ニシンが美味しい旬な時期っていつ?特徴や産地についてご紹介
にしん蕎麦や甘露煮などでお馴染みの「ニシン」。春の季語にもなっている有名な魚で、魚肉以外にも魚卵や白子も絶品と言われています。
とは言え、生のニシンは一部の地域を除いてあまり多く流通していないため「どんな魚なの?」という人も少なくないでしょう。
この記事では、ニシンがどんな魚なのか特徴や水揚げされる地域、旬、ニシンを使った料理などを紹介します。ニシンの生態や一番美味しい旬の時期を知り、絶品のニシン料理を味わってみてはいかがですか。
この記事のまとめ
- 国産ニシンの99.5%は北海道で水揚げされている
- ニシンの旬は冬と秋の2回
- 太平洋ニシンは魚卵(数の子)や白子が美味しく、大西洋ニシンは魚肉が美味しい
ニシンとは
ニシンはニシン目ニシン科ニシン属の魚で、水温の低い海を回遊している魚です。別名「春告魚(はるつげうお)」と呼ばれ、俳句などで春の季語としても登場します。
頭が鰯に似ているため、東北の一部地域では「かどいわし」「かど」等の呼ばれ方をすることも。
ここから更に、ニシンの生態を紹介していきます。
太平洋ニシンと大西洋ニシンの違い
あまり知られていませんが、国産のニシンには「太平洋ニシン」と「大西洋ニシン」の2種類がいます。ニシンは住んでいる海域によって回遊する範囲なども異なる魚です。
そのため、太平洋側のニシンと大西洋側のニシンは、種類は同じでも生態が違うものとして分別されています。
ニシンの産卵で起こる「群来(くき)」
北海道沿岸で起こる自然現象「群来(くき)」。北海道では群来の時期に「群来祭り」というお祭りを開く地域もあります。
群来(くき)とは、ニシンの産卵によって起こる現象のことです。雌のニシンが産み付けた卵に、雄のニシンが精子を放って繁殖を行います。ニシンは大群で回遊を行うため、雄が一気に精子を放つことで海面の一部が白く濁ってしまうんだとか。この白く濁った海の様子を群来と言います。
群来は2~3月頃に起こり、年に数回見られると言います。しかし、海が濁る程多くのニシンが集まらないと見られない現象なので、必ず毎年見られる訳ではないそうです。北海道の小樽では2019年に30年ぶりの群来が観測されています。
ニシンの名産地や水揚げされる量とは
ニシンの生態について紹介してきましたが、水温の低い海を好む魚は関西や九州などでは馴染みが薄いもの。一体ニシンは、どの地域で水揚げされているのでしょうか。
続いては、ニシンの水揚げについて解説していきます。
ニシンが水揚げされる地域
明治時代や大正時代は富山・秋田・青森などで水揚げされていたニシンですが、現在は殆ど北海道でしか漁獲されなくなりました。ハッキリとした理由は分かっていませんが、温暖化による水温の上昇も原因のひとつと考えられるでしょう。
現在、国内産のニシンはその殆どが北海道産です。
ニシンの漁獲量
ニシンの漁獲量は、明治末期から大正にかけてが全盛期でした。一時は100万t近く水揚げされ、ニシン漁で得た富で「ニシン御殿」なるものが建てられた程です。
しかし、乱獲により漁獲量は年々減少。漁獲の規制や稚魚の放流など激減したニシンを復活させる取り組みも行っています。
令和元年の水揚げ量は全国で14,862t(うち北海道は14,842t)。資源保護活動の結果、一時は激減したニシンの水揚げ漁は年々徐々に増加傾向にあります。
ニシンの流通時期
ニシンの漁獲シーズンは2~3月です。しかし、ニシンは鮮度が落ちやすいため、さまざまな方法で加工して出荷されることも多い魚。加工品は年中流通しています。
お刺身など、生のニシンを味わいたい方は2~3月に流通しているニシンを探してみて下さいね。
ニシンの旬
続いては、ニシンが最も美味しくなる旬の時期について紹介します。
水揚げ地によって変わるニシンの旬
ニシンの旬は2~3月頃。産卵期を控えたニシンが北海道沿岸に集まった所を漁獲します。産卵を控えたニシンは魚卵や白子を蓄えている他、産卵に備えて身付きも良く栄養も豊富です。
旬のニシンは、身にほんのりとした甘みを感じ上品な味わいが人気。ぷりぷりした魚卵や白子など、余すところなく味わうことができます。
秋に旬を迎えるニシンもいる
先ほど、ニシンの旬は2~3月と紹介しました。しかし、回遊グループによっては秋に旬を迎えるにしんもいます。
秋のニシンは、身付きがよくしっかりと魚の味を感じられることで大変人気です。お刺身や塩焼きなど、にしん本来の味を楽しみたい方は、秋のニシンを選ぶのがおすすめですよ。
ニシンの卵「かずのこ」
お正月の縁起物として有名な「かずのこ」。実はニシンの卵だと知っていましたか?
数の子はニシンの卵巣で、世界中でもかずのこを食用にしている国は少ないんだとか。
特に太平洋ニシンのかずのこは、食べた時の歯ごたえや食感が良いと人気です。ちなみに、数の子と同じく縁起物として有名な「子持ち昆布」は、ニシンが昆布に産卵したもの。つまりかずのこ付きの昆布ということですね。
ニシンの食べ方
同じ種類でも漁獲地で味わいが変わったり、かずのこや白子も楽しめたりと、バリエーションが豊富なニシン。
そんなニシンをさらに美味しく味わいたいという人には、ニシン料理がおすすめです。ニシンはさまざまな料理に使われている魚なので、お料理によって色々な味を楽しめますよ。
子持ちニシンは塩焼きがおすすめ
産卵前で栄養も脂も豊富に蓄えた生のニシンは、塩焼きがおすすめです。皮はパリっと、身はジューシー、雌ならホロホロの魚卵も味わうことができます。
旬の生ニシンを手に入れたら、まずは塩焼きで召し上がってみて下さい。
かば焼き
さっぱりとした味わいのニシンは、甘辛いタレでかば焼きにするのもおすすめです。かば焼きにしたニシンは冷めても美味しく頂けますよ。
甘露煮
甘露煮はニシンの定番レシピのひとつ。ニシンの身を干した身欠を使い、醤油ベースの甘辛い汁でこってり煮込んだ甘露煮は、おかずにもおつまみにも最適です。
マリネ(酢漬け)
身に甘みのある生のニシンを手に入れたら、マリネにするのがおすすめです。甘くとろけるようなニシンの刺身は、さっぱりしたビネガーと相性抜群。ニシンのマリネにぴったりのお酒は白ワインです。
昆布巻き
北海道、東北、北陸の郷土料理であるニシンの昆布巻き。京都では「鰊昆布(ニシンこんぶ)」山形では「昆布巻き鰊(こぶまきニシン)」と呼ぶこともあるそう。子孫繁栄を意味する節句料理としても人気なので、お節料理の定番メニューです。
丸干し
鮮度の落ちやすいニシンは丸干しにして全国に流通することが多く、旬の時期に関係なく手に入る加工品です。ニシンの旨味をギュッと凝縮した丸干しは、生ニシンの焼き物とは違った旨味があります。
糠ニシン
糠ニシンは郷土料理のひとつ。水揚げされたニシンを、長く保存するために生産地である北海道で考えられた加工料理です。 ニシンを糠漬けにした糠ニシンは、独特な風味を持ち焼き魚として食べるほか、汁物に入れるのもおすすめ。糠ニシンと根菜を煮込んだ汁物「三平汁」は北海道で古くから愛される郷土料理です。
ニシン蕎麦
身欠ニシンの甘露煮を蕎麦にトッピングしたニシン蕎麦は、北海道と京都で有名な料理。京都では、冷やしニシン蕎麦などオリジナリティのあるメニューも展開されているそうです。 甘みのあるニシンの甘露煮と、蕎麦は相性抜群。北海道や京都を訪れた際は、本場の味をぜひ体験してみて下さい。
まとめ
北海道の特産品であるニシンについて紹介してきました。
回遊魚であるニシンは、回遊する水域によって異なる味わいを楽しめる他、かずのこや白子など余すことなく食されてきた魚です。 最盛期に比べると漁獲量が減少し、北海道で水揚げされる国内産ニシンは高級品となってしまいましたが、ぜひ機会があれば本場の一番美味しい旬にしんを召し上がってみて下さい。