸惑うこともありますが、基本を押さえれば大丈夫です!以下の手順で、丁寧にさばいていきましょう。

  1. 頭を落とし、内臓を取り除く
  2. 尾を落とす
  3. 尾側から皮に沿うように包丁を入れ、皮とヒレを取り除く
  4. 逆側も同じように皮とヒレを取り除く
  5. 残った皮は手ではがす
  6. 背側のヒレ骨の上から包丁を入れ、頭から尾に向けて切り込を浅く入れる
  7. 切り込みを入れたところに包丁を入れて、骨と身を切り離す
  8. 八角の向きを変えて、腹側から骨と身を切り離す
  9. もう片方の身を同じ手順で下す

生で食べるときは、さばいたときにアニサキスがいないかチェックしましょう。糸状の寄生虫で、人間の目でも身に潜んでいるかを確認できます。食べてしまうと腹痛や嘔吐の原因になるので、見つけたら必ず取り除きましょう。

皮や骨も残しておくのがおすすめ

八角の美味しいところは身だけではありません。皮や骨も食べられるので、さばいた後に捨てずに残しておきましょう。どちらもせんべいのようにパリパリに揚げるのがおすすめ! 香ばしくて食べ応えのある皮せんべい・骨せんべいになります。一品にはもちろん、お酒のお供にもおすすめのメニューです。

八角のおいしい食べ方

八角はそのままでも、火を通しても美味しく食べられる魚です。和食にも洋食にも相性が良いので、食べ方のバリエーションが多くあります。ここでは、おすすめの食べ方をご紹介。気になるメニューをぜひ試してみてください。

お刺身

シンプルに八角そのものの味わいを楽しむなら、お刺身がおすすめ。醤油を弾くほどの濃厚な脂の旨みと甘みは絶品。脂があまり得意ではない方は、メスを選んだり、さっぱりとしたポン酢で食べたりすると良いでしょう。

塩焼き

八角(ハッカク)の塩焼き

塩を振って焼くだけでできる塩焼きもおすすめの八角料理。さばいた後に塩を振り、数時間置くと味がしみます。じっくり焼き上げれば、刺身とは違った味わいで上質なうまみを感じられるはず。すだちを添えて、さっぱりと味を変えながらいただくのもおすすめです。

軍艦焼き

軍艦焼きとは、味噌にネギを加えたペーストを塗って焼く郷土料理です。形が軍艦に見えるからという由来があります。作り方は簡単で、味噌にみりんや酒、砂糖、刻んだネギを加え、ペースト状になった味噌を付けて焼くだけ。味噌の量は好みに合わせて調節しましょう。脂と味噌の相性が良く、ごはんやお酒が進みます。

煮つけ

八角は煮付けにしても、美味しく味わうことができます。醤油、砂糖、酒でシンプルに煮るだけでも、旨みが引き立つ煮付けになりますよ。

味噌汁

八角からは良い出汁が出るので、味噌汁に入れるのもおすすめ。身だけではなく、アラも一緒に入れると旨みがしっかり出ます。隅々まで味わうことができて、ちょっと贅沢な一品になりますね。

アペリティフやフィンガーフード

八角(ハッカク)の目利きのポイント

焼いた身をほぐして野菜と一緒にバゲットにのせたり、刺身をカルパッチョに仕上げてオリーブオイルやソースをかければ、オシャレなアペリティフに♪

フライ

魚の食べ方で定番のフライは、八角とも相性抜群。カラッと揚げると、サクサク感と中からあふれる旨みが口の中に広がります。ひと口大に切り分け衣を付けて揚げるだけなので、ぜひチャレンジしてみてください。

知っておきたい目利きポイント

市場などで八角(ハッカク)を探すとき、なるべく美味しいものを見つけたいはず。たくさんの八角からとっておきを見つけるためには、いくつか目利きのポイントがあります。目の付け所をしっかりチェックして、一番美味しい八角をゲットしましょう!

目がきれいで澄んでいる

目が透き通っている八角は鮮度が高いです。濁った印象のものは鮮度が落ちている可能性があるので、目がきれいに見えるものを選びましょう。

また、身体全体の色合いも鮮度を見極めるヒントです。全体的に色が濃い方が美味しいと言われています。オスはメスより元々黒っぽいので、オス同士またはメス同士で色を比較しましょう。

エラが鮮やかな赤色

エラを確認できるときは、鮮やかな赤色をしている八角がおすすめ。鮮度が落ちると茶色っぽく変化していくので、できるだけエラが赤いものを選ぶのがポイントです。

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菅原 光拳
ライター / フリーエディター
札幌生まれ、北広島市育ち。学生時代に釧路で環境と自然教育を学んだのち、卒業後も北見を拠点に道東で7年間を過ごす。現在は北海道観光をはじめ、ライフスタイルメディアなど多様なジャンルの記事を執筆中。