いちごの旬はいつ?2月と言われる理由や夏に美味しい時期を迎えるいちごを紹介
いちごの旬と言えば2~4月にかけての冬から春の時期をイメージする人が多いのではないでしょうか。しかし、本来、いちごの旬は冬ではありません。
この記事では、いちごの旬について徹底解説します。本来のいちごの旬の時期やスーパーに流通する時期、美味しいいちごの選び方、夏に美味しい時期を迎えるいちごなどについても紹介します。
この記事でわかること
- いちごの本来の旬は春から初夏にかけて
- ビニールハウスや品種改良によって冬に流通するようになった
- クリスマス商戦に備えていちごは12月初旬から流通する
いちごの旬はいつ?
甘酸っぱく爽やかな香りが魅力のいちご。ショートケーキやいちごタルトなど、スイーツに欠かせないフルーツとしても人気があります。
そんないちごですが、旬の時期がいつなのかご存知でしょうか。
いちごの旬と聞くと、2月頃など冬の時期を思い浮かべる人も多いです。しかし、実は本来のイチゴの旬は春から初夏にかけての時期と言われています。
4~6月頃にかけての時期が、本来のいちごの旬の時期です。いちごは冬の時期は休眠しながら過ごし、春の訪れと共に開花、初夏に実を付ける果物なのです。
いちごの旬は2月じゃないの?
いちごの本来の旬の時期を知ると「いちご狩りが2月から始まるのに、どうして2月が旬じゃないの?」と思う方も多いでしょう。
現在、いちごの旬が2月だと思っている人が多いのには、日本の農産業の進化が大きく影響しています。
品種改良によって早い時期に開花したり実を付けたりする品種が生まれ、ハウス栽培によって冬でも暖かな春を再現した栽培が可能です。これらの技術により、いちごの旬の時期が早められ、冬に美味しいいちごが食べられるようになりました。
ハウス栽培のいちごでも、2月頃に最も美味しく完熟する品種が多いため、世間ではいちごの旬が2月頃だと勘違いされているのです。
いちごがスーパーに流通する時期
さくらんぼやスイカ、メロン、柿など、旬の時期にしかスーパーに多く流通しないフルーツはたくさんあります。いちごも旬の時期にだけ多く流通するフルーツの1つです。
スーパーにいちごが流通するのは11月終わり頃からと言われています。品種改良によって早い時期に実を付けるようになったいちごやハウス栽培によって12月に実をつけるように栽培されたいちごが店頭に並びます。
冬に流通するいちごは4月頃に再び減り、夏の間は輸入もののいちごが少量流通する程度になることが多いです。
冬にいちごを流通させる理由
農作物を旬以外の時期に流通させるためには、さまざまな設備が必要です、生産にコストがかかるため、流通価格も旬の時期に比べれば割高になってしまうでしょう。
コストをかけてでも、いちごを本来の旬ではない冬に流通させるのには、いくつかの理由があります。
クリスマス商戦に乗るため
クリスマスの定番と言えば、たっぷりのイチゴが乗ったケーキをイメージする人が多いですよね。冬にいちごを流通させる大きな理由の1つにクリスマスケーキに必要ないちごが売れるから、というものがあります。
冬は製菓店からクリスマスケーキを作るに当たっていちごの注文が多く入ったり、クリスマスに自宅でいちごを使ったスイーツなどを作るため買い求める客が多かったりします。生産コストから流通価格が少々割高になったとしても、需要があるためいちごが売れます。
このように、クリスマス商戦に向けて冬にいちごを流通させるのです。
お正月・バレンタインなどでも需要があるため
いちごの需要が高まるのはクリスマスだけではありません。普段よりも少し贅沢をしがちなお正月やバレンタインなどでもいちごの需要が高まります。
大人から子どもまで幅広い年代に好まれるいちごは、お正月の家族の集まりなどでもちょっとした手土産やデザートのフルーツとして振舞われることが多いです。また、可愛らしい見た目からバレンタインスイーツの材料として選ばれることも多いでしょう。
冬の時期は、少々割高でもいちごを買いたいと思う人が多いのです。
美味しいいちごを選ぶ4つのチェックポイント
いちごは、見た目や香りで美味しさや新鮮さを見分けることができます。店頭などでいちごを購入する際は、より美味しいいちごを選べるよう以下のポイントをチェックしてみてください。
ポイント1.ヘタの色
新鮮ないちごのヘタは鮮やかな緑色でハリがあり、上に向かって生えています。いちごを購入する際は、ヘタの色、ハリ、向きをチェックして選びましょう。
反対に、葉の色が黒っぽくくすんでいたり、ハリがなくへたっているものは新鮮さに欠けるため注意してください。
ポイント2.ヘタ周りの色
いちごは赤みが強い部分ほどしっかりと完熟しています。また、完熟は先端から進むため、いちごのなかで一番甘いのは先端部分です。一方、最後に完熟するのがヘタ付近と言われています。
ヘタの周りがしっかりと赤く色付いているものは、全体が完熟して甘みが比較的強い可能性が高いです。甘く美味しいいちごを選びたい時には、ヘタ周りまでしっかり色がついているものを選んでみてください。
ポイント3.種
いちごの表面についているツブツブは痩実(そうか)と呼ばれる部位で、このなかに種が入っています。いちごの実は痩実を通して種へ水分と栄養を送るため、瑞々しく甘い実をつけます。
より瑞々しいものほど、実が盛り上がり痩実が埋もれるようについています。ジューシーないちごを選びたい時には、ツブツブの痩実が実に埋もれているものを選びましょう。
ポイント4.大きさ・形
流通しているいちごを見ていると、ブランドイチゴなどは比較的サイズが大きく実の形も整っているものが多いです。一方、形が歪んでいたり小さかったりするいちごは、比較的安価で販売されているのも見かけますよね。
いちごは、大粒で形が整っているものの方が糖度が高いと言われています。一方、大きくても形が歪になっているものは、均等に糖度が上がりにくく甘い部分と酸っぱい部分が出てしまうものも少なくありません。また、本来の品種の平均的な大きさより小さなものも糖度が上がりにくい傾向にあります。
美味しいいちごを選びたい時には、粒が大きく形の整ったものを選んでみてください。
【品種別】人気ブランドいちごの旬と特徴
ハウス栽培などで冬から流通が始まるいちごですが、品種によって美味しい時期は微妙に違います。続いては、人気のブランド品種の旬とそれぞれの違いについてみていきましょう。
あまおう
ブランドいちごとして有名な「あまおう」。あまおうの苗は福岡県のJAでのみ販売が許可されており、購入できるのも福岡県の生産者のみです。そのため、全国で流通しているあまおうはすべて福岡県産になります。
甘みと酸味のバランスが良く、実はしっかりと歯ごたえがあります。コロンと丸みを帯びた大粒が特徴で、濃厚な味わいからスイーツなどに用いられることも多いいちごです。
あまおうは11月中旬から徐々に流通が始まりますが、1~3月に出荷されるものは特に甘みが強く美味しいと言われています。
ゆうべに
「ゆうべに」は熊本県で品種改良され生まれたいちごです。現在も、熊本県の限定品種とされているため、全国で流通しているゆうべにはすべて熊本県産です。
あまおうに比べるとスラっとした円錐形で、光沢があるのが特徴です。比較的早めに収穫が始まることもあり、クリスマスケーキのデコレーションに用いられることも多い品種です。
12月初旬から収穫が始まり、旬の時期は12月中旬から3月頃まで、旬の時期が過ぎても5月頃まで収穫できます。
ゆめのか
「ゆめのか」は愛知県で生まれた品種で、苗を購入するには愛知県との許諾契約が必要とされています。契約者は県内生産者などに限定されている訳ではないため、愛知県以外の都道府県でもゆめのかの栽培が可能です。
現在の主な生産地は愛知県と長崎県。奈良県や佐賀県などでも生産量が徐々に増加しています。
爽やかな酸味が特徴で、いちごらしいいちごと言えるでしょう。生クリームとの相性がよく、スイーツに使われることも多いです。練乳にもよく合うため、酸味が気になる子どもに食べさせる際は、牛乳、練乳、チョコソースなどをかけてあげると喜ばれます。
収穫が始まるのは12月頃からですが、一番美味しい旬の時期は1月中旬から3月初旬にかけてです。
紅ほっぺ
「紅ほっぺ」は、静岡県で品種改良されて生まれたいちごです。比較的長めの円錐形をしており、他の品種に比べると赤色が濃いのも特徴のひとつと言えるでしょう。
比較的酸味が強いですが、甘みとのバランスが保たれているため、大人に好まれる味わいのいちごです。
収穫の開始時期が1月頃からと、他の品種に比べるとやや遅めです。3月頃に旬を迎え5月中旬頃まで収穫できます。
とちおとめ
いちごの栽培が盛んになるなかで、「いちごの女王」と呼ばれたのが東日本を代表する品種・女峰(にょほう)でした。そんな女峰を品種改良して生まれたのが栃木県が誇るブランドいちご品種「とちおとめ」です。
とちおとめは全国で栽培されていますが、全国ナンバー1のシェアを誇るのが原産地である栃木県です。その他、茨城県、千葉県、愛知県などでも生産されています。
強い香りが特徴で、そのまま食べるのに向いているいちごと言えます。甘みも強く、爽やかな酸味が感じられ贈答用としても人気です。
収穫期が11月から6月と長く、そのなかでも最も美味しいとちおとめが収穫される旬の時期は2~4月と言われています。
夏に旬を迎えるいちごがあるって本当?
ここまで、いちごの旬は栽培の方法や品種によって冬のものもあれば、自然下で栽培したものは春から初夏にかけて旬を迎えるものもあることを紹介してきました。
しかし、全国には夏場に旬を迎えるいちごもあります。
それが東北や北海道などの寒冷地で栽培されているいちごです。
比較的気温が低い東北地方や北海道では、イチゴの旬は6~7月頃とされています。本州の多くの地域ではいちご狩りと言えば2~4月頃の定番レジャーですが、北海道では6~7月がいちご狩りのピークです。
さらに近年、北海道で低温な気候を活用して、夏に花を付けさせて秋に収穫する「四季成り性苺」の栽培に取り組む農家も増えつつあります。北海道は、他の都道府県に比べると1年中美味しいいちごが食べられる地域と言えるでしょう。
夏に旬を迎える北海道の人気品種やブランドいちご
最後に、北海道で積極的に栽培されている人気品種やブランドいちごを紹介します。北海道に行った際には、ぜひここで紹介するご当地苺を味わってみてはいかがでしょうか。
なつみずき
なつみずきは北海道の気候を活用して栽培される四季成り性いちごの一種です。そのため、夏に収穫されることと、高い糖度と芳醇な香りを持つことが特徴的と言われています。旬のなつみずきは、メロンにも匹敵する糖度を持つといわれ人気があります。
なつみずきは比較的、大粒でコロンとした丸みを帯びた円錐状のいちごです。病気にも強いものの、育つ環境が限定的なため、それほど多く栽培されている品種ではありません。北海道でも、主に道東地域の限られた地域で生産されています。
豊浦いちご
北海道の道央エリアに位置する虻田郡豊浦町は道内随一のいちご生産が盛んな町です。いちご生産の長い歴史を持ち、さまざまな品種の苺が栽培されています。
美味しいいちごの生産に特化した豊浦町では、町内で作ったさまざまな品種のいちごを「豊浦いちご」としてブランド化し、高い人気を集めています。
豊浦いちごに用いられる品種は「けんたろう」「ゆきララ」「とちおとめ」など。それぞれの品種の美味しさを最大限に引き出したいちごが味わえます。
はこだて恋いちご
はこだて恋いちごは、函館市の生産者が販売しているブランド苺の一種です。はこだて恋いちごの品種は公表されていませんが、夏に収穫ができる四季なり性品種を用いており、1年中収穫ができます。
日照時間が長く、気温が低いながらも降雪量が少ない函館エリアの気候では、通常の2倍サイズの大粒いちごが栽培できます。今、北海道で特に人気を集めているブランドいちごです。
まとめ
今回は、いちごの旬について紹介してきました。冬が旬だと思っていた人は、本来いちごの旬が春から初夏にかけてだという事実に驚いたのではないでしょうか。
いちごは初夏を代表するフルーツの一種で、私達が冬に美味しい苺を食べられるのは科学や農作技術の進歩による恩恵だという事がわかりましたよね。
一方で、気候の涼しい北海道では夏でも美味しい苺を収穫することができます。夏の北海道観光を計画する際には、ぜひ本州ではできない夏のいちご狩りを体験してみてはいかがでしょうか。