サバの旬の時期は種類によって異なる!おいしいサバの見分け方や保存方法も紹介
サバの旬の時期は種類によって異なる!おいしいサバの見分け方や保存方法も紹介
全国的に一年を通して漁れる魚「サバ」は、日本でも多くの食卓で親しまれています。サバの旬の時期は秋〜冬です。サバの種類によって旬の時期は異なり、秋・冬が旬なものもあれば、夏が旬の種類もあります。旬の時期のサバは脂がのっていておいしいだけでなく、栄養も豊富に含まれていることが特徴です。
こちらの記事ではサバの種類と旬、国内のブランドサバやサバの産地、漁獲量、おいしいサバの見分け方などを紹介します。
- サバの旬は秋〜冬
- マサバの旬は11月〜2月
- ゴマサバは6月〜9月が旬
- サバにはEPAやDHAをはじめとする栄養が豊富
- 新鮮なサバは眼球が透き通って体にハリがある
この記事でわかること
サバの旬の時期はいつ?サバは秋がおいしい
サバ(鯖)の旬は秋〜冬です。そのため、秋に漁れたサバは「秋鯖」と呼ばれ、冬に漁れたサバは「寒鯖」と呼ばれることもあります。サバは一年中漁れる魚ですが、4〜6月が産卵期で産卵を終えて痩せたサバがまた脂肪を蓄える秋〜冬はおいしいと評判です。また、サバにはさまざまな種類があり、日本で最も食べられている「マサバ」の旬が秋〜冬とされています。
サバの旬は種類によって異なる?代表的なサバの種類
サバの旬は秋〜冬と先述しましたが、サバは種類によって旬の時期が異なります。日本でよく食べられる代表的なサバとその旬は次の通りです。
サバの種類と旬
- マサバ|11月〜2月
- ゴマサバ|6月〜9月
- 大西洋サバ(ノルウェーサバ)|11月〜2月
ここからは、それぞれのサバについて詳しく紹介します。
1.マサバ|11月〜2月
マサバは11月〜2月が旬の種類で、産卵期を終えた晩秋〜2月は脂がのっていて非常においしいです。見た目は「紡錘形(ぼうすいけい)」と呼ばれる両端にかけて細い形をしており、背中は青緑、お腹は白銀の色味をしているのが特徴です。市場ではマサバのことを「ヒラサバ」と別名で呼ぶこともあります。
マサバは日本沿岸で漁れるので全国的に食べられる魚で、なかでも国内でマサバの漁獲量が多い地域は茨城県と長崎県です。近年では佐賀県で漁れる「関鯖」、長崎県で漁れる「ハーブ鯖」などブランドサバも現れています。また、マサバの産地は季節で変わることも特徴で、北海道では8月〜10月の夏場に漁られます。
2.ゴマサバ|6月〜9月
ゴマサバの旬の時期は6月〜9月です。マサバと比べて脂が少ないので1年を通して味はあまり変わりません。年中おいしく食べることができ、マサバの旬が秋〜冬なので、マサバの旬の時期を避けた夏がゴマサバの旬とされます。
ゴマサバの見た目はマサバに似ていますが、お腹にゴマのような小さな黒い斑点があることが特徴です。マサバよりも暖かい海を好むサバなので、北海道よりも南の海に生息しており、漁獲量の多い地域は三重県や宮崎県です。切った時の断面が丸みを帯びていることから、市場では「マルサバ」と呼ばれることがあります。
3.大西洋サバ(ノルウェーサバ)|11月〜2月
大西洋サバは北大西洋沿岸で漁れるサバのことで、旬の時期は11月〜2月です。主な生産国にノルウェーやカナダ、デンマークがあります。「ノルウェーサバ」とも呼ばれ、日本で漁れるマサバやゴマサバと並んで人気のある種類です。日本では加工食品や冷凍食品などに大西洋サバがよく使われます。また、大西洋サバの見た目はマサバに似ていて、旬も同じ時期です。
日本一おいしいサバはどれ?国内のおすすめのブランドサバ
全国的に漁れるサバは、地域によってブランドがつけられています。
国内のブランドサバ
- 松輪サバ(神奈川・松輪漁港)
- 関サバ(大分・佐賀関)
- 金華サバ(宮城・石巻)
- お嬢サバ(鳥取・岩美)
- 前沖サバ(青森・八戸)
そのほかにも、鹿児島県屋久島の「首折れサバ」、高知県土佐の「清水サバ」なども有名です。ブランドサバではありませんが、福井県永平寺のサバや長崎県松浦のサバもおいしいことで知られています。
ここからは、国内の主要な5つのブランドサバについて詳しく紹介します。
1.松輪サバ(神奈川・松輪漁港)
松輪サバは、神奈川県三浦市の松輪漁港で水揚げされているサバです。三浦半島南部の松輪瀬で、漁れるマサバのことを「松輪サバ」と呼びます。旬の時期には胴体から尾にかけて黄色の筋が入るため、「松輪の黄金サバ」と呼ばれることもあります。
松輪サバの漁獲期は6月〜11月、旬の時期は晩夏〜初秋(8月末〜9月半ば)です。旬の松輪サバは脂のりがよく、産地近くでは松輪サバを刺身で食べることも可能です。そのほか、生食以外にも煮物や塩焼き、竜田揚げにしてもおいしく食べられます。
2.関サバ(大分・佐賀関)
関サバは大分県大分市の佐賀関で漁れるサバのことです。佐賀関周辺の海域「速吸の瀬戸(はやすいのせと)」で育ったサバは「関もの」と呼ばれ、高級魚として知られます。関サバは魚を傷めない一本釣りで漁られることが特徴で、漁った後は生きたまま運んで、出荷の際に活け締めを行うことで、鮮度の品質管理が徹底的になされています。
関サバの旬の時期は10月〜3月で、脂がのってしまりのいい身は歯応えがよく絶品です。刺身にして食べることもできます。
3.金華サバ(宮城・石巻)
金華サバは宮城県南三陸町にある「金華山沖」で漁れるマサバのことです。石巻魚市場を中心に、地域ブランド化事業を目的として立ち上げられました。ほかの地域で漁れるマサバと比べてサイズが大きいことが特徴で、旬は9月〜1月です。味わいは臭みがなく旨みも強いので、しめ鯖や塩焼き、味噌煮にしてプリプリとした脂がのった身を楽しめます。
近年は漁獲量が減っているため、金華サバは「幻のサバ」と呼ばれることもあります。厳しい基準をクリアしなければ金華サバとして認められず、関東などでは1尾あたり2〜3万円で取引されることのある高級なブランドサバです。基準を全て満たしているサバはごく限られ、シーズンでもその漁獲量は全体の10%に満たないと言われています。
4.お嬢サバ(鳥取・岩美)
お嬢サバは鳥取県岩美町とJR西日本が共同開発して養殖したマサバです。地下の海水を使って陸上で養殖されており、青魚によくある臭みが少なく、質のいい脂がのっていることが特徴です。寄生虫「アニサキス」を防ぐことができるので、生でも安心して食べられるのはもちろん、白子や肝までおいしく食べられます。
5.前沖サバ(青森・八戸)
前沖サバは、「八戸前沖さばブランド推進協議会」によって認定された期間に三陸沖で漁獲され、八戸港で水揚げされたサバのことです。ブランドとして認定する漁獲期間は、脂肪分や重量などを参考にして協議会が毎年判断しています。特に大物は「銀サバ」とも呼ばれ、脂肪の割合は30%にものぼると言われています。
また、前沖サバの旬は9月〜11月です。肉質が引き締まっているのが特徴のマサバと、身が柔らかいゴマサバの2種類があり、マサバはしめ鯖に、ゴマサバは焼き物にするとおいしいです。いずれもほかのサバと比べて脂肪分が高いため、十分な旨みを味わえます。
サバの産地と漁獲量
サバは日本各地で漁獲されている魚ですが、なかでも漁獲量の多い地域は以下の通りです。
順位 | 都道府県 | 漁獲量(全国合計:315,900t) |
---|---|---|
1位 | 長崎県 | 約70,500t |
2位 | 茨城県 | 約33,000t |
3位 | 宮城県 | 約29,600t |
4位 | 静岡県 | 約24,000t |
5位 | 北海道 | 約23,800t |
6位 | 岩手県 | 約19,400t |
7位 | 島根県 | 約15,800t |
8位 | 三重県 | 約14,100t |
9位 | 石川県 | 約12,400t |
10位 | 千葉県 | 約11,100t |
農林水産省が発表した「令和4年度の漁業・養殖業生産統計」の調査結果によれば、全国でもっとも漁獲量が多いのは長崎県で年間約70,500tでした。次いで、茨城県・宮城県・静岡県・北海道の順で漁獲量が多いことがわかりました。
宮城県はブランドサバの「金華サバ」の産地としても知られますが、北海道でも「北釧サバ(ほくせんさば)」というブランドサバがあります。北海道の釧路港で水揚げされたサバのことで、釧路沖で漁れるマサバは脂肪分が20%を超えると言われています。ぜひ一度北海道のサバも試してみてはいかがでしょうか。
サバの栄養は?旬の時期は栄養が豊富に含まれる
サバは栄養豊富な食材です。サバに含まれる代表的な栄養素には以下があります。
サバに含まれる栄養素
- EPA・DHA
- タンパク質
- ビタミンD
- 鉄・亜鉛
(可食部100g当たり) | マサバ | ゴマサバ | 大西洋サバ |
---|---|---|---|
エネルギー | 247kcal | 146kcal | 326kcal |
水分 | 62.1g | 70.7g | 54.5g |
たんぱく質 | 20.6g | 23.0g | 17.2g |
脂質 | 16.8g | 5.1g | 26.8g |
炭水化物 | 0.3g | 0.3g | 0.4g |
ナトリウム | 110mg | 66mg | 99mg |
カリウム | 330mg | 420mg | 320mg |
カルシウム | 6mg | 12mg | 7mg |
マグネシウム | 30mg | 33mg | 28mg |
鉄 | 1.2mg | 1.6mg | 0.9mg |
食塩相当量 | 0.3g | 0.2g | 0.3g |
サバは脂の多い魚で、不飽和脂肪酸の「EPA(エイコサペンタエン酸)」や「DHA(ドコサヘキサエン酸)」が豊富に含まれています。EPAは血栓や高血圧の予防に効果が期待できる成分で、さらに悪玉コレステロールや中性脂肪を減らす効果も期待できます。DHAには血流をよくするはたらきがあり、動脈硬化の予防・改善が期待されている成分です。とくに旬の時期のサバは脂のりがよくなり、EPAやDHAの含有量も増えるため栄養豊富な食材になります。
また、タンパク質は筋肉や骨、皮膚のもととなる栄養素で、ビタミンDはカルシウムの九着を高めるはたらきがあるので骨の健康維持には欠かせません。そのほか、鉄や亜鉛はミネラルの一種であり、赤血球を作ったり美しい肌・髪の毛を維持したりするのに役立ちます。このように、サバには栄養が豊富に含まれているのでぜひ積極的に食事に取り入れましょう。
サバには抗酸化作用もある?
サバには「セレン」と呼ばれるミネラルの一種も含まれています。セレンは老化の原因物質のひとつ「過酸化脂質」の分解に関与する抗酸化酵素の成分です。セレンの持つ抗酸化作用によって組織細胞の酸化を防ぐほか、水銀などの有害物質を無毒化、血栓症の予防などに役立つと注目を集めています。
ことわざ「秋鯖は嫁に食わすな」の意味は?
「秋鯖は嫁に食わすな」ということわざを耳にしたことはないでしょうか。これは、秋から冬にかけてのサバがおいしい時期、嫌いな嫁にサバを食べさせるのはもったいないという意味です。姑の嫁いびりの言葉が由来とされています。その一方で、サバは鮮度が下がりやすいことから嫁の身を心配する姑の思いやりが由来とも言われています。
サバの正しい保存方法
サバは青魚のなかでも特に傷みやすい魚です。生の状態であれば、冷蔵保存しても2日ほどで傷んでしまうので注意が必要です。
サバを一尾丸ごと購入した場合、できる限りすぐに内臓や血合いを取り除きましょう。内臓がついたままだと傷みやすくなり、血合いは生臭さの原因になります。サバは内臓を取り除いて三枚おろしにし、十分に洗って血合いを取ります。キッチンペーパーで水気を切って一枚ずつラップに包んで冷蔵保存すると鮮度を保つことが可能です。ただし、サバを買ったその日のうちに調理して食べてしまうのが望ましいです。
また、サバを購入してすぐに食べない場合は冷凍保存しましょう。三枚おろしにして内臓や血合いを処理した後、塩をかけて水分を出しキッチンペーパーで水気を拭き取ります。切り身を一枚ずつラップに包み、フリーザーバックに入れて空気を抜いてから冷凍庫に保存します。冷凍したサバの保存期間約2〜3週間ですが、早めに調理して食べきりましょう。
冷凍したサバを解凍する際はすぐに常温に戻すのではなく、冷凍庫から取り出して冷蔵庫へ移し、6時間ほどかけてゆっくりと解凍させるのが適しています。解凍時間を短くしたい場合、水にさらすと1〜3時間で解凍できます。解凍後のサバは塩焼きや煮魚など加熱調理しましょう。
新鮮でおいしいサバの見分け方
傷みやすいサバはできる限り新鮮なものを選んで購入しましょう。新鮮でおいしいサバの見分け方のポイントは次の通りです。
新鮮なサバの見分け方
- 眼球が透き通っている
- エラの色が赤く鮮やか
- 体にハリがある
サバは鮮度が落ちると眼球がにごってくすみます。目が白っぽくなっているものや乾燥してしぼんでいるものは時間が経っている証拠です。眼球がみずみずしく透き通っているものは新鮮な可能性が高いです。新鮮なサバはエラが鮮やかな赤色をしているので、可能ならエラの色も覗いてみましょう。鮮度が落ちるとエラが乾いて薄いピンク色、茶色などになります。
また、サバを触ることができればお腹を指で軽く押してみましょう。体にハリがあれば、身が引き締まっている新鮮なサバと見分けることができます。
おいしいサバの食べ方
サバは新鮮なうちに調理して食べきりましょう。ここからは、おいしいサバの食べ方を2つ紹介します。
1.サバの味噌煮
サバと言えば味噌煮で食べるという方は多いかと思います。サバには多くの脂が含まれており、甘からい味噌の味との相性が抜群で、味噌の旨みを引き立ててくれます。冷凍・解凍したサバも味噌煮にするとおいしく食べることが可能です。
2.しめ鯖
新鮮なサバをしめ鯖にして食べるのもおすすめです。塩をふって水分を出した後、酢でしめると身がしまって味わいがよくなります。しめ鯖の刺身には辛子醤油が合います。また、脂が緩和されてあっさりとした味を楽しむことが可能です。よりあっさりしたしめ鯖を食べたい場合、脂が少ないゴマサバを使用しましょう。
まとめ
サバの旬は秋〜冬です。サバの種類によって旬の時期は異なり、日本でもっとも食べられているマサバの旬は11月〜2月です。旬の時期のサバは脂がのっておいしく、栄養も豊富に含まれています。ぜひ積極的に普段の食事にサバを取り入れてみてください。