懐かしの駄菓子「ポン菓子」は実験の失敗から生まれた?歴史や作り方を解説
みなさんポン菓子というお菓子をご存知ですか?駄菓子の定番として子どものときによく食べていたという人も多いのではないでしょうか。
この記事では、ポン菓子の各地の呼び方やルーツ、アレンジ方法なども紹介します。ポン菓子についての意外な事実をご紹介していきましょう。
この記事でわかること
- ポン菓子はお米を膨張させたお菓子
- 移動販売などでオレンジのセロファン袋に入れて販売されたことから「にんじん」と呼ばれることが多かった
- ポン菓子は実験の失敗から偶然生まれたお菓子
ポン菓子とは
サクサク食感と優しい甘さが特徴的なポン菓子。幼い頃「ドンッ!」と響く大きな音を聞くと、ポン菓子の移動販売車を探しにでかけたという人もいるのではないでしょうか。
ポン菓子とは、穀物に圧力をかけ急激に減圧することで膨らませた食品のことを言います。駄菓子として販売されているものは米を使ったポン菓子が多いです。
砂糖やキャラメル、チョコなどで甘く味付けされたものの他、塩味、カレー味などバリエーションの豊かさも特徴と言えるでしょう。また、食紅などで赤く着色したポン菓子も有名です。
ポン菓子に加工できる材料
駄菓子として販売されているポン菓子は原料に米を使っていますが、改めて思い返すと「小さい頃に食べていたポン菓子ってお米だったんだ」と驚く人もいるでしょう。「トウモロコシだと思っていた」という人や「パンをサクサクにしたものだと思っていた」なんて人もいます。
実は、米以外にも加圧によってポン菓子に加工できる材料はいろいろあります。
- 米(白米、玄米)
- オオムギ
- コムギ
- ソバ
- 餅
- トウモロコシ
- 銀杏
これらの材料はポン菓子のように加圧と減圧をすることで膨らみます。米で作ったポン菓子は消化の良さや食感の良さで人気ですが、地方では他の材料でポン菓子を作ることもあるんだとか。機会があればぜひ、米以外のポン菓子も味わってみてはいかがでしょうか。
ポン菓子の色々な呼び方
ポン菓子はさまざまな呼び方があることでも有名です。
- ポンポン菓子
- パンパン菓子
- ぱんぱんまめ
- ポン
- ドン
- バクダン(爆弾あられ)
特に、米から作ったポン菓子は以下のような呼び名があります。
- こめはぜ
- ポンはぜ
- どんこめ
- ぽん豆
- ぱっかん
- ポッカン
- パン豆
- たん豆
- パフ
- パットライス
- パフライス
- ポップライス
地域によっても呼び方が変わるようで、北海道ではドン菓子やドンまめ、長野や群馬ではとっかん、福井では米はじきなどと呼ばれているそうです。
懐かしのポン菓子「にんじん」って知ってる?
全国でさまざまな呼び名のあるポン菓子ですが、全国的に「にんじん」と呼ばれることが多いことをご存知でしょうか?
知らない人からすると「にんじん味のポン菓子なの?」と思われることも多いですが、いたって普通の甘いポン菓子です。
ポン菓子の移動販売が全国で人気を博した頃、製造したポン菓子は味付けをしてそのまま包装し販売されるのが一般的でした。その際、パラパラのポン菓子をオレンジ色で円錐形のセロファン袋に入れる業者が多かったため、子ども達から「にんじん」と呼ばれ親しまれていたのです。
名前にピンと来ない方も、きっと実物を見れば「あれのことか!」と納得することでしょう。「にんじん」は移動販売がなくなった現在も販売されています。
ポン菓子は実験の失敗から偶然生まれた
強い加圧と減圧の工程を経て作られるポン菓子は、1900年代初頭のミネソタ大学に誕生のルーツがあると言われています。
穀物について研究していたアレクサンダー・ピアース・アンダーソン氏が米を試験管に入れてオーブンで加熱する実験を行っていたところ、誤って試験管に蓋をしてしまったそうです。試験管は破裂してしまい、実験は失敗。しかし、そこで破片の中に膨化した米を見つけました。
これに目を付けたアンダーソン氏は特許を取得し、シリアル製造大手のクエイカーオーツ社との共同研究・開発によってパフライスを完成させました。1904年に行われたセントルイス万国博覧会で大砲型の穀類膨張機をお披露目し、大きな爆発音と共に完成するパフライスは世界中の注目を浴び、瞬く間に各国に広まったそうです。
そんなパフライスが日本に伝わったのは1950年代と言われており、日本では穀物膨張器の軽量化に成功しました。これによって移動販売が可能になり、日本全国でポン菓子ブームが巻き起こったと言われています。
ポン菓子の作り方
大きな爆発音と共に完成するポン菓子ですが、その作り方はあまり知られていません。続いては、ポン菓子がどのように作られているのか見ていきましょう。
加圧
一定の加圧がかかった所で、一気に減圧すると内部の水蒸気が勢いよく飛び出し大きな爆発音がします。このとき、水蒸気の爆発によって米が元の10倍程に膨れ上がります。
しかし、この時点ではほとんど何の味もしないサクサクのお米です。
味付け
出来上がったポン菓子を味付けします。定番の甘いポン菓子は砂糖を煮詰めたもので味付けしているケースが多いです。
砂糖が固まってしまう前に手早く全体に絡め味付けをします。
その他、チョコやキャラメル、塩、カレーなど味付けのバリエーションも豊富です。
形成・包装
味付けした後は、形成したり、バラバラのまま包装したりします。ポン菓子の形もさまざまで、定番の俵型の他、丸型や四角型、おにぎり型、動物型などさまざまなものがあります。
移動販売では、形成せずにバラバラの状態で包装されているものが多かったですね。
ポン菓子は専用の機械じゃないと作れないの?
ふとポン菓子が食べたいなと思い「家でポン菓子を作れないかな?」と思う人もいるでしょう。
レシピサイトなどを見ていると、茶封筒とレンジを使ってポン菓子を作る方法や玄米をフライパンで炒って作る方法なども見かけますが、どれも売られているようなポン菓子の仕上がりにはなりません。
やはり、加圧と減圧が必要なポン菓子は、専用の穀物膨張機を使わないと作れないでしょう。
ポン菓子のカロリーは高いの?
ポン菓子は、100gあたり410kcalと言われています。実は、白米100gあたりのカロリーが168kcalなので、かなり高カロリーなお菓子と言ってもよいでしょう。原料は白米ですが、水あめや砂糖などを使って味付けされるため、どうしてもカロリーは高くなってしまうようです。
しかし、ポン菓子は白米が10倍に膨らんでいる状態のため、100gとなると信じられないような量になります。実際に、「にんじん」と呼ばれる円錐型の袋に入っているポン菓子の容量は10~15gほど。カロリーに換算すると41~61kcal程度です。
少量であれば、ダイエット中のオヤツにしても大丈夫でしょう。ダイエット中、どうしても甘い物が食べたくなった時にはポン菓子を少しつまんでみてはいかがでしょうか。
ポン菓子のアレンジいろいろ!もっと美味しく食べてみよう
そのまま食べても充分美味しいポン菓子ですが、近年さまざまなアレンジも話題になっています。
シリアル風
甘いポン菓子は牛乳に浸すと、シュガー味のシリアルのように食べることができます。果物などを入れると栄養のバランスもよく、子どもの朝食にもぴったりです。
マシュマロバー
ヨーロッパでは定番のマシュマロバー。溶かしたマシュマロをポン菓子に絡めて冷やし固めるだけの簡単お菓子です。一手間加えるだけで、マシュマロの甘さとポン菓子のサクサク食感がくせになる美味しいスイーツに大変身します。
チョコバー
シンプルで素朴な味のポン菓子は他のお菓子と調和しやすく、チョコと絡めて冷やし固めれば簡単にチョコバーを作ることができます。お米が原料のポン菓子を使うことで、腹持ちもよく小腹が空いた時にぴったりのオヤツになります。
お粥
塩味やカレー味のポン菓子は、お粥にすることもできます。最初は驚く人が多いでしょうが、原料がお米なのでお粥になるのも納得です。お湯や出汁と一緒に煮るだけで、お米やご飯から作るよりも手早く消化の良いお粥ができるため、体調が良くない時の食事にもおすすめです。
湿気たポン菓子が完全復活!美味しく食べる裏技
ポン菓子はとても湿気に弱いお菓子です。湿気てしまうと特有のサクサク食感が損なわれてしまい美味しさも半減してしまいます。
そこで、湿気たポン菓子を復活させる裏技を紹介します。
電子レンジを使う方法
お皿にポン菓子を入れてラップをかけず600Wで約30秒加熱するだけで、サクサクの食感が復活します。30秒でまだ湿気が残っている場合は10秒ずつ様子を見ながら加熱してみてください。
フライパンを使う方法
フライパンを使う場合は、ポン菓子をフライパンに入れて加熱するだけで湿気が飛びます。焦げてしまわないよう火加減は中~弱火をキープしましょう。一粒食べてみてサクサクに仕上がっていれば完成です。
まとめ
昔なつかしのお菓子、ポン菓子について紹介してきました。ポン菓子は、お米由来の消化にも良いお菓子です。成長期の子どもや緩くダイエットをしたいという人にもぴったり。さまざまなアレンジなどにも挑戦してみて、ポン菓子を美味しく味わってみてください。