発酵食品を一覧で紹介!発酵のメカニズムや三大微生物・意外な発酵食品ランキングも
納豆やヨーグルト、味噌、醤油など私達の食生活にはさまざまな発酵食品が存在しています。しかし、発酵について詳しく知っているという人は少なく、メカニズムを理解している人はそう多くありません。
この記事では、発酵食品について詳しく解説します。発酵のメカニズムや期待できる効果、発酵に欠かせない三大細菌、発酵食品一覧、効果的な発酵食品の摂り方まで紹介します。
発酵食品について詳しく知りたい人は、ぜひ最後までご覧ください。
この記事でわかること
- 発酵とは微生物の働きによって元々の素材が全く違う性質を持った有益な変化を起こすこと
- 人間にとって有益な変化は発酵、有害な変化は腐敗
- 唐辛子が日本に伝わった際「南蛮からし」と呼ばれたことが由来
- 発酵はカビや酵母、細菌などの微生物の働きによって起こる
発酵食品ってどんな食べ物?
発酵食品とは、微生物の働きによって元の食材とは違った性質を得た食品のことを言います。最初に、発酵食品について詳しくみていきましょう。
発酵食品ができるメカニズム
発酵食品とは、有機物に微生物が働きかけ、本来もっていない筈の性質をもつ有機物に変化させることを言います。
同じく、微生物が有機物に働きかけることで起こる現象に「腐敗」があります。腐敗と発酵の違いは、人間に対して害があるかどうかです。人間に対して有害なものへと変化することを腐敗、人間に対して有益なものへと変化することを発酵と言い、どちらも微生物の働きによって起こる現象です。
発酵食品に期待できる効果
発酵食品には以下の効果が期待できます。
- 免疫力の向上
- コレステロール値の上昇を抑制
- アレルギー症状を抑制
- 中性脂肪の増加を抑制
- 内臓脂肪の増加を抑制
- 腸内環境を改善
- メラニン色素の発生を抑制
- 栄養の増加
- 旨味の増加
発酵の際に用いる微生物によって効果は異なりますが、多種多様な効果が期待できると言われています。
発酵食品に用いる三大微生物とは
発酵食品に用いる微生物は大きく分けて3種類あります。続いては、それぞれの微生物の特徴について紹介していきます。
カビ
発酵に用いられる代表的なカビには以下の種類があります。
- パン酵母
- ビール酵母
- 清酒酵母
酵母は、糖をアルコールと炭酸ガスに分解する働きを持つ微生物の総称で、カビとよく似ています。カビは糸状の細胞を持つのに対して、酵母は丸い楕円形の形態をしているのが大きな違いです。
英語ではYeast(イースト)と呼ばれ、パン作りに用いられるイースト菌など、聞いたことがあるという人も多いのではないでしょうか。
細菌
発酵に用いられる代表的な細菌には以下の種類があります。
- 乳酸菌
- 酢酸菌
- 納豆菌
細菌はカビや酵母よりも小さく、細胞分裂を繰り返しながら増殖する単細胞生物です。
環境の条件が揃えばどんどん増殖していき、それに乗じて食品の味などが変化していくのも細菌を使った発酵食品の特徴です。
【ジャンル別】発酵食品一覧
発酵食品にはさまざまな種類があり、私達の食生活の身近にあるものも多いです。続いては、発酵食品をジャンル別に分け、一覧で紹介していきます。
野菜を原料にして作る発酵食品
野菜を原料にして作る発酵食品には以下のものがあります。
- キムチ
- ぬか漬け
- 野沢菜漬け
- 奈良漬け
- 酢漬け
- ザーサイ
- メンマ
- ピクルス
- ザワークラウト
スーパーなどで売られているキムチのなかには、野菜にキムチの味を付けただけの無発酵キムチもあります。乳酸菌を豊富に含む発酵キムチを食べたい場合は、どのように製造されているキムチなのかを良くチェックしてみてください。
大豆を原料にして作る発酵食品
大豆は発酵食品に適しており、発酵を経てさまざまな食品になります。大豆を原料にして作る発酵食品には以下のものがあります。
- 納豆
- 味噌
- 醤油
- テンペ
- 臭豆腐
- 豆腐よう
- 腐乳
- 豆乳ヨーグルト
テンペとは、インドネシアの伝統的な大豆発酵食品です。腐乳は、豆腐を麹で発酵させた調味料です。
日本の伝統的な調味料である味噌や醤油も一般的には大豆を原料として作られていますが、なかには麦を原料に作る麦味噌や小麦を原料に作る白醤油などもあります。
肉類を原料にして作る発酵食品
肉類も発酵させることで熟成され肉の旨味が増します。肉食文化があまり発達していなかった日本ではあまり見られませんが、海外では肉を原料にした発酵食品が多々みられます。
肉を原料にして作る発酵食品には以下のものがあります。
- プロシュート(生ハム)
- ハモン・セラーノ(生ハム)
- サラミ(ドライソーセージ)
- ペパロニ
- チョリソ
- 金華ハム
- サイクローク・イサーン
- 白カビソーセージ(フエ、キュルノンチュエなど)
生ハムのなかには、プロシュートやハモン・セラーノのように発酵過程を経て作られているものもあれば、ドイツ発祥のラックスハムのように発酵させずに作るものもあります。日本で一般的に流通している生ハムは非発酵のラックスハムの方が多いです。
魚介類を原料にして作る発酵食品
魚介類も発酵させることで、本来とは違った栄養や味わいを得られるものがあります。日本では、水揚げした魚を長期間保存するための方法として魚介類の発酵技術が古くから用いられてきました。
魚介類を原料にして作る発酵食品には以下のものがあります。
- かつお節
- 塩辛
- くさや
- へしこ
- なれずし
- 山漬け
- あざら
- しょっつる(魚醬)
- アンチョビ
- シュールストレミング
山漬けは北海道のアイヌ民族が作っていたと言われる鮭の発酵食品です。エラと内臓を取った鮭を塩もみして熟成・発酵させることで長期保存が可能になり、新潟県や佐渡島などでも食べられていたと言われています。
シュールストレミングは世界で一番臭い缶詰としても知られており、ニシンを塩漬けにした缶詰です。缶の中で発酵が進むため、開封時には汁が飛び散り強い発酵臭がするのが特徴の缶詰と言われています。
乳製品を原料にして作る発酵食品
乳製品もさまざまな発酵食品に加工されて食べられています。乳製品を原料にして作る発酵食品には以下のものがあります。
- チーズ
- ヨーグルト
- サワークリーム
- 発酵バター
- ケフィア
- 発酵乳
日本では主にヨーグルトを差す言葉として使われる発酵乳ですが、世界には水牛、山羊、馬などさまざまな動物の乳を使った発酵乳が400種以上あると言われています。
発酵によって作られている調味料
発酵の過程で旨味やコクなどが大幅に増えることを活用し、調味料も発酵技術を用いて作られているものが多いです。発酵によって作られている調味料には以下のものがあります。
- 味噌
- 醤油
- 酒
- 本みりん
- 酢
- 魚醬(ナンプラー)
- 豆板醤(トウバンジャン)
- 甜麺醤(テンメンジャン)
- コチュジャン
- ワインビネガー
- バルサミコ酢
- タバスコ
特に、アジアでは発酵調味料を用いる文化が深く根付いており、さまざまな種類の調味料があります。ちなみに、本みりんとみりん風調味料はどちらも発酵によって作られていますが、本みりんの方が長い時間をかけてじっくり発酵させて作られています。
発酵によって作られている飲料
私達が普段何気なく飲んでいる飲料にも、発酵を用いて作られているものがたくさんあります。発酵によって作られる飲料には以下のものがあります。
- ウーロン茶
- 紅茶
- プーアール茶
- 碁石茶(ごいちゃ)
- 阿波番茶(あわばんちゃ)
- 富山黒茶
- 石鎚黒茶
- 甘茶
緑茶をはじめとした茶葉で淹れる飲料は、不発酵茶、半発酵茶、発酵茶に分類され、同じ茶葉でも発酵の有無や発酵度によって、さまざまな種類に分類されます。ちなみに、緑茶は不発酵のもの、ウーロン茶は不発酵茶と発酵茶の間位の半発酵をしたもの、紅茶は完全に発酵したものです。
発酵によって作られるお酒
お酒は、酵母や麦芽、麹などの発酵によって作られています。発酵によって作られるお酒には以下のものがあります。
- ビール
- 日本酒
- 焼酎
- 泡盛
- 濁酒(どぶろく)
- 甘酒
- ワイン
- ブランデー
- ウイスキー
- ウォッカ
- ジン
- ラム
- テキーラ
- マッコリ
- 白酒
アルコールを生成するために、発酵は欠かせないためお酒は殆どが発酵の過程を経て作られます。発酵に加え、蒸留の工程を加えることで高いアルコール度数のお酒を作ることもできます。
これも?あれも?意外な発酵食品ランキング
発酵食品を一覧で紹介してきましたが、実は今回紹介した一覧以外にも世界にはさまざまな発酵食品があります。なかには「今まで何気なく食べていたけど発酵食品だなんて知らなかった」なんてものもあるでしょう。
続いては、思わず驚いてしまう意外な発酵食品ベスト3を紹介します。
意外な発酵食品ランキング第3位:カカオ
チョコレートやココアの原料に使われるカカオ。なかなか実物を見る機会はありませんが、何となくアーモンドのような豆をイメージする人が多いのではないでしょうか。
実は、カカオは白くてやや押しつぶされた楕円形の形をしています。収穫されたカカオは発酵や乾燥を経て私達のイメージする姿形になるのです。
発酵はカカオの香りや味わいを決める大切なプロセスのため、発酵なくして美味しいチョコレートやココアなどは作れません。
意外な発酵食品ランキング第2位:ナタデココ
プニプニコリコリとして不思議な食感が魅力のナタデココ。平成スイーツの代表格とも言われ、大ブームを引き起こしました。
そんなナタデココですが、何からできているのか知っているという人は少ないのではないでしょうか?なかには「ココナッツの実を割った中に入っているプルプルした部分」なんて言う人もいますが、これは大きな間違いです。
実はナタデココは、ココナッツの実のなかにあるココナッツ水にナタ菌という菌を加えて発酵させた発酵食品です。フィリピン発祥の食べ物で、伝統的なかき氷「ハロハロ」の定番トッピングとして親しまれています。
ナタデココは人の手によって発酵させて作られるため、プニプニコリコリしているナタデココは自然界には存在していないのです。
意外な発酵食品ランキング第1位:本かつお節
かつお節と言えば、そのまま食べても出汁をとっても美味しい日本の伝統的な保存食です。そんなかつお節が発酵食品であることはほとんど知られていません。
「かつおの干物を削ったものじゃないの?」という声が聞こえてきそうですよね。
実は、かつお節のなかでも発酵食品に分類されるのは本枯節と呼ばれるかつお節だけです。本枯節とは、かつおの燻製である荒節にカビを付けて発酵させ作ったもので、発酵させることで旨味と香りが引き出されます。
ちなみに、荒節からとったかつお節は「かつおの削り節」、本枯節からとったかつお節は「かつおのかれ節」と表記されるため、発酵食品のかつお節を選びたい場合は原材料ラベルをチェックしてみてください。
発酵食品を効果的に食べる3つのコツ
さまざまな種類の発酵食品がありますが、充分な栄養を効果的に摂り入れるには3つのコツがあります。最後に、発酵食品を食べる時に意識したい、効果的に食べるコツを紹介します。
コツ1.発酵食品同士を組み合わせて食べる
発酵食品は単品で食べるよりも、複数の発酵食品を組み合わせて食べるのがよいと言われています。複数の発酵食品を組み合わせて食べることで、さまざまな栄養を一度に摂ることができるからです。
特に日本料理は、発酵食品をいくつも組み合わせて作る料理が多く、醤油、みりん、酒で味付けをする煮物は、一品で複数の発酵食品を食べることができます。
コツ2.食物繊維を一緒に食べる
発酵食品には豊富な乳酸菌が含まれており、積極的に食べることで腸内環境を整えてくれる効果が期待できます。乳酸菌が腸内環境を整える際に必要となるのが、善玉菌のエサとなる食物繊維です。
発酵食品と一緒に食物繊維をとることで、乳酸菌によって増えた善玉菌が食物繊維をエサにして効率的に増えていきます。この考え方をシンバイオティクスと呼び、腸内環境の改善に大きな効果が期待できると言われています。
コツ3.毎日コツコツ食べ続ける
発酵食品による健康効果は、1食食べて劇的に効果が現れるようなものではありません。最低でも2週間以上は毎日、発酵食品を摂り続けることが望ましいと言われています。
毎日コツコツ発酵食品を意識的に摂ることで、段々と効果を感じられるようになるでしょう。
発酵食品は、必ずしも食事から摂る必要はありません。紅茶や飲むヨーグルトなど、飲料などから摂取することも意識し、毎日摂れるよう心掛けてみてください。
まとめ
さまざまな発酵食品について紹介してきました。なかには「これも発酵食品だったの?」なんて驚いたものもあったのではないでしょうか。
発酵食品を食べることで、私達の体はさまざまな健康効果を得られることが期待されています。ぜひ、今回紹介した発酵食品を毎日コツコツ、他の発酵食品や食物繊維と組み合わせながら効率良く摂ってみてくださいね。