メロンの栄養と効能とは?カロリーや食べるときの注意点を解説
甘い果肉と芳醇な香りが特徴の「メロン」。メロンはおいしいだけでなく、栄養が豊富でさまざまな健康効果、美容効果が期待できることをご存知でしょうか。さらに、バナナやリンゴなどと比べてカロリーと糖質量が低く、ダイエット時のフルーツにも適しています。
こちらの記事では、メロンの主な栄養と効能、カロリー、おいしいメロンの選び方を解説しています。貴重な栄養を逃さず食べる方法も紹介しているのでぜひ最後までご覧ください。
この記事でわかること
- メロンには胎児の発育に欠かせない葉酸が豊富
- メロンに含まれるβカロテンやビタミンCは美肌にいい
- 赤肉のメロンは青肉のメロンよりもβカロテンが豊富
- メロンのカロリーは100gあたり約42kcal
- 食物繊維が多く含まれるメロンのワタも残さず食べるのがおすすめ
メロンの主な栄養と効果効能
メロンに含まれる主な栄養とその効果効能には、以下があります。
メロンの栄養と効能
- ビタミンC|美肌に必要な栄養素
- カリウム|むくみを解消する
- 食物繊維|便秘解消につながる
- 葉酸|貧血や立ちくらみの予防、胎児の発育をサポートする
- アデノシン|脳卒中や動脈硬化を予防する
- シトルリン|冷え性の緩和や肌の潤いを保つ
- βカロテン|皮膚や粘膜の健康を維持する
- ククミシン|肉や魚をやわらかくする
参照:第2章 日本食品標準成分表 – 7 果実類|文部科学省
ここからは、文部科学省の日本食品標準成分表の情報をもとに、それぞれの栄養について詳しく解説します。
ビタミンC|美肌に必要な栄養素
メロンはビタミンCが豊富で、露地メロンの赤肉種の場合は100gあたり25mgのビタミンCが含まれています。ビタミンCはさまざまな生理作用に関わる、美肌には欠かせない成分です。ハリのある肌にはコラーゲンとよばれるたんぱく質が大きく関わっており、ビタミンCはそのコラーゲンを生成するはたらきがあります。さらに、ビタミンCには皮膚のメラニン色素の生成を抑制するはたらきもあり、シミの発生を抑える効能も期待できます。また、強い抗酸化作用をもっており、免疫力の向上につながり、風邪を引きにくい体作りにも役立つ成分です。ビタミンCは体内では生成できず、食品やサプリメントなどから摂取する必要があるため、メロンを食べてビタミンCを摂りましょう。
カリウム|むくみを解消する
メロンには100gあたり350mgのカリウムが含まれています。カリウムは必須ミネラルのひとつで、体内のナトリウム(塩分の要素)の排泄を促進する役割をもつ成分です。余分な塩分を体外へ排出する際、同時に水分も排出されるため、むくみを解消する効能が期待できます。さらに血圧を下げる効能も期待でき、高血圧の予防にもおすすめです。
また、カリウムは野菜や果物に多く含まれる成分ですが、水溶性のため調理をすると水に溶け出しやすいという特徴があります。そのため、生で食べられることが多いメロンは、カリウムを逃さず摂取しやすい食べ物と言えます。特に、夏場はカリウムが不足しやすいため、水分とカリウムを同時に摂取できるメロンは夏場におすすめの果物です。
食物繊維|便秘解消につながる
食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類に分けられます。メロンには、100gあたり水溶性食物繊維が0.2g、不溶性食物繊維が0.3gと、計0.5gの食物繊維が含まれています。特に、メロンは水溶食物繊維の一種「ペクチン」が豊富です。ペクチンは水に溶けやすく、便の水分を保って便をやわらかくするはたらきがあります。また、食物繊維は整腸効果をもっており便秘解消につながるほか、血糖値上昇を抑制したり、血液中のコレステロール値を低下させたりするはたらきがあります。
葉酸|貧血や立ちくらみの予防、胎児の発育をサポートする
メロンには100gあたり32μgの葉酸が含まれています(露地メロン)。葉酸はビタミンB群の一種で、ビタミンB12と一緒になって赤血球を作るはたらきがあるため、貧血や立ちくらみの予防につながります。さらに、葉酸は発育に欠かすことができない成分です。胎児の健やかな発育をサポートするはたらきがあり、胎盤を作るのに必要となる栄養なので、妊娠中には葉酸を摂取することが大切です。
アデノシン|脳卒中や動脈硬化を予防する
メロンのワタ部分には、アデノシンとよばれる成分が多く含まれています。アデノシンは、血液が固まるのを防止して血流をよくするはたらきをもつ成分です。血流がよくなることで、血栓ができることによる病気(脳卒中や動脈硬化など)の予防に役立つと考えられています。そのため、メロンのワタはできる限り捨てずに食べましょう。
シトルリン|冷え性の緩和や肌の潤いを保つ
メロンの皮部分には、アミノ酸の一種「シトルリン」が多く含まれています。シトルリンは血管拡張作用により血流改善につながる成分です。血流がよくなることで、冷え性緩和に役立つほか、摂取した栄養素が体内を巡りやすくなり、同時に老廃物を体外へ排出する効能も期待できます。
アミノ酸はたんぱく質を構成する物質ですが、シトルリンはたんぱく質の構成成分として利用されない「遊離アミノ酸」です。皮膚内に存在する「天然保湿因子(NMF)」を構成する成分の一種がシトルリンで、肌のハリや潤いを保つ役割もあります。
βカロテン|皮膚や粘膜の健康を維持する
赤肉種のメロンには、100gあたり3,600mgのβカロテンが含まれています。βカロテンは、動植物に広く存在する黄色や赤色の色素成分「カロテノイド」の一種です。体内でビタミンAに変換して皮膚や粘膜の健康を維持するほか、視力を維持したり、免疫力を高めてがんを予防したりするはたらきがあります。高い抗酸化作用をもっており、老化のスピードを遅らせる効果も期待できると言われています。青肉種のメロンに含まれるβカロテンは100gあたり140mgとわずかなので、βカロテンを摂取するなら赤肉種のメロンを選びましょう。
ククミシン|肉や魚をやわらかくする
ククミシンとは、メロンの果肉から単離されたタンパク質分解酵素で、メロンの学名「ククミスメロ(Cucumis melo)」から名付けられた成分です。メロンの品種によってはククミシンを含んでないものもありますが、ククミシンを含んでいるメロンが大半です。
ククミシンは肉や魚に含まれるたんぱく質を分解し、肉や魚の身をやわらかくする際に役立ちます。酵素は加熱すると効果が失われるため、肉や魚をやわらかくするときは、メロンをミキサーなどでスムージー状にし、その果汁に漬け込んでから焼くのがポイントです。
また、ククミシンは唇をピリピリさせたり喉をイガイガさせたりすることがあります。そのため、メロンを食べて口元や喉に違和感を覚えたことがある人は、このククミシンが原因です。そのほか、ククミシンはアレルゲンになるという報告もあり、メロンアレルギーの人が口にすると、口腔アレルギーの症状を引き起こす可能性があります。
メロンのカロリーは?
メロンのカロリーは次のとおりです。
量 | 可食部の量 | カロリー |
---|---|---|
メロン1個 | 約550g | 約231kcal |
メロン4分の1個 | 約138g | 約58kcal |
メロン8分の1個 | 約69g | 約29kcal |
メロンのカロリーは100gあたり42kcalです。一般的な小玉サイズのメロンは約1kgで、皮や種を除く可食部は約550gなので、一玉のカロリーは約231kcalということになります。また、メロンには「温室メロン」や「露地メロン」など、栽培方法によって数種類に分けられ、それぞれ栄養成分は異なりますが、カロリーは変わりません。
参照:第2章 日本食品標準成分表 – 7 果実類|文部科学省
メロンと他の果物のカロリーを比較
メロンと他の果物のカロリーを比較しました。
カロリー(100gあたり) | 糖質量(100gあたり) | |
---|---|---|
メロン | 約42kcal | 約9.5g |
リンゴ(皮なし) | 約57kcal | 約12.4g |
バナナ | 約86kcal | 約19.4g |
スイカ | 約37kcal | 約7.6g |
メロンはスイカと比べるとややカロリーが高いものの、リンゴやバナナなどと比べると糖質量とカロリーともに低いことがわかります。特に、バナナと比較するとカロリーと糖質量が半分以下なので、メロンは比較的カロリーと糖質量が低い果物です。
メロンはダイエットにいい?
メロンはダイエットに向いている果物です。果物のなかではヘルシーで、バナナやリンゴなどを同じ量食べる場合であれば、メロンを食べたほうが摂取カロリーを抑えられます。水分量も多く、ダイエットにも美容にも優れているメロンをぜひ日々の食事に取り入れてみてください。ただし、低カロリーだからといって食べすぎればカロリーの過剰摂取で太る原因になるため、適量を心がけることが大切です。
メロンは1日何個まで?1日の摂取量の目安
メロンの1日の摂取量は200g(1/3〜1/4個)が目安です。毎日200g以上食べると、食べすぎによる肥満の原因になる可能性があるので注意しましょう。
また、メロンは朝に食べるのがおすすめです。メロンにはブドウ糖や果糖、ショ糖などが含まれており、消化吸収が早くてエネルギーに変換されるスピードも早いため、朝にメロンを食べることで1日の活動源とすることができます。
メロンを食べすぎるとどうなる?
メロンを食べすぎると太る原因になるほか、消化不良により下痢を引き起こす可能性があります。メロンには水分が多く含まれており、冷えたメロンをたくさん食べると、胃腸を刺激して消化不良になることが考えられます。
また、メロンにはたんぱく質分解酵素「ククミシン」が含まれるので食べすぎには注意が必要です。食べすぎると、唇がピリピリしたり喉がかゆくなったりすることがあります。さらに、ククミシンはアレルギー反応を起こすという報告もあるので、メロンを食べて喉がかゆくなるなどアレルギー症状を感じたらすぐに病院を受診しましょう。
メロンは妊娠中に食べてもいい?
メロンは妊娠中にもおすすめの食べ物です。メロンに含まれる葉酸は、胎児の発育に必要な成分です。葉酸が胎児の細胞分裂を促して、健やかな成長をサポートしてくれます。
また、妊娠中はホルモンの変化によって体の水分量が増え、むくみやすくなります。メロンには多くのカリウムが含まれており、カリウムが体内のナトリウムと水分を体外へ排出してくれるため、妊娠中のむくみ対策にもメロンがおすすめです。つわり中の方でも、安心して食べられるフルーツです。
メロンは赤肉と青肉で違う?品種による栄養の違い
赤肉メロンと青肉メロンの主な違いは、β-カロテンの含有量です。β-カロテンは高い抗酸化作用をもつ物質です。人間の体内には活性酸素とよばれる物質が存在し、活性酸素が増えすぎると細胞を攻撃して老化させます。βカロテンなどの抗酸化物質は、活性酸素から身体を守り、老化スピードを遅らせるほか、生活習慣病の予防などの効果が期待できます。
赤肉メロンはβ-カロテンを豊富に含んでおり、赤肉メロンの果肉が鮮やかなオレンジ色をしているのは、このβカロテンの色素が原因です。一方、青肉メロンはβカロテンの含有量が少ないものの、カリウムやビタミンAを豊富に含むため、夏バテ予防や美容効果に期待できます。さらに、すっきりとした香りや甘さも青肉メロンの特徴です。
また、以下の記事では夕張メロンを代表とする北海道メロンの魅力のほか、メロンの旬の時期や品種などを解説しているので、ぜひあわせてご覧ください。
メロンの選び方は?おいしいメロンの特徴
おいしいメロンには、次のような特徴があります。
おいしいメロンの特徴
- 表面が細かい網目模様
- 重みがある
- 底が少しやわらかい
メロンは表面が網目模様になっていることが特徴ですが、これはメロンが大きく育つときに皮がひび割れて生じるものです。おいしいメロンは表面が細かい網目模様になっており、逆に網目が粗く、ムラのあるものは成熟していない可能性があります。重みがあるメロンもおいしい証拠です。軽いメロンは種やワタの部分が多い傾向にあり、水分が抜けて実がつまっていない可能性があります。重みのあるメロンは、水分が多くみずみずしいことが特徴です。
また、メロンの底の部分がほどよく弾力あるものは、熟して食べごろになっているメロンです。底が硬いメロンを購入した際は、追熟させるために風通しがよく直射日光が当たらない場所に保管させましょう。
メロンは栄養価が高い!栄養を逃さずに食べる方法
メロンの栄養を逃さず食べるためには、実の部分だけでなく、ワタの部分も残さず食べるのがポイントです。ワタの部分には、血流をよくする「アデノシン」のほか、便通をよくする食物繊維も豊富に含まれています。種は食べられないので、種を取り除いてワタを果肉と一緒にミキサーにかけてメロンジュースにして摂取するのがおすすめです。ワタの部分も甘くておいしく食べることができます。また、ワタの部分をヨーグルトに混ぜたり、ミキサーにかけたワタの部分を炭酸水で割ってメロンソーダにしたりしてもおいしいです。
まとめ
メロンは栄養価の高い果物です。バナナやリンゴなどと比べるとカロリーが低く、糖質量も低いので、ダイエットのフルーツとしても適しています。メロンにはさまざまな健康効果、美容効果が期待できるので、ワタの部分も残さずにぜひおいしく食べてみてください。