北海道の日本酒が旨い! 道内の酒蔵この1本

北海道の日本酒が旨い! 道内の酒蔵この1本の画像

全国津々浦々で造られている日本酒。酒造りを行う環境や酒造のこだわりによって、個性豊かな1本が日々製造されています。寒さ厳しい北海道でも多くの酒蔵があり、気候や恵まれた自然を生かして、丹精込めた酒を世に送り出していますよ。この記事では、北海道で有名な酒造の代表的な銘柄をご紹介。北の大地で日本酒づくりが始まった理由や酒の特徴にも触れていますので、ぜひ参考にしてみてください。

この記事でわかること

  • 北海道の日本酒造りは江戸時代から始まった
  • 冷涼な気候、米づくりに適した環境が日本酒造りでプラスに
  • 淡麗辛口でキリっと爽やかな味わいが特徴
  • 北海道ご当地ラーメン
  • スープカレー特集

北海道の日本酒の歴史

北海道の日本酒の歴史

北海道で日本酒づくりが始まったのは江戸時代。道南に位置する函館や松前などで行われていた記録があります。当時の生産量は少なく、しばらくは本州の日本酒が飲まれていましたが、北海道に開拓使が置かれ、開拓がスタートしてから本格的に日本酒造りが始まりました。

明治5年に柴田與次右衛門が酒屋を開き、徐々に日本酒を生産していきます。人口が増えるとともに日本酒の知名度も上がり、明治35年には200もの蔵元が誕生。大正12年には、道内で飲まれる9割の酒が北海道産となり、日本酒が道内に定着しました。

高度経済成長期にピークを迎え、ビールのシェア拡大や大手メーカーの参入で苦戦するなど、激動の時代を過ごしながら、平成のはじめごろに起きた地酒ブームがきっかけで息を吹き返します。全国的に日本酒が人気になり、北海道の日本酒にも注目が集まっていきました。

北海道が日本酒造りに適している理由

北海道が日本酒造りに適している理由

北海道が日本酒造りに適しているのは、全国的に冷涼な気候であることが理由のひとつです。日本酒は冬に仕込みが行われるのが基本です。原料のお米が秋に収穫されること、酒造りに欠かせない発酵は低温で進みやすくなることが、冬に日本酒造りが盛んな理由。厳しい寒さの冬を迎える北海道は、低温状態を実現しやすく、美味しい日本酒を作りやすい気候条件が整っていると言えます。

また、美味しい米がつくられる日本有数の米どころということも、日本酒造りに適している理由でしょう。清酒づくりに適した米である酒造好適米が1998年に初めて作付けされ、現在では「吟風」「彗星」「きたしずく」という3種類の酒造好適米が道内で育てられています。酒米の品質はたんぱく値の低さが基準になり、北海道の酒造好適米は他の地域に負けない数値を実現。道民だけではなく、全国にファンが増え、北海道の酒米を使った日本酒を求める人が多くなっています。

北海道で造られる日本酒の特徴

北海道で造られる日本酒の特徴

北海道の日本酒に共通していることが多いのが、「淡麗辛口」の味わい。辛口は、日本酒に含まれる糖分が低く、酸度が高い味わいのことで、スッキリと飲むことができます。淡麗はキリっと爽やかな風味で飲みやすく、口当たりがなめらかなのが特徴。寒い地域でつくられる日本酒は辛口のことが多く、新潟県や福井県も淡麗辛口の銘柄が多いです。

また、北海道の日本酒の多くは純米酒となっています。純米酒とは、米・米麹・水だけで造られた日本酒のこと。吟醸酒や本醸造酒には醸造アルコールが加えられていますが、純米酒では使用しません。米本来の味わいを楽しめるのが特徴で、お米づくりが盛んな北海道だからこそ美味しい純米酒が多いと言えるでしょう。

さらに、細部までこだわった酒造りをしているのも北海道の日本酒の特色。酒造りで行われる精米において、米の表層を磨く割合を精米歩合と言います。この割合が高いとスッキリとした味わい、低いとコクのある味わいになりやすく、酒造りの腕の見せどころです。北海道の日本酒をつくる酒造では、精米歩合を高めたり、独自の製法を取り入れたりして、味わいに磨きをかけています。

北海道で日本酒造りに取り組む酒造一覧

北海道酒蔵マップ

ここからは、北海道で日本酒造りを行う酒造をエリア別にご紹介します。酒造や銘柄の特徴をチェックして、気になる日本酒を見つけてみてくださいね。

道央エリア

金滴|金滴酒造株式会社

金滴酒造株式会社

金滴酒造株式会社は、明治39年に創業された酒造。徳富川(とっぷがわ)の伏流水、地元の酒造好適米「吟風」と「きたしずく」を使用し、水と米にこだわった地酒づくりに取り組んでいます。すっきりした味わいから濃醇な味わいまで幅広い『金滴』があり、好みに合わせて選べるのも嬉しいポイントです。

住所 北海道樺戸郡新十津川町字中央71-7
電話番号 0125-76-2341
営業時間 平日8:30~17:30、土日・祝祭日10:00~16:00
アクセス JR新十津川駅から車で約4分

北の錦|小林酒造株式会社

小林酒造株式会社

小林酒造株式会社は、稲作が盛んな栗山町に位置しています。肥沃な大地で収穫された北海道産米を100%使用し、米の甘さを感じられる酒質にこだわっているのが特徴です。米の個性に合わせた酒造りを基本とし、『北の錦』をはじめとした質の高い日本酒を世に送り出しています。

住所 北海道夕張郡栗山町錦3丁目109番地
電話番号 0123-72-1001
営業時間 8:30~17:00
アクセス 札幌方面から車で約40分
備考 駐車場あり

千歳鶴|日本清酒株式会社

日本清酒株式会社

日本清酒株式会社は、北海道で日本酒づくりを始めた柴田與次右衛門が開いた柴田酒造店がルーツ。明治30年に札幌酒造株式会社、大正13年に札幌酒造株式会社となり、昭和3年に日本清酒株式会社となりました。『千歳鶴』は全国新酒鑑評会で14年連続金賞に輝いたこともあり、全国的に知名度がある日本酒です。代表銘柄『千歳鶴』以外にも、『柴田』『雪原の舞』など様々なお酒を展開しています。

住所 北海道札幌市中央区南3条東5丁目2番地
電話番号 011-221-7106
営業時間 8:30~17:30
アクセス JR白石駅から車で約8分

宝川|田中酒造株式会社

田中酒造株式会社

田中酒造株式会社は、明治32年に小樽市色内町で創業されました。2019年には創業120年を迎え、創業以来代表銘柄『宝川』をつくり続けています。北海道の気候を生かして年中酒造りを行う四季醸造を採用。米に北海道産の酒造好適米、仕込み水に小樽天狗山の伏流水を使用しています。『宝川』は、純米酒や純米大吟醸、スパークリングなど豊富なラインナップも魅力です。

住所 北海道小樽市色内3丁目2-5
電話番号 0134-23-0390
営業時間 9:05~17:55
アクセス 小樽駅から徒歩で約10分
備考 駐車場あり

道北エリア

男山|男山株式会社

男山株式会社は、江戸時代に親しまれていた『男山』を現代に受け継ぐ酒造。大雪山の伏流水と厳選した酒造好適米を使用し、淡麗辛口のキリっと爽やかな味わいを追求しています。1977年のモンドセレクション出品を皮切りに、現在20か国以上で愛されているのも特徴です。例年2月に行われている酒造開放は多くの人が訪れ、造りたてのお酒が楽しまれています。

住所 北海道旭川市永山2条7丁目1-33
電話番号 0166-48-1931
営業時間 9:00~17:00(資料館)、10:00~15:00(酒造)
アクセス 旭川空港から車で約30分
備考 駐車場あり

国士無双|髙砂酒造株式会社

髙砂酒造株式会社は、豊かな水資源と道産米を生かし、旭川で日本酒づくりに取り組む酒造です。旭川は北海の灘と呼ばれ、四季を通じて良質な水に恵まれています。代表銘柄『国士無双』は道産米を90%使用し、雪の中で低温でじっくり熟成。まろやかな味と香りを雪国ならではの製法で実現しています。大吟醸酒や季節限定酒など、ラインナップも様々です。

住所 北海道旭川市宮下通17丁目右1号
電話番号 0166-23-2251
営業時間 8:30〜17:30
アクセス JR旭川駅から徒歩約15分

国稀|国稀酒造株式会社

国稀酒造株式会社

国稀酒造株式会社は、明治15年に増毛町で創業された日本最北の酒造。呉服屋や海運業、ニシン漁などを営んだ本田泰蔵が醸造業に手を広げたのが始まりです。見学もできる酒造は、当時の雰囲気を残す佇まいで、昔ながらの風情を感じられます。酒造りのモットーは、良いお酒は携わる人たちの和によって生まれるという「和醸良酒」という言葉。『国稀』や『鬼ころし』、『北酔』など、美味しいお酒を多く手掛けています。

住所 北海道増毛郡増毛町稲葉町1丁目17
電話番号 0164-53-1050
営業時間 9:00~17:00(酒造見学は9:00~16:30)
アクセス 旭川市街から車で約2時間
備考 駐車場あり
【期間限定価格】国稀吟醸酒粕ケーキ
パティスリー ジョリ・クレール
【期間限定価格】国稀吟醸酒粕ケーキ
1,980(税込)

ジョリ・クレールの親ブランドでありルーツでもある和菓子店「末廣軒」が、北海道の酒造「国稀酒造」とコラボして誕生したパウンドケーキです。包装を開けた瞬間からフワッと日本酒の香りが広がり、口の中でも日本酒の濃厚な風味が感じられます。

上川大雪|上川大雪酒造株式会社

上川大雪酒造株式会社は、大雪山のふもとにある上川町に「緑丘蔵」、十勝に「碧雲蔵」、函館に「五稜乃蔵」という3つの蔵で酒造りを行っています。道産の酒造好適米と上川町の天然水を原料に使用し、大きなタンクを使わず一つひとつ丁寧につくっているのが特徴です。「飲まさる酒(ついつい飲んでしまう酒)」を目指して、『上川大雪』など上質な日本酒を生み出しています。

住所 北海道上川郡上川町旭町25番地1
電話番号 01658-7-7388
営業時間 10:00〜16:00(冬期は0〜17:00)
アクセス JR上川駅から徒歩約4分

三千櫻|三千櫻酒造株式会社

三千櫻酒造株式会社

三千櫻酒造株式会社は、岐阜中津川で誕生し、2020年に東川町で再スタートを切りました。町で初めての酒造であり、米どころならではの上質な素材や豊かな環境を生かし、これから何百年も愛される酒造りに取り組んでいます。使用する酒米に合わせて、『愛山 純米大吟醸』『彗星 純米大吟醸』『きたしずく 純米大吟醸』を取り揃え、季節限定でにごり酒も展開していますよ。

住所 北海道上川郡東川町西2号北23番地
電話番号 0166-82-6631
営業時間 10:00~15:00(ショップ)
8:30~16:30(事務所)
アクセス JR旭川駅から車で約25分

道南エリア

二世古|有限会社 二世古酒造

有限会社 二世古酒造は、リゾート地としても有名なニセコエリアにある酒造。自然に恵まれた環境を生かし、ニセコワイス山系の雪清水や羊蹄山の噴出し湧水をお酒に使用しています。加水調整は一切せずに原酒にこだわっているのも特徴。代表銘柄である『二世古』は純米原酒と純米酒を取り揃えています。

住所 北海道虻田郡倶知安町字旭47番地
電話番号 0136-22-1040
営業時間 9:00~17:00
アクセス JR俱知安駅から徒歩約10分

GOHHOU|箱館醸蔵 有限会社

箱館醸蔵 有限会社

箱館醸造 有限会社が醸すのは『GOHHOU(郷宝)』。熟練の蔵人が酒米の質や気候に合わせた水分量などを判断し、精米歩合を絶妙に調整しているのが酒造りの特徴です。純米、特別純米、純米吟醸、純米大吟醸をラインナップし、どれも酒造好適米「吟風」「彗星」をそれぞれ100%使用しています。優しい酸味の後に旨みを感じる純米、キレの良い後味が爽やかな特別純米、フルーティーな香りが特徴的な純米吟醸から好みの1本を選んでみてはいかがでしょうか。

住所 北海道亀田郡七飯町大中山1-2-3
電話番号 0138-65-5599
アクセス JR七飯駅から車で約7分

道東エリア

北の勝|碓氷勝三郎商店

碓氷勝三郎商店

碓氷勝三郎商店は、日本・北海道の最東に位置する根室市の酒造。恵まれた自然環境、透き通った空気、はっきりした四季など酒造りの条件がそろっており、古くから日本酒がつくられています。『北の勝』は、明治20年に誕生した歴史ある銘柄です。酒造りに適した土地柄はもちろん、代々受け継がれてきた技術が芳醇で繊細な味わいをつくりあげています。

住所 北海道根室市常盤町1丁目6番地
電話番号 01532-3-2010
アクセス JR根室駅から徒歩約7分

福司|福司酒造株式会社

福司酒造株式会社

福司酒造株式会社は大正8年に誕生し、大正11年から現在の酒造蔵が建てられ、『福司』づくりが始まりました。「福を司る」「福を招く」「幸運を呼ぶ」といった願いが込められていると言われています。米と仕込み水は主に北海道産を使用。近年は、古くから愛される『福司』はもちろん、吟醸酒や本醸造酒、リキュールなど幅広いお酒を展開しています。

住所 北海道釧路市住吉2-13-23
電話番号 0154-41-3100
営業時間 平日10:00〜16:00
土曜日10:00〜14:00
アクセス JR釧路駅から車で約10分
備考 駐車場あり
writerprof_sugawara
菅原 光拳
ライター / フリーエディター
札幌生まれ、北広島市育ち。学生時代に釧路で環境と自然教育を学んだのち、卒業後も北見を拠点に道東で7年間を過ごす。現在は北海道観光をはじめ、ライフスタイルメディアなど多様なジャンルの記事を執筆中。