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ホタテは美味しく食べて環境にも優しい!ホタテの貝殻は再利用できる

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プリっとした食感と、口に広がる甘みが美味しい海の幸であるホタテ。北海道の特産品のひとつでもあるホタテは、漁獲量の多さでも知られている水産物です。

農林水産省による令和2年(2020年)の貝類別漁獲量は、あわび類669t、さざえ4,609t、あさり類4,305tに対して、ホタテはなんと346,013t。貝類ではダントツの漁獲量といえるでしょう。

そんなホタテに必ずついてくるのが「貝殻」です。ホタテの貝殻はそのままだと廃棄物となり、環境問題とも密接に結びついていると言われています。しかし近年では、ホタテの貝殻の成分や特徴を活かして、様々な場面で再利用が進められています。

この記事では、ホタテの貝殻の再利用法についてピックアップ!ホタテの貝殻を使った環境に優しい、暮らしに役立つアイテムも紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

参考:農林水産省「日本には、どんな貝がどれだけとれますか。」

この記事でわかること

  • ホタテの貝殻は年間約20万tも排出され、以前は土壌汚染の原因だった。
  • 現在では約99%のホタテ貝殻が再利用されている。
  • ホタテ貝殻の99%を炭酸カルシウムという成分が占めている。
  • 身近なものにも再利用されるホタテ貝殻だがデメリットもある。
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ホタテの貝殻はどこへいく?

ホタテの貝殻はどこへいく?

農林水産省が発表した、2022年農林水産物輸出入情報によると、ホタテは水産物の中で国内トップの輸出量を誇る食材です。輸出量の多さに伴って発生するのが、大量のホタテの「貝殻」。その量は、毎年約20万tにものぼると言われています。

以前は、近隣の山に埋めるなどの方法で処理していたホタテの貝殻ですが、次第に堆積場所や処分先の確保が難しくなっていきました。

加えて問題視されてきたのが、土壌汚染や生態系への影響です。山に埋めたホタテの貝殻に含まれる塩分が土に溶け出すことで、土壌汚染の原因となっていたのです。

このような状況を改善しようと、自治体や企業などでホタテ貝殻の再利用が進められてきました。現在は発生するホタテ貝殻の約99%が再利用されています

参考:農林水産省「農林水産物輸出入概況 2022年(令和4年)」

ホタテ貝殻の成分・効果

ホタテ貝殻の成分・効果

ホタテの貝殻を再利用するにあたり、貝殻のどのような成分が活かされているのでしょうか?次からはホタテ貝殻の成分や効果について、詳しくみていきましょう。

ホタテ貝殻の成分

ホタテ貝殻の主な成分は、炭酸カルシウムです。ホタテ貝殻の99%を占める炭酸カルシウムは、粉末にして熱を加えることにより「焼成カルシウム」に変化します。

「焼成カルシウム」とは、高温で加熱することでできる、天然の酸化カルシウムです。酸化カルシウムは水に溶かすことで天然のアルカリイオン水(電解水)となり、様々な効果を発揮します。

ホタテ貝殻の効果

ホタテ貝殻を焼成することでできた酸化カルシウムには、次のような効果があるとされています。

  • 洗浄作用~油汚れ、皮脂などの洗濯汚れ、食材の農薬剥離など
  • 除菌、抗菌作用~O-157、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌、大腸菌、水虫菌など
  • 防虫効果
  • 消臭効果~腐敗臭、アンモニア臭、アセトアルデヒド(アルコール)臭など
  • 口臭予防、虫歯や歯周病の予防

このように、ホタテの貝殻から得られる成分には、優れた効果が多くあることが伺えます。
また、ホタテの貝殻は100%天然素材ですので、環境にはもちろん、人体にも安心して使えるところも嬉しいポイントです。

こんなところにも!ホタテ貝殻の再利用法

こんなところにも!ホタテ貝殻の再利用法

ホタテの貝殻には、優れた洗浄、除菌、抗菌、消臭などの効果があることが分かりました。では、具体的にどのような形で再利用されているのでしょうか?
ここからは、ホタテ貝殻の主な再利用法をご紹介します。

再利用法①肥料・飼料

ホタテ貝殻の主成分であるカルシウムには、作物が育ちやすい土壌に改良する(雨などで土壌が酸性に傾いた時に、アルカリ性に調整する)作用があります。ホタテの貝殻に含まれる塩分を取り除くことにより、作物を育てるための肥料として再利用されるようになりました。

ホタテの貝殻由来のカルシウムは雨でも溶けやすく、固まる心配がないので、肥料としてぴったりの成分といえるでしょう。土壌のpH値を調整することで、作物の品質向上や収穫量の増加に貢献しています。
カルシウムのほかにもチッソやリン酸、ミネラルなど、作物が育つために必要な要素を含んでいることも特徴です。

また、ホタテの貝殻からは有用なカルシウムを補給できるとして、鶏の飼料としても再利用されています。

再利用法②洗剤

ホタテ貝殻の洗浄力を活かした身近な再利用法のひとつに、洗濯用洗剤があります。界面活性剤を使用していない天然由来の成分で、衣類や肌に優しい洗いあがりが特徴です。そのうえタンパク質を分解する働きにより、落ちにくい汚れもしっかり落としてくれます。

ホタテの貝殻を使った洗剤は、洗浄力が高いだけでなく、除菌や消臭効果も高いという優れもの。例えば漁師さんの作業服についた生臭い匂いも、気にならなくなるほどの効果があるとか。

また、ホタテの貝殻は洗濯用洗剤だけでなく、野菜や果物に残っている農薬や菌を剥離するための洗浄剤としても再利用されています。表面に付着している不純物を取り除くことで鮮度が保たれるだけでなく、素材本来の味、食感を味わうことができるとされています。

再利用法③歯磨き粉

ホタテ貝殻を使用した歯磨き粉も登場しています。天然由来の洗浄成分に加えて、口臭予防や歯槽膿漏、虫歯予防にも効果があると言われている注目の製品です。

北海道では、大学との研究により、歯と同じ成分である「アパタイト」をホタテ貝殻から作ることに成功した企業も現れました。研磨剤が入った歯磨き粉とは違い、磨きながら歯を修復していくのが大きな特徴。従来の歯磨き粉の概念を変える「新時代の歯磨き粉」と言えるでしょう。

再利用法④チョーク

ホタテの貝殻の主成分である炭酸カルシウムの「白さ」を活かして、ホタテの貝殻はチョークとしても再利用されています。

ホタテ貝殻の粉末を固めて作るチョークは、折れにくさ、書き味、消しやすさなど細部の性能にこだわって開発されたそう。製品化に成功したホタテ貝殻を活用したチョークは、北海道から沖縄まで全国の学校などで使用されています。

そのほか

まだまだある、ホタテ貝殻の再利用方法。次のようなことにも使われているんですよ。皆さんの身近でも、実はホタテの貝殻が活用されているかもしれません!

【ホタテ貝殻を再利用したアイテムの例】

  • アスファルト
  • タイル
  • ラインパウダー
  • ヘルメット
  • 建築材料(塗料、壁材など)
  • 石鹸
  • 凍結防止剤など

ホタテの貝殻を再利用するデメリット&解消方法

ホタテの貝殻を再利用するデメリット&解消方法

農業や建築業、日々の暮らしなど、様々な場面で活用されているホタテの貝殻。一見良いこと尽くめの再利用ですが、実はデメリットもあります。デメリットを解消する方法とあわせてチェックしていきましょう。

デメリット①素材の栄養まで流れ落ちてしまうことも

ホタテの貝殻を使った洗剤は洗浄効果が高いため、野菜や果物に長時間使用すると、栄養分まで洗い落としてしまうことがあります。

ホタテ貝殻の粉末を溶かした水に、野菜や果物を浸して使用する場合は、5分以内を目安にすることをおすすめします。

デメリット②呼吸器系や肌が敏感な人は注意して

粉砕したホタテの貝殻は、粒子が細かいため、誤って吸引してしまう可能性も少なくありません。自然素材とはいえ、強アルカリ性であるホタテの貝殻を吸い込んでしまうことは体にとって悪影響。取り扱いには十分注意しましょう。

また、強アルカリ性であるホタテの貝殻には、肌の油分や水分を吸収しやすいという特徴があります。肌が弱い方、敏感な方は手袋などで保護してから使用することをおすすめします。

デメリット③アルミニウム製品に使用するのはNG!

粉砕し、加熱したホタテの貝殻は強アルカリ性となるため、アルミニウムに使用すると黒ずみや劣化の原因となってしまいます。アルミニウム製品の洗浄には使わないようにしましょう。

特に鍋ややかんがあるキッチンで、ホタテの貝殻を再利用した洗剤を使用する場合は、アルミニウム製品がないか事前に確認しておくと良いでしょう。

まとめ

ホタテの貝殻を再利用してできた様々な製品は、掃除や洗濯など、私たちの暮らしに役立つものが多くあることが分かりました。
もともとは廃棄されていたホタテの貝殻を活用したアイテムを使うことは、環境問題の解決にもつながります。

人にも環境にも優しい、ホタテ貝殻の再利用。美味しいホタテを食べたあとに残る「貝殻」の行方にも、ぜひ注目してみてくださいね。

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PREZO編集部
PREZO編集部
美味しいものに目がない。食べ歩きやお取り寄せ大好きなPREZOのスタッフが、地域の魅力や商品にまつわるストーリー、北海道の豆知識など、とっておきの情報を発信!