今さら聞けない「ヤンニョム」の意味とは?味わいや辛さは?韓国料理のテッパン調味料を解説
ヤンニョムチキンを知っている方は多いかと思いますが、「ヤンニョム」の意味はご存知でしょうか。ヤンニョムは韓国で使われる合わせ調味料のひとつで、料理の味付けやタレとして使われています。
ヤンニョムの材料は日本でも手に入れやすく、配分に規定がないので、家庭でも簡単に自家製ヤンニョムを作ることが可能です。
こちらの記事では、ヤンニョムの意味や由来、辛さ、ヤンニョム料理について解説します。
この記事でわかること
- ヤンニョムは韓国料理に欠かせない合わせ調味料
- 材料や配分に規定がないので、お店や家庭ごとに辛さと味が異なる
- カンジャンやテンジャン(韓国の醤油や味噌)も材料のひとつ
- ヤンニョムは材料を集めて混ぜるだけで簡単に作れる
- キムチもヤンニョムで作られている
ヤンニョムとは?韓国で「合わせ調味料」の意味
ヤンニョムとは、韓国料理に使う合わせ調味料のことです。醤油や砂糖、にんにく、鷹の爪などを用いて作られますが、使用する調味料や配分に規定はないので、お店や家庭によってヤンニョムの味や辛さが異なるのが特徴です。一般的には、赤くどろっとした見た目をしています。ソースやタレとして使用するほか、料理の味付けに使用されることもあり、韓国料理にはヤンニョムが欠かせません。
韓国では合わせ調味料のことをすべてヤンニョムと言うため、焼肉屋で提供される味付け肉のタレも、家庭で作った煮付けの煮汁もヤンニョムと言います。
ヤンニョムという名前は、韓国語の「ヤンニョムハダ(味付けする)」から名付けられたとされています。また、ヤンニョムは漢字で「薬念」と書き、ヤンニョムにも使われている調味料「塩」が、昔は薬と同じくらい希少だったため薬念という字になったそうです。「ヤンニン」とよばれることもあり、お店やメーカーによって名称が異なることもあります。
ヤンニョムの由来は?「五味五色」の考え方が反映されている
ヤンニョムは、五つの味・五つの色を組み合わせた「五味五色」という考え方が由来です。韓国では、万物を陰と陽でとらえる「陰陽論」と、「木・火・土・金・水」を万物のもとになると考える「五行説」を組み合わせた、「陰陽五行説」の思想が古くから根付いています。
陰陽五行説では、「辛・甘・酸・塩辛・苦」の五味と「青・赤・白・黒・黄」の五色を組み合わせた「五味五色」が重要視されています。五味五色を取り入れた食事は、栄養バランスが整っており、健康にいいと考えられてきました。
ヤンニョムは複数の調味料や香辛料を混ぜて作られており、この「五味五色」の考え方が反映されている合わせ調味料です。
ヤンニョムの味とは?甘辛いものが多い
ヤンニョムの味は、使用する調味料や配分により異なりますが、基本的に甘辛いものが多いです。赤唐辛子やコチュジャンなどの辛味成分のほか、香味野菜やごま油の香り、果物の甘みなどが混ざり合い、甘辛く奥深い味わいとなっています。
また、調味料の配分を調整することで、塩味が強いものやコクが強いもの、酸味が強いものなどさまざまな味わいを楽しめます。
ヤンニョムは辛い?使う調味料により異なる
ヤンニョムは唐辛子やコチュジャンを使用するため、辛味のある合わせ調味料です。しかし、一概に辛いと言い切ることはできません。ヤンニョムの辛さは調味料の配分などにより異なるため、同じ料理でもお店や家庭で辛さが異なります。たとえば、ヤンニョムにハバネロを加えると、辛さを強くすることができます。
ヤンニョムの辛さは異なるため、食べ比べて好みのお店、配分を見つけることが大切です。市販されているヤンニョムも甘口・辛口・激辛など数段階に分けられており、好みの辛さを選ぶことができます。
ヤンニョムに使われる調味料
ヤンニョムにはさまざまな調味料が使われています。
ヤンニョムに使われる主な調味料
- 唐辛子
- 塩
- 砂糖
- 酢
- カンジャン
- テンジャン
- コチュジャン
- りんご
- ごま油
- しょうが
- にんにく
- ねぎ
そのほか、こしょうや梨、パイナップル、水あめなどを加える場合もあり、家庭やお店によって調合は異なります。唐辛子やにんにくなど日本でよく使われている調味料のほか、カンジャンやテンジャンなど韓国調味料などを混ぜることで生み出される複雑な風味と味わいが特徴です。
ここからは、ヤンニョムに欠かせないカンジャンとテンジャンについて詳しく解説します。
カンジャンとは?韓国語で醤油の意味
カンジャンは韓国の醤油です。大豆をもとにした豆麹と塩水を自然発酵させ、数カ月にわたって熟成させることで作られます。塩味と旨みが特徴で、料理に深みを加えることができます。カンジャンは料理の味付けや刺身のタレとして使用されるほか、合わせ調味料に使われるなど、韓国の食文化に欠かせない調味料です。ヤンニョムにカンジャンを加えることで、料理に独特の風味とバランスの取れた味わいにできます。
また、カンジャンに漬け込んだワタリガニ料理「カンジャンケジャン」は有名な韓国料理としても知られます。
カンジャンには大きく分けて、「ジンカンジャン」と「クッカンジャン」の2種類に分けられ、ジンカンジャンは日本の濃口しょうゆに近く、クッカンジャンはさらっとしており薄口しょうゆに近いことが特徴です。ジンカンジャンは豆と小麦を使用し、クッカンジャンは豆のみで作られることが多いです。
テンジャンとは?日本でいうと味噌にあたる
テンジャンは大豆を主原料とする韓国特有の発酵調味料です。大豆を煮てつぶし、その後自然発酵させて作られるので、日本の味噌に似ています。ただし、日本の味噌とは異なり、独特の濃厚な味わいと香りがあり、熱を加えるとさらにその風味が引き立つことが特徴です。ヤンニョムに加えることで深い旨みと風味が生まれます。
テンジャンには辛味がなく、さまざまな調味料と組み合わせることで味の変化を楽しむことが可能です。また、韓国では、チゲ鍋用や麦を原料にしたものなどさまざまなテンジャンが販売されています。
ヤンニョムの作り方は簡単!調味料を混ぜるだけ
自宅でも簡単に自家製ヤンニョムを作ることができます。材料となる調味料を用意して混ぜるだけです。調味料も粉唐辛子やコチュジャン、にんにくなど日本でも手に入りやすいものばかりです。
ヤンニョムは冷蔵庫でおおよそ2カ月保存でき、熟成させると味がなじんでよりおいしく感じられます。
有名な韓国のテッパン調味料
韓国には日本にはない独自の調味料が多く存在します。
有名な韓国調味料
- コチュジャン
- サムジャン
- チョジャン
- ダシダ
- タテギ
韓国の調味料は名前が似ており、辛いものが多いので混同してしまう方もいるかと思います。ここからは、それぞれの調味料について詳しく紹介します。
コチュジャン
コチュジャンは、粉唐辛子・大豆麹・もち米粉で作られる辛味調味料です。日本の味噌や醤油のように、韓国ではコチュジャンが基本調味料として使われています。
辛い調味料ですが、麹の甘みが感じられるほか、なかには砂糖や水あめを加えて甘辛いものもあります。ヤンニョムの材料として使われるほか、韓国ではさまざまな料理に使われている伝統的な調味料のひとつです。
サムジャン
サムジャンは、テンジャン(韓国の味噌)とコチュジャンを組み合わせた合わせ味噌です。生の野菜にディップして食べたり、焼肉の際にはサンチュに肉と一緒に包んで食べる「サムギョプサル」のタレとして用いられます。
また、サムジャンの「サム」には、「包む」と言う意味があります。
チョジャン
チョジャンは、酢(チョ)を基調とした韓国の甘酸っぱいタレです。コチュジャンをベースにしてさらに風味を加えた調味料で、辛味と甘酸っぱさのバランスが特徴です。
食欲を刺激することで知られており、ブロッコリーやワカメ、お肉にかけてよく食べられています。市販のチョジャンはチューブタイプが多く、自宅でも簡単に作ることができます。
ダシダ
ダシダは、韓国料理に使われるだしの素です。牛肉やあさり、いりこなどさまざまな味わいがあります。粉末状をしており、韓国料理の風味を手軽に再現するために使われることが多いです。
また、料理に深みと旨みを与えるため、ユッケジャンやキムチチゲ、わかめスープなどのスープ類にダシダがよく使われます。日本料理でかつおだしの素を使われるように、韓国料理でもダシダが欠かせません。
タテギ
タテギ(タデギ)は、料理に辛味を加える調味料です。ネギやニンニクといった香味野菜を細かく叩き、粉唐辛子と組み合わせて作られます。スープや冷麺などの味付けのほか、薬味としても用いられるのが特徴です。
タテギはヤンニョムとは異なり、必ず香味野菜と唐辛子を含む点で区別され、「タテギ」という名前は日本語の「叩き」に由来しているとされています。
ヤンニョムが使われる韓国料理
キムチもヤンニョムを使って作られた韓国料理ということをご存知でしょうか。ヤンニョムは、炒め物や漬物、タレ、スープなどさまざまな料理に使われています。
ヤンニョムが使われる韓国料理
- ヤンニョムチキン
- キムチ
- ヤンニョムケジャン
- トッポギ
- スンドゥブチゲ
ここからは、それぞれの韓国料理について紹介します。
ヤンニョムチキン
ヤンニョムチキンは名前でわかるとおり、ヤンニョムが使われている韓国料理です。鳥の唐揚げに甘辛いタレを絡めた料理で、韓国だけでなく日本でも高い人気があります。淡白な鶏むね肉とヤンニョムの甘辛さの相性がよく、サクサクとした衣の食感で、辛さが抑えられているので子どもにも人気です。
韓国ではお店や出前などでよく食べられており、韓国のソウルフードとなっています。
キムチ
キムチはヤンニョムで野菜を漬け込んで作られる韓国料理です。キムチに使用するヤンニョムの調味料は地域や家庭によって大きく異なり、味わいも違います。
また、韓国ではキムチを作る際、ヤンニョムの材料のひとつにアミエビの塩辛が使われるのが一般的です。
ヤンニョムケジャン
ヤンニョムケジャンは、韓国の伝統的なケジャン料理(ワタリガニの料理)のひとつです。ワタリガニに、コチュジャンをベースとした甘辛いヤンニョムソースでマリネする料理で、独特な味わいから「カニのキムチ」ともよばれます。
甘辛い味がご飯と合い、韓国で「ご飯泥棒」と称されるほどです。
トッポギ
トッポギは韓国を代表する伝統的な料理です。韓国の餅「トック」が使われており、ヤンニョムソースで煮込むことにより、甘辛く濃厚でコクのある味わいとなります。
家庭や屋台では、トッポギに野菜や魚介類、チーズやラーメンなどの具材を加えて、さまざまなアレンジが楽しまれています。また、トッポギには「カレトック」とよばれる円柱状の餅を使用するのが一般的です。
スンドゥブチゲ
スンドゥブチゲは韓国の伝統的な鍋料理です。柔らかい豆腐「スンドゥブ」が料理の主役で、濃厚かつピリ辛のスープでスンドゥブを楽しみます。
絹ごし豆腐よりもさらに柔らかい豆腐を使用しており、粉唐辛子やコチュジャンなどを合わせたヤンニョムで味付けを行います。肉や野菜とともに煮込むことで生まれる深い味わいとコク、豊かな風味が魅力です。また、ご飯を加えて「クッパ」として食べるのも人気です。
まとめ
ヤンニョムは韓国の合わせ調味料です。コチュジャンやカンジャンといった韓国の調味料のほか、唐辛子や塩、砂糖、酢などを混ぜ合わせて作られます。
甘辛いヤンニョムは、ヤンニョムチキンやキムチをはじめ、さまざまな料理に使われます。ぜひこの機会にヤンニョム料理を試してみてはいかがでしょうか。