北海道で「キノコ採り」を楽しもう!場所・時期・注意点など
木々の葉が色付きはじめ、紅葉が楽しみな季節になってきました。景色を眺めに山登り、も楽しいですが、秋は収穫の季節。山の幸を採る「キノコ採り」を楽しめるのもこの時期ならではです。運動しながら、帰りにはお土産の収穫もある一石二鳥のキノコ採りにお出かけしてみませんか。
この記事ではキノコ採りの前に知っておきたい注意事項、キノコが採れる季節や種類などを紹介します。自然と深く関わるレジャーは魅力もたっぷりありますが、まずはしっかりと準備をしてから。秋ならではの楽しいひとときになりますように。
北海道でキノコ採りをする前に注意したいこと
豊かな自然に恵まれた北海道は、キノコの名産地でもあります。市街地からも行きやすい野山も多く、春は山菜、秋はキノコと楽しむ人も多いのですが、注意点も多数あります。山登りもキノコ採りも、基本は「自己責任」。
キノコに対する正しい知識、また山登りそのものの注意事項など挙げればキリがありませんが、ひとつひとつ確認することで楽しいレジャーの思い出をきっと作れますよ。
毒キノコに注意する
キノコの中には毒性を持ち、食べると食中毒を起こす種類があります。触るだけでも危険な猛毒を持つ種類もあり、知らないキノコには触れないようにしましょう。食べられるキノコとそっくりなものも多く、専門家に頼ったり専門書などで調べてから採取するのが必須です。
キノコ採りは昔から親しまれており、その分正しくない俗説(虫が食っていれば食べられる、縦に裂ければ大丈夫など)もたくさんあるので、聞きかじりの知識は要注意。
また、採ったキノコは種類別に分けて紙袋などに入れて鑑別しやすいようにしておくのがおすすめです。食べる前に今一度確認してから調理しましょう。
キノコ採りの基本は、知らないキノコは「採らない」「食べない」「人にあげない」です。間違えやすいキノコ情報や食中毒が起こった地域などを自治体が公開しているので、要チェックです。
ちなみに、山の中は電波が届かなくなる場合もあるので、キノコの情報や地図はスマホではなく図鑑やプリントアウトしたもので持っていくのがおすすめです。
参考:キノコ採りに関する防災情報|北海道
ヒグマに注意する
キノコ採りの注意、というよりは入山する全ての人が注意しなければいけないのがヒグマとの遭遇です。
クマによる人身事故で一番重要なのは「クマに出会わないこと」。出会ってしまったら確実に助かるという方法は残念ながらないからです。そのためにも必ず守ってほしいことをまとめました。
クマに出会わない為のポイント
- 一人で行動せずに野山では必ず複数で行動する
- クマ鈴やラジオなど音を出しながら歩く
- 食べ物やゴミは必ず持ち帰る。放置したり埋めたりしない
- クマの痕跡(フンや足跡など)を見たら引き返す
- 早朝や夕暮れ時など、薄暗い時には行動しない
- 事前にヒグマの出没情報を確認する
また、クマ以外にも注意が必要なのがキタキツネによるエキノコックスです。山の生水は飲まない、採ったキノコは水道水でよく洗い生で食べない、野山から帰ったらよく手を洗う。
当たり前な注意点ですがレジャー気分で楽しくなり、つい“うっかり”があってもおかしくありません。山の注意を守って楽しいキノコ採りにしましょう。
キノコを採ってもいい場所か確認する
キノコは自然に生えているものだから…と勝手に採ってはいけません。私有地のキノコの所有権は、キノコの生える山林や野原の所有者にあります。勝手にキノコを採取すると、窃盗罪に問われる可能性もあります。
国有林の立ち入りは登山などレクリエーション目的なら大丈夫なところも多いのですが、立ち入りそのものが禁止されている場所もあります。また、国立公園や国定公園では、特別保護区の指定がされている場合はキノコなどの採取が禁じられている場所もあります。
キノコ採りをする時は、立ち入り禁止の場所ではないか、キノコの採取が禁止されていないかを確認してから行きましょう。国有林を管理する地域ごとの森林管理暑に問い合わせるとよいでしょう。
入山料を払えばキノコを採らせてもらえる私有地などもありますよ。
初心者はツアーや体験から始めよう
キノコ採りは楽しそうだけど、ちょっと大変そうだな…と思った人もいるでしょう。初心者の方なら、キノコ採りを行っている施設での採取や、ガイド付きのツアーに申し込めば間違い無しです。
最初から高額なガイド料金を払うのはちょっと…という人は観察会に参加するという方法がおすすめです。地域の自然やキノコなどの解説をしてくれるネイチャーウオッチングを開催している自治体があります。キノコの判別はプロでも難しいもの。まずは自治体の専門家ガイド付き自然観察会で知識を身につけてみては(有料の場合もあります)。
北海道のキノコ採りシーズンはいつ?どこで採れる?
秋の味覚といえばキノコ!でも実はキノコの種類によってシーズンはまちまち。それでも他の野菜と同じく、秋から初冬にかけての期間がキノコの実りの季節です。
初秋はキノコの種類は多いが収穫量自体は少なめ、中秋は種類は減るけれどひとつひとつのキノコの収穫量が増えるなど、シーズンの中でも色々な変化があります。お目当てのキノコがある場合は図鑑などで確認してからキノコ採りの計画を立てましょう。
キノコの生える場所は自分の子どもにも教えない、という言葉があるくらい秘密にされるもの。ですが湿度や木の種類など、キノコの好む条件を知っていれば見つける確率がアップするはずです。
人気の落葉キノコ採りをするなら9月中旬~10月がベスト
「道民のキノコ」の代表格!落葉キノコ、別名ハナイグチは香りがよく出汁も出て、松茸を凌ぐほど上品な味わいだという人もいるぐらい人気のあるキノコです。
落葉キノコは最低気温が15度以下の時期になると生えてくると言われており、8月ごろから収穫されることも。旬は9月中旬から10月ごろとなり、寒くなるにつれ収穫が減ってきます。シーズンを逃さず、旬の味を楽しみたいですね。
好みがハッキリしてる?キノコが生える場所
キノコは漢字で「茸」「菌」「蕈」などの他、「木の子」と書くだけあって、木のあるところに多く生えます。しかもキノコは「この種類の木に生えたい!」という好みがハッキリ分かれているので、お目当てのキノコの好みが分かればぐんと見つけやすくなります。
例えば落葉キノコならカラマツ、松茸ならアカマツと決まっているのでキノコを探すなら、まずは樹木を見分けられるようになりましょう。
また、樹木の種類だけではなく環境も大事です。多くのキノコは川や沢のそば、窪地、沼地、日陰などの水気が多い場所を好みます。切り株や倒木、落ち葉の積もった場所もチェックポイント。逆にシダ類や笹が群生しているところはキノコが生えずらいので避けて探すと効率よく探せます。
水気を嫌うキノコは林道沿い、風通しの良い尾根筋や日向も探してみてください。
北海道で気軽にキノコ採りが体験できる場所
北海道は森林王国。ひいてはキノコ王国であるともいえます。天然のキノコはもちろん、栽培キノコの種類も豊富。
「生しいたけ」「えのきたけ」「まいたけ」「ぶなしめじ」など、その生産量はおよそ2トンで全国4位の生産量だそう。
栽培所ではところによっては見学、収穫までできる所もあり、気軽にキノコ採りができますよ。秋の行楽シーズンで気軽に足を運べる場所をご紹介します。
北海道きのこ王国 本店(大滝)
札幌・新千歳空港から車で1時間半ほど。北海道きのこ王国の本店ではキノコ採りが楽しめます。店内でキノコを収穫でき、100gごとに150円で購入が可能です。
栽培されているキノコはしいたけ・しめじ・白しめじ・なめこの全部で4種類。収穫は一種類だけでも数種類でもOK。栽培されているポットから根本を折るだけなので、ファミリーで簡単にキノコ採りが楽しめます。
施設名 | きのこ王国 大滝本店 |
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所在地 | 伊達市大滝区三階滝町637-1 |
電話番号 | 0142-68-6270 |
営業時間 | 9:00~18:00 |
定休日 | なし ※年中無休 |
公式サイト | https://www.kinoko-oukoku.com/ |
北井農園(夕張)
原木しいたけの見学と収穫ができる北井農園。9月末からはしいたけ狩りも体験できます。なんと入場は無料!採ったしいたけは100g120円で持ち帰りできます。
農薬や肥料を一切使わない自然栽培で育てられた、採れたてのしいたけはうまいこと間違いなしです。
施設名 | 北井農園 |
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所在地 | 北海道夕張郡由仁町山桝798 |
電話番号 | 01238-6-2870 |
営業時間 | 日曜・土曜・祝日の10:00~16:00 |
定休日 | 電話かメールで要予約 ※小規模な施設のため、団体の利用不可 |
公式サイト | http://www.kitaino.net/ |
なかしべつ菌床栽培協同組合(中標津)
2014年に開催された「第5回なまらうまいっしょ!グランプリ」に出店した「大判しいたけチーズ焼き」で一躍有名になった、なかしべつ菌床栽培協同組合の「想いの茸」。
肉厚で身の詰まったしいたけが採れると人気のキノコ採りです。90分1000円、1人500gまで収穫できます。
施設名 | なかしべつ菌床栽培協同組合 |
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所在地 | 標津郡中標津町字開陽28線北88番地2 |
電話番号 | 0153-74-2750 |
営業時間 | 1回目/10:00~ 2回目/13:00~ |
定休日 | 要事前予約 |
北海道でキノコ採りをする時の服装・持ち物
野山に入るキノコ採りは登山と一緒の装備が必要です。
山の天気は変わりやすく、最低限身を守る装備をまずは心がけて。キノコ採りに必須なアイテムもいくつかあるので出発する前に要チェックです。
山の天気は変わりやすい!温かい服装で
北海道は、9月10月はまだ秋だからと甘く見ると危険な場合があります。10月の平均気温は札幌で11℃前後、旭川は9℃前後になり、雨や風が強まればさらに気温は低下します。
低体温症の恐れも出てくるので保温できる上着や雨がっぱなどを持っていくなど、くれぐれも準備はしっかりと。保温できる装備といってもジーンズは動きを制限するので避けたほうがいいでしょう。また寒さ対策だけではなくマダニなどの虫にも注意。長袖長ズボンは必須です。
靴はできれば登山靴に。キノコの生えている場所は沢など水気の多いところもあるので滑らないように注意しましょう。
寒さだけではなく、暑さ対策で脱ぎ着のしやすい服、帽子、こまめな給水なども重要です。つい厚着をして汗をかいてしまったけど、急に冷え込んで逆に汗で体を冷やしてしまった、とならないように気をつけて。
キノコ採りに必要な持ち物と装備
キノコ採りそのものに必要なアイテムはキノコを入れるカゴと袋、切り取り用のナイフ、軍手、キノコ図鑑などです。
キノコはカゴで運ぶことで胞子を森にばら撒くお手伝いになるとも言われており、密閉した箱やバッグよりカゴの方が良い、という意見があります。
採ったキノコは種類ごと(できれば場所ごとにも)分けて紙袋に入れてカゴに入れると良いでしょう。
分けてあると鑑別する際に便利ですし、万が一毒キノコを採ってしまっても袋のキノコを簡単に避けることができます。
登山の持ち物としては防寒具・雨具、帽子、クマ鈴やラジオ、虫除けスプレー、地図・方位磁石、救急用品、タオル、脱水症状にならないよう飲料と食料。非常食もあると安心です。両手が空くようにリュックサックで出かけましょう。
北海道に自生するキノコ
北海道の豊かな自然の中では、個性豊かなキノコが生えます。すでに書いたように、キノコごとに好む木の種類があり、木を探し出せばお目当てのキノコに出会える確率がぐんとアップします。
例えば落葉キノコはカラマツに生えるのでまずはカラマツを探し、図鑑の写真をみながら水気の多い場所を探す、と条件を絞っていきましょう。木の種類ごとに生えやすいキノコの情報をまとめたので、参考にしてみてくださいね。
針葉樹
名称 | 時期 | 自生地 | 見た目・特徴 |
---|---|---|---|
ハナイグチ | 8月~10月 | カラマツ林内 | ・かさは4~10cm ・表面にぬめりがある |
シロヌメリイグチ | 8月~9月 | 幼齢カラマツ林 | ・かさは5~10cm ・表面は灰白色 |
オトメノカサ | 9月上旬〜下旬 | カラマツ、広葉樹、草地 | ・かさは2~5cm ・表面は白色 |
広葉樹
名称 | 時期 | 自生地 | 見た目・特徴 |
---|---|---|---|
シイタケ | 6月と9月 | ミズナラ、コナラ、ブナ | ・かさは4~10cm ・表面は茶褐色〜黒褐色 |
キクラゲ | 6月中旬〜9月下旬 | カエデ類、シナ類 | ・かさは3~6cm ・表面は黄褐色〜褐色 |
ムキタケ | 晩秋 | ブナ、ミズナラ、コナラ | ・かさは5~15cm ・表面は汚黄色 |
針・広混交林
名称 | 時期 | 自生地 | 見た目・特徴 |
---|---|---|---|
ナラタケ | 8月中旬〜9月上旬 | エゾマツ、トドマツ、シナノキ、ダケカンバ、ミズナラなど | ・かさは3~10cm ・表面に滑りがある |
キクラゲ | 6月中旬〜9月下旬 | カエデ類、シナ類 | ・かさは3~6cm ・表面は黄褐色〜褐色 |
クリタケ | 秋 | 広葉樹・針葉樹 | ・かさは3~10cm ・表面は茶褐色か赤褐色 |
チャナメツムタケ | 秋 | スギ、広葉樹 | ・かさは4~10cm ・表面はレンガ色〜淡暗褐色 |
タマゴタケ | 夏〜秋 | シイ、コナラ、ミズナラ、ブナ、広葉樹 | ・かさは5~15cm ・表面は美しい赤色〜橙赤色 |
草地など
名称 | 時期 | 自生地 | 見た目・特徴 |
---|---|---|---|
ユキワリ | 5月下旬〜6月下旬 | 牧草地、公園の芝生・路傍、畑地など | ・かさは5~10cm ・表面は黄色〜帯白色 |
ハタケシメジ | 秋、時に初夏 | 草地、公園の芝生・路傍、畑地、林道など | ・かさは4~9cm ・表面は灰褐色 |
摂ったキノコはどうすればいい?下処理から保存方法まで
キノコ採りで収穫したキノコはスーパーで売っているキノコとは違い、下処理が必須です。
まずは土や汚れを落とし、根元の石づきを取ります。10分ほど塩水に浸けて虫出しをして終了。食べる際は必ず火を通して調理してから食べましょう。
キノコは保存方法も多彩です。キノコによって保存方法は違いますが、代表的な保存方法は「乾燥保存」「冷凍保存」「瓶詰保存」「塩漬け保存」「オリーブ油漬け」などです。保存方法によって旨みが凝縮して美味しさがアップしたり、食感が変わったりと同じキノコでも色々な楽しみ方ができますよ。
まとめ
準備や山登り、下処理など様々な手順は踏みますが、自分で採ったキノコの味はきっと格別なはず。そして、キノコを知ることは森林、そして自然を知るということです。
キノコを知ることで北海道の自然への思いも強まることでしょう。注意を払いながら秋ならではのキノコ採りを楽しんでみてください。