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ホタテで一攫千金?!ホタテ漁で大成功した北海道の猿払村とは?

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北海道の最北部、宗谷エリアに位置する猿払(さるふつ)村は、日本最北端の村として知られています。広大な酪農地、視界を遮らない真っ直ぐな道路など、北海道の雄大な自然を感じられる猿払村ですが、国内有数のホタテの産地としても知られています。

そしてこの猿払村、実は全国でも特に注目の「高所得自治体」であることをご存知でしょうか?実際村内には「ホタテ御殿」と呼ばれる豪邸がたくさん建っているとか。しかし猿払村のホタテ漁は、昔から成功していたわけではなかったようです。

この記事では、猿払村とホタテ漁の歴史について詳しくご紹介します。猿払村が「日本一のホタテのまち」となるまでの知られざるストーリーに、ぜひご注目ください!

この記事でわかること

  • 北海道は世界2位のホタテ類の漁獲量・生産量を支えている
  • 猿払村の毎年トップランクのホタテ水揚げ量を誇る
  • ホタテ御殿が建つほど猿払村の平均所得は全国的にも高い
  • 猿払村が成功したのは村の先人たちによる努力と決意のおかげ
  • 猿払村のホタテはとにかく大きくて肉厚でとっても美味しい
  • 北海道ご当地ラーメン
  • スープカレー特集

日本のホタテ漁を支える猿払村

日本のホタテ漁を支える猿払村

日本は世界的にも有数のホタテの産地です。2021年の世界各国のホタテ類の漁獲量・生産量を見てみると、1位は中国、2位が日本となっています。

順位 漁獲量(単位:t)
1 中国 1,829,924
2 日本 520,500

参考:国際統計・国別統計専門サイト「グローバルノート」世界のホタテ貝(帆立貝)の漁獲量・生産量 国別ランキング・推移

生産量世界2位を誇る日本のホタテ漁を支えているのは、北海道です。国内のホタテ漁獲量のほぼ100%のシェアを誇っています。北海道全体の漁業・養殖業の中でも、ホタテは約34%の生産量を占める主要水産物です。

海面漁業・養殖業の魚種別構成比のグラフ

参考:北海道水産林務部(2019年)「北海道水産現勢」(生態重量)

そんな北海道のホタテ漁を支えているのが、猿払村。ホタテの水揚げ量は、道東の北見市と拮抗しており、毎年トップにランクインしています。

順位 市町村 数量(t) 金額(千円)
1 北見市 49,083 6,284,186
2 猿払村 45,890 3,697,831
3 稚内市 43,129 4,701,664
4 湧別市 38,439 3,601,592
5 紋別市 33,368 2,570,522
6 枝幸町 32,446 3,991,919
7 興部町 21,451 1,309,605
8 雄武町 21,130 1,867,630
9 浜頓別町 20,738 1,923,830
10 別海町 18,208 4,348,220

※出典:2020年(令和2年) 北海道水産現勢(水産統計)

猿払村ってどんな村?

国内外のホタテ生産を支える猿払村。ここからはもう少し詳しく、猿払村の特徴についてみていきましょう。

猿払村ってどこにあるの?

猿払村は、北海道の宗谷エリアにある、道内最北端の村です。土地の総面積は590km2と、道内で一番広い村であることが特徴です。

猿払村は、村の総面積の約8割が森林や湿原という、手つかずの自然が多く残されている村でもあります。オホーツク海岸沿いには大小様々な沼や湿地帯が点在しており、貴重な自然植物も多く生息しています。また、冬には流氷が接岸し、幻想的な景色を見ることができます。

村の主要産業は隣接するオホーツク海での漁業と、広い土地を利用した酪農です。ホタテ漁のほか、村営の牧場で生産される「さるふつ牛乳」も名物のひとつ。

なお、人口は2023年6月30日現在で2,699人と、人口減少により「過疎地域」に指定されています。

猿払村の平均所得は全国上位!

北海道の最北にある猿払村ですが、実は驚きの発展を遂げて現在に至ることは、あまり知られていないのではないでしょうか。

まずは以下の全国の各市町村の平均所得ランキングをみてみましょう。

順位 市町村 都道府県 平均所得
1 港区 東京都 1,471万3,000円
2 周防大島町 山口県 1,176万9,000円
3 千代田区 東京都 1,076万7,000円
4 渋谷区 東京都 1,000万円
5 中央区 東京都 760万8,000円
6 猿払村 北海道 731万7,000円
7 芦屋市 兵庫県 697万9,000円
8 目黒区 東京都 684万2,000円
9 文京区 東京都 667万8,000円
10 世田谷区 東京都 603万円

引用元:年収ガイド 全国市区町村 所得(年収)ランキング 2022年 より

トップ10のうち7か所が東京都を占める中、猿払村はなんと6位にランクイン「村」としては異例の順位といっても良いでしょう。
ちなみに2010年の平均所得は361万円、2017年には813万円と2倍以上になり、年によっては、全国3位の平均所得額になったこともあるといいます。

ではなぜ、猿払村はこれほどまで高所得な村となったのでしょうか?

ホタテが猿払村の名産品になるまで

猿払村の高所得の理由は、やはり「ホタテ」にあります。

ホタテの水揚げ量国内1位に何度も輝いている猿払村ですが、最初から今のような名産品となったわけではありません。その裏には、村をあげた壮大なプロジェクトと、村人たちの苦労や努力があったのです。

「貧乏見たけりゃ猿払へ」

猿払村でホタテ漁が始まったのは、明治時代と言われています。漁場が開拓され、時代とともに漁業の技術が発展し、昭和12年(1937年)以降は記録的な大漁に。猿払村の経済を支える主力の水産物として、利用されてきたそうです。

しかしその後、乱獲されたホタテは戦後になると姿を消してしまいます。昭和29年(1954年)以降、猿払村でホタテを見ることができなくなり、村の漁業は経営が一気に厳しくなりました。昭和39年(1964年)にはホタテ資源は完全に枯渇。制限された水揚げ量以上の漁獲は全面禁漁とされました。

さらに追いうちをかけるように、村にあった炭鉱が次々と閉山してしまいます。昭和40年(1965年)前後には、「貧乏見たけりゃ猿払へ」と呼ばれるほど、村の経済は低迷してしまいました。

猿払村の命運をかけた大規模放流

猿払村の存続すら危ぶまれる中、状況を打開したのが猿払村漁協でした。日本で初めて「ホタテ稚貝の大規模放流」事業の計画を立てたのです

その計画とは、1年間ホタテの種苗を海の中で育てて、小さな貝に成長したところで海に放流し、4~5年後に獲る、というもの。いわば「獲るだけの漁業」から「育てて獲る漁業」への転換でした。

猿払村と漁協は協力して、昭和46年(1971年)から10年計画で、ホタテ稚貝の放流を行うことを決定しました。その費用は、なんと村1年分の予算とも言われるほど莫大な金額。消えたホタテを復活させるには、まとまった数の稚貝を放流する必要があったのです。

この莫大な費用を賄うために、猿払村は役場や関係機関だけでなく、村の住民からも拠出金を集めることに。当時の住民は明日食べるものにも困るような状況でしたが、ホタテ復活のためと、多くの住民を説得して費用を集めたそうです。

結果、稚貝放流は無事開始され、4年後、5年後と少しずつホタテの水揚げがされるようになりました。その後ホタテは順調に成長していき、現在では毎年約4万tの水揚げ量を維持しています

猿払村が「ホタテのまち」として知られるようになった背景には、村の先人たちによる決死の覚悟と努力があったのですね!

猿払村のホタテの特徴

猿払村のホタテの特徴

先人たちの苦労と努力があって今がある、猿払村のホタテ。ここからは、猿払村のホタテの特徴をご紹介していきましょう。

まず目につくのは、その大きさです。猿払村のホタテはとにかく大きくて肉厚!しっかりとした弾力を感じられる歯ごたえは、猿払村のホタテならではの特徴です。

大きくてプリッとしたホタテが育つ理由は、猿払村の気候と海底の環境にあります。年間を通して冷涼な気候はホタテが育ちやすく、さらに「砂が少なく砂利が多い」という猿払村の沿岸の海底環境は、稚貝に砂が被りにくいため、ホタテの育成環境としてピッタリなのだそう。

また、猿払村のホタテは4年貝。稚貝を放流してから4年後に獲っています。海の中で4年間大切に育ててきたホタテだからこそ、大きくて肉厚のホタテが育つというわけですね。

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ホタテには栄養がいっぱい!

ホタテには栄養がいっぱい!

ここまでは、猿払村のホタテの歴史や特徴についてご紹介しました。
最後にホタテの栄養についてもみていきましょう。

ホタテは低カロリーで高タンパク!さらに疲労回復に効果があるとされている「アミノ酸」や、コレステロールを減らすという「タウリン」が豊富に含まれています。

特にホタテに含まれるタウリン量は、同じ貝類である「牡蠣」と比べても引けを取らない含有量です。100g中に含まれるタウリン量は、牡蠣が1,100mgに対し、ホタテは1,000mgと、同じくらい豊富に含まれていることが分かります。

タウリンは血中のコレステロールを減らし、血液をサラサラにする効果があるとされています。また、肝機能を高める効果もあるため、ホタテは二日酔い防止にも向いている食材と言えるでしょう。なお、タウリンは水に溶けやすい成分ですので、汁ごと食べられる調理法がおすすめです。

ホタテは美味しいだけではなく、健康維持も期待できる万能食材です。ぜひ積極的に毎日の食卓に取り入れたいですね。

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まとめ

まとめ_猿払村は「ホタテのまち」

猿払村が「ホタテのまち」として有名になった背景には、かつての苦しい村を変えようと奮闘した、先人たちの苦労の歴史がありました。

猿払村の海で大切に育てられてきたホタテは全国に流通し、様々な加工品としても味わうことができます。
養殖のホタテは一年中楽しめるのも嬉しいところ。大ぶりで旨みたっぷりの猿払村のホタテを、ぜひご自宅でも味わってみてくださいね。

PREZO編集部
PREZO編集部
美味しいものに目がない。食べ歩きやお取り寄せ大好きなPREZOのスタッフが、地域の魅力や商品にまつわるストーリー、北海道の豆知識など、とっておきの情報を発信!