「パスタ」と「スパゲッティ」の違いってなんだっけ? 名称には太さや形状など定義がある

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パスタとスパゲッティの違いをご存じでしょうか。なんとなくおしゃれな言い方がパスタ? それとも麺のような形状がスパゲッティで、マカロニのような短いものがパスタ? それ、全部間違いです。

今回は、パスタとスパゲッティの違いと麺の太さによるソースとの相性など、料理の幅が広がる情報をお届けします!

この記事でわかること

  • スパゲッティはパスタの一種
  • パスタはロングパスタとショートパスタの2つに分けられる
  • パスタの食感の違いは伝統製法か新製法かで異なる
  • パスタの原料はデュラムセモリナ
  • 北海道ご当地ラーメン
  • スープカレー特集

パスタとスパゲッティのちがい

製麺

本場イタリアでは、小麦を練って作ったもの全般を「パスタ」と言います。なので、スパゲッティはパスタの一種になります。また、太さや形状ごとにいろんな名前がつけられているというのもパスタの特徴です。ここでは、本記事のメインテーマでもある「パスタ」と「スパゲッティ」について解説します。

パスタとは

「パスタ」はイタリア語で「麺類」の意味です。ただし、イタリアでは麺状のものに限らず、小麦粉を練って作った食品をすべてパスタと呼びます。私たち日本人が想像する「スパゲッティ」の類はロングパスタ、マカロニやファルファッレなどはショートパスタと呼ばれます。ラビオリやニョッキなどもパスタの一種ですよ!

スパゲッティとは

パスタの乾麺

スパゲッティはパスタの一種で、日本ではJAS規格で「1.2mm以上の太さの棒状、または2.5mm未満の太さの管状に成形したもの」と定義されています。

なのでパスタとスパゲッティは別のものではなく、パスタが総称、スパゲッティはその中の1つなのです

日本におけるパスタとスパゲッティの歴史

パスタが初めて日本に伝わったのは、幕末の外国人居留地と言われています。その後、明治時代にフランス人宣教師が長崎にマカロニ工場を作りましたが、まだまだ一般家庭に普及はしていません。

日本の一般家庭でパスタが食べられるようになったのは昭和30年代からです。昭和30年、「マ・マー(日本マカロニ)」がマカロニを発売した当時は、サンプルを配っても生のまま食べて怒り出す人や、変わったロウソクなどと言われていたようです。

パスタの製造

当時はパン用の強力粉を使って作られていたマカロニも、海外旅行に行く人が増え、外国風の料理が広く受け入れられるようになると、より本場の味わいを求める人が増え、デュラムセモリナのパスタが求められるようになります。昭和36年には輸入したデュラムセモリナ100%のパスタが作られるようになり、昭和40年からは日本の工場でデュラム小麦を挽く設備が整ったことから、一般家庭に浸透していきました。

現在では、ゆで時間を短くするために、麺に切れ込みを入れた独特の形状の早ゆでパスタも売られています。


本場と呼び名が違う!? 日本独自のスパゲッティ文化

日本人がパスタとスパゲッティを混同してしまう原因のひとつに、日本独自のメニューが関係しているとも考えられます。ランキング媒体にもよりますが、日本ではミートソース、トマトソース、たらこ(明太子)、ペペロンチーノ、カルボナーラが人気上位を占めています。

ミートソースパスタ

ですが、ミートソースは日本独自のもので、本場イタリアではボロネーゼと言われます。しかも、ボロネーゼには平打ち麺を使うことが決まりなんだとか。日本のミートソースは、日本人の好みに合わせ、少し甘めに作られています。また、喫茶店の王道メニュー「ナポリタン」も同様に日本独自のものです。

たらこパスタ

そして、好きな人も多いであろう「たらこパスタ」は日本で誕生したメニューで、誕生当初は『たらこスパ』と呼ばれていましたよね? 最近でこそ『たらこパスタ』と呼ばれるようになりましたが、この辺りにもパスタをスパゲッティを勘違いしやすい要因になっているように思えます。

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北海道太平洋沖で水揚げされたスケトウダラの卵を丁寧に処理。丁寧な手仕事だからこそ、たらこ本来の風味をしっかりと感じられるのが特徴です。1個200g入りが2つセットになってこのお値段。たっぷりと贅沢に使って「たらこパスタ」はいかが?

正しく知ろう! パスタの分類

国産のパスタはJAS規格によって名称が決められています。規格は4種類に分けられていますが、これはイタリアのものに比べるととても幅の広い分け方です。イタリアンの店やパスタ専門店などで聞く種類は、ここに含まれていません。

マカロニ

2.5mm以上の太さの管状、またはその他の形状(棒状または帯状のものを除く)に成形したもの。
サラダやグラタンなど幅広く使用されます。ショートパスタは全てここに含まれます。

スパゲッティ

1.2mm以上の太さの棒状、または2.5mm未満の太さの管状に成形したもの。
ナポリタンやミートソースなど、日本人になじみ深いメニューによく使われます。

バーミセリ

1.2mm未満の太さの棒状に成型したもの。スパゲッティの細麺タイプとも言えるものですが、
イタリアのヴェルミチェッリは逆にスパゲッティより太い麺を指します。

ヌードル

帯状に成形したロングパスタのことです。平打ち麺などがこれに当たります。

パスタの種類はなんと650種類以上

ロングもショートも含めると、パスタの種類は650種類以上に及びます。ロングパスタでも太さの違いによって様々な名称があり、ショートパスタの大きさや形状は覚えきれないほど! ここでは、日本でも手に入りやすい代表的なものを見ていきましょう。

ロングパスタとは

ロングパスタ

日本での規格とイタリアでの呼び方は少し違います。日本ではスパゲッティは1.2mm以上2.5mm未満とされていますが、イタリアでは2mm前後のものをスパゲッティと呼び、1.6~1.7mmのものは「より細いもの」という意味でスパゲッティーニと呼びます。

また、日本ではスパゲッティより細い1.2mm未満のものをバーミセリと呼びますが、イタリアにおけるバーミセリ(ヴェルミチェッリ)は2.1~2.2mmの、スパゲッテイよりもやや太い麺を指します。スパゲッティとバーミセリは、国産の商品と輸入商品で太さが違ってくるので、買い物の際はちゃんと太さを確認したほうがよさそうですね。

一般的に、太くしっかりとした麺ほど、クリーム系や濃厚トマト系、肉系などの重いソースに合うとされ、細くなるほどあっさりとしたソースやオイル、スープなどに合うようになります。その中でも、楕円形の断面をもつリングイネは万能型と言えるでしょう。正円の断面よりもソースがからみやすいので、基本的にどんなソースにも合います。

ロングパスタ(イタリア基準)
ヴェルミチェッリ 2.1mm~2.2mm ミートソース、クリーム系、濃厚トマト系など
スパゲッティ 1.9mm~2.0mm ミートソース、ナポリタン、トマト系など
スパゲッティーニ 1.6mm~1.7mm オイル系のソース、たらこ(明太子)、トマト系など
フェデリーニ 1.4mm~1.5mm オイル系のパスタ(さっぱりめ)、海鮮系、スープパスタなど
カッペリーニ 1.3mm以下 冷製パスタなど
リングイネ 幅3.0mm×厚み1.0mmの楕円 クリームソース、ミートソース、たらこ(明太子)など
タリアテッレ 幅5.0mm×厚み1.0mmの平打ち クリームソース、ボロネーゼなど
※フェットチーネよりもやや柔らかい食感のものが多い
フェットチーネ 幅7.5mm×厚み1.0mmの平打ち クリームソース、ボロネーゼなど
※タリアテッレよりも弾力に富み、歯切れの良い食感が特徴

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「ひでちゃん小麦®のパスタ」は1袋150g入りで、おおよそ2人前。日本の規格でスパゲッティに分類される太さです。ご家庭で手軽に楽しめるように、フライパンで茹でることができるように独自製法で仕上げており、約5分で茹であがります。はるゆたか小麦特有の豊かな香りと風味、もっちりと弾力のある食感がたまりません!

ショートパスタとは

ショートパスタ

ロングパスタ以上に千差万別なのが、ショートパスタです。すぐに思い浮かぶのはマカロニですが、これは日本の規格では「2.5mm以上の太さの管状またはその他の形状(棒状または帯状のものを除く)に成形したもの」と定義されていますが、イタリアではマッケローニと呼び、直径3~5mmの円筒状のものとされています。

形状の他、表面に筋があるかないかという違いもあります。例えばペンネはペンや羽根などを意味するイタリア語を語源としていますが、本来のペンネは、マッケローニと同じようにつるっとした表面のパスタです。表面に筋があるペンネはペンネリガーテと呼ばれます。

ロングパスタと同じように、ひとつひとつが大きく、食感のしっかりしたものほど重いソースに合います。また、表面に筋がついているものはソースが絡みやすい特徴もあります。リガトーニやマニケ、ペンネなど、太い筒状になっているパスタは空洞にソースが入り込む美味しさもありますね。

ショートパスタ(イタリア基準)
マッケローニ 直径3~5mmの円筒状 サラダ、グラタン、チーズソース、クリームソースなど
リガトーニ 麺の表面にすじのある直径8mm~15mm前後の円筒状 濃厚トマトソース、ミートソース、クリームソースなど
マニケ 20mm~30mm前後の円筒状 濃厚トマトソース、ミートソース、クリームソースなど
筒の中に肉や野菜を詰めて料理されることも
ペンネ ペン先のように斜めにカットされたもの トマトソース、バジルソース、アラビアータなど
ファルファッレ 約23mmcm×約32mmの蝶型 オイル系、クリーム系、サラダ、スープ
コンキリエ 約20mm×約40mmの貝殻型 トマトソース、煮込み、サラダ、グラタン
※小さなものはコンキリエッテ、大きなものはコンキリオーニ
フジッリ(スピラーレ) 幅10mm×長さ40mmのらせん形 サラダ、スープ、オイル系、
ラビオリ 縦横30mm前後 生地2枚の間に具を挟み込んでカットするパスタ。ソースは中の具に合わせて
ニョッキ 20mm×30mm前後 クリームソース、トマトソース、ジェノベーゼなど

長さだけじゃない! パスタは製法による違いもある

ロングパスタとショートパスタ、それぞれの形状による名前の違いの他に、実はもうひとつ違いがあります。それがブロンズダイスとテフロンダイスです。これはパスタを作る際の製法の違いで、この違いによりパスタの食感が変わり、合うソースも変わってくるのです。

パスタは、デュラムセモリナ粉という小麦粉に水を加えて練り、「ダイス」と呼ばれる、たくさんの小さな丸い穴が開いた型に生地を通して、細長いパスタの形をつくります。このダイスがブロンズ製かテフロン製かで、味わいに違いが出てくるのです。

ブロンズダイス製法の特徴

ブロンズダイスは伝統的な製法です。イタリアではもともとブロンズダイスしかありませんでした。ダイスから押し出される時にパスタの表面に小さな凹凸がつき、ざらついた仕上がりになります。そのため、乾燥させる時には低温で長時間かけないと生地が崩れてしまうので、手間がかかる製法とも言えます。

ですが、この極薄い溝がパスタの食感をモチモチにし、ソースを絡みやすくしてくれるのです。

ブロンズダイス製法に合うパスタ

ボロネーゼ

ソースがよく絡むため、トマトソースや肉系のソースなどがよく合います。

テフロンダイス製法の特徴

20世紀前半に開発されたのがテフロンダイス製法です。ダイスからするっと生地が抜けるため、パスタの表面がつるつるした感触に仕上がります。高温・短時間で乾燥させることができるので、大量生産に向いている製法でもあります。日本のパスタはテフロンダイス製法で作られていることが多いようです。

テフロンダイス製法に合うパスタ

ペペロンチーノ

つるりとした感触のパスタは、シコシコで喉ごしがよく、ペペロンチーノなどさらりとしたオイル系のソースによく合います。

パスタの原料「デュラムセモリナ」ってなに?

クスクス

一般にパスタの原料になるのはデュラムセモリナです。パスタの原材料名を見ると「デュラム小麦のセモリナ」などと書かれていますね。

「セモリナ」とは穀物を粗く挽いた粉のことを指します。そして、デュラム小麦は一般的なパンやうどんを作る小麦とは全く違う品種で、強力粉よりもグルテンを多く含み、麺にした時に強いコシを生み出す品種です。

パスタ

デュラム小麦は国内ではほとんど栽培されていないため、国産パスタも原料のデュラム小麦はカナダなどから輸入しています。国産のデュラム小麦の栽培も始まっているので、こちらも今後期待したいですね!

まとめ

パスタとスパゲッティの違いから、パスタのいろいろな名称や製法の違い、日本のパスタの歴史を調べてみましたが、いかがでしたでしょうか?

イタリアでもパスタは家庭料理のひとつです。おしゃれな専門店で食べるのももちろん美味しいですが、パスタの形状や製法まで吟味して、自宅で美味しいパスタを作ってみるのはいかがですか?


writerprof_minagawa
皆川 今日子
ライター
札幌在住。旅行誌を中心に、観光・グルメ系メディアにて執筆中。趣味は料理とゲーム。長年、掃除を苦手としていることで悩んでいたが、「掃除に必要な才能を生まれ持たなかった」と割り切ることで気が楽になった。