うにに含まれる栄養と効能!カロリーや栄養を逃さず食べる方法を解説
とろっとした濃厚な食感に旨味と甘味が凝縮されている「うに」。うには栄養価が高いうえにカロリーが比較的低いダイエットにも向いている食品ということをご存知でしょうか。たんぱく質やビタミンのほか、DHAやEPA、葉酸といった健康にも美容にもいい栄養が豊富に含まれています。ただし、食べすぎはコレステロールやプリン体の過剰摂取につながりやすいため適量を心がけることが大切です。
こちらの記事では、うにに含まれる主な栄養とその効能、うにのカロリー、うにの食べ方について詳しく解説します。
この記事でわかること
- うには高たんぱく低カロリーの食品
- 食べすぎはコレステロールやプリン体の過剰摂取につながる
- うには良質な脂質とされるDHAやEPAが豊富
- 北海道はうにの漁獲量が年間6,650トン
- うにの栄養を逃さず食べるなら生食がおすすめ
うにに含まれる主な栄養と効能
うにには、健康効果が期待できるさまざまな栄養が含まれています。
うにに含まれる主な栄養と効能
- たんぱく質|筋肉や皮膚、毛髪などの組織を作る
- DHA|集中力や記憶力が向上する
- EPA|血液をサラサラにする良質な脂質
- カリウム|むくみを解消して血圧を下げる
- βカロテン|抗酸化作用で活性酸素から体を守る
- ビタミンA|視力の維持や眼精疲労を回復させる
- ビタミンB群|エネルギー代謝をサポートする
- ビタミンE|肌の健康維持や血流を改善する
- 葉酸|胎児の正常な発達にかかわる
- タウリン|高血圧や二日酔いを予防する
ここからは、文部科学省が公表した「第2章 日本食品標準成分表 – 10 魚介類」の情報を中心に、それぞれの栄養について詳しく解説します。
たんぱく質|筋肉や皮膚、毛髪などの組織を作る
うにには、100gあたりたんぱく質が16.0g含まれています。たんぱく質は、炭水化物や脂質と並ぶ「三大栄養素」のひとつです。体の基本構成要素となる栄養素で、筋肉や皮膚、毛髪の生成に必要不可欠です。免疫系の維持やエネルギー源としても重要な役割を果たします。たんぱく質が不足すると免疫機能が低下するほか、筋力の低下にもつながるため、日々の食事で積極的に摂取する必要があります。
また、たんぱく質は20種類のアミノ酸が結合した物質であり、アミノ酸のなかでも人間が体内で生成できないものを必須アミノ酸と言います。うには必須アミノ酸も豊富で、心機能の向上や血流改善といった効果が期待できます。
DHA|集中力や記憶力が向上する
うににはDHA(ドコサヘキサエン酸)とよばれる脂質の一種が含まれています。体内で合成できない不飽和脂肪酸の一種で、食品から摂取する必要がある栄養素です。DHAは小腸で吸収された後血液と一緒に脳へ運ばれ、脳の機能を活性化させる効果が期待でき、集中力や記憶力が向上するとされています。
また、DHAは不飽和脂肪酸のなかでも「オメガ3脂肪酸(n-3系脂肪酸)」に分類される成分です。中性脂肪を下げて血圧を安定させるはたらきもあります。
EPA|血液をサラサラにする良質な脂質
EPA(エイコサペンタエン酸)はDHAと同様、体内で合成できない不飽和脂肪酸の一種です。魚の油に含まれている脂質で、うににもEPAが含まれています。EPAは心血管系の健康をサポートする重要な成分です。血中の中性脂肪や悪玉コレステロールを減少させ、血液の流れを改善する効果が期待できます。血流がよくなると血栓ができにくくなり、動脈硬化や高脂血症などのリスクを低減するほか、生活習慣病予防や認知症予防などにも有効とされています。EPAとDHAを同時に摂取すると健康効果を高めることができ、うにはEPAとDHAを同時に摂取できる優れた食品です。
カリウム|むくみを解消して血圧を下げる
うにには、100gあたり340mgのカリウムが含まれています。カリウムは、体内のナトリウム(塩分)のバランスを整える作用があり、体内の余分な塩分と水分を排出する栄養素です。むくみ解消や肌トラブルの予防につながるほか、血圧を下げる効果も期待でき、高血圧や脳卒中リスクの軽減に役立つとされています。また、カリウムはカルシウムなどと同じミネラルの一種で、骨粗しょう症の予防にも効果的と言われています。
カリウムは水溶性の栄養素で、煮たり茹でたりすると水に溶け出すことが特徴です。しかし、カリウムまで逃さず摂取するためにはうにを生で食べるか、あるいは煮物やスープにして汁ごと一緒に食べるのがおすすめです。
βカロテン|抗酸化作用で活性酸素から体を守る
βカロテンは、「カロテノイド」とよばれる黄色・赤色の色素の一種です。強力な抗酸化作用をもつことが知られており、細胞を保護し、健康的な肌を維持する効果があるとされています。うにには100gあたり650μgのβカロテンが含まれています。また、βカロテンは体内でビタミンAに変換され、免疫機能の維持や細胞の健康維持にもつながる栄養素です。日常的にβカロテンを摂取することで、活性酸素から体を守り、がん予防や美肌効果が期待できます。
ビタミンA|視力の維持や眼精疲労を回復させる
うにには100gあたり63μgのビタミンAが含まれています。ビタミンAは、特に目の健康を保つために必要な栄養素であり、視力の維持や眼精疲労の回復に効果があるとされています。さらに、皮膚や粘膜の健康を保ち、乾燥から守る役割もあります。また、免疫機能をサポートし、感染症への抵抗力を高めるのにも役立つため、うには美容と健康を支える食品として注目されている栄養素です。
一日に必要なビタミンA摂取量は男性で300〜650μg、女性で250〜500μgとされており、うにに含まれるビタミンAはそれほど多くはありません。ビタミンAが摂れるほかの食品とあわせて栄養バランスの整った食事を心がけましょう。
ビタミンB群|エネルギー代謝をサポートする
うにはビタミンB群が豊富で、特にビタミンB2はうに100gあたり0.44mg含まれています。ビタミンB2は水溶性ビタミンで、たんぱく質、脂質、炭水化物の代謝をサポートし、皮膚や粘膜の健康維持にもつながる栄養素です。水溶性で水に溶けやすい性質のため、うにを煮て食べる場合は煮汁も一緒に食べることで、溶け出したビタミンB2を無駄なく摂取できます。そのほか、ビタミンB1は糖質を代謝してエネルギーを生成するために必要な栄養素で、ビタミンB12は赤血球をつくる働きがあるため、貧血予防や神経機能の維持に役立ちます。
ビタミンE|肌の健康維持や血流を改善する
うにには100gあたり3.6mgのビタミンEが含まれています。ビタミンEは、高い抗酸化作用により細胞を酸化ストレスから保護するほか、紫外線から肌を守ったり、肌の健康や血流をよくしたりする栄養素です。さらに、悪玉コレステロールの酸化を防ぎ、心筋梗塞や動脈硬化などの生活習慣病のリスクを減らす効果が期待できます。ビタミンEを適切に摂取することで、血流改善による体の冷えや、肌の乾燥による肌トラブルを防ぐなど、美容と健康の維持につながります。また、ビタミンEは体内で自然に生成されないため、うにのような食品から積極的に摂取することが大切です。
葉酸|胎児の正常な発達にかかわる
うにには100gあたり360μgの葉酸が含まれています。葉酸はビタミンB群の一種で、細胞の分裂や成長をサポートし、特に赤血球の産生に重要な役割を果たします。妊娠中や妊娠を望む女性には特に大切で、胎児の正常な発達に欠かせない栄養素です。ただし、妊娠中の女性に限らず、年齢や性別に関係なく健康維持に役立ちます。
うには葉酸を豊富に含む食品の一つであり、うにのほかに藻類や肉類、野菜類、卵類、豆類など幅広い食品に含まれているため、食事の偏りがなければ葉酸が不足する心配はないでしょう。また、葉酸の一日の推奨摂取量は18歳以上の男女で240μgとされており、うに100gで十分な量の葉酸を摂取することが可能です。
タウリン|高血圧や二日酔いを予防する
タウリンは心臓や肝臓の機能をサポートし、高血圧や二日酔いの予防にも効果が期待できる栄養素です。体内でのたんぱく質分解過程で生成されるアミノ酸の一種であり、疲労回復にも影響することから、栄養ドリンクにもよく使用されます。人間の体はタウリンを自己生成する能力を持っていますが、健康を最適な状態に保つためには食事から摂取することが推奨されます。うにはタウリンを効率よく摂取できる食品です。
うにはダイエットにいい?カロリーは100gあたり約120kcal
文部科学省の「日本食品標準成分表」によると、うにのカロリーは100gあたり約120kcalです。特別高カロリーな食べ物ではありません。その他の魚介類とカロリーを比較した表が以下です。
カロリー(100gあたり | |
---|---|
うに | 120kcal |
えび(甘えび) | 87kcal |
たこ | 76kcal |
いか(するめいか) | 83kcal |
いくら | 272kcal |
サーモン(アトランティックサーモン) | 237kcal |
まぐろ(きはだまぐろ) | 106kcal |
うには、ほかの魚介類と比べるとそれほどカロリーは高くないことがわかります。えびやたこ、いかは脂質があまり含まれないためカロリーが低く、DHAやEPAなどの脂質が多少含まれるうには少しカロリーが高いです。一方、いくらなどと比べると半分以下のカロリーとなっており、うには比較的ヘルシーな食品と言えます。ただし、うにを寿司として食べる場合、シャリのカロリー・糖質が含まれるためカロリーが高くなるため注意が必要です。
うにを食べすぎるとどうなる?過剰摂取に注意すべき栄養素
うにを食べる際は、次の3点に注意が必要です。
過剰摂取に注意が必要な栄養素・成分
- コレステロール|コレステロール値が高いと血流が悪くなる
- プリン体|摂りすぎると血液中に尿酸がたまる
- 塩分|摂りすぎると血圧が高くなる
それぞれの栄養素について、過剰摂取するとどうなるのか解説します。
コレステロール|コレステロール値が高いと血流が悪くなる
うにには100gあたり290mgのコレステロールが含まれています。コレステロールは細胞膜やホルモン、胆汁酸を作る材料になるなど、体内で重要な役割を果たしているものの、摂取量が多すぎると血管の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。1日の摂取推奨量は200mg以下とされているため、100g食べると推奨量を上回る計算です。ときどき食べる程度であれば大きな問題はありませんが、極端に言えば毎日100gのうにを食べるとコレステロールの過剰摂取になる可能性があるため注意が必要です。コレステロール値が気になる方は、うにの摂取量に注意して、バランスのいい食生活を心がけましょう。
プリン体|摂りすぎると血液中に尿酸がたまる
うには100gあたり約137mgのプリン体が含まれます。プリン体は旨味成分として食品の風味を豊かにする一方で、摂りすぎると血中の尿酸値を上昇させ、高尿酸血症や関節の病気(痛風)など健康上の問題を引き起こす可能性があります。しかし、プリン体は身体のエネルギー伝達や細胞の新陳代謝にも必要な成分であるため、適量であればむしろ身体に必要です。プリン体の1日の摂取目安量が400mgであるため、うにを食べすぎなければプリン体の過剰摂取は避けられるでしょう。
塩分|摂りすぎると血圧が高くなる
うにには100gあたり0.6gの食塩相当量が含まれていますが、あくまでも生うにの場合に限ります。加工品のうには、塩分が添加され塩分の数値が高くなりやすいため注意が必要です。特に、粒うにや練りうになどの加工品は、塩分量が高めに設定されているため、過剰摂取すると血圧の上昇やむくみのほか、健康上の問題を引き起こす可能性があります。成人の1日の塩分摂取推奨量は6.5〜7.5g未満であるため、うにを食べる際はほかの食品の塩分量を考慮してバランスの取れた食事を摂ることが大切です。
うには肝臓に悪いって本当?
うにが肝臓に悪いという噂を耳にしたことがある人もいるのではないでしょうか。結論から言えば、うにが肝臓に悪い影響を与えるとは考えにくいです。うにが肝臓に悪いというイメージをもたれる理由は定かではありませんが、ビールが関係していると考えられます。ビールはうにと同様にプリン体が含まれる食品で、なおかつアルコールは肝臓で代謝されることから、プリン体の多いうには肝臓に悪いというイメージがついたのかもしれません。うには肝臓への影響を気にせず食べられますが、食べすぎはコレステロールやプリン体の過剰摂取になりやすいため適量を心がけることが大切です。
うには妊娠中に食べてもいい?
妊娠中でも、適量であればうにを食べても問題ありません。ただし、妊娠中は非妊娠時と比べて身体の抵抗力が落ちやすい状態です。生ものを食べたことによる消化不良や食中毒を引き起こすリスクが高くなるため、できる限り妊娠中はうにを生で食べるのは避ける必要があります。妊娠中にうにを食べる際は、新鮮なうにを選んで、加熱調理して食べるのがおすすめです。
北海道はうにの漁獲量が全国1位
うにの漁獲量は年間6,650トン(令和2年)で、全国でもっとも漁獲量が多い都道府県は北海道で年間3,890トンにおよびます。北海道はうにの漁獲量が全国の漁獲量の半分以上を占めており、1年を通してうにを楽しめます。
参照: 海面漁業生産統計調査 確報 令和2年漁業・養殖業生産統計|政府統計の総合窓口 e-Start
また、うには世界に900種類以上いると言われていますが、食べられている種類はわずかです。小さく短いトゲが特徴的なバフンウニは北海道の積丹半島の名物として知られています。そのほか、よく食べられるキタムラサキウニは北海道の松前や江差、奥尻などでよく水揚げされており名産品としても有名です。
うにの食べ方は?加工されたうにの特徴
うにの保存方法・加工方法には大きく以下があります。
市販されているうに
- 塩水うに
- 箱うに・折うに
- 塩漬け
それぞれの特徴について解説します。
塩水うに
塩水うには水揚げされたうにの殻を外し、海水と同じ塩分濃度の塩水につけてパックしたものです。生のうにに近い状態で、うに本来の旨味と甘味を楽しめるのが特徴です。塩水に浮かんでいる状態なので、型崩れや色味の変化もありません。日持ちしないため、開封後は当日中に食べきりましょう。また、塩水が濁っているケースもありますが、ミョウバンによるものではありません。うにの表面が塩水に溶け出したことが原因と考えられるため、気にせず食べることができます。
箱うに・折うに
箱うに(折うに)とは、うにをひとつひとつ丁寧に箱の中に並べたものです。保存料としてミョウバンを使用していることが多く、型崩れなく長期保存できます。ミョウバンを使用しているため、塩水うにと比べると、わずかに渋みや苦み、ミョウバン独特の風味を感じることがあります。
塩漬け
うにの塩漬け(塩うに)とは、うにに塩をふって脱水・乾燥させたものです。このうち、原料を崩さずに加工して粒が残っているものを「粒うに」、ペースト状に練られているものを「練うに」と言います。「うにの塩辛」とよばれることもあります。うにの塩漬けは地域によって味付けが異なることが特徴です。北海道ではうにの塩漬けのまま流通するものが多いですが、九州地方ではアルコールも加えて加工されることがあります。
うには栄養価が高い!栄養を逃さず食べる方法は?
うには栄養価の高い食品です。しかし、うにの栄養素には、ビタミンB2や葉酸、カリウムといった水溶性の栄養素が含まれています。そのため、うにの栄養を逃さず食べるためには、寿司や刺身、和え物など生で食べるのがおすすめです。または、パスタやグラタンなどのソースにしても、栄養を逃さず食べられます。茹でたり煮たりする場合、煮汁に水溶性の栄養素が流れ出すため、汁まで残さず食べるのがポイントです。
まとめ
うににはたんぱく質やDHA、EPA、葉酸といったさまざまな栄養が含まれています。栄養価が高いうえ、カロリーが低くヘルシーな食品ですが、コレステロールやプリン体、塩分も多く含まれるので、適量を守ることが大切です。北海道はうにの漁獲量が多く、旬になると身がたっぷり詰まって濃厚です。新鮮でおいしいうにを食べに、ぜひ北海道へ足を運んでみてください。