魚を食べて心も脳も健康になろう!DHAとEPAがもたらす驚くべき効果とは?
魚に多く含まれると言われるDHAやEPA。名前を聞いたことがあるという人も多いのではないでしょうか。DHAやEPAは人間に必要な栄養素で、さまざまな健康効果が期待されています。
この記事では、DHAやEPAがどのような栄養なのか、効果や効率的な摂取方法、ダイエットとの関係性などについても解説しています。DHAやEPAの効果について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること
- DHAはドコサヘキサエン酸の略称
- EPA(IPA)はエイコサペンタエン酸(イコサペンタエン酸)の略称
- 人間の体内では合成できず、青魚の脂に多く含まれている
- 中性脂肪の合成抑制や血栓の予防などに効果が期待できる
DHA・EPAとは
DHAやEPAは体によい栄養成分として、何となく聞き馴染みのある人もいるのではないでしょうか。しかし、どのような栄養成分なのか知っている人はそう多くないでしょう。
はじめに、DHAやEPAがどのような成分なのかを解説します。
DHAとは
DHAは、ドコサヘキサエン酸の略称で、不飽和脂肪酸の一種です。人間の脳や神経にはDHAが存在していることから、「たくさん摂ることで頭がよくなる」などの触れ込みもありますが、明確なエビデンスはありません。
マグロやサバなどの青魚に多く含まれており、食事による摂取が求められる栄養素です。基本的に人間の体内で合成することはできませんが、母乳にはDHAが含まれることが分かっています。
EPAとは
EPAとは、エイコサペンタエン酸の略称で、不飽和脂肪酸の一種です。イワシやサバなどの青魚に多く含まれることが分かっており、効果的に摂り入れることで体内の血液循環をよくする働きなどが期待できます。
EPAは、人間の体内で生成できないことが分かっており、食事によって食べ物から摂取する必要があります。
EPAとIPAの違い
DHAやEPAについての情報を調べる中で、IPAという言葉を見かける人も多いのではないでしょうか。IPAとはイコサペンタエン酸の略称ですが、実はEPAと同じ成分を指しています。
EPAとIPAは同じ成分であり、国際的にはIPAと呼ばれることの方が多いようです。(国内ではEPAと記載しているケースが多い傾向にあります)
DHA・EPAの5つの効果
DHAやEPAは、充分な量を定期的に摂取することで以下の効果が期待できます。
【効果その1】血をサラサラにする
EPAには血小板が凝集するのを抑える働きがあることが分かっています。血小板が凝集すると血液はドロドロになり、血流が滞りやすくなってしまいます。
つまり、EPAには血をサラサラにして流れを良くする効果が期待できるということです。
【効果その2】コレステロール値を下げる
コレステロールとは、肝臓で作られる脂質のことを言います。人間の体に必要不可欠な栄養素で、コレステロール自体が悪いものという訳ではありません。
コレステロールには「悪玉コレステロール(質量が小さい脂質)」と「善玉コレステロール(質量の大きい脂質)」があり、2つのバランスが保たれることで、体内を健康な状態に維持できます。
しかし、悪玉コレステロールは現代の食生活においてとても増えやすく、バランスが崩れてしまうことから問題視されており、増え過ぎると動脈硬化や心筋梗塞・脳梗塞の原因になると言われています。
悪玉コレステロールの生成を抑制し、善玉コレステロールの生成を促す働きが期待できるのがDHAです。現代人はコレステロールのバランスが崩れがちなので、改善効果が期待できるDHAを摂取するのが望ましいと言えるでしょう。
【効果その3】血栓ができるのを防ぐ
健康な体なら滞りなく流れている血液ですが、血液中に血の塊などができて血管を塞いでしまうことがあり、これを血栓症と言います。脳で血管が塞がれば脳梗塞、心臓なら心筋梗塞といったように症名がつき、命に関わるケースも珍しくありません。
EPAには、血栓を溶かす働きがあることが分かっています。その効果は医薬品に用いられるほどです。
血栓症のリスクが高い人ほど、積極的なEPAの摂取が推奨されるでしょう。
【効果その4】中性脂肪を減らす
中性脂肪とは体内で合成される脂肪分で、人間の体に必要なものです。しかし、過剰に合成されてしまうと内臓脂肪や皮下脂肪、血中脂肪として蓄えられてしまい、生活習慣病のリスクを高めてしまう危険性があります。
DHAには中性脂肪の合成を抑える働きが期待できるといわれているため、生活習慣病のリスクが高い人や、皮下脂肪などにより体重の増加が気になる人におすすめです。
【効果その5】血管を広げる
悪玉コレステロールが血管内に蓄積してしまうと、血管は細くなり血栓症になりやすくなってしまいます。また、悪玉コレステロールが血管内で酸化すると、血管自体が硬くなり動脈硬化などの病気を発症してしまうリスクもあるでしょう。
EPAには、血管を拡張する働きがあると言われています。血管を拡張することで血栓症を予防し、高血圧の改善効果も期待できます。
DHA・EPAには癌を予防する効果が期待されている
ある研究で大腸がんの発生とDHAの関係について調べられています。
癌に病変する前の前癌状態の病巣を持ったラットに対して、DHAを投与したところ、病変部位の改善が確認されたそうです。
残念ながら、癌化してしまったものに対しての効果は今のところ確認できていないようですが、多くのラットで前癌状態の改善が見られました。
この研究から、人間の腸に発生する癌にも効果が期待できる可能性があると考えられ、今も研究がすすめられています。
DHAとEPAはどちらを摂るのがいいの?
DHAとEPAには、さまざまな効果があることが分かりましたが、「結局どちらを摂る方がよいの?」と思った人も多いのではないでしょうか。
実は、DHAとEPAは併存していることが多く、特にDHAは単体でどこまで効果が期待できるのか未だ未知数な部分が多いと言われています。一方で、EPAは純度100%の成分を使用した研究結果が出ているため、科学的に効果が立証されているのはEPAと言えるでしょう。
EPAの成分解明が続くなかでも、未だDHAとの関係性や相乗効果などについては研究中の部分も少なくありません。どちらも同じ食べ物に併存していることが多いこともあり、DHAとEPAはどちらも充分かつ定期的な摂取が望ましいと考えられています。
DHA・EPAを含む食べ物
食べ物からでしか摂取できない不飽和脂肪酸であるDHAやEPAは、以下の魚に多く含まれています。
DHAを多く含む食べ物 | EPAを多く含む食べ物 |
---|---|
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DHA・EPAどちらも、主に青魚に含まれていることがわかりますね。
DHAの含有量が多い魚ベスト5
DHAの含有量が最も多いのはマグロと言われています。含有量が特に多い魚ベスト5をみてみましょう。
- マグロ(2,877mg)
- ブリ(1,785mg)
- サバ(1,781mg)
- サンマ(1,398mg)
- ウナギ(1,322mg)
※可食部100gあたりの含有量
※参照:食品成分データベース
DHAの含有量はマグロが圧倒的に多いことがわかりますね。マグロの脂身部分には、豊富なDHAが含まれているため、トロの部分などを食べるとよりたくさんのDHAを摂取できるでしょう。
EPAの含有量が多い魚ベスト5
EPAの含有量が最も多いのはマイワシです。こちらも、含有量が特に多い魚ベスト5をみてみましょう。
- マイワシ(1,381mg)
- マグロ(1,288mg)
- サバ(1,214mg)
- ブリ(898mg)
- サンマ(844mg)
※可食部100gあたりの含有量
※参照:食品成分データベース
EPAの含有量トップはマイワシでしたが、EPA・DAHどちらも上位にランクインしているのはマグロでした。2つの栄養素をどちらもたくさん摂取したいなら、マグロを食べるのがおすすめです。
DHA・EPAの摂取量の目安
男性のn-3系脂肪酸の摂取目安量(g/日) | 女性のn-3系脂肪酸の摂取目安量(g/日) | |
---|---|---|
0~5ヶ月 | 0.9 | 0.9 |
6~11ヶ月 | 0.8 | 0.8 |
1~2歳 | 0.7 | 0.8 |
3~5歳 | 1.3 | 1.1 |
6~7歳 | 1.4 | 1.3 |
6~7歳 | 1.4 | 1.3 |
6~7歳 | 1.4 | 1.3 |
8~9歳 | 1.7 | 1.4 |
10~11歳 | 1.7 | 1.5 |
12~14歳 | 2.1 | 2.8 |
15~17歳 | 2.3 | 1.7 |
18~29歳 | 2.0 | 1.6 |
30~49歳 | 2.1 | 1.6 |
50~69歳 | 2.4 | 2.0 |
70歳以上 | 2.2 | 1.9 |
妊婦および授乳中の経産婦 | – | 1.8 |
厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準2015」には、年齢や性別ごとに必要な栄養素の推奨量などが記載されています。
そのなかで、DHAやEPAを含むn-3系脂肪酸の推奨摂取量は18歳未満の場合0.7〜2.3g、18歳以上の場合1.6〜2.4gの範囲で男女や年齢によって異なります。
1日あたりに推奨される摂取量を継続的に摂り続けることが大切です。
DHA・EPAの効率的な摂り方
魚のなかで、DHAやEPAが多く含まれているのは脂の部分です。そのため、焼き魚にすると脂が滴り落ちてしまい、摂取できるDHAやEPAの量は約20%減少すると言われています。
煮魚にした場合も煮汁に脂が流れ出るため約20%減少し、揚げ物にすると約50%減少することが分かっています。
効率良くDHAやEPAを摂取できるのは、生食です。新鮮な青魚を食べる際には、旬の時期の脂が乗ったものを刺身で食べるのがよいでしょう。脂までしっかり食べられるので、DHAやEPAを余すことなく摂れます。煮物にする際には、脂が流れ出た煮汁まで食べるのも、DHAやEPAをなるべく多く摂るポイントです。
とは言え、刺身や煮魚などから充分な量のDHAやEPAを継続的に摂取するのは簡単ではないでしょう。DHAやEPAをしっかり摂取できるおすすめの方法は、サバやイワシなど青魚の缶詰を食べることです。
缶詰の場合、煮汁も入っていて、尚且つ骨まで柔らかく煮られているのがポイントです。骨まで入っているため、缶詰には刺身や切り身にする際に廃棄されがちな骨付近の脂まで全て含まれています。
DHAやEPAを手軽にしっかり摂取したい人は、青魚の缶詰を選んでみてください。
DHA・EPAのサプリは効果があるの?
DHAやEPAを効率的に摂取することを検討した際、サプリを利用しようと考える人も多いのではないでしょうか。近年、さまざまなDHAやEPAのサプリが販売されているため、手軽にDHAやEPAを摂取したい人には適しているかもしれません。
しかし、DHAやEPAには速効性がある訳ではないため、効果がないと感じる人が多いそうです。サプリを使用するのであれば、最低でも3ヶ月以上は製品の服用方法に従って正しく服用する必要があり、なかにはそれでも効果を感じなかったという声も聞かれます。
一方、DHAやEPAが多く含まれる青魚には、タンパク質・カルシウム・ミネラル・ビタミンなど人間に必要なさまざまな栄養が含まれています。健康面からみても、サプリから摂取するよりは青魚などの食品から摂取する方が、多くの栄養を摂取できるでしょう。
DHA・EPAは成長期の子どもにもおすすめ
ひと昔前には、「子どもの頭が良くなるようDHAを積極的に摂らせよう」なんて考え方もありましたが、DHAと学習能力の関係性は科学的に証明されていません。
しかし、脳や神経にDHAが含まれることから、発達に影響がある可能性が高いと言われています。特に、母乳にもDHAが含まれることから、成長のために欠かせない栄養であるとも考えられているのです。
成長期にはタンパク質やビタミン、ミネラル、カルシウムなどさまざまな栄養が必要です。DHAやEPAを多く含みつつ、これらの栄養も摂れる青魚を積極的に食卓に並べてみてはいかがでしょうか。
DHA・EPAはダイエットに効果があるって本当?
DHAやEPAの効果で紹介したように、これらの栄養には中性脂肪の合成を抑制する働きがあります。中性脂肪の合成を抑制することができるのであれば、ダイエットにも効果が期待できると言えるでしょう。
実際に、魚脂(DHA・EPA)とダイエットの関係性を京都大学の研究グループが調べた結果、魚脂(DHA・EPA)には脂肪の燃焼促進作用が期待できるという内容が報告されています。
中性脂肪の合成を抑制しつつ、蓄積した脂肪も燃焼できるとあれば、DHAやEPAはダイエットに是非とも摂り入れたいところですね。
まとめ
人間が健康な状態を維持するために必要なDHAとEPAについて解説してきました。
どちらも青魚に多く含まれている栄養ですが、日本では近年魚の消費量が減少傾向にあります。輸送費などの高騰により魚の価格自体が上がったことや、自宅での調理を面倒に思う人が多いことも理由のひとつに挙げられるでしょう。
今回紹介したように、DHAやEPAは動脈硬化や心筋梗塞・脳梗塞、成人病などの予防に効果が期待できる栄養です。自宅で青魚を調理するのが面倒な場合は、缶詰などで効率的にDHAやEPAを摂取するのが望ましいでしょう。
ぜひ、DHAやEPAを効果的かつ定期的に摂り入れ、健康を維持してみてください。