花粉症に効く食べ物とは?症状が悪化する可能性がある食べ物も紹介

春先になるとくしゃみや鼻水、目のかゆみなど、花粉症の症状に悩まされる方も多いのではないでしょうか。薬に頼るのもひとつの解決策ですが、日々の食事で症状を和らげることができたら理想的ですよね。実は、花粉症の症状を緩和する効果が期待できる食べ物がある一方で、逆に悪化させてしまう可能性のある食べ物も存在します。
こちらの記事では、花粉症対策として取り入れたい食べ物や、避けるべき食材について解説します。毎日の食生活を見直すことで、つらい花粉症の季節を少しでも快適に過ごしたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
この記事でわかること
- 花粉症は免疫反応によるアレルギー症状を起こす疾患
- 季節性アレルギー性鼻炎とは花粉症のこと
- ヨーグルトやきのこ、青魚は花粉症対策におすすめ
- ジャンクフードやアルコールは花粉症と相性が悪い
- 腸内環境の改善も花粉症対策につながる
花粉症とは?発症のメカニズムと症状で理解する
花粉症とは、体に入った花粉に対する免疫反応として、アレルギー症状を引き起こす疾患です。季節性アレルギー性鼻炎ともよばれます。
アレルゲンであるスギやヒノキなどの花粉が鼻腔内の粘膜に付着すると、体内で抗体が作られ、「マスト細胞」とよばれる組織と結合します。その後、再び花粉が侵入した際、マスト細胞からアレルギー物質が放出され、アレルギー症状を引き起こすメカニズムです。

また、花粉症の症状には以下があります。
花粉症の主な症状
- くしゃみ
- 鼻水
- 目のかゆみ
- 涙目
くしゃみや鼻水は花粉に対する人体の過剰反応のひとつで、花粉を体外に排出する役割があります。まぶたの結膜からアレルギー反応が起きた場合は、目のかゆみや涙目の症状が出ることがあり、涙で花粉を体外へ排出するという人体の防御反応です。
近年では季節性に加え、ダニなどの通年性アレルゲンによっても同様の症状が生じるケースが増えており、一年を通して悩まされる人も少なくありません。
花粉症に効く成分とは?期待できる効果を解説
花粉症に効くとされる成分には以下があります。
花粉症に効く成分
- 乳酸菌
- ビタミンD
- 食物繊維
- 不飽和脂肪酸
乳酸菌
乳酸菌は腸内環境を整えることで知られる善玉菌の一種です。近年では免疫調整作用が注目されており、花粉症対策としても乳酸菌の効果が期待されています。
腸は「腸管免疫」と言われる免疫細胞や抗体などが多く集まっている部位です。乳酸菌を摂取することで腸内の免疫バランスが整い、アレルゲンへの過剰な反応を抑えると考えられています。
乳酸菌にはさまざまな種類の菌属、菌種、菌株がありますが、特定の菌株が自然免疫系の活性と免疫のバランスを整え、花粉症のアレルギー症状を改善することが示唆されています。たとえば、以下の乳酸菌はスギ花粉症の人が接種すると症状が改善したという報告もあるため、乳酸菌飲料を飲むときに製品パッケージの詳細をチェックしてみましょう。
- ラクトバシラス・パラカゼイKW3110株
- ラクトバシラス・カゼイシロタ株
- ラクトバシラス・アシドフィルスL-55株とL-92株など
参照:Uchida, K. et al. Pathog. Basel Switz. 11, (2022)
また、ヨーグルトや発酵食品などに含まれる乳酸菌は、オリゴ糖を含む食材と併せて摂ることで腸内で増殖しやすくなり、より高い効果が期待できます。
ビタミンD
ビタミンDは骨の健康を保つ栄養素として知られていますが、近年では免疫機能の調整にも深く関わっていることが明らかになっています。
ビタミンDが不足すると、花粉症のような過剰な免疫反応を引き起こしやすくなるとされ、日頃からの摂取が重要です。ビタミンDは「Treg細胞」とよばれる免疫抑制細胞を誘導する働きがあるため、アレルゲンへの過敏な反応を緩和する役割が期待されています。
また、ビタミンDは日光を浴びることで体内合成が可能なほか、イワシや紅鮭、干しシイタケなどの食品にも多く含まれています。
食物繊維
食物繊維は腸内環境を整える働きがあり、花粉症の緩和にも効果が期待されています。食物繊維は水溶性と不溶性の2種類があります。水溶性食物繊維は腸内の善玉菌のエサとなり、免疫機能を向上させる役割があり、不溶性食物繊維は腸の動きを活発にして便通を促進する役割をもつ成分です。
食物繊維が腸内で分解されると「短鎖脂肪酸」とよばれる成分が生産し、短鎖脂肪酸が腸内環境を整え、免疫力の向上が期待できます。さらに、食物繊維によって腸内の酪酸も産生され、酪酸がアレルギー反応を抑えるTreg細胞を増加させると考えられています。
そのため、花粉症対策としてごぼうやキノコ、海藻、豆類、ナッツ、果物など食物繊維が豊富な食材を意識的に取り入れるのがおすすめです。
不飽和脂肪酸
不飽和脂肪酸は、花粉症の症状緩和に効果が期待される成分のひとつです。青魚に含まれるオメガ3脂肪酸(n-3系脂肪酸)のEPAやDHAは不飽和脂肪酸の一種で、免疫機能を調整し、炎症反応の抑制が期待できます。
オメガ3脂肪酸は抗体産生(IgE)を抑えてアレルゲンに対する過剰な抗体反応を減少させたり、免疫の暴走を防ぐ制御性T細胞(Treg)の働きを助けたりする働きがあります。さらに、皮膚や粘膜のバリア機能を改善し、アレルゲンの侵入を防ぐ働きもあるため、オメガ3脂肪酸は花粉症対策におすすめの成分です。
青魚のほかにも、サーモンやくるみ、アマニ油などにもオメガ3脂肪酸が含まれています。ただし、青魚やナッツ類は人によってアレルギー反応を引き起こす場合もあるため、体質に合わせて接種する食べ物を選択することが大切です。
花粉症に効くとされるおすすめの食べ物・飲み物

花粉症に効くとされるおすすめの食べ物・飲み物には以下があります。
花粉症におすすめの食べ物
- ヨーグルト
- きのこ類
- ブロッコリー
- れんこん
- 青魚(サバやアジなど)
- 緑茶
- チョコレート
- 梅干し
ヨーグルト
ヨーグルトは花粉症対策に役立つ食品のひとつです。ヨーグルトに含まれる乳酸菌は、人体に有益な効果をもたらす生きた善玉菌「プロバイオティクス」の一種です。近年の研究では、プロバイオティクスの摂取により、アレルギー性鼻炎の症状軽減や鼻粘膜の炎症抑制が期待できるとされています。
また、ヨーグルトは免疫反応を起こす抗体「IgE抗体」を直接抑えるわけではありませんが、免疫のバランスを整えることで花粉症の不快感を和らげる作用もあります。毎日少しずつ食べる習慣をつけるとともに、乳酸菌のエサになる水溶性食物繊維とヨーグルトを一緒に食べるとさらに効果的です。
きのこ類

きのこ類は食物繊維が豊富で、腸内環境を整えるのに効果的な食材です。特に、きのこに含まれる「β-グルカン」は、プロバイオティクスのエサとなる「プレバイオティクス」として働き、善玉菌の増殖を助けてくれます。
また、腸の健康が整えば免疫バランスも改善され、花粉症の症状緩和につながると考えられています。しいたけやまいたけ、えのきだけなど、日常の食事に取り入れやすいこともきのこ類の魅力です。
ブロッコリー

ブロッコリーは、花粉症の緩和に効果が期待される野菜です。ブロッコリーに含まれる「αリノレン酸」や「αリポ酸」には抗炎症作用があり、花粉症などアレルギー反応の抑制に役立つとされています。
さらに、ブロッコリーのビタミンCはレモンの約2倍(100gあたり)含まれているほか、ビタミンA、B2、E、カリウム、カルシウム、食物繊維なども多く含んでいるため、免疫力を高めるのにも役立つ食べ物です。つぼみだけでなく、茎や葉にも栄養が豊富なので、部位を問わず積極的に取り入れましょう。ブロッコリーとしめじ、木綿豆腐などを砂糖と塩であえた「ブロッコリーの白あえ」もぜひお試しください。
れんこん

れんこんは、花粉症対策に効果が期待される栄養素を多く含む野菜です。ポリフェノールやタンニンが多く含まれており、ポリフェノールは抗酸化作用を持つ色素成分で、花粉症などのアレルギー症状に効くとされています。タンニンもポリフェノールの一種で、IgE抗体の働きを抑制することで炎症や鼻水など花粉症の症状を抑える効果が期待できます。
ただし、タンニンは水に流れてしまう特性があるため、下処理でれんこんを水にさらす場合は、5分以内を目安にしましょう。また、れんこんには不溶性食物繊維も多く含まれているので、腸内環境の改善による花粉症の症状緩和や、便秘改善にも役立ちます。
青魚(サバやイワシなど)
青魚には、花粉症の症状を和らげる働きがあるとされるEPAやDHAといった不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。EPAやDHAは、アレルギー反応を引き起こす「ロイコトリエン」や「ヒスタミン」の働きを抑える作用があり、くしゃみや鼻水といった症状の軽減に役立つと考えられています。
サバやイワシ、アジ、サンマなどが代表的な青魚で、普段あまり魚を食べない人も意識して取り入れることで花粉症対策になります。
緑茶
緑茶に含まれる「カテキン」は、花粉症の症状緩和に役立つ成分として注目されています。カテキンはポリフェノールの一種で、抗酸化作用を持つだけでなく、「ヒスタミン」などのアレルギーを引き起こす神経伝達物質の放出を抑える働きもあると考えられています。
また、緑茶にはさまざまな品種がありますが、特に「べにふうき」「べにふじ」などの品種には、抗アレルギー作用が強いとされる「メチル化カテキン」が多く含まれ、花粉症対策におすすめです。メチル化カテキンは加熱しすぎると減少してしまうため、緑茶を淹れる際は、推奨された加熱時間を守りましょう。
チョコレート
チョコレートも花粉症対策にいいとされる食べ物のひとつです。チョコレートに含まれるカカオポリフェノールには、花粉症の症状をやわらげる可能性が示唆されています。
チョコレートを摂取すると体内でIgE抗体の生成が抑えられ、ヒスタミンの放出も少なくなる傾向があると言われており、アレルギー反応の軽減が期待されています。また、カカオポリフェノールはチョコレートだけでなくココアにも含まれており、甘いもので手軽に取り入れられるのも魅力です。
梅干し

梅干しも花粉症などアレルギー症状の緩和が期待できる食べ物です。和歌山県立医科大学の調査によると、女性において、梅を食べることによってアレルギー症状の予防や改善の可能性が期待できることがわかりました。
梅干しに含まれる香り成分「バニリン」には、花粉症の症状を抑える効果があるとされています。バニリンは細胞内に作用し、アレルギー反応を引き起こしにくくする働きがあると考えられています。1日1個の摂取で一定の効果が期待できるため、無理なく日常に取り入れられるでしょう。
花粉症の人は腸内環境の改善も大切
花粉症の症状緩和や予防には、腸内環境の改善も大切です。近年の研究では、腸内フローラ(腸内細菌)の乱れが免疫バランスに悪影響を与え、花粉症の発症や重症化に関与している可能性が指摘されています。特に、スギ花粉症の人では、バクテロイデス目の腸内細菌が多い傾向があり、これが免疫系に影響を及ぼす可能性があるとされています。
腸内環境を良好に保つ生活を送ることは、現在の花粉症対策だけでなく、将来的に別のアレルゲンに対する花粉症を発症しにくくするためにも重要です。そのため、花粉症対策の一環として、日々の食生活や生活習慣を見直し、日常的に腸内環境を意識したライフスタイルを送ることが大切になります。
花粉症が悪化する食べ物はある?

以下の食べ物は、花粉症が悪化すると考えられています。
花粉症が悪化する食べ物
- ジャンクフード
- 加工食品
- アルコール
ジャンクフード
ジャンクフードも花粉症を悪化させると考えられる食べ物です。ジャンクフードにはトランス脂肪酸が多く含まれており、アレルギー症状を悪化させる一因とされています。特に、マーガリンやショートニングなどが使われたスナック菓子やファストフードは注意が必要です。
週に何度もジャンクフードを摂取している人は、喘息やアレルギー疾患のリスクが高まるとされています。花粉症の症状を抑えたい場合は、ジャンクフードの頻度を減らし、よりバランスのとれた食事を心がけることが大切です。
加工食品
花粉症の人は加工食品にも注意が必要です。加工食品には多くの添加物や保存料が含まれており、これらが免疫システムに影響を与え、花粉症などのアレルギー反応を悪化させる可能性があります。
ジャンクフードはもちろん、冷凍食品にも添加物や保存料が多く含まれていることがあるため、できる限り加工食品を避け、新鮮な食材を使った食事を心がけることが大切です。
アルコール
アルコールも花粉症の症状を悪化させる可能性があるので弔慰しましょう。アルコールには血管を広げる作用があり、鼻腔の血流が増えることで、鼻づまりを悪化させることがあります。
さらに、ビールや赤ワインには、アレルギー反応を引き起こす物質「ヒスタミン」が含まれており、花粉症の症状を増幅させる可能性があります。そのうえ、アルコールはヒスタミンを分解する酵素「DAO」の働きを抑制するため、体内にヒスタミンが残りやすくなり、炎症やくしゃみといった症状を引き起こしやすいです。花粉症の時期には、飲酒を控えることも花粉症対策のひとつです。
花粉症の人が注意した方がいい食べ物
直接的に花粉症が悪化するというわけではありませんが、花粉症を発症すると「口腔アレルギー症候群(OAS)」を引き起こすことがあるため、注意しておくと安心な食べ物がいくつかあります。
トマト
スギ花粉症の人は、トマトを食べることで口の中や唇に違和感を覚える「口腔アレルギー症候群(OAS)」を起こすことがあります。
これは、トマトに含まれるタンパク質が、スギ花粉のアレルゲンに含まれるたんぱく質と似ているために起こる反応です。症状としては、ピリピリ感やのどの違和感などが挙げられます。
ただし、OASの症状を起こすタンパク質は熱に弱いため、加熱することで症状を防げる場合もあります。花粉症の症状が重いと感じる方は、加熱調理を試してみてはいかがでしょう。
メロン、スイカ
イネ科やカバノキ科の花粉症を持つ人は、メロンやスイカなどウリ科の食べ物でOASの症状が現れることがあります。メロンやスイカを食べた後、口の中のピリピリ感や喉の違和感を覚える場合は、イネ科植物の花粉症体質が疑われます。
また、カバノキ科の植物にはシラカバが挙げられ、北海道を中心に東北や関東でも見られる植物で、飛散時期は主に4月〜6月です。カバノキ科の花粉症の人は、メロンやスイカのほか、りんごやさくらんぼといったバラ科の果物、トマトやジャガイモといったナス科の食べ物にも注意しましょう。
まとめ
花粉症は、人体の免疫反応によるアレルギー症状を起こす疾患です。乳酸菌やビタミンD、食物繊維、不飽和脂肪酸など花粉症の症状を緩和する成分を接種するのが花粉症対策につながります。
たとえば、ヨーグルトやきのこ類、青魚、緑茶などは花粉症対策におすすめの食べ物です。安価で入手しやすい食べ物も多いので、花粉症対策に困ったら、ぜひ日々の食事に取り入れてみてください。