日本一食べにくいお菓子?北海道の銘菓「よいとまけ」とは

北海道で古くから道民に親しまれている銘菓「よいとまけ」をご存知ですか。道外の人には名曲「ヨイトマケの唄」を連想させるかもしれません。
よいとまけは、北海道・苫小牧(とまこまい)の代表的な銘菓であり、半世紀にわたって人々に愛され続けています。
長く愛されるよいとまけですが、実は「日本一食べにくいお菓子」として製造元の太鼓判を押されている謎多きお菓子でもあります。この記事では、よいとまけがどのようなお菓子なのか、何故食べにくいのかを徹底解説します。
道民ご用達のベストセラー銘菓・よいとまけについて知りたい人は、ぜひ最後までご覧ください。
この記事でわかること
- よいとまけは北海道苫小牧の銘菓
- ハスカップジャムを使ったロールケーキのお菓子
- 製造元の三星が「日本一食べにくいお菓子」として販売している
北海道の銘菓「よいとまけ」とは

よいとまけは、北海道苫小牧市に本社がある、株式会社三星(みつぼし)が製造するお菓子です。1953年の販売開始以来、道民に長く愛され続け、現在では北海道を代表する銘菓のひとつになりました。
2006年に開催された第22回全国菓子大博覧会では、名誉総裁賞を受賞した輝かしい経歴を持つお菓子です。現在も度々、テレビや雑誌などのメディアで取り上げられ、その人気は衰えることなく多くの人に愛されています。
よいとまけは、ロールケーキにハスカップジャムを塗り込んだお菓子です。スポンジの中だけでなく、外側にもたっぷりとハスカップジャムが塗られており、優しい甘みと爽やかな酸味が特徴的です。
よいとまけの原材料
公式ホームページによると、よいとまけの原材料は以下のとおりです。
砂糖(国内製造)、鶏卵、小麦粉、ミックスジャム(水あめ、あんず、砂糖、みかん)、ハスカップ、水あめ、発酵調味料、レモン果汁、蜂蜜、オブラート/トレハロース、膨張剤、酸味料、ゲル化剤(ペクチン)、増粘剤(キサンタンガム)、乳化剤(一部に小麦・卵・りんご・大豆を含む)
引用元:よいとまけ | 株式会社 三星
よいとまけの製造ラインでは、乳成分を含む製品を製造しているため、アレルギーのある方はご注意ください。
よいとまけのカロリー
よいとまけのカロリーは100gあたり277kcalです。1切れあたりのカロリーは記載されておりませんが、ハスカップジャムがふんだんに使われているため、カロリーが高くなってしまうのも致し方ないでしょう。食べ過ぎには注意した方がよさそうですね。
よいとまけのバリエーション

よいとまけは、一般的にハスカップ味のものが知られていますが、実は以下のバリエーションが存在します。
- よいとまけ(ハスカップ)
- よいとまけ レモン
- よいとまけ いちご
最新作は、よいとまけレモンです。ハスカップの味が苦手だという人は、いちご味やレモン味を食べてみてはいかがでしょうか。
よいとまけの意味
「よいとまけ」は、北海道の方言だと勘違いされがちですが、実はそうではありません。
まだ機械による土木作業が普及する前、全ての作業は労働者の手によって行われていました。特に開拓時代であった北海道では、新たな土地を開拓し建造物を建築する土台を整えるために、大きな岩を滑車に吊るして何人もの労働者で引き上げて落とし、地堅めをしていたそうです。
この時、労働者達が息を合わせるため「よいっとまけぇ」や「よいとォまいたァ」と、掛け声をかけていました。
この掛け声がタイトルとなった「ヨイトマケの唄」は、美輪明宏さん(発表当時は、丸山明宏として活動)の大ヒット曲として知っている人も多いのではないでしょうか。
三星の創業者・小林鷹義さんは、昔から近隣の製紙工場から聞こえる「よいとォまいたァ」の掛け声を聞いていたそうです。よいとまけの掛け声からインスピレーションを受け、製紙工場に運ばれる大きな丸太をモチーフにし、北海道銘菓「よいとまけ」が誕生したといわれています。
よいとまけが「日本一食べにくいお菓子」と言われる理由
よいとまけは、三星が「日本一食べにくいお菓子」と銘打っており、その食べにくさでも度々話題になっています。しかし、見た目はシンプルなロールケーキに見えることから、食べたことがない人は「どうして食べにくいんだろう?」と疑問に思うでしょう。
そこで、よいとまけが日本一食べにくいお菓子と言われる理由を紹介します。
ロールケーキの外側にもジャムがべったりだから

よいとまけは、ロールケーキのなかにたっぷりのハスカップジャムがサンドされています。しかし、それだけではありません。ロールケーキの外側まで余すことなくハスカップジャムが塗りたくられているのです。
よいとまけの表面には、べた付き防止のためにオブラートが付いていますが、実際は手で食べようものならオブラートから漏れたハスカップジャムによって手がベタベタになってしまうでしょう。
カトラリーを使わざるを得ないことも「食べにくい」と言われる由縁です。
ちなみに、創業者の小林さんは過去に何度も「ハスカップジャムを表面に塗る必要はないのでは?」と食べにくさを指摘されたそうです。しかし、頑として譲らず、昔から今まで変わることなく、よいとまけの表面にはたっぷりのハスカップジャムが塗られています。
昔のものはカットされていなかったから
現在のよいとまけはカットされています。しかし、昔のものはカットされておらず、もちろん個包装タイプも販売されていませんでした。
つまり、表面までハスカップジャムがたっぷりついたよいとまけを、家庭で切り分ける必要があったのです。
べた付き防止のためにオブラートが付いていますが、オブラートがあると包丁が上手く入らずカットがしにくかったそうです。そのため、わざわざオブラートを全て剥がして切り分ける必要があり、結局手もお皿もナイフもベタベタになり、大変食べにくかったと言われています。
美味しい?まずい?よいとまけの口コミは?

ここまでで、よいとまけの食べにくさに興味をそそられた人も多いのではないでしょうか。次に気になるのが味です。よいとまけの口コミを調べてみると、比較的「美味しい」という口コミが多い傾向にあります。
「日本一食べにくいお菓子」と銘打っていることもあり、食べにくさに関する不満などはあまり出ていないようです。
一方、ハスカップに親しみが薄い人や初めて食べる人からは、戸惑う声も見受けられます。ハスカップは、ブルーベリーによく似た味わいですが、酸味はハスカップの方が強く、鼻に抜けるような爽やかな風味が特徴です。
ハスカップ本来の酸味は強いものの、ジャムにして甘く加工されているため、初めてハスカップを食べる人でも比較的食べやすいのではないでしょうか。ただし、ブルーベリーを好まない人にはあまり合わないかもしれません。
ハスカップを食べたことがなく、ブルーベリーが苦手だという人は、いちご味のよいとまけもあるので、こちらを食べてみてはいかがでしょうか。
【大バズリ】人気ゲーム「ウマ娘」の影響でよいとまけの注文殺到
2022年冬、あるツイートをきっかけによいとまけが一躍話題になったことをご存知でしょうか。
人気スマートフォンアプリ「ウマ娘プリティダービー」の公式アカウントが、描きおろしイラストを投稿。イラストのなかで青紫の謎のロールケーキを見つけたユーザーが「何これ?」と疑問に思ったことから、よいとまけが話題になりました。
ちなみに、このイラストは苫小牧を代表する名馬ホッコータルマエがウマ娘キャラクターとして実装されるフラグであったそうで、三星のゆるきゃら「よいとまけくん」が実在のホッコータルマエに会いに行ったという投稿もあがっています。
ウマ娘のおかげでバズったよいとまけくんが、お礼に実在のホッコータルマエに人参を差し入れに行ったとのことで、ウマ娘ファンをほっこりさせたそうです。
食べにくさも愛される北海道銘菓のベストセラー「よいとまけ」

よいとまけは、製造元の三星がテレビCMで「よいとまけ、食べづらい。でも、とってもおいしい、よいとまけ」というオリジナルソングを流すほど、食べにくさをアピールしたお菓子です。
一般的に食べにくいお菓子は敬遠されがちですが、それを超える美味しさや、食べにくさを笑い合いながら食べる楽しさなど、不自由を超える魅力があったのかもしれませんね。
現在は既にカットされた状態で販売されているため、昔のよいとまけを知っている人のなかからは「食べにくいよいとまけも良かったのに」という声もあるそうです。
そこで、2012年には数量限定の復刻版として、カットされていないよいとまけが販売されました。復刻版はすぐに完売し、再販を希望する声も上がっています。食べにくさまで愛されるよいとまけは、まさに苫小牧で誕生し北海道で古くから愛されてきたソウルスイーツと呼ぶに相応しい銘菓と言えるのではないでしょうか。
まとめ
北海道銘菓のひとつ「よいとまけ」について紹介しました。北海道を想い・北海道の名産品であるハスカップを用いて作られたよいとまけは、道民に愛されて今も変わらぬ食べにくさのままです。しかし、そんな少しの不自由さがよいとまけの魅力のひとつでもあります。
食べにくい食べにくいと笑いながら、よいとまけを囲む様子が瞼に浮かぶ道民も多いのではないでしょうか。
ぜひ、道民のソウルスイーツであるよいとまけの食べにくさを実際に体験してみてください。