キャベツの栄養や健康効果は?食べすぎても大丈夫?
生で食べるとシャキシャキ食感を楽しめ、熱して食べるとトロトロの甘みが広がる定番野菜のキャベツ。実は、キャベツには豊富な栄養があることをご存知でしょうか?
色や見た目から栄養がないと思われがちなキャベツですが、実は体に必要な栄養をたくさん摂れる野菜であることはあまり知られていません。
この記事では、キャベツの栄養や効能、おすすめの食べ方、食べるときの注意点についても紹介します。
- キャベツは栄養豊富で「食べる薬」とも呼ばれる
- キャベツのもつビタミンCなどの水溶性栄養成分は茹でることで流出してしまう
- キャベツは茹でるよりも生で食べた方が栄養豊富
この記事でわかること
栄養がないなんて嘘!キャベツは「食べる薬」
トンカツやコロッケなどの揚げ物に添えられていたり、サラダのなかに入っていたりするキャベツ。ポトフやロールキャベツのような煮込み料理にするとトロトロした食感にかわります。
そんなキャベツですが、何となく栄養がないと思っている人も少なくないようです。
しかし、これは大間違い。キャベツはヨーロッパ原産の野菜で、日本に広く普及しはじめたのは明治時代です。未だ栄養についての学問がそれほど進歩していないなかでも、キャベツの持つ栄養効果を感じた人は多く、「食べる薬」として薬膳などにも用いられてきました。
キャベツのもつ栄養成分
キャベツはビタミン、ミネラル、食物繊維などさまざまな栄養が含まれています。続いては、キャベツの持つ栄養成分について詳しくみていきましょう。
栄養素 | 可食部100gあたりの含有量 |
---|---|
ビタミンC | 41mg |
ビタミンK | 78㎍ |
葉酸 | 78㎍ |
カリウム | 200mg |
カルシウム | 43mg |
マグネシウム | 14mg |
食物繊維 | 1.8g |
ビタミンC
ビタミンCは皮膚や粘膜を健康な状態に保つために欠かせない栄養成分です。そのほか、鉄の吸収を促したり免疫力を高めたりと、健康な体を維持する役割を担っています。
生キャベツ100gに含まれるビタミンCは41mgです。一方、見た目のよく似ているレタスに含まれるビタミンCは5g。キャベツと同じ葉物野菜に分類される小松菜も100gあたりのビタミンC含有量は39gだそうです。
キャベツがいかにビタミンCを豊富に含んでいるかお分かりいただけるでしょうか。
ビタミンK
ビタミンKは骨や血液、血管を正常に保つために必要な栄養成分です。ビタミンKには骨を形成するカルシウムやリンを効率的に取り込む働きがあり、骨粗しょう症の予防としても積極的な摂取が推奨されています。
また、出血してしまった際に止血を促す働きや、血管の石灰化を予防する効果も期待される栄養成分です。
日本人の食事摂取規準(2020年度版)によると、1日の摂取量目安は18歳以上の男女ともに150㎍と言われており、生キャベツ100gに含まれているのは78㎍です。キャベツ100gで1日に必要なビタミンKの約半分を摂取できます。
ビタミンU(キャベジン)
ビタミンUはキャベツから発見された栄養成分で、別名をキャベジンと呼びます。この名前を見て「似たような名前の胃薬があったような…」と思った人もいるのではないでしょうか。キャベジンは胃の粘膜を修復し、消化・吸収をサポートする効果があるため、胃薬によく用いられています。
「ビタミン」と名前がついていますが、実はビタミンに働きが似ているだけでビタミン類ではありません。ビタミンUはキャベツの他、レタスやセロリなどにも含まれる栄養成分です。
食物繊維
キャベツは食物繊維が豊富な野菜です。食物繊維は、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分類されます。水溶性食物繊維と不溶性食物繊維にはそれぞれに特性があり、キャベツには胃や小腸で水分を含んで大腸で膨らむ不溶性食物繊維が多く含まれているのが特徴です。
大きく膨らんだ不溶性食物繊維は、腸の蠕動運動を促すだけでなく、発酵・分解してビフィズス菌を増やし腸内環境を整える作用も期待できます。
また、不溶性食物繊維の形状はハチの巣状やへちま状になっており、歯ごたえが強いのも特徴のひとつと言えるでしょう。よく噛むことで、満腹中枢を刺激し少量でもお腹が満たされます。
カリウム
カリウムはミネラルの一種で、血圧を下げたり筋肉を正常な状態に維持したりする働きがあります。キャベツには豊富なミネラルが含まれており、100gあたり200mgのカリウムが含まれています。
カリウムは体内のナトリウムを尿と共に排出する働きがあるため、利尿作用を持つのが特徴です。
カルシウム
骨の主成分として知られているカルシウムですが、実はそれ以外にもさまざまな効果を持っています。カルシウムは天然の精神安定剤と言われることをご存知でしょうか。充分にカルシウムを摂取することで、神経伝達物質が安定的に分泌されイライラしにくくなります。
また、ホルモンの分泌量を安定させてくれるため、月経前症候群の改善などにも効果が期待されます。キャベツ100gあたりに、43gのカルシウムが含まれているため、他の食べ物と一緒にとることでしっかりと栄養を補えるでしょう。
葉酸
葉酸はビタミンB郡の栄養成分で、細胞分裂や赤血球の製造に必要です。妊娠初期の赤ちゃんの成長に必要なことから、妊婦さんが特に積極的に摂取すべき栄養としても知られています。
キャベツに含まれる葉酸は100gあたり78㎍です。日本人の1日の推奨摂取量は240㎍なので、キャベツ100gで1日に必要な葉酸の約1/3を摂取できます。
ちなみに、妊娠期の女性の推奨摂取量は440㎍、授乳期の女性は340㎍の葉酸を摂取した方がよいといわれているため、キャベツを始めとする葉酸を豊富に含む食べ物を意識的に摂るようにしましょう。
キャベツの栄養で得られる効能4つ
豊富な栄養を持つキャベツを食べることで、さまざまな効果を感じることができます。今回は代表的な4つの効能についてみていきましょう。
1.便秘の改善
キャベツは不溶性食物繊維の含有量が多い野菜です。そのため、胃や小腸でしっかりと水分を含んだ不溶性食物繊維が大腸で蠕動(ぜんどう)運動を起こし、便の量を増やして排出を促します。
便秘気味の人は積極的にキャベツを食べるのがおすすめです。
2.肌荒れやニキビの改善
キャベツに含まれるビタミンCは、肌あれが気になる人におすすめです。ビタミンCは健康な肌を維持するために欠かせない栄養成分と言えるでしょう。
また、キャベツには不溶性食物繊維が含まれるため、便通がよくなります。腸内の老廃物が排出され善玉菌が増えることで、肌荒れやニキビなどの改善効果も期待できます。
3.肥満の予防
キャベツの豊富な食物繊維によって、腸内環境がよくなり善玉菌が増えることでGL-1をいうホルモン物質の分泌が促進されます。GL-1には、満腹中枢を刺激する働きがあり、食べ過ぎを防いで肥満の予防効果も期待できるでしょう。
4.生活習慣病の予防・改善
生活習慣病とは、生活習慣が起因している病気の総称です。代表的なものに、がん、心臓病、脳卒中、高血圧症、糖尿病などがあります。これらの生活習慣病は塩分の摂り過ぎも原因のひとつです。
キャベツに含まれるカリウムには、ナトリウム(塩分)の排出作用があります。また、肥満を予防する点からみてもキャベツを積極的に食べることで、生活習慣病の予防や改善に効果が期待できます。
【生・茹で・紫】一番栄養豊富なキャベツはどれ?
キャベツはさまざまな栄養成分を含むことが分かりましたが、生で食べるのと茹でて食べるのとでは摂取できる栄養の量が異なります。
また、紫キャベツなど、品種によっても栄養成分が異なるでしょう。
キャベツ(生) | キャベツ(茹で) | レッドキャベツ(生) | |
---|---|---|---|
ビタミンC | 41mg | 17mg | 68mg |
ビタミンK | 78㎍ | 46㎍ | 29㎍ |
食物繊維 | 1.8g | 2.0g | 2.8g |
カリウム | 200mg | 92mg | 310mg |
カルシウム | 43mg | 40mg | 40mg |
葉酸 | 78㎍ | 48㎍ | 58㎍ |
生のキャベツと茹でたキャベツを比較すると、生の方が栄養価が高いことが分かります。これは、キャベツのもつ栄養に水溶性のものが多く、茹でることで成分が水に溶け出てしまうからです。
また、レッドキャベツはビタミンCやカリウムの含有量が高く、アントシアニンなどポリフェノールを含んでいるのも特徴的と言えます。
キャベツは芯や外葉にも栄養が豊富
キャベツを食べる時、硬い芯や外葉を捨ててしまう人も多いのではないでしょうか。それは大変勿体ないことをしています。キャベツは芯や外葉にも豊富な栄養を含んでおり、全て食べた方がよいとされています。
特に、カルシウムやマグネシウムは外葉に多く含まれており、カリウムは芯に多いと言われています。外葉も芯も柔らかく煮込むなど、調理方法を工夫することで美味しく食べられます。ぜひ、キャベツの栄養をあますことなく取り入れるためにも、外葉や芯まで食べてみてください。
キャベツの糖質
糖質をカットするダイエットをする際には、キャベツの糖質にも着目してみてください。キャベツの糖質は100gあたり3.4gです。
野菜のなかでも比較的糖質が多いといわれるじゃがいもは100gあたりの糖質が16.3g。じゃがいもに比べればキャベツの糖質は低いと言えるでしょう。しかし、レタスの糖質は1.7g、小松菜は0.5gです。
キャベツは葉物野菜のなかでは、比較的糖質の多い野菜のため、糖質制限ダイエットなどを実践している人は食べる量に注意しましょう。
ただし、キャベツのカロリーは100gあたり23kcalと、それほど高くありません。排便をスムーズにする効果なども期待できるため、通常のカロリーカットダイエットを行っている人にはおすすめの野菜と言えます。
キャベツの栄養を残さず食べる方法
キャベツには豊富な栄養があり、それによってさまざまな効果が期待できることがわかりました。しかし、栄養をしっかりと体内に取り込むためには食べ方を工夫することも大切です。
少しでも多くの栄養を取り入れられるよう、おすすめのキャベツの食べ方を紹介します。
生のまま食べる
キャベツの栄養を最大限に活かすなら生で食べるのがおすすめです。
キャベツに含まれる栄養成分は水溶性のものが多く、水に浸けてしまったり煮込んだりしてしまうと溶け出だしてしまいます。特に、ビタミンCやビタミンUは流出しやすい栄養成分です。
これらの栄養をキャベツの中に留めて食べるなら、生のまま食べるのがおすすめです。食感を良くするために水に晒したりする際にも、栄養の流出を防ぐため水に浸けるのは短時間に留めておきましょう。
茹で汁まで食べる
生で食べられない時には、茹でた汁まで全て食べる方法がおすすめです。キャベツから流出した栄養成分は、全て破壊される訳ではありません。茹で汁のなかに移動しているだけなのでスープとして汁まで食べればあますことなく栄養を得られます。
また、加熱することで栄養豊富な芯や外葉も美味しく食べられるでしょう。キャベツを茹でた際には茹で汁まで料理に使って食べてみてください。
キャベツのおすすめの食べ方
キャベツの豊富な栄養は、他の食材と掛け合わせることでさらに効率的に摂取できます。続いては、キャベツを食べる時のおすすめのメニューを紹介します。
キャベツの千切り×とんかつ
キャベツに含まれるビタミンCは鉄分の吸収を促進する働きがあります。そのため、ヘム鉄を豊富に含む食材と一緒に食べることで、鉄欠乏性貧血などの改善効果が期待できるでしょう。
ヘム鉄を豊富に含み、キャベツと食べ合わせるなら豚ヒレ肉を使ったとんかつがおすすめです。ジューシーでボリュームのある豚ヒレ肉のとんかつには豊富なヘム鉄が含まれています。とんかつにキャベツの千切りを添えれば、充分にビタミンCが取れてヘム鉄を効率的に摂取できるでしょう。
キャベツ・カボチャ・ニンジンの蒸し野菜サラダ
ビタミン類にはさまざまな抗酸化作用があり、活性酸素を排出して体内を健康に若々しく保ってくれます。抗酸化作用のあるビタミンには、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEなどがあげられ、これらを一気に摂るのにおすすめなのが蒸し野菜サラダです。
ビタミン類は水溶性で水に溶けやすいものが多いため、蒸して調理するとよいでしょう。ビタミンAを豊富に含むニンジンと、ビタミンCを含むキャベツ、ビタミンEを含むカボチャを使えば、全てのビタミンを一度に食べられます。
蒸し野菜サラダにすることで、栄養を余すことなく取り込むことができますよ。
キャベツは食べ過ぎるとお腹を壊す?
キャベツを食べ過ぎてしまうとお腹を壊すという話を聞いたことはありませんか?これは、キャベツに含まれる不溶性食物繊維と水分が起因していると考えられます。
豊富な水分と不溶性食物繊維が大腸を刺激し過ぎてしまうことで、下痢などを起こしてしまうことがあるのです。
しかし、あくまで、食べ過ぎた場合の話です。どんな食べ物でも、同じものを異常に食べ過ぎれば体に不調をきたすことがあります。適量を食べていれば、キャベツに含まれる水分や不溶性食物繊維は体にとってよい働きの方が大きいでしょう。
まとめ
キャベツの栄養について紹介してきました。ビタミンCやビタミンU、ビタミンK、カリウム、カルシウム、食物繊維などさまざまな栄養成分をもつキャベツは、「食べる薬」とも呼ばれています。
豊富な栄養をあますことなくいただくためにも、食べる時は生で食べ、加熱するなら茹で汁まで全て飲み干す方がよいということも分かりましたね。
キャベツの栄養から得られる効果はさまざまなものがあるので、ぜひ効率的に摂取できる方法で食べてみてください。