ホタテの旬は2回ある?さばき方や解凍方法の豆知識をご紹介
生でも焼いても美味しいホタテは子どもから大人まで多くの人に好まれる貝として有名です。スーパーなどでは1年中見かけるホタテですが、一番美味しく食べられる旬のものは一味違います。
この記事ではホタテの旬について徹底解説。旬の時期のホタテの特徴や生産地、さばき方などについても紹介しています。いつも食べているものより、さらに美味しいホタテを食べたいという人はぜひ参考にしてみて下さいね。
この記事のまとめ
- ホタテの旬は冬と夏の年2回
- 天然ホタテはほとんどが北海道産
- 殻付きホタテは軍手とステーキナイフで簡単にさばける
ホタテとは
ホタテは二枚貝網イタヤガイ科の軟体動物。冷たい海を好み、三陸海岸以北の浅瀬に生息しています。
植物プランクトンを主食にして育ち、孵化してから4~5年で15cm程度まで貝殻が成長し、寿命は約10年と言われています。
敵が近付いてくると、二枚の貝殻の間から水を吹いて泳ぐこともできる珍しい貝としても知られています。
天然ホタテと養殖ホタテの違い
近年、養殖の技術が発展し、ホタテは1年中高品質なものを食べられるようになってきました。
海外などからも輸入されるため、旬の時期に関係なくスーパーなどで見かけることも多いでしょう。
ホタテの養殖方法
ホタテの養殖方法には地撒き式と垂下式の2種類あります。
地撒き(じまき)式
稚貝を浅瀬に撒いて海底で育てる
垂下(すいか)式
籠養殖 | ネット状の籠に稚貝を入れて海中で吊るして育てる |
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耳吊り養殖 | 稚貝の一部に小さな穴を開けてテグスなどを通し、縄に結んだ状態で海中に吊るして育てる |
地撒き養殖は、稚貝を放流するものの、ホタテ自体は自由に動き回って成長します。エサとなる植物プランクトンも自然界に生息しているものなので、天然ものに劣らない味わいに育つのが特徴です。
日本の優れた養殖技術によって、養殖ものも天然ものに見劣りしない美味しさだと言われています。
ホタテの旬
ホタテの旬は冬と夏の年2回あります。それぞれに違った味わいのホタテを楽しめるのが特徴です。
続いては、ホタテの旬の時期やそれぞれの特徴について紹介していきます。
【旬その1】冬のホタテの特徴
ホタテの産卵時期は春。そのため12~3月の冬のホタテは産卵に備えて卵が大きく育っているのが特徴です。
冬は垂下式で養殖されたホタテの最盛期でもあります。卵がよく育った冬のホタテは旨味の強い出汁が出るため、煮物や汁物にピッタリ。一方で、卵が大きくなるのと比例して貝柱は小さくなります。
【旬その2】夏のホタテの特徴
ホタテは5~8月頃の夏の時期にも旬を迎えます。夏のホタテはドンドンと貝柱を太く大きく成長させるため、BBQなどで焼きホタテにするのもおすすめ。夏のホタテは甘みも強いので、お刺身で食べても美味しいですよ。
夏は地撒き式で育ったホタテが最盛期を迎えます。ぜひ、食べ応え抜群の夏のホタテも味わってみて下さいね。
養殖ホタテは1年中美味しく食べられる
近年ホタテの養殖技術はとても高度なものになっています。餌も天然ものと同じ植物プランクトンを与えるため、天然ものに引けを取らない美味しさになるんだとか。
1年中安定して流通しているのも養殖ホタテの魅力です。天然ホタテの旬の時期を逃してしまった場合には、養殖ホタテを選んでみても良いでしょう。
ベビーホタテって何?
近年、スーパーなどでよく見かけるようになったベビーホタテ。小振りですが、料理などに使いやすいとして人気を集めています。
ベビーホタテとは、養殖中のホタテを大きく育てるために間引かれたものです。成長途中のため、貝柱は小振りですが旨味があり焼き物や煮物などさまざまな料理で活躍します。
ベビーホタテが出荷されるのは間引きが行われる冬から春にかけて。流通するという意味なら、ベビーホタテの旬は冬から春にかけてだと言えますね。
天然ホタテの生産地は北海道が大半を占める
「どうせホタテを食べるなら、旬の天然ものを味わってみたい」という人は、旬の時期に北海道を訪れてみてはいかがでしょうか。
ホタテの生産地は北海道と青森が大半を占めています。その中でも、天然ホタテの出荷量が最も多いのは北海道。青森では養殖ホタテが多く出荷されています。
北海道漁業協同連合会の調査によると、令和2年の全国のホタテ水揚げ量は513,000t。その内、北海道で水揚げされた天然ホタテは363,000tで全体の71%を占めています。
出典:北海道漁業共同組合連合会
紋別は最高級ホタテが水揚げされると有名
北海道の中でも、冷たい海とホタテの餌となる豊富なプランクトンがいるオホーツク海側では、特に美味しいホタテが水揚げされると言われています。
北海道の北東部に位置する紋別も、しっかりと育ったホタテが水揚げされることで有名な地域。ずっしりとした貝柱の特大ホタテが水揚げされます。
日本で初めてホタテの稚貝放流をした猿払
北海道で紋別と同じくホタテの生産地として有名なのは猿払です。猿払では、日本で初めてホタテの稚貝放流事業を開始。今では、ホタテ御殿とも呼ばれる家が立ち並び、ホタテの水揚げ量の多さや品質の良さで有名となりました。
旬のホタテを選ぶ際のポイント
旬のホタテを購入する際は、より美味しいものを選ぶ目利きも必要です。しっかりとホタテの選び方を押さえて、鮮度の良いものや食べ方に合わせたものを選びましょう。
新鮮なホタテを選ぶポイント
ホタテを選ぶ際には以下のポイントに注目してみて下さい。
- 殻が欠けていない
- 殻をつつくとすぐに閉じる
- 殻が少しだけ開いている
- 貝柱がぷっくりと盛り上がっている
- 貝柱に艶や透明感がある
- 貝柱に重みがある
貝類は口が開いていると「死んでいるのかな?」と思う人もいますが、それは大間違いです。少しだけ口が開いて、触った瞬間にパタンと閉じてしまうホタテは新鮮な証。反対に、殻がずっとピッタリ閉じてしまっているものは死んでいることがあります。
ただし、殻がぱっくりと広く開いている場合には鮮度が落ちている可能性も。殻付きのホタテを選ぶ時は数ミリ程度の隙間があるものを選んでみて下さい。
雄と雌を見分けるポイント
ホタテは雄と雌で味わいなどに大きな違いはありません。しかし、卵を味わいたいのなら、雌を選ぶ必要がありますよね。
ホタテは生殖巣の色で雌雄を見分けることができます。生殖巣が白っぽいものは雄、ピンク色っぽいものが雌。火を通すとホクホクになる卵を味わいたいという人は、ピンクっぽい生殖巣に卵がついている雌を選んでみて下さい。
【手順解説】ホタテのさばき方
新鮮なホタテを殻付きで購入した場合は、殻を開けてさばく必要がありますよね。続いてはホタテのさばき方について紹介していきます。
用意するもの
- 軍手
- ステーキナイフ
【STEP1】殻を持つ
ホタテは上下同じ殻がついている訳ではありません。まずは、開けやすい持ち方をしましょう。
ホタテをさばく際には、平らな方を上側、膨らんでいる方を下側にして持ちます。ホタテの殻は鋭利になっているので、怪我をしないよう必ず軍手をして持って下さい。
【STEP2】ナイフを入れる
殻の隙間からステーキナイフを入れ、下側(膨らんでいる方)に向かって差し込みます。
殻から貝柱を剥がすように動かしましょう。この時、ナイフではなく殻を動かすと貝柱が綺麗に剥がれやすくなります。
【STEP2】殻を開く
貝柱が剥がれたら、ナイフをゆっくりと回転させるようにして殻を開きましょう。
ホタテをさばく時の注意点
新鮮なホタテの場合は、ナイフを差し込んだ段階でぴったりと殻を閉じてしまうことがあります。その際、無理矢理ナイフを動かすと貝柱や身を傷付けてしまうことも。
動かさずに静かに待っていると段々と殻が開いてくるので、それまで待ちましょう。
また、閉じた殻に指を挟まれないように注意することもお忘れなく。
ホタテには食べられない部分もある
普段から殻付きのホタテをさばいて食べる機会は、あまり多くないでしょう。そのため、ホタテには食べられない部分があることを知らないという人も少なくありません。
ホタテには「ウロ」と呼ばれる黒い球体の器官があります。これは、中腸線という器官でホタテが食べた餌の内容によっては毒素が貯まってしまう部分。そのため、ウロは一般的に食べられないとされています。
市販されているホタテの場合、人体に影響を及ぼす程の毒素を持っていることは殆どありません。しかし、念のため自分でホタテをさばいた際にはウロを取っておくのが良いでしょう。
冷凍ホタテを解凍する方法
旬のホタテを生で食べたいのはやまやまですが、輸送中に鮮度が落ちてしまうことを考えると冷凍されたものを選びたいという人も多いでしょう。
冷凍ホタテは、上手に解凍しないと旨味が流れ落ちてしまうことも。続いては、やってはいけない解凍方法から、正しいやり方まで紹介します。
やってはいけない解凍方法
冷凍ホタテを解凍する際、自然解凍や電子レンジを使った解凍はやめましょう。
自然解凍では、解凍していく過程で旨味成分が流れ落ちてしまいます。旨味がなくパサついた食感になってしまうため、自然解凍はおすすめできません。
また、電子レンジを使った解凍もNGです。電子レンジを使うと、手早く解凍できる一方で解凍ムラができてしまったり、加熱し過ぎて身が固くなってしまうことも。
どうしても時間が無く電子レンジを使う場合には、キッチンペーパーの上に冷凍ホタテをおいて半解凍に留めておきましょう。
冷凍ホタテを生で食べたい場合の解凍方法
冷凍ホタテを解凍後、お刺身やカルパッチョなど生で食べたい場合には以下の解凍方法がおすすめです。
- ボウルやバットに氷を敷き詰める
- 小さじ1杯の塩を氷に振りかけて全体に馴染ませる
- 氷の上二冷凍ホタテを並べる
- ふんわりをラップをして常温で5時間程放置する
氷に使った塩は、ホタテに殆ど味がつくことはありません。解凍後は洗わずそのまま生で食べてみて下さい。
冷凍ホタテに火を通して食べたい場合の解凍方法
冷凍ホタテを解凍後、焼き物や煮物、汁物など火を通して食べたい場合には以下の解凍方法がおすすめです。
- ホタテ、と氷を同量程度ボウルに入れる
- 浸るまで水を入れる
- そのまま20分程放置する
- ホタテについた氷を剥がす
火を通す場合には、こちらの簡単な解凍方法でも美味しく解凍できます。もちろん、生で食べたい場合の解凍方法で解凍したホタテに、火を通しても美味しく食べられますよ。
ホタテに関する豆知識
最後に、ホタテに関する豆知識を紹介します。
ホタテは栄養豊富
ホタテはアミノ酸やグリコーゲン、タウリン、ミネラルなどを豊富に持つ魚介としても有名です。特に、ウマミ成分であるアミノ酸が豊富なため、甘みを感じやすく味わい深いのも魅力のひとつですよね。
鉄や亜鉛などのミネラルも豊富に含むので、貧血になりやすいという人にもおすすめ。高たんぱく低脂質な貝類なので、ダイエットをしたいという人にもぴったりですよ。
「ホタテの日」は毎月18日
毎日さまざまなものの記念日がありますが、毎月18日は「ホタテの日」として制定されていることを知ってますか?
これは、青森県漁業競争組合連合会とむつ湾漁業振興会が合同で制定した記念日。ホタテの「ホ」という字を崩していった時に「十」と「八」に分けられることから、毎月18日に決められたとも言われています。
まとめ
ホタテについて、旬の時期や産地、さばき方などを解説してきました。高度な保存技術によって年中食べられるホタテですが、北海道でとれる天然ホタテは旬の時期が一番美味しくなります。
北海道に足を運ぶのが難しいという人は、是非旬の時期に北海道から生ホタテを取り寄せてみてはいかがでしょうか。取り寄せた生ホタテは、今回紹介したさばき方で簡単に殻を開くことができます。
ぜひ、通年のものとは一味違う旬の絶品ホタテを味わってみて下さいね。