本ししゃもと樺太ししゃも(カペリン)の違いを解説!スーパーのししゃもは偽物って本当?
食卓の一品やお酒のツマミとして人気のししゃも。身近なスーパーで手頃な価格で購入できる点からも、庶民の魚として知られています。しかし、本物のししゃもは高級魚で一般市場には多く出回らない魚。この事実を知らない人が多いでしょう。
この記事では、スーパーで売られているししゃもの正体や本物のししゃもについて解説。違いや見分け方、本物のししゃもの魅力も紹介しています。
この記事のまとめ
- 広く流通しているししゃもの正式名称は「樺太ししゃも(カペリン)」
- 本ししゃもと樺太ししゃもは違う魚
- 本ししゃもは高級品
- 本ししゃもの旬は10~11月頃
スーパーで売ってるししゃもは偽物?樺太ししゃも(カペリン)とは
普段から食べているししゃも。実は品質表示で「樺太ししゃも」と表記されています。しかし、樺太ししゃもは日本の固有種である本物のししゃもとは違う魚です。
今までししゃもとして食卓に登っていたのは、実は本物のししゃもとは全く別の魚だったのです。まずは、樺太ししゃもがどのような魚なのか、何故日本で広く普及したのかについてみていきましょう。
樺太ししゃも(カペリン)とは
樺太ししゃもはキュウリウオ目キュウリウオ科の魚です。主に、アイスランドやノルウェー、グリーンランドなどの水温が低い地域に多く生息しています。
樺太英名は「カペリン」。現在日本に広く普及している樺太ししゃもの多くは北欧やカナダからの輸入品です。
ししゃもの代用品として普及
樺太ししゃもが日本に輸入されるようになったのは1970年頃。英名は「カペリン」で、見た目がししゃもに似ているという理由で「樺太ししゃも」と和名がついたと言われています。
安価で食べやすい樺太ししゃもは、当時不漁であった本物のししゃもの代用品として広く普及。反対に、漁獲量が減り続ける本物のししゃもは知名度が下がり続け、樺太ししゃもが日本の固有種である本物のししゃもだと勘違いしてしまう人が増えてしまいました。
本物のししゃもとは
何気なく食べていたししゃもは、本物のししゃもではなかった事実に驚く人も多いでしょう。続いては、日本の固有種である本物のししゃもについて紹介していきます。
本物のししゃもの生態
本物のししゃもは、樺太ししゃもと同じキュウリウオ目キュウリウオ科の魚ですが、日本にのみ生息するシシャモ属の固有種です。遡河回遊魚である本物のししゃもは、河で孵化した後に海を回遊し再び生まれた河に戻って産卵します。鮭と同じく河でも海でも生きられる魚です。
本物のししゃもの水揚げ時期と旬
本物のししゃもは毎年10月から11月にかけて産卵をするために生まれた河に戻ってきます。この約1ヵ月の期間が本物のししゃもの水揚げ時期となります。
オスもメスも産卵のために河を登ってくるため、一番栄養や身を付いた状態で水揚げされます。そのため、この時期のししゃもはとても美味しく食べられるでしょう。
本物のししゃもの漁獲量
本物のししゃもは年々漁獲量が減っていて、それに伴い価格も高騰。今では高級魚として限られたお店や、水揚げされる土地でしか買い求めるのが難しくなっています。
1970年代から徐々に減少した水揚げ量が1995年に一度盛り返したものの、2019年には約500tとなり今後も減少傾向になると予想されます。
現在では資源保護の対象にもなっているため、今後も漁獲量を増やすのは難しいでしょう。
本物のししゃもが水揚げされる場所
本物のししゃもは北海道南部の太平洋側にのみ生息していると言われ、北海道勇払群の鵡川(むかわ)町が漁獲量の多いことで有名です。
本物のししゃもの相場価格
本物のししゃもの代用品である樺太ししゃもは100g当たり200円程で取引されています。一方、本物のししゃもは100g当たり600円程の値段がつきます。大きさや、その年の漁獲量によっては更に高騰することもあるでしょう。
樺太ししゃも(カペリン)と本物のししゃもの見分け方
本物のししゃもと樺太ししゃもは、見た目が良く似ているからという理由で代用品に選ばれた過去があります。そのため、普段魚をマジマジと見ることのない人にとっては見分けが付きにくいかもしれません。
本物のししゃもと樺太ししゃもを見分ける際には以下のポイントに注意してみて下さい。
本物のししゃも
- 鱗が大きくクッキリして見える
- 干物の状態だと口が大きく開いている
- 生の状態では、ふっくら丸みを帯びて背中は黄色がかった魚体。お腹側は銀白色だったり赤みがかっている。
一方、樺太ししゃも(カペリン)は全体的に青みがかった銀色で、シュッと細長いスタイルをしており、まるで小さいサンマのように見えるものが多いです。
干物のなると見分けが難しいですが、生の状態でよく見比べてみると違いが分かりやすいですよ。
オスとメスで違う本物のししゃもの味
ししゃもは、オスとメスで味わいが全く違うのも魅力のひとつです。続いては、本物のししゃものオス・メスによって違う味わいについて紹介していきます。
脂がのった濃厚な味わいのオスししゃも
オスのししゃもは、卵を産まない分全身がふっくらとして栄養豊富で旨味が強く感じられます。ししゃもの風味や旨味を感じたいのであればオスを選ぶのがおすすめ。
ししゃも独特の風味を感じやすいので生で食べる際にはオスを使う事が多いです。
とろける甘さのメス子持ちししゃも
メスの魅力は何といってもお腹に抱えた卵でしょう。ししゃもを食べるなら子持ちししゃもが良いと言う人も多いです。
樺太ししゃもは卵がプチプチとしていますが、本物のししゃもの卵は全く違います。卵のとろけるような食感が特徴で口当たりが滑らかです。メスのししゃもは水揚げ時期の中でも、10月前半~半ばは身と卵が半々程で、魚肉の旨味と卵の風味両方を味わえます。また、11月に入るとたっぷりと卵を持ち、濃厚な子持ちししゃもになります。
本物のししゃもを美味しく食べるおすすめレシピ
ししゃもと言えば、干物を連想する人が多いでしょう。しかし、本物のししゃもが水揚げされる北海道では、ししゃもは様々な料理で食べられています。
本ししゃもの天ぷら
ししゃもの濃厚な旨味を丸ごと味わうなら、天ぷらがおすすめです。カラっと揚げたししゃもの天ぷらは、噛むごとに風味や旨味が広がり独特な甘みを強く感じられます。ししゃもの味をしっかり味わいたいなら、少量の塩で食べるのがおすすめです。
本ししゃもの甘露煮
ししゃもが多く水揚げされる地域では、甘露煮にすることもあるようです。ししゃもの身を崩してしまわないよう、時間をかけて煮た甘露煮はご飯のお供やお酒のツマミにも最適。高級魚ししゃもを使った贅沢な甘露煮を味わってみてはいかがですか。
本ししゃもの握り寿司
ししゃもはとても鮮度の落ちやすい魚なので、一般的には干物などの加工品にして出回ります。しかし、新鮮な内なら生で食べることもでき、その旨味や甘みは格別なもの。そんな本物のししゃもを贅沢に使った握り寿司は、甘みと豊かな風味の絶妙なバランスが人気の一品です。
本物のししゃもが水揚げされる鵡川町では、時期になるとししゃも寿司目当ての観光客が押し寄せることもあるそうです。
フライパン?魚焼きグリル?本物のししゃもの焼き方はホットプレートがおすすめ
通常、ししゃもはフライパンや魚焼きグリルで焼くことが多いですよね。しかし、もっと美味しく食べるならホットプレートで蒸し焼きにするのがおすすめです。
ホットプレートの上にアルミホイルを敷き、その上にししゃもを並べます。
少量の水で蒸し焼きにすると、身はふっくらで香り高くししゃもを焼き上げることができますよ。
まとめ
普段何気なく食べていたししゃもが、実はまったく違う魚だったというのは驚きですよね。本物のししゃもを食べた人の多くは「食べてみれば違いが分かる」と言います。是非、一度本物のししゃもを食べてみて、その味の違いを体験してみて下さい。