北海道のエアコン普及率は低い?寒冷地仕様エアコンの違いも紹介
北海道のエアコン普及率は低いと言われています。北海道のような寒い地域では、エアコンの室外機に雪や氷が入ったり、配管が凍結したりして通常のエアコンは暖房が正常に機能しないことなどが原因と考えられます。
しかし、最近では北海道においてもエアコンの普及率が上昇してきていることをご存知でしょうか。近年は寒い地域でも使用できるエアコンが増えてきているほか、北海道でも夏場は猛暑日が増えたことから、北海道でもエアコンの設置が望まれます。こちらの記事では、北海道のエアコン普及率が低い理由や北海道でもエアコン設置が必要な理由、注意点などを紹介します。
この記事でわかること
- 北海道のエアコン普及率は42%で全国最低
- 寒冷地仕様エアコンなら暖房機能が正常に稼働する
- 寒冷地は最低気温が-10℃を下回る地域
- エアコンとストーブやヒーターを併用すると省エネになる
- 北海道のこたつ普及率は23%で全国最低
北海道はエアコンがない?北海道のエアコン普及率
北海道は全国的に見てエアコンの普及率が低いです。天気予報の情報サイト「ウェザーニュース」によれば、2021年7月にアプリユーザー10,939人を対象とした調査を行ったところ、都道府県別クーラーの保有率は全国平均93%だったのに対し、北海道の保有率は42%と大きく平均を下回る結果となりました。
参照:連日35℃超え猛暑の北海道 しかしクーラー保有率は約4割|ウェザーニュース
また、2014年と古いデータですが、各府省が公表する統計データをまとめた政府統計のポータルサイト「e-Stat」には、北海道のエアコン普及率は26.6%という情報もあります。
参照:全国家計構造調査 平成26年全国消費実態調査|e-Stat
北海道のエアコン普及率が低いのは、他県と比べて夏の平均気温が高くないこと、通常のエアコンは北海道などの寒冷地だと正常に機能しないことが理由として考えられます。しかし、真夏の気温は年々上昇しており、札幌では2023年8月23日に最高気温が35.0℃に達して猛暑日となりました。北海道内でも夏場は猛暑日となることがあるため、エアコンの設置も検討することをおすすめします。
北海道でも寒冷地仕様のエアコンじゃなくてもいい?
北海道でエアコンを設置する際は、冬場でも使用できる寒冷地使用のものを選ぶことが大切です。しかし、北海道の地域によって気温・気候は大きく異なります。年間平均気温が比較的高い札幌エリアであれば、寒冷地仕様ではなくても年間を通して正常に動作する可能性があります。ただし、あくまでも平均気温なので、エアコンを購入する際は家電量販店の店員さんに相談してみるといいでしょう。
寒冷地ってどこ?
寒冷地とは、具体的に最低気温が-10℃を下回る地域のことを指します。-10℃を下回ると、暖房機能が正常に動作しなくなり、メーカーの運転保証範囲外になることも多いです。そのため、寒冷地でエアコンを設置する際は、-10℃を下回っても正常に暖房機能が動作する寒冷地仕様エアコンを選ぶ必要があります。
また、最低気温が-10℃を下回らなくても積雪が多い地域であれば、寒冷地仕様エアコンが望ましいです。積雪の多い地域はエアコンの室外機内部に雪が侵入し、故障する可能性が高いためです。寒冷地仕様エアコンの室外機にはヒーターが取り付けられており、雪や氷が内部に侵入して故障するのを防げます。具体的な寒冷地として、北海道以外に青森県や岩手県、秋田県など東北地方や信越地方の一部地域があげられます。
寒冷地仕様のエアコンと普通のエアコンの違い
普通のエアコンと違って、寒冷地仕様のエアコンには次のような特徴があります。
寒冷地仕様エアコンの特徴
- 暖房能力が高い
- 室外機にヒーターや霜取り機能を搭載
- 配管の凍結防止機能を搭載
寒冷地仕様のエアコンは暖房能力が高いことが特徴です。なかには外気温が下がると通常の2倍の暖房性能を発揮するもののほか、50℃近い温風を出して部屋を素早く暖める機能のモデルもあります。
室外機にはヒーターや霜取り機能を搭載して凍結を防止するとともに、内部に雪や氷が入らないように基盤が保護されています。さらに、寒冷地仕様のエアコンの室外機はコンプレッサーがパワフルで、通常のエアコンと比べて1.5倍以上の大容量のコンプレッサーを搭載しているモデルも多いです。また、配管内の水が凍るとお湯が出なくなるため、水を循環させたり予熱制御を行ったりする機能を搭載し、配管が凍結しないようつくられています。
最低気温が-10℃以下になるなら寒冷地用エアコンがおすすめ
近年は気温が上昇して、夏に冷房が必要なかった地域でも最高気温が30℃を超えるところも多いでしょう。夏にエアコンの購入を検討している方で、最低気温が-10℃以下になる地域にお住まいの方は、寒冷地仕様のエアコンを選びましょう。寒冷地仕様のエアコンであれば夏に冷房を利用できるだけでなく、冬場でも暖房を利用できます。寒冷地でこれまでファンヒーターやストーブなどを使用していた方でも、冷暖房をエアコン一台で済ませることが可能です。
北海道でもエアコンの設置が必要な理由
北海道でもエアコンの設置が必要です。その主な理由には、次の3つがあります。
北海道でもエアコンが必要な理由
- 温暖化・ヒートアイランド現象が影響している
- 寒冷地でもエアコンが壊れにくくなった
- 省エネにもつながる
それぞれの理由について詳しく解説します。
理由①温暖化・ヒートアイランド現象が影響している
北海道は夏場の日中平均気温が30℃以下と全国的に過ごしやすい地域です。しかし、近年は最高気温が35℃を超えるほど、地球温暖化やヒートアイランド現象(都市部の気温が上昇する現象)の影響で、猛暑日が増えてきていると言われています。
異なるデータではありますが、北海道は2014年のエアコン普及率が26%程度だったのに対し、2021年にはエアコン保有率(普及率)が42%程度に上昇しており、エアコンを設置する家庭が増えていることがわかります。長期的に見て、北海道でも今後夏場は猛暑日が増えると予想されるため、エアコンの設置の必要性は高いと言えるでしょう。
また、エアコンは本格的な夏を迎える前に購入・買い替えすることが大切です。経済産業省は家庭内の熱中症を予防するために、早期にエアコンの試運転を行うよう推奨しています。例年、エアコンの購入・設置・修理が夏季に入ってから集中し、待ち時間が発生しているためできる限り早期にエアコンを購入しましょう。
理由②寒冷地でもエアコンが壊れにくくなった
北海道でもエアコンを設置するべき2つ目の理由が、寒冷地仕様なら北海道でも故障しにくくなったことです。寒冷地仕様エアコンが販売され始める以前は、積雪によって室外機が故障したり排水管が凍結したりして、冬はエアコンが正常に機能しませんでした。
しかし、寒冷地仕様エアコンなら冬の北海道でも運転が可能です。夏場でも冬場でも、冷暖房をエアコン一台で完結させられます。これまで北海道はストーブやファンヒーターなどの暖房器具が主流でしたが、灯油やガス料金が高騰した背景もあり、エアコンを使用する家庭が増えています。
理由③省エネにもつながる
省エネにつながるのもエアコンを設置するべき理由のひとつです。エアコンの暖房機能は、従来のストーブやヒーターと比べて効率よく部屋を暖めることが可能です。特に、エアコンは立ち上がりに多くの電力を消費するため、一日中エアコンをつけっぱなしにしておいたほうが電気代を抑えられる可能性があります。エアコンをメインの暖房器具として使用し、ストーブやこたつなどをサブとして使用すれば、コストを削減でき省エネにも効果的です。
また、夏の暑さが厳しくなるなかでは、従来の扇風機よりもエネルギー効率が高いエアコンを使用することで、電力消費を削減することができます。そのため、北海道などの寒冷地でもエアコンを設置すれば一年を通してエネルギーの使用量を抑えられます。
北海道でエアコンを設置する際の注意点
北海道でエアコンを設置する際の注意点には、次の3つがあります。
エアコン設置の注意点
- 寒冷地仕様のエアコンを選ぶ
- 間取りにあったものを選ぶ
- 本体代と設置費用も見積もっておく
それぞれの注意点について詳しく解説します。
注意点②間取りにあったものを選ぶ
間取りに合うエアコンを選ぶのも大切です。エアコンの本体価格は、基本的に対応畳数と機能性の2つの要素で変動します。メーカーによって異なりますが、6畳用のエアコンが150,000円〜200,000円なのに対し、10畳用エアコンであれば200,000円〜300,000円することがあります。エアコンは部屋の畳数により搭載するパワーが違うため、設置する部屋が広ければ広いほどパワーが強くなり、本体価格が高くなるのが一般的です。
そのほか、自動フィルター掃除機能など、便利機能が搭載されているエアコンは他のモデルと比べて本体価格が高めです。ただし、部屋の畳数よりも低い畳数向けエアコンでも、間取りと方角によっては冷暖房が十分機能するケースもあるため、エアコンは間取りに合わせたものを選ぶようにしましょう。
注意点③本体代と設置費用も見積もっておく
エアコンを購入する際は、本体代と設置費用も見積もっておくことが大切です。エアコンを設置するためには、本体価格とは別で、エアコンや室外機の設置費用もかかります。エアコンの本体価格とその設置費用は年間を通じて変動し、時期によっては安く購入・設置できる場合があります。
エアコンの本体価格が下がりやすい季節は、9〜10月と4〜6月です。9〜10月は夏の暑さが徐々に落ち着いていきエアコン本体の需要も落ち着く時期で、4〜6月は新機種が発売されて型落ちのエアコンが値下がりする時期です。できる限り本体代と設置費用を抑えたい方は、安くなる時期にエアコンを購入・買い替えることをおすすめします。また、冬になればエアコンの需要が高まり在庫切れや取り付け業者の予約待ちになることがあるため、エアコンの購入は早期に検討しましょう。
北海道でエアコンの省エネ効率を上げるポイント
北海道でエアコンの省エネ効率を上げるポイントは次の4つです。
省エネ効率を上げるポイント
- エアコンをこまめに掃除する
- 室外機の運転効率を上げる
- 室内温度を一定に保つ
- 他の暖房器具も一緒に使う
それぞれのポイントを詳しく解説します。
ポイント①エアコンをこまめに掃除する
エアコンのフィルターをこまめに掃除することで、省エネ効率を上げることが可能です。エアコンのフィルターは、室外機から送られる空気中のゴミをキャッチする役割があります。エアコンを使用し続けるとフィルターは徐々に汚れていき、汚れたままにするとうまく空調管理できないため、設定温度にしようとして消費エネルギーが増加します。フィルターが汚れていると、運転効率が下がるので2週間に1回の頻度でエアコンのフィルターを掃除しましょう。また、最近ではフィルターのゴミを自動で取り除く機能が搭載されたモデルも販売されているため、掃除が面倒という方はエアコンの機能もチェックしましょう。
ポイント②室外機の運転効率を上げる
室外機の運転効率を上げるのも、省エネ効率を上げるポイントのひとつです。室外機に直射日光が当たったり、ファンの吹き出し口の前に物を置いたりすると排熱・排気が滞って運転効率が下がります。雑草や風で流れてきたゴミがファンの吹き出し口を塞いで運転効率を下げることもあります。電気代が余計にかかる原因になるため注意が必要です。
そのため、室外機は基本的に日光が当たりにくい方角にし、地上から1m以上高い位置に取り付けるのが望ましいです。寒冷地で積雪が多いところでは、雪がファンの吹き出し口を塞いだり、室外機内に雪と一緒にゴミが入ったりするため、定期的にカバーを外して掃除するなど運転効率が高い状態を維持しましょう。
ポイント③室内温度を一定に保つ
エアコンの省エネ効率を上げるためには、室内温度を一定に保つことも大切です。エアコンは立ち上げ時に多くの電力を消費します。そのため、部屋が暖まったら電源を消してまた寒くなったらつけることを繰り返すと、エアコンをつけっぱなしにした場合よりも消費エネルギーが高くなります。
風向きは部屋全体を循環できる設定にしたり、風量を抑えたりして室内温度を一定に保つことで、省エネ効率を上げることができます。また、室内温度は外気温によって大きく左右するため、夏なら朝と夜の運転を控えめにして日中は強め、冬なら朝と夜を強めにして日中は控えるようにするのも省エネ効率を上げるポイントです。
ポイント④他の暖房器具も一緒に使う
冬場のエアコンの省エネ効率を上げるなら他の暖房器具も一緒に使うのが大切です。たとえば、エアコンを一日中稼働させながら、冷え込む朝方と夜にだけストーブやこたつなどを使用すればコストを削減できます。
そのほか、パネルヒーターや床暖房などファンによる風を起こさずにやさしく部屋を暖める暖房器具とエアコンの併用も便利です。暖かい空気は上昇するため、通常足元は暖まりにくいですが、床暖房などを併用することで部屋中の温度差の解消が可能です。また、断熱・遮熱加工のカーテンを使用すると、外気温の影響を受けにくく室内の空気を外に逃さずにすむため、エアコンの消費エネルギー削減につながります。
北海道でエアコンがない(つけられない)時の暑さ対策
北海道在住でエアコンをつけていない人は少なくありません。夏場にエアコンをつけていない状態で、暑さをしのぐ際はエアコンの代わりに扇風機や冷感グッズを使用する方法があります。特に、首元や足首、脇の下など体温が高くなりやすい部位を冷ますと暑さを和らげられます。
ただし、室内で熱中症を起こすリスクもあるため、できる限りエアコンの設置を検討しましょう。冬場も使用するために、寒冷地仕様のエアコンがおすすめです。
北海道の冬はエアコン暖房と灯油ストーブどっちが安い?
基本的に、エアコン暖房と灯油ストーブとでは、灯油代を含めた全体の光熱費を考えると、エアコンのほうが安い傾向にあります。灯油ストーブは灯油代に加えて電気代も必要なほか、灯油を買いに行く手間もかかります。近年は電気代も灯油代も高騰しており、灯油ストーブのほうが安いと言い切ることはできません。一方、エアコンは本体価格と設置費用にお金がかかりますが、一度設置すればほとんど手間をかけずにすみます。省エネタイプのエアコンを選び、使い方も工夫すれば電気代を安く抑えることが可能です。北海道でも同様に、寒冷地仕様のエアコンを選べば冬場もエアコンを稼働でき、エアコン一台でも冬場を快適に過ごすことができます。
エアコン以外にもある?北海道のさまざまな物の普及率
北海道は他県と比べてエアコンの普及率が低いです。では、エアコン以外にも普及率が低い・高い物はあるのでしょうか。ここからは、北海道のさまざまな物の普及率について紹介します。
①こたつの普及率
北海道はこたつの普及率が他県と比べて低いです。天気情報サイトのウェザーニュースが行ったアンケートによると、北海道はこたつの普及率が全国で最も低く、23%という結果となりました。次いで普及率が低いのは沖縄県で30%、東京都で35%となっています。
参照:大都市ほどこたつ離れ 実は北海道より沖縄の方がこたつを持っている!|ウェザーニュース
大都市である東京ではこたつ離れが進んでいると同時に、沖縄よりも北海道のほうがこたつを持っている家庭が少ないことがわかりました。おそらく、北海道はこたつ以外の暖房設備が充実しており、エアコン以外で家全体を暖めているところが多いことから、北海道のこたつ普及率は低いと考えられます。
②ジンギスカン鍋の普及率
北海道はジンギスカン鍋の普及率が高いと言われています。しかし、明確な普及率はわかっておらず、北海道が他県と比べてジンギスカン鍋普及率が高いかどうか知ることはできません。過去、テレビ番組で「北海道民はみんなジンギスカン鍋を持っている」と言われたことがあるようですが、実際に持っている人は少ないようです。
③スマホの普及率
NTTドコモモバイル社会研究所は、70歳代のスマホ所有率は76%で、特に西日本で急速に普及していると発表し、ニュースにも取り上げられました。しかし、70代のスマホ所有率は地域差が激しいようで、70代のスマホ所有者のうち北海道・東北が65%と最も低く、平均の76%よりも低い結果となっています。
参照:70代のスマホ所有率76% 西日本で急速に普及|テレ朝ニュース
また、総務省の通信利用動向調査からスマホ普及率を都道府県別にランキングした調査によれば、農業就業人口と負の相関があり、総人口増減率と正の相関があるとされています。つまり、農業就業人口が多くて人口が減っている地域では、スマホの普及率が低い傾向にあるようです。
④バイク・スクーターの普及率
統計情報サイト「都道府県別統計とランキングで見る県民性(とどラン)」の2011年のデータによれば、全国消費実態調査からバイク・スクーター普及率ランキング化した結果、バイク・スクーター普及率は全国で最も低い5.5%であることがわかりました。バイク・スクーター普及率の全国平均は14.8%であり、北海道は平均よりも10%近く低い結果となっています。
また、バイク・スクーター普及率は年間晴れ日数と正の相関があり、さらに年間降雪量・年間雪日数と負の相関があります。バイクやスクーターは雪道が苦手なため、積雪が多い北海道ではバイク・スクーターの普及率が低いのは当然の結果と言えるでしょう。
⑤スマート農業の普及率
日本経済新聞は、北海道を中心にスマート農業が急速に広まっていることを報じました。スマート農業とはデータを活用して農業を行うことで、農家・農業法人のデータ活用率(普及率)は、2022年の全国平均が2割なのに対し、北海道は6割以上となっています。これは、人口減少に加えて、外国人技能実習生が減って人手確保が厳しくなったこと、生産効率化のためにデータ活用の意識が広まったことが主な理由と考えられます
参照:都道府県ランキング(地方のデジタル化編 スマート農業)北海道、データ活用率6割|日本経済新聞
また、地域密着型のシンクタンク「株式会社道銀地域総合研究所」によれば、道内ではスマート農業への関心が高まっており、「GPSガイダンスシステム」や「自動操舵システム」の全国生産台数のうち、8~9割は北海道向けとなっているとのことです。
まとめ
北海道のエアコン普及率は全国で最も低く、全国平均が約90%なのに対し、北海道は約40%となっています。北海道などの寒冷地では、通常のエアコンは冬場に稼働できないことがほとんどですが、近年は北海道でも使用できる寒冷地仕様のエアコンが販売されています。また、エアコンは冬場だけでなく夏場にも活用できるので、北海道在住でエアコンを持っていない方は、寒冷地仕様のエアコンの購入をぜひ検討してみてください。