黒豆は栄養豊富!効果・効能や栄養を逃さず食べる調理方法も徹底解説
大粒でツヤツヤとした見た目が特徴的な黒豆。おせち料理の定番としてお正月に食べる人も多いのではないでしょうか。そんな黒豆ですが、実は栄養豊富でさまざまな効果・効能が期待できる食品です。
お正月にしか食べないなんて勿体ない位、豊富な栄養を持つ黒豆について知ると、きっと毎日の食事にも取り入れたくなるでしょう。
この記事では、黒豆に含まれる栄養や種類、効果・効能、栄養を効率的に摂る方法、おすすめレシピなどを紹介します。黒豆の栄養について知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること
- 黒豆は滋養強壮の生薬として漢方でも用いられる豆類
- 黒豆にはさまざまな品種がある
- 黒豆の栄養は目の健康維持や生活習慣病の予防効果などが期待できる
黒豆ってどんな豆?
黒豆は「黒大豆」とも呼ばれ、その名の通り黒い色をした大豆です。日本では縁起物として正月料理で振舞われることも多く、甘しょっぱく煮付けられた黒豆の煮物をイメージする人が多いのではないでしょうか。
黒豆は大豆のなかでも特別な栄養を豊富に持つ穀物として、漢方では滋養強壮や生活習慣予防のある薬膳食材としても扱われています。ただ黒いだけではない、黒豆のもつ豊富な栄養について知ると、毎日でも黒豆を食べたくなることでしょう。
【おせち料理や祝い事の定番】黒豆が縁起の良い食材と言われる理由
栄養豊富な黒豆ですが、日本では古くから縁起物として親しまれてきたため「健康のために食べる」というよりも「縁起物としてイベントの時に食べる」といった感覚の人が多いです。
そもそも、おせち料理が現在のような重箱に詰める形で振舞われるようになったのは江戸時代頃からと言われています。おせち料理のなかで、黒豆は「祝い肴」に当たり「1年間まめに働けますように」という本年の無病息災を願って食べられる料理です。
祝い肴は関東と関西で料理の種類が異なりますが、黒豆は関東・関西どちらの祝い肴にも含まれているため、全国的に食べられていると言えます。
豆の「まめ」にかける以外にも、煮ると表面に皺が寄ることから「皺ができるまで長生きできますように」など、健康や長寿を願う縁起の良い食材として食べる地域もあります。
黒豆の種類と特徴
黒豆は大豆の一種ですが1種類だけという訳ではありません。黒豆にもさまざまな品種があり、それぞれ違った特徴を持っています。続いては、黒豆の種類や特徴についてもみていきましょう。
丹波黒
丹波黒は、もっとも広く知られている黒豆です。大豆よりも大粒で加熱すると中がふっくらし滑らかでモチモチした食感になることから煮豆に適しており、おせち料理の定番食材として調理されています。
中生光黒
やや小粒の中生光黒は、その名の通りツヤツヤと黒光りするのが特徴です。黒豆のなかでは糖が高く、加熱すると優しい甘みが感じられます。
玉大黒
玉大黒は、丹波黒と東山140号を交配して作られた品種で、丹波黒と同等の大粒と病気に強い育てやすさが特徴の黒豆です。さっぱりとした上品な甘さを持っているため、煮豆に最適な黒豆とも言われています。
鴈喰(がんくい)
鴈喰は、コーヒー豆のようなやや平たい形が特徴的な黒豆です。北海道や東北の一部地域で栽培されている黒豆で、味が良く甘みの強さから根強い人気があります。平たい見た目から「黒平豆(くろべらまめ)」と呼ぶ地域もあります。
黒豆に含まれる栄養
黒豆は漢方にも用いられる程、優れた栄養を豊富に持っている穀物です。黒豆特有の栄養などもあり、健康な食生活を送りたい人におすすめの食材と言えます。
続いては、黒豆に含まれる栄養について紹介していきます。
たんぱく質
大豆は「畑の肉」と呼ばれることもある程、豊富なたんぱく質を含む穀物です。特に黒豆のたんぱく質は、9種の必須アミノ酸を含む理想的なたんぱく質と言えます。
ちなみに、乾燥黒豆100gに含まれるたんぱく質は33.9gなのに対し、和牛のもも肉(生)は21.3g、豚ロース(生)は19.3g、鶏胸肉(生)は23.3gと、肉類よりも豊富なたんぱく質が含まれています。
大豆サポニン
サポニンとは、豆科の植物に多く含まれる苦味成分の一種です。ごぼうや高麗人参などにも含まれており、油と水に溶ける性質を持つことから昔は洗剤として利用されていました。
サポニンには悪玉コレステロールの除去や免疫力の向上、肝機能の向上効果などが期待できます。
大豆ポリフェノール
黒豆は、皮に豊富なポリフェノールが含まれています。ポリフェノールには抗酸化作用や血流改善作用があり、美容や健康にも欠かせない栄養です。
黒豆に含まれる代表的なポリフェノールにアントシアニンがあります。アントシアニンは目の機能を正常に保つ働きや目の疲労感を和らげる効果が期待できると言われており、スマートフォンやパソコンを日常的に使用する現代人には欠かせない栄養です。
イソフラボン
黒豆にはポリフェノールの一種であるイソフラボンが含まれています。イソフラボンは女性ホルモンと似た働きをすることが分かっており、女性ホルモンの乱れによって起こる症状の抑制効果が期待される成分です。
ちなみに、黒豆を始めとする大豆や大豆製品から摂取するイソフラボンは70~75mgを1日の摂取目安量にするのがよいと言われています。煮大豆100gに含まれるイソフラボンは69.0~74.7mgのため、摂取上限量にも配慮して毎日の食生活に取り入れることが大切です。
参考: 大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A | 食品安全委員会 – 食の安全、を科学する (fsc.go.jp)
ミネラル
黒豆100gには以下のミネラルが含まれています。カルシウム | 140mg |
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カリウム | 1,800mg |
マグネシウム | 200mg |
リン | 620mg |
鉄 | 6.8mg |
亜鉛 | 3.7mg |
人間の体に必要とされる必須ミネラルが大豆に含まれており、特にカリウムは多く含まれています。カリウムには体内の塩分濃度をコントロールする働きが期待でき、次に多く含まれているリンは骨や歯を形成する際に欠かせない栄養素です。
参照: 食品成分データベース
食物繊維
黒大豆には豊富な食物繊維が含まれています。食物繊維には水に溶ける水溶性食物繊維と、水に溶けない不溶性食物繊維がありますが、黒大豆に含まれるのは不溶性食物繊維です。
不溶性食物繊維は、善玉菌のエサとなり腸内環境を良くする働きが期待できると言われており、健康や美容面で注目されている栄養成分です。
レシチン
レシチンは、全ての植物の細胞に存在する成分で、黒豆には特に豊富に含まれています。脂質の代謝や脳神経の伝達系統を正常に保つためにも必要な栄養です。全ての植物に含まれるため、意識して摂取する必要はありませんが、集中力を高めたり気持ちをリラックスする効果が期待できると言われているため、必要な場面で黒豆を食べ充分なレシチンを摂るのがよいでしょう。
オリゴ糖
黒豆には、腸内環境をよくする効果が期待できるオリゴ糖が含まれているのも特徴のひとつです。オリゴ糖はビフィズス菌などの腸内善玉菌のエサとなり、腸内細菌のバランスを正常に保ってくれます。
また、オリゴ糖はブドウ糖などに比べて虫歯のリスクが低いことや低カロリーであることも注目されています。
黒豆の栄養によって期待できる4つの効果・効能
黒豆に含まれるさまざまな栄養は、古くから健康を保つために利用されてきました。続いては、黒豆の栄養を摂取することで期待できる効果や効能について紹介します。
1.目の健康維持に繋がる
黒豆に含まれるポリフェノールの一種・アントシアニンは目の疲労を軽減し、健康に保つ働きが期待できる栄養です。その他、黒豆に豊富に含まれている大豆レシチンは神経細胞を正常に保つ細胞膜を形成するために欠かせない栄養であるため、充分に摂取することで視神経を健康に保つ効果も期待できます。
2.美肌効果が期待できる
黒豆に豊富に含まれるポリフェノールには、体の内部から老化を促す活性酸素を除去する効果が期待できます。ポリフェノールの働きによって活性酸素が除去されれば、肌のハリやツヤを保つ効果も期待できるでしょう。
また、美しい肌を保つために欠かせない新陳代謝にはたんぱく質が欠かせません。黒豆に含まれる豊富なたんぱく質によって肌の新陳代謝も促されます。合わせて、食物繊維やオリゴ糖によって腸内環境が改善されれば肌荒れやニキビなどもトラブル解消効果も期待できます。
3.骨粗鬆症の予防効果が期待できる
女性は更年期に女性ホルモンが急激に減少することで骨粗鬆症のリスクが高まることが分かっています。黒豆に含まれる大豆イソフラボンは女性ホルモンに似た働きをするため、更年期の女性が意識的に摂取することで女性ホルモンの減少による影響を緩やかにし、骨粗鬆症を防ぐ効果が期待できると言われています。
4.生活習慣病の予防効果が期待できる
黒豆は高血圧や糖尿病、肥満などの生活習慣病を予防する効果も期待できます。大豆に含まれるカリウムには体内のナトリウム量を調整する働きがあり、高血圧の抑制効果が期待できます。
また、大豆サポニンにはコレステロールを抑える働きがあるため肥満の予防効果が期待でき、アントシアニンはインスリンの働きを正常に保つため糖尿病の予防効果も期待できると言われており、黒豆は生活習慣病予防におすすめの食材と言えるでしょう。
黒豆の栄養を効果的に摂るポイント
黒豆の栄養を効果的に摂りたい場合、調理方法にも工夫するとよいでしょう。
カリウムやアントシアニンなど、黒豆に含まれる栄養には水溶性の成分も多く、栄養が煮汁に流出してしまうことがあります。栄養を余すことなく摂りたい場合は、蒸して食べるのがおすすめです。
蒸した黒豆をサラダなどにして食べれば、含まれている栄養を残さず摂ることができるでしょう。米と一緒に炊いて主食として食べるのもおすすめです。
黒豆を使ったおすすめレシピ
黒豆の栄養をたっぷり美味しく摂りたい方におすすめのレシピを紹介します。ぜひ、上手に調理して毎日の食事の栄養価をアップしてみてください。
黒豆ご飯
炊飯器で手軽に作れる黒豆ご飯は、黒豆を日常的に食べたい方におすすめです。おにぎりにして冷凍保存しておけば、いつでも手軽に黒豆の栄養を摂ることができます。
材料
黒豆ご飯の材料は以下のとおりです。
- 米
- 黒豆
- 塩
- 酒
- 出汁昆布
黒豆は米1合に対して約20gを目安にするのがおすすめです。
作り方
黒豆ご飯の作り方は以下のとおりです。
- 黒豆を水に漬けて戻す
- 研いだ米に黒豆、塩、酒を入れて炊飯器の目盛り通りに水をいれる
- だし昆布を入れ、通常通りに炊飯する
- 炊きあがったら昆布を取り出してよく混ぜて完成
黒豆の色素(アントシアニン)によって白米もうっすらピンク色になります。より鮮やかに色がついて欲しい場合は、炊飯前に酢を数滴入れてみてください。
黒豆のサラダ
黒豆の栄養は摂りたいけど、豆類は少し苦手という人もいるのではないでしょうか。そんな人には、いも類で食感を弱めたサラダがおすすめです。
材料
黒豆のサラダの材料は以下のとおりです。
- さつまいも
- 黒豆
- マヨネーズ
- 粒マスタード
甘みを感じやすい黒豆はさつまいもとの相性抜群です。甘みを抑えてさっぱり食べたい場合は、じゃがいもを使って作ることもできます。
作り方
黒豆サラダの作り方は以下のとおりです。
- 黒豆を水に浸けて戻す
- 黒豆とさつまいもを一緒に蒸す
- さつまいもを潰して、蒸した黒豆と混ぜる
- マヨネーズと粒マスタードで味付けして完成
さつまいもは、完全にマッシュしても一口サイズにしてもOKです。豆特有の食感が苦手な人は一口サイズにすると、食べやすくなりますよ。
まとめ
黒豆の栄養について紹介してきました。薬膳料理や漢方にも使われる黒豆には、さまざまな栄養が豊富に含まれています。健康を維持するためにも必要な栄養が豊富なため、ぜひ毎日の食事に黒豆を取り入れてみてはいかがでしょうか。