北海道でオーロラが見れる場所はどこ?時期はいつ?発生確率や2023年のデータも紹介
暗闇のなかで浮かび上がる光のカーテン・オーロラ。テレビ番組などで、アラスカやカナダなど外国の空にオーロラが輝く映像を見たことがあるという人も多いのではないでしょうか。そんな幻想的なオーロラを「ぜひ肉眼で見てみたい。でも海外に行くのは難しい」と諦めていませんか?
実は、オーロラは北海道でも見られる可能性があります。
この記事では、北海道でオーロラが見られる場所や時期、条件などを解説しています。オーロラを見てみたい人や、これからオーロラを見るために北海道を訪れる予定の方は、ぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること
- オーロラは太陽風、無風、晴天、暗闇の条件が重なって起こる自然現象
- 北海道陸別町からオーロラを見られることがある
- 北海道で見られるオーロラは赤く光る低緯度オーロラ
オーロラは限られた条件で見られる神秘の自然現象
海外を旅行するテレビ番組などで見られることもあるオーロラ。暗闇に浮かぶ光の帯は、風に揺れるカーテンのようにユラユラと瞬き、幻想的な美しさを放ちます。
そんなオーロラですが、実際にどのように起こる自然現象なのか説明できるという人は少ないのではないでしょうか。
まずは、オーロラという自然現象について解説していきます。
オーロラとは
オーロラとは、太陽から放たれたプラズマが、地球の磁気圏に入り込んで起こる現象です。
太陽で時折起こる爆発によって、地球に向かって太陽風と呼ばれる強風が吹くことがあります。この強風にのってプラズマと呼ばれる電子や陽子が地球に接近するのです。本来なら、地球の周りは強い磁場で守られ、プラズマを始めとする宇宙からの影響を受けません。しかし、強い太陽風に乗ったプラズマは、地球の磁場を搔い潜り接近してしまうことがあります。
これらのプラズマは電気の力を帯びているため、磁場を掻い潜って地球の近くまで来た際、地球の地場の中心となる南極のN極や北極のS極に引き寄せられます。引き寄せられたプラズマが大気に突入し、空気の粒とぶつかった衝撃で発光した光が、オーロラとして私達の目に映るのです。
オーロラの色
オーロラといえば、緑や紫、ピンクなどの色をイメージする人も多いのではないでしょうか。
オーロラが発色する色はプラズマと大気が衝突した際の衝撃の強さによって異なります。衝撃が強ければ、ピンクや紫色に発色し、弱ければ赤色、その中間色は緑色になることが分かっています。
太陽風によって地球にやってきたプラズマが大気の高い場所で衝突すると、それほど強い衝撃は発生しません。しかし、大気の低い場所に達するためには、それだけ強いパワーで放たれた太陽風に乗ってくる必要があるため、低い位置ではピンクや紫色など強い衝撃で生まれる光として発光します。
オーロラは高度が低ければ低い程、紫やピンクに発色し、その上は緑色、最も高い位置では赤色に発色するということです。
オーロラの発生条件
オーロラが発生するには以下の条件が必要と考えられています。
- 周囲が暗いこと
- 風が吹いていないこと
- 雲がないこと
- 太陽風が発生していること
オーロラは発光現象なので、空が明るかったり人工灯によって周囲が明るい場合、発生していても視認できません。また、風が吹いていると雲が出てしまいオーロラを隠してしまうこともあるでしょう。
もっとも重要なのは、太陽風が発生することです。太陽活動が活発で、強い太陽風が発生している時ほど、オーロラの発生確率は高くなると考えられます。
オーロラが見られる時期
オーロラは一年中発生している自然現象ですが、雲がかかっていたり空が明るいと目視できません。特に、夏になると日が落ち切らずオーロラオーバル地帯でも白夜のように空が明るくなってしまうため、オーロラはほぼ見えません。
これらの理由から、日がしっかりと沈み空気が澄んで雲が出にくい11月から3月頃がオーロラのベストシーズンと言われています。
もちろん、一年中発生している現象なので条件が重なれば8~10月や4~5月などに見えることもあるでしょう。
北海道でオーロラが見えることがある
オーロラは、オーロラオーバル(オーロラベルト)と呼ばれる場所にのみ発生することが分かっています。オーロラオーバルとは、緯度約60~70度の地域を指しており、北極と南極の両方にあります。つまり、北緯約60~70度と南緯約60~70度が、オーロラの発生エリアです。
オーロラオーバルは、緯度60度以下でも緯度70度以上でも現れないため、宇宙から見るとドーナツのような形に見えることがあるそうです。
しかし、この情報から考えると、北緯41度~45度に位置する北海道では、オーロラは見えないのではないかと思いませんか?
オーロラは、上空に発生しているためオーロラの真下以外の場所からでも見えることがあります。北海道から見えるオーロラは、オーロラオーバルに発生したオーロラの上部分です。そのため、赤い光が大半を占めており、低緯度から見えるオーロラとして「低緯度オーロラ」と呼ばれています。
※写真は南半球にあるニュージーランドで見られた低緯度オーロラ
低緯度オーロラは、多くの人が想像するようなカーテン状ではなく、夕焼けのように空の一部が赤く染まって見えるのが特徴です。
北海道でオーロラが見られる場所【陸別町】
北海道で最もオーロラが見られる場所として有名なのが、道東の足寄群にある陸別町です。陸別町は、別名「オーロラの町」とも呼ばれている程、オーロラ観光で有名なスポット。日本一寒い町としても知られており、低緯度オーロラの研究者達がこぞって足を運ぶエリアです。
世界的なオーロラ研究者が「陸別町は低緯度オーロラの理想的な観測拠点」と発言したことから、1998年にりくべつ宇宙地球科学館(銀河の森天文台)が創立され、日本を代表するオーロラスポットになりました。
オーロラ観光を目的に北海道を訪れるのであれば、陸別町に足を運ぶのがよいでしょう。
銀河の森天文台のHPはこちら2023年北海道・陸別町では4度オーロラが観測されている
オーロラ観光と言っても、陸別町に行けば必ずオーロラを見られるという訳ではありません。オーロラはさまざまな条件が重なって初めて観測できる自然現象なので、どちらかと言えば観測できない事の方が多いでしょう。
そこで気になるのが「陸別町では、どれ位の割合でオーロラが見られるの?」という疑問です。
2023年は、太陽の活動が活発なこともあり、オーロラが観測しやすい年だと言われています。北海道陸別町でも、2023年は低緯度オーロラが4度観測されました。
最も直近で観測されたのは2023年12月1日です。肉眼でも低緯度オーロラの明るい赤い光を確認できたのは2003年10月以来、実に20年ぶりとのことです。
ちなみに、陸別町では1度目は2023年2月、2度目は2023年4月、3度目は2023年11月5日から6日の早朝にかけて観測されています。オーロラと言えば真冬に見られる自然現象のイメージですが、日本最北端の北海道のなかでも、特に寒さが厳しく自然に囲まれ大気の澄みやすい陸別町では4月でもオーロラが観測されることがあるようです。
【北海道へ観光に行く前に】オーロラを予測する方法はある?
オーロラの発生をピンポイントで予測することはできません。しかし、オーロラの発生に欠かせない太陽風の発生については宇宙天気予報として、国立研究開発法人情報通信研究気候が情報を発信しています。
太陽風は太陽フレア(太陽で起こる大規模な爆発現象)によって発生するため、太陽フレアが活発であれば太陽風が起こる可能性があります。
本来、オーロラオーバルのある地帯が無風であるなどのさまざまな条件が必要ですが、それらすべての条件を調べるのは難しいでしょう。まずは、北海道に観光に行く日に太陽フレアの活発さを調べてみるのがおすすめです。
もしも、北海道観光の日程と太陽フレアの活発な予報が重なるようであれば、オーロラ観光を決行してみるとよいでしょう。狙って見られる現象ではないため、駄目で元々、位の気持ちで足を運ぶのがよいかもしれませんね。
北海道にオーロラ観光に行く際のポイント
北海道にオーロラ観光に行く際には、以下のポイントを押さえておきましょう。
防寒対策をする
陸別町は、北海道のなかでも特に昼夜の寒暖差が激しい地域です。冬の最低気温は平均してマイナス20度前後、非公式ですがマイナス38度を観測した地域もあると言われています。
オーロラの観測は深夜から明け方の時間帯になるため、特に寒さは厳しくなるでしょう。
スキーウェアをしっかり着込んで防寒対策をしておくことが大切です。帽子、マフラー、手袋、スノーブーツなど、小物類も忘れずに用意しておきましょう。
カメラは長時間露光できるものを使う
北海道から見えるオーロラは、光が弱く肉眼では「ほんのり空が染まっている」程度にしか見えないこともあります。そのため、撮影の際にはシャッタースピードを遅くして長時間露光というテクニックを使用して撮影する必要があります。
長時間露光で撮影することで、空に浮かぶオーロラをしっかりと撮影することができるでしょう。
また、シャッタースピードを遅くしている間、カメラを動かしてしまうと写真がブレてしまいます。写真撮影をしたいと考えている人は、三脚もお忘れなく。
見えない事の方が多いことを理解しておく
遠方から北海道までオーロラが見たくて訪れた人の場合、オーロラの出現をワクワクしながら待つことでしょう。しかし、オーロラは奇跡的な確率でしか見ることのできない自然現象です。
2023年がオーロラの発生しやすい年だとしても、発生したのは年に3回。オーロラを目当てに観光しても見れないことの方が多いことを理解しておきましょう。
一方で、陸別町の澄んだ夜空を見上げる機会は、そうそう訪れるものではありません。極寒のなか、暖をとるために温かい飲み物を飲みながらプラネタリウムを思わせる夜空を眺める時間はかけがえのない思い出となること間違いなしです。
ちなみに、陸別町はダイヤモンドダストが見られる地域としても有名なので、オーロラ以外の観光ポイントを押さえておくと、より楽しめる旅になります。
オーロラが見えても、見えなくても、陸別町の自然を満喫できる機会だと割り切って観光するのがよいでしょう。
まとめ
北海道のオーロラ事情について紹介しました。オーロラは、オーロラオーバルにかかるカナダ、アラスカ、ノルウェーなどの国々でも発生が予測できないレアな自然現象です。北海道から見られる可能性はそう高くないため、オーロラを目当てに観光するのはやや無謀と言えるかもしれません。
しかし、日本でもっともオーロラが見える町として盛り上がっている陸別町を訪れることで、オーロラに親しみ、オーロラのことをより学べる機会は多いにあるでしょう。りくべつ宇宙地球科学館(銀河の森天文台)にはさまざまな資料も展示されています。
ぜひ、日本で最もオーロラが見られる町・陸別町に足を運び、夜空を見上げてみてください。運がよければ、夜空に赤く輝くオーロラが見られるかもしれませんよ。