キュウリにも栄養はある?水分だけではない、知られざる栄養と美肌効果
キュウリはサラダや漬物など、「あともう一品欲しい!」という時の強い味方。みずみずしく、パリッとした食感が特徴のキュウリですが、「栄養はない」と思われることも多い野菜です。
しかしキュウリには、様々な栄養が含まれていることをご存じでしょうか? この記事では、キュウリの意外な栄養とその効果について解説。北海道でキュウリ栽培が盛んな地域についてもご紹介します。
- キュウリは低カロリー&ミネラルやビタミンが含まれている
- キュウリにはデトックスや美肌・ダイエット効果も
- 北海道の空知・上川地方はキュウリ栽培が盛ん
この記事でわかること
キュウリは低栄養?
そもそも、なぜ「キュウリは栄養価が低い」と言われることが多いのでしょうか? ギネス世界記録を見てみると、キュウリについて以下のような記載がされていました。
キュウリは『Least calorific fruit』(訳:カロリーの最も低い果実)
カロリーが低い=「キュウリは栄養素が低い野菜」という認識が広まったのかもしれません。キュウリの可食部100g当たりのエネルギーは14kcalと、確かに低カロリー。
95%が水分のキュウリですが、実際はビタミンやミネラルなどの栄養素も多く含まれている野菜なんです。
キュウリの主な栄養成分
キュウリ(可食部100gあたり)の主な栄養成分は、以下のとおりです。
タンパク質 | 1.0g |
---|---|
脂質 | 0.1g |
炭水化物 | 3.0g |
カルシウム | 26mg |
鉄 | 0.3mg |
カリウム | 200mg |
βカロテン | 330μg |
ビタミンB1 | 0.03mg |
ビタミンB2 | 0.03mg |
ビタミンC | 14mg |
食物繊維 | 1.1g |
5大栄養素に絞って、同じ夏野菜のナスやトマトと比較すると以下の通りです。
キュウリ | ナス | トマト | |
---|---|---|---|
カリウム | 200mg | 220mg | 210mg |
マグネシウム | 15mg | 17mg | 9mg |
ビタミンC | 14mg | 4mg | 15mg |
ビタミンK | 0.034mg | 0.010mg | 0.004mg |
食物繊維 | 1.1g | 2.2g | 1.0g |
キュウリは、ナスやトマトと比べても劣らない栄養があることがわかります。カリウムはキャベツやレタスの1.1倍、βカロテンは実にナスの3.3倍、ビタミンCはトマトと同程度の栄養素があるので、優秀な食材と言えるでしょう。
続いて、それぞれどんな働きをする栄養素なのかもう少し詳しくみていきましょう。
カリウム
キュウリに含まれるカリウムは、五大栄養素であるミネラルの一種です。生命維持に欠かせない栄養素であるカリウムは、体内の過剰なナトリウム(塩分)を排出する大切な働きがあります。塩分摂取量が多い傾向にある日本では、カリウムは意識して取り入れたい栄養素です。
カリウムは、ほうれん草やニンジンなどにも多く含まれますが、水に溶けやすい栄養素。茹でると成分が流れてしまうので、食べ方に注意が必要です。生のまま食べられるキュウリは「カリウムを効率よく吸収できる野菜」といえるでしょう。
βカロテン
キュウリは、淡色野菜の中でもβカロテンの含有量がトップクラス。その量はなんとナスの3.3倍です。キュウリのグリーン部分に含まれるβカロテンには、強力な抗酸化作用があり、免疫力の強化やがん予防にも効果的です。
βカロテンの一部は、体内で必要な分だけビタミンAに変わります。ビタミンAは、ビタミンDやビタミンEなど、他の栄養素の働きをサポートします。またビタミンAは、皮膚や粘膜を強くする栄養素でもあります。
マグネシウム
魚介や海藻に多く含まれていて、神経伝達の制御や血管を拡張させて血圧を下げる働きがあります。骨の強さを保つ効果もあるので、骨粗しょう症の予防にも期待されています。骨粗しょう症は加齢や生活習慣、女性ホルモンの低下などで発症する女性に多い病気。
飲酒やストレスなどでマグネシウム不足になっている人が多いので、積極的に摂取したい栄養素です。
ビタミンK
骨にカルシウムが沈着するのを促したり、流出を防いだりする働きがあります。
コラーゲン生成の促進や骨質改善にも効果があり、骨粗しょう症の治療薬の成分です。ビタミンKが不足すると骨密度の低下につながるので、意識して摂取しましょう。
ビタミンC
キュウリに含まれるビタミンCは、皮膚や骨に含まれるコラーゲンを作るために欠かせない栄養素です。
コラーゲンは、体の約30%を占めるタンパク質。健康や美容の維持に欠かせない成分です。そのコラーゲンの生成をサポートする栄養素が、ビタミンC。ビタミンCは人の体内でつくることができない栄養素のため、食品から取る必要があります。
淡色野菜であるキュウリのビタミンC含有量は、緑黄色野菜であるトマトと同程度。さらにビタミンCは、水に弱い栄養素です。長時間水にさらしたり茹でたりすると栄養が流れてしまうので、キュウリのぬか漬けやサラダなどの食べ方は、効率よくビタミンCが取れるおすすめの食べ方といえるでしょう。
なお、ビタミンCが生成するコラーゲンそのものは、風邪や病気などへの抵抗力を高めたり、貧血に効果があるヘム鉄の吸収を助けたりする働きがあります。
食物繊維
大腸にある細菌に分解されると善玉菌の餌になります。善玉菌が増えて腸内環境がよくなると、便秘知らずに。ナトリウム(塩分)を排出するので血糖値の上昇を抑えたり、血液中のコレステロール濃度を下げたりする働きもあり、高血圧を予防する効果もあります。
キュウリの栄養がもたらす嬉しい効果
キュウリには、ミネラルやビタミンなど健康や美容に役立つ栄養が含まれていることがわかりました。では、キュウリの栄養素には具体的にどのような効果があるのでしょうか? 主な効果を3つに分けてご紹介します。
デトックス効果
キュウリに含まれるカリウムは、余分な塩分を体外に出す効果があります。利尿作用がはたらき、むくみ防止にも役立ちます。
また、キュウリには「ホスホリパーゼ」という脂肪を分解する酵素が含まれています。体内の脂肪を分解して排出するので、デトックス効果が期待できます。
美肌効果
キュウリに含まれるビタミンCは、皮膚のもとになるコラーゲンの生成をサポートしています。さらにシミやそばかすのもとになるメラニンの生成を防ぐため、肌の美白効果も期待できます。
また、キュウリの表皮に含まれるβカロテンは、ビタミンAになると皮膚や粘膜を強くする働きがあります。抗酸化作用もあるので、肌の炎症やダメージを防いでくれる効果も。
整腸作用
キュウリには食物繊維も含まれています。食物繊維には、便秘の解消や腸内環境を整える効果があります。腹持ちが良いので、ダイエットにも効果的です。さらに血糖値の上昇を抑えたり、コレステロール値を下げたりする働きも。
食物繊維は不足しがちなので、サラダなどの食事で積極的に摂りたい成分です。
キュウリの基本
キュウリの素晴らしい栄養とうれしい効果について理解したところで、これから積極的にキュウリを食べるためにも旬や産地についても知りたいところ。ここでは、旬の時期や生産量などについてお伝えします。
キュウリの旬
キュウリの旬は6~9月です。しかしながら冬場も暖かいハウス栽培が行われているため、一年を通して生産されています。
キュウリの生産地と生産量
キュウリの栽培に適した温度は20〜30℃。温暖で日照量が多い気候がキュウリには向いています。そのためキュウリの収穫量が多いのは、日照時間が長い九州地方や関東地方です。
以下は、キュウリの国内生産量(収穫量)ランキングです。
順位 | 都道府県 | 収穫量(t) |
---|---|---|
1 | 宮崎県 | 60,700 |
2 | 群馬県 | 55,800 |
3 | 埼玉県 | 46,100 |
4 | 福島県 | 38,500 |
5 | 千葉県 | 27,700 |
※出典:農林水産省2020年産都道府県別・品目別の作付面積、収穫量及び出荷量
北海道でもキュウリは栽培されている!
ちなみに北海道でのキュウリの生産量は、16,300t(※令和3年時点)。北海道で採れたキュウリは、ほとんどが道内へ出荷され、消費されているといいます。
道内のキュウリ栽培が盛んな主な地域は、道央空知地方の深川市、上川地方の鷹栖町、当麻町。中でも道内一のキュウリ生産量を誇るのは、深川市です。
深川市の道の駅『ライスランドふかがわ』には、なんと「きゅうりアイス」という珍しい名物もあるとか!? ぜひ一度食べてみたい一品ですね。
おいしいキュウリの見分け方
栄養があり熱中症予防にもなるキュウリ。せっかくならおいしいキュウリを買いたいですよね。売り場でたくさん並べられているなかから、おいしいキュウリを選ぶポイントをご紹介します。
おいしいキュウリを選ぶ3つのポイント
- 濃い緑色でハリがある
- 太さが均一で太すぎない
- イボがとがっている
色が濃くハリがあり、イボがある品種の場合はイボに触ると痛いくらいにとがっているものが新鮮です。
太さに偏りがあったり太すぎたりするキュウリは、太い部分に水分がたまり、空洞になっている可能性が。水分が不足したり実が成長しすぎたりすると空洞になるといわれています。
キュウリの表面の白い粉は、農薬ではない
表面に白っぽい粉が出る「ブルームキュウリ」。農薬と勘違いされがちですが、キュウリ自身が出しているブルームとよばれるものなので安心してください。
暑さや寒さから守ったり、水分の蒸発を防いだりする役割があります。最近は日持ちのするブルームのないキュウリが主流になっていますが、パリッとした触感などにこだわってブルームキュウリを栽培している生産者もいます。
冷凍もOK? キュウリをおいしいまま保存する方法
せっかく新鮮なキュウリを選んで買ってきても、保存方法が悪いとすぐに傷んでしまうことも。キュウリに適した保存方法を紹介します。
キュウリの鮮度を保つ保存方法は?
キュウリを保存するときは、以下の4つの点に気をつけましょう。
- 夏は野菜室、冬は冷暗所で保管
- 水分をふきとる
- キッチンペーパーや新聞で包む
- 立てて保存する
キュウリの保存に適している温度は10~15℃。夏は野菜室、冬は室内の冷暗所での保存がおすすめです。キュウリは収穫されたあとも水蒸気を放出しています。
自分で放出した水蒸気が表面につき、そこから腐り始める可能性があるので、キッチンペーパーなどで水分を吸収させます。立てて保存するのは、栽培されていた状態で保存すると長もちするからです。
キュウリは丸ごと冷凍できる
スーパーの安売りで大量に買ったり、農家さんから何本もいただいたりしてすぐに食べられないときは、新鮮なうちに丸ごと冷凍するのがおすすめ。
水気をとって1本ずつラップで包んで冷凍用保存袋に入れ、空気を抜いて口をとじ、冷凍庫で保存します。2~3週間ほど保存が可能です。
解凍はラップで包んだままの状態で、3分ほど冷水をかけて半解凍にしたあと、ラップをとり水気を絞ります。好みの大きさに切り、水気が残っている場合は絞ってから料理に使いましょう。全解凍すると食感がそこなわれるので、半解凍にするのがポイントです。
まとめ
キュウリにはむくみや骨粗しょう症の予防をしたり、肌を健やかに保つ効能があったりするので、女性にとってうれしい野菜です。
スーパーで一年中売られていて、お手頃価格なのもうれしい限りです。おいしいキュウリの見分け方と保存方法も参考にしていただき、ぜひ毎日の食事に取り入れてみてください!