パンケーキとホットケーキは何が違う?意外と知らない語源や歴史も解説
パンケーキとホットケーキの違いについてご存知でしょうか。基本的にはどちらも同じものという認識で問題ありませんが、それぞれルーツが異なり、日本ではパンケーキとホットケーキを別のものとして使い分けられることもあります。
こちらの記事では、パンケーキとホットケーキの違いや日本での使い分け、国によるパンケーキの違いについて紹介します。
この記事でわかること
- パンケーキとホットケーキに厳密な違いはない
- ホットケーキは日本で生まれた呼び方
- 日本でパンケーキといえば流行スイーツという認識
- アメリカのパンケーキは甘くないのが主流
- イギリスのパンケーキは薄焼き
パンケーキとホットケーキの違い
パンケーキとホットケーキに明確な違いはありません。どちらも小麦粉や卵、牛乳などを主な材料とし、フライパンや鉄板などで焼いて作るお菓子です。ただし、ホットケーキという呼び方は日本で生まれたものであり、パンケーキとホットケーキはルーツがやや異なります。以下では、パンケーキとホットケーキについて深掘りして紹介します。
パンケーキとは
パンケーキとは、フライパンなど平たい鍋で焼いて作るケーキ全般のことです。パンケーキの「パン」は、フライパンの「パン」を指しています。パン(平たい鍋)で焼いたケーキのことなので、大義ではクレープ生地もパンケーキの一種です。
パンケーキの歴史は古く、起源は定かではありませんが、古代エジプト時代にはすでにパンケーキが作られていたと考えられており、さらに古代ギリシアが発祥とされています。また、古代ギリシア時代・古代ローマ時代には、はちみつで甘みをつけたパンケーキが食べられていたと言われています。
パンケーキの材料は、主に小麦粉や牛乳、卵、砂糖、ベーキングパウダーが基本です。日本では一般的に甘い系のお菓子として食べられますが、世界的には甘さを控えて塩を加え、基本的には食事系のパンケーキとして食べられています。
ホットケーキとは
ホットケーキとは、日本独自の呼び方です。明治時代、海外で食べられていたパンケーキが日本に伝わったのが始まりとされます。当時、日本では「薄餅」という名前で紹介され、大正12年ごろに東京のデパートで「ハットケーキ」という名称で登場しました。その後、昭和6年にホーム食品がホットケーキの素を発売し、昭和初期ごろに「ホットケーキ」という呼び方が定着したようです。
現在の日本では、「ホットケーキミックス」が販売されており、人気のお菓子のひとつです。ホットケーキには砂糖が含まれており、甘みがあるので「ホットケーキは甘いスイーツ」と思われやすいです。しかし、アメリカのパンケーキは生地がそれほど甘くなく、食事系として食べられることがあり、世界的に見ると「ホットケーキは甘いもの」というわけではありません。
日本におけるパンケーキとホットケーキの使い分け
日本では「ホットケーキ」として売られたり「パンケーキ」として売られたりします。明確な違いはありませんが、日本では「パンケーキは流行スイーツ」「ホットケーキは日本の古きよきスイーツ」として使い分けられている傾向にあるようです。。以下では、パンケーキとホットケーキの使い分けについて深掘りして解説します。
パンケーキは近年の流行スイーツ
日本において「パンケーキ」は、近年の流行スイーツという意味合いが強いようです。ニューヨークやハワイなどでは、近年パンケーキがトレンドとなり、日本でも東京からパンケーキブームが広がりました。現在は東京だけでなく全国的にパンケーキ専門店が増え、なかには行列ができて数時間待ちとなるパンケーキ専門店もあります。
また、近年トレンドとなっているパンケーキは、ホットケーキと比べて薄く焼かれていることが特徴で、生地自体の甘さも控えめです。ホットケーキのようにメープルシロップやはちみつをかけるだけでなく、生クリームやフルーツをトッピングして食べられることも多いです。
ホットケーキは昔からあるスイーツ
日本において「ホットケーキ」は、昔からあるスイーツという捉え方が一般的なようです。やや分厚めで二段重ね、トッピングは主にバターとはちみつというイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。喫茶店でホットケーキを提供しているところも多く、ホットケーキは古きよき日本のスイーツとして知られています。また、近年はレトロブームもあって、喫茶店のホットケーキやメロンソーダなど、古くから親しまれている喫茶店メニューが注目を集めています。
ホットケーキをふわふわにするコツ
ホットケーキを家庭で食べる際、「ふわふわなホットケーキを作りたい」と考えている人も多いでしょう。ホットケーキをふわふわにするコツは、生地を混ぜすぎないことです。ホットケーキミックスと卵、牛乳を混ぜるときは少しダマが残る程度にすると、焼いた時に生地が膨らみやすくなります。
スフレとパンケーキの違いは?
パンケーキに似たスイーツに「スフレ」があります。スフレとパンケーキは材料や焼き方が違います。スフレはメレンゲにあらゆる材料を加えて焼いたお菓子・料理のことです。スフレの材料にはメレンゲ(卵白)を使用し、生地をオーブンで焼き上げて膨らませて作るのが一般的です。それに対して、パンケーキを作る際はメレンゲやオーブンを使用しないため、作り方が大きく異なります。なお、近年ではパンケーキの生地にメレンゲを入れてふわふわにした「スフレパンケーキ」も食べられています。
また、スフレはフランス語で「膨らんだ」という意味があり、フランスでは17世紀にお菓子職人が卵白と砂糖を混ぜて焼いたことが始まりです。
【豆知識】国によって異なる?世界のパンケーキの特徴
ホットケーキとパンケーキは基本的に同じもので、ホットケーキという呼び方は日本で生まれたものです。そのため、世界的に言えば「ホットケーキ」という食べ物はなく、「パンケーキ」という呼び方が一般的です。しかし、パンケーキは世界中どこも同じというわけではなく、国によって食べられ方、作り方にやや違いがあります。ここからは、国別にパンケーキの特徴を紹介します。
1.アメリカ
アメリカの典型的なパンケーキと言えば小麦粉や卵、牛乳、ベーキングパウダーを材料として作られます。生地にブルーベリーやいちご、チョコチップなどを混ぜることもあります。盛り付けの際、パンケーキを数枚重ねるのが特徴です。また、アメリカではベーコンやソーセージ、目玉焼きと一緒に朝食としてパンケーキを食べることが多いです。甘いスイーツとして食べる場合はメープルシロップやホイップクリーム、ジャムなどをトッピングします。
2.イギリス
イギリスのパンケーキは、クレープのように薄いことが特徴です。ベーキングパウダーを使用しないことが多く、主に小麦粉と卵、牛乳を材料にして作ります。盛り付けの際、パンケーキを巻いたり折り畳んだりして、粉砂糖やレモン汁をかけて食べるのが伝統的な食べ方です。
またイギリスでは、パンケーキはイースター(復活祭)の食べ物とされています。かつて、キリスト教徒はイースターの前に罪を悔い改め、40日間の断食を行うことが慣例でした。断食している期間は卵やバターなどの食品を摂取することができず、家にある食材を残さないよう、断食の前日にパンケーキを作る習慣が生まれたとされます。現在でも、イースター前にパンケーキを食べる伝統は維持されており、「パンケーキデー」とも呼ばれます。
3.オランダ
オランダのパンケーキは「パンネクック」とも呼ばれ、直径約30cmの大きな見た目が特徴です。主な材料は小麦粉や卵、牛乳、塩などで、ベーコンやチーズなどをトッピングして食べるのが一般的です。そのほか、ほうれん草やスモークサーモンなどを添えてアレンジしたり、りんごやバナナ、チョコレートなどをトッピングして甘い系にしたりして食べることもあります。
4.韓国
韓国では一般的なパンケーキも食べられますが、パンケーキに似た伝統的なお菓子「ホットク」も有名です。ホットクはもち米や小麦粉を主な材料とし、生地の中に黒砂糖やシナモンで作った餡を入れて焼いたお菓子です。韓国屋台では定番で、モチモチして香ばしく平たい見た目をしています。
まとめ
ホットケーキは日本で生まれた呼び方なので、世界的にはパンケーキという呼び方が一般的です。パンケーキとホットケーキに違いはありませんが、日本においてパンケーキは近年の流行スイーツ、ホットケーキは古きよきスイーツという使い分けをされる傾向にあります。