干し貝柱のアレンジレシピや戻し方を紹介!そのまま食べることもできる絶品乾物
中国で古くから高級食材として重宝されていた干貝柱。濃厚で香り高い出汁が取れ、料理を1段階も2段階もグレードアップしてくれます。そんな干貝柱ですが、身近な食材ではないためいざ手に入れると「どう使う?」「何に使うのがいい?」と悩んでしまう人もいるでしょう。
この記事では、干貝柱の使い方(戻し方)や保存方法、おすすめのレシピなどを紹介しています。干貝柱を美味しく食べたい人は、ぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること
- 干貝柱はそのまま食べることも多いが、水で戻して料理に使うこともできる
- 出汁を使うときは時間をかけて戻し、煮物や焼き物にする場合には時間をかけずに戻す
- 生のホタテ貝貝柱よりも栄養が豊富
干貝柱とは
干貝柱とは、貝が持つ閉殻筋(へいかくきん)という筋肉部分、いわゆる「貝柱」を干したものです。
貝柱は、貝が殻を閉じるために必要な筋肉です。そのため、強い弾力を持っています。干貝柱は、貝の濃厚な出汁をとれるだけでなく、貝柱自体も美味しく食べれる人気の食材です。
ホタテ貝の貝柱を使っているものが一般的
貝柱は二枚貝が持っている器官で、ほとんどの貝にあります。そのなかでも、干貝柱に使われるのはホタテ貝の貝柱が一般的です。
しっかりと育ったホタテ貝の貝柱は、大きさ、味ともに一級品です。
他の貝を使っている場合もある
一般的にホタテ貝を用いる干貝柱は高級食材として扱われています。しかし、まれにイタヤ貝やバカ貝などを用いた干貝柱が販売されていることもあります。
これらの干貝柱はホタテ貝に比べると小振りなものが多く、安価で流通していることが多いです。とれる出汁や味わいもホタテ貝の貝柱には劣るものが多いでしょう。
海外でも人気の国産干貝柱
国産ホタテ貝は北海道と青森県がほとんどの生産量を占めており、国内最大産地は北海道です。
北の栄養豊富な海で育った国産ホタテ貝は、身の大きさが特徴的です。荒波に揉まれながら育つため、貝柱も引き締まっており、干貝柱に加工しても歯ごたえの良さが感じられます。
上質な国産干貝柱は世界的にも高い評価を得ており、国内品の80%が海外マーケットで売買されているとも言われています。
【お酒のおつまみにも】干貝柱はそのまま食べることもできる
料理に使われることが多い干貝柱ですが、乾物としてそのまま食べることもできます。やや固さはありますが、噛めば噛むほどホタテ貝の旨味が滲み出るおつまみとして人気です。
強めの塩味が日本酒や焼酎ともよく合いますが、おすすめは白ワインやスパークリングワインです。ワインの芳醇な香りとホタテ貝の旨味は相性抜群。ワインバーなどでも通向けのおつまみとして提供されていることがあるそうです。
干貝柱の戻し方
干貝柱は料理などに用いる際に、水で戻してから使うのが一般的です。戻している最中には、旨味の強い出汁が出るため、戻し汁も余すことなく料理に使えます。
しかし、やみくもに水に浸ければいいという訳ではありません。
出汁をメインに使うならじっくりと時間をかけて戻す必要がありますし、身に旨味を残して加熱調理するならサッと簡単に戻すとより美味しく味わえます。
続いては、調理方法によって変わる干貝柱の戻し方についてみていきましょう。
戻し汁を出汁として使う場合
スープなど、干貝柱の出汁をメインに使いたい場合には、じっくりと時間をかけて旨味を引き出す戻し方がおすすめです。
じっくり時間をかけて戻す時には、密閉容器などに干貝柱を入れ、完全に浸る量の水をいれます。そのまま冷蔵庫で24時間おくと、じっくりと滲み出た香り高く旨味の強い出汁がとれます。
加熱調理して使う場合
煮物や炒め物など、加熱料理して使う場合には、干貝柱のなかに旨味を残してサッと戻す方法がおすすめです。
干貝柱を短時間で戻す場合は、下準備として軽く身をほぐしておくことを忘れないようにしましょう。ほぐしたものを約40度のぬるま湯に浸けてラップをかけ、電子レンジで2-3分加熱すると簡単に戻すことができます。
干貝柱の保存方法
干貝柱は充分に乾いていれば長期保存が可能です。しかし、誤った方法で保存すると、味や風味が落ちたりカビが生えたりして食べられなくなってしまうこともあります。
基本の保存方法
干貝柱は、直射日光や高温多湿を避けて常温で保存しましょう。基本的な乾物の保存方法と同じです。
湿度が高かったり、温度変化が激しい場所で保存してしまうと、カビの発生や品質の劣化が起こる原因となります。
干貝柱をさまざまな料理に用いる中国では、長く保存したものほど価値が高いと言われており、適切な環境なら5~10年間保存することもできると言われているそうです。とはいえ、一般家庭で適切な環境を365日維持するのは大変難しいため、商品の消費期限を目安に保存してください。
ちなみに、干貝柱の最適な保管環境は温度5~15℃、湿度60%と言われています。
戻した干貝柱の保存方法
干貝柱を戻したものが余ってしまった場合には、身の水分をキッチンペーパーなどで拭いてからラップで包み、フリージングパックに入れて冷凍保存しましょう。
出汁も製氷皿などに流し込んで冷凍してしまえば、保存が可能です。
【これって食べられるの?】保存中によくある干貝柱の変化
適切な方法で保存していたにも関わらず、干貝柱の見た目が変わってしまうのはよくあることです。
傷んでしまったと勘違いし、慌てて処分してしまうと勿体ないでしょう。以下の変化であれば、問題なく食べることができます。
白い粉をふいている
保存していると、干貝柱の表面に白い粉が出ている状態になることがあります。これは、旨味成分の一種であるアミノ酸が粉化して付着したものです。干貝柱が劣化した訳ではないので、問題なく食べることができます。
食べる際には、白い粉を洗い流したり拭いたりしないよう注意してください。この白い粉が干貝柱の旨味成分なので、そのまま使った方が美味しく味わえます。
茶色くなっている
元々、薄茶色をしている干貝柱ですが、保存中に色が濃くなってしまう場合があります。これはアミノカルボニル現象と言い、糖とアミノ酸が反応して起こる現象です。貝柱には豊富なアミノ酸が含まれているため、アミノカルボニル現象が起こりやすくどんどん濃い茶色になっていくことがあります。
味にも品質にも問題がないため、通常通りの方法で美味しく食べられます。
赤い干貝柱があるって本当?
干貝柱のなかには、赤色やオレンジ色をした「赤玉」と呼ばれるものがあります。これは、ホタテ貝のなかでも大変貴重とされており、1,000個に1~2個程度の割合でしか見つからないと言われています。
ホタテ貝が成長するなかで自然発生するものと言われており、栄養成分は一般的なホタテ貝と大きな違いはありません。しかし、この赤色を作るペクテノロンという成分には生活習慣病の予防、老化の防止、がん細胞の増殖抑制などの効果が期待できるそうです。
産地である北海道でも、なかなかお目にかかれないもので、大抵の場合は生食されてしまうようです。しかし、稀に干貝柱の中に赤玉のものが混入することもあるそうなので、赤色の干貝柱が入っていたらラッキーだと覚えておくとよいでしょう。
干貝柱の栄養
ホタテ貝はタウリンが豊富な海産物として知られています。もちろん干貝柱も同じく、タウリンを始めとする豊富な栄養を持っている食品です。
さらに、乾物にすることで栄養も凝縮されると言われています。まずは、生のほたて貝柱と干貝柱の栄養を比較してみましょう。
100gあたりの栄養成分 | ||
---|---|---|
生貝柱 | 干貝柱 | |
タンパク質 | 16.9g | 65.7g |
ナトリウム | 120mg | 2,500mg |
カリウム | 380mg | 810mg |
カルシウム | 7mg | 34mg |
リシン | 1,100mg | 4,500mg |
アルギニン | 930mg | 5,300mg |
リン | 230mg | 610mg |
鉄 | 0.2mg | 1.2mg |
亜鉛 | 1.5mg | 6.1mg |
ビタミンB12 | 1.7mg | 5.2mg |
葉酸 | 61㎍ | 22㎍ |
グルタミン酸 | 2,200mg | 5,700mg |
参照:食品成分データベース
ほとんどの栄養素において、生貝柱よりも干貝柱に多く含まれていることが分かります。乾物にすることでナトリウム量が増えてしまう点が気になりますが、干貝柱1個あたりの重さは2.4g~16gです。1粒あたりのナトリウム量は60mg~400mgとなるため、食べ過ぎに注意すれば大きな問題はないでしょう。塩分の排出を助けるカリウムも豊富に含まれています。
【和洋中すべてで使える】干貝柱のおすすめレシピ
中華料理でよく用いられる干貝柱ですが、その濃厚な旨味は和洋中どんな料理でも活用できます。最後に干貝柱を使ったレシピを紹介します。
【洋食】まろやかな旨味が決め手のホワイトシチュー
まろやかで優しい旨味が出る干貝柱はホワイトシチューにもぴったりです。
材料
- 干貝柱
- ホワイトソース
- バター
- 塩
- こしょう
- 野菜(にんじん、じゃがいも、ブロッコリーなど)
作り方
- 野菜を一口大に切って柔らかくなるまでバターで炒めます。
- 干貝柱を加えてサッと炒め、ホワイトソースをくわえます。
- 塩、こしょうで味を整え、5~10分程度煮込めば完成です。
ホワイトソースは市販のものを使うと手軽に作ることができますが、自家製でもOKです。ホワイトソースが固い場合には、干貝柱の戻し汁を加えるとさらに風味も増して口当たりもよくなります。
【中華】シンプルかつ王道の中華粥
干貝柱を使った王道メニューのひとつ中華粥。お粥の概念を覆す絶品中華粥は、干貝柱が手に入ったなら絶対に食べておきたい一品です。
材料
- 干貝柱
- 米
- 鶏ガラスープ
- 生姜
- 薄口醤油
- 水
- ごま油
作り方
- 洗ったお米に、お米:水=1:7の割合になるよう干貝柱の戻し汁と水を加えて鍋に入れます。
- スライスした生姜と干貝柱の身をくわえて鶏ガラスープを加えます。
- 沸騰するまで強火で加熱し、沸騰後は弱火で約30分加熱します。
- 生姜を取り出し、薄口醤油で味を整えて青ネギを散らします。
- ごま油を一回かければ完成です。
青ネギの他にも、ごま、のり、大葉などの薬味をかけても美味しくいただけます。お好みでうずらの卵を入れるのもおすすめです。
【和食】芳醇な出汁が絶品のおひたし
干貝柱の出汁を使って浸しを作れば、口いっぱいに広がる香りが上品な逸品になります。
材料
- 干貝柱の出汁
- 醤油
- みりん
- 塩
- お好みの野菜
作り方
- 干貝柱の出汁に醤油・みりんを少々入れて加熱し、塩で味を整えます。
- お好みの野菜を茹でて下ごしらえし、しっかりと水気を切ります。
- 出汁に野菜を入れ、味が浸みれば完成です。
お好みの野菜には小松菜、ほうれん草、豆苗、白菜、茄子などの定番の野菜のほか、タケノコやプチトマトなどもおすすめです。戻した干貝柱の身も裂いて入れると食感がよくなります。
まとめ
旨味を凝縮した絶品乾物、干貝柱について紹介してきました。ホタテ貝を使った干貝柱は、そのまま食べても良し、料理に使っても良し、出汁を使っても良しと、三拍子揃った便利な食材です。
上手に使えば「腕が上がった?」と思えるような料理ができあがるので、ぜひここで紹介した方法を参考に活用してみてください。