地域で違う節分の豆。北海道の節分は「落花生」をまく
一年間の節目として厄払いを行う節分。炒った大豆を撒いて鬼(厄)を追い払うイベントですが、地域によって豆の種類が違うことをご存知ですか? 北海道では、節分で落花生をまくのが一般的とされています。
この記事では、北海道の節分について解説します。北海道で落花生がまかれる理由や、北海道以外の節分に落花生を使う都道府県も紹介。記事の後半では余った落花生の保存方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてみて下さい。
この記事のまとめ
- 北海道では節分に落花生をまく
- 北海道で落花生をまく理由は「衛生的」「見つけやすい」「栄養価が高い」の3つが有力
- 北海道以外にも節分に落花生をまく地域がある
節分とは
節分は本来、立冬、立春、立夏、立秋に行う厄払いの儀式です。季節の変わり目に厄を払い、新しい季節の平和と健康を願うことを目的に行われて来ました。現在では簡略化されて立春の時期に、1年間の厄払いと翌1年間の平和と健康を願い行われるイベントです。
厄を払うために祈祷を施した炒り大豆を投げて、厄の象徴と言われる鬼を追い払います。
北海道は節分で落花生をまく
豆まきの際には炒り大豆を投げるのが一般的ですが、北海道では落花生をまくことが多いです。
節分は室町時代に中国から伝わった風習ですが、落花生は明治時代頃に国内での栽培が開始。つまり、北海道では明治時代以降に節分で落花生をまくようになったと考えられます。
落花生の収穫量が国内で安定してきたのは昭和30年頃なので、この頃から北海道で落花生を使った豆まきが行われていたという説もあるようです。
地域によっては旭豆を使う場合も
北海道の多くの地域で節分には落花生が用いられていますが、旭川周辺では「旭豆」というお菓子を投げる家庭もあるそうです。
旭豆は炒った大豆を使った豆菓子のこと。てんさい糖と小麦粉が使われており、優しい甘さと金平糖にも似た見た目が特徴的です。節分のお菓子に用いられていいて、豆まき用の豆とは別に用意する家庭もあるんだとか。
北海道で節分に落花生を使う理由
中国から伝わった風習として炒り大豆を使うとされていた豆まき。どうして北海道では落花生をまくようになったのでしょうか?
これにはさまざまな説がありますが、有力な理由として以下の3つが挙げられます。
【理由1】外へまいた時に雪上でも見つけやすい
節分が行われる2月、北海道全域で雪が積もり一面銀世界になります。「鬼は外」と、家の外に炒り大豆をまくと雪に埋もれて見えなくなり後片付けが大変なことに。
そこで、大豆よりも大きく雪の中でも見つけやすい落花生を使うようになったのではないかと言われています。
外での見つけやすさは勿論ですが、大豆と比べると家の中でも十分見つけやすく後片付けが簡単にできるのもポイント。掃除が楽にできるからという理由で豆まきに落花生を使う家庭も多くあります。
【理由2】厳しい寒さを乗り切る栄養源に丁度良いから
北海道では厳しい寒さを乗り越えるために、栄養のある食事が欠かせません。特に、カロリーは代謝によって熱に変わため、豪雪地帯の冬の乗り越えるのに欠かせない栄養分です。
落花生は大豆の1.5倍程のカロリーを含む豆類。そのため、寒さ厳しい2月に食べることでしっかりと栄養を確保しようとしたのではないかと考えられています。
豆まきをした後は、本来年齢の数だけ炒り大豆を食べますが、落花生は1歳につき1粒と数える家庭が多いです。落花生の中に複数の豆が入っていても殻が1つなら1個とカウントします。必然的に年齢よりも多くの豆を食べることになりますが、寒い冬を乗り越えるためには必要なカロリーです。
【理由3】衛生的に豆を食べれるから
豆まきをすると当然、豆は床や屋外に落ちてしまいます。床に落ちた豆をそのまま食べるのに、抵抗感を持つ人も少なくないでしょう。豆まきの前に室内をしっかり掃除するという家庭も多いですが、それでも床に落ちた豆をそのまま口に運ぶのは悩ましいですよね。
一方、落花生は殻を剥いて中身の豆だけを食べるため床に落ちても衛生的。こういった理由から落花生を豆まきに使っているという説もあります。
節分に落花生を使う都道府県は北海道以外にもある
北海道で豆まきに落花生を使う風習を紹介してきましが、実は北海道以外にも豆まきで落花生を使う都道府県があります。
青森や秋田、宮城、長野、新潟などは、北海道と同じく豪雪地帯。寒さを乗り越えるためや、雪の中でも見つけやすいという理由から落花生で豆まきをしているのではないかと考えられています。
また、落花生の生産量が多い、千葉や宮崎、鹿児島でも豆まきに用いられているそうです。特に落花生の生産量日本一の千葉は、県の特産品としてアピールするために2010年から落花生の豆まきを始めました。生産の多い土地では大豆より安く手に入るというのも理由の一つと言えるでしょう。
節分で落花生が余った時の保存方法
節分の豆まき用に落花生を購入したものの、年齢の数だけ食べると余ってしまいますよね。余った落花生は適切に保存しておけば、後でも美味しく食べられます。
落花生の状態によって保存方法が変わるため、購入した落花生に適した方法で保存して下さい。
生落花生の場合
生落花生は水分を多く含み足が早いので、茹でて保存するのが基本です。
茹でる時は3%の濃度になるよう塩を入れて落し蓋をしましょう。中火で約40分加熱すると中までしっかり火が通ります。
茹で上がった落花生は水を切って完全に冷ました後、キッチンペーパーなどで包みタッパーもしくは保存袋などに入れて冷蔵庫で保管できます。茹でた落花生も足が早いので、早めに食べきって下さいね。
また、同じ方法でゆでた落花生の殻を剥き、豆だけを冷凍保存することも可能。ただし、冷凍保存した落花生は必ず再加熱してから食べるようにしましょう。
乾燥生落花生の場合
乾燥させた生落花生は長く保存できますが、適切な方法をとらないと味が落ちてしまいます。特に、保存するときは湿度を避けるのがポイント。密封できる保存袋に乾燥材と共に入れ、冷蔵庫で保管しておくのがおすすめです。
また、豆を取り出してしっかり密封・空気抜きをして冷凍保存もできます。冷凍保存すると、味が劣化しにくく美味しい状態をキープできますよ。食べる時にはフライパンで炒ると、美味しく頂けます。
まとめ
北海道で豆まきに落花生を使う理由について紹介してきました。寒さの厳しい豪雪地帯だからこそ、豆まきに落花生を使うのがベストな方法だったということがよく分かりましたよね。
また、寒さに関係なくても「掃除が楽」「衛生的」といった理由は、他の都道府県も共通なのではないでしょうか?ぜひ、次の節分は節分では落花生を使った豆まきをしてみてはいかがですか。