小松菜は生で食べてもいいの? 驚くべき栄養成分と効能を高める食べ方とは。
冬が旬の小松菜ですが、最近ではハウス栽培などで通年出荷されています。小松菜はアブラナ科の野菜で、野沢菜やチンゲンサイなどと同じ仲間です。そういわれてみれば、茎の感じや風味が少し似ているかもしれませんね。小松菜の使い方といえば、おひたしや汁物の具、炒め物などが思いつきますが、実は生でも食べられるんです。
- 小松菜は生食のほうが栄養価が高い
- 小松菜はビタミン・カルシウム・鉄分が豊富
- 小松菜とほうれん草は使い分けると良い
この記事でわかること
小松菜は生で食べてOK!その方が栄養成分が高い
生の小松菜って食べたことがないなぁという方も多いと思いますが、野菜スムージーを思い浮かべてみたらいかがでしょう?自宅で野菜スムージーを作る方は、小松菜を使う組み合わせが意外と多いのではないでしょうか。その場合、小松菜は生でそのままミキサーに入れちゃいますよね。サラダ野菜としてはあまりメジャーではありませんが、スムージー用の材料としてはメジャーなのが小松菜です。
小松菜の生食がOKの理由
小松菜が生で食べられるのは、アクが少ないからです。アクのある野菜というのは数多くあり、ひと口にアクと言ってもその種類も様々。たとえばゴボウのアクの正体はクロロゲン酸というポリフェノールで、これは摂取しても害はなく、むしろ脂肪の蓄積を防ぐなど、体によい働きがあります。ゴボウを調理する際にアク抜きをするのは、そのままだとゴボウが黒く変色してしまい、料理の見た目が悪くなってしまうからです。色を気にしない料理であれば、ゴボウはアク抜きをせずに使ったほうがいいでしょう。
ゴボウとは逆に、ほうれん草のアクであるシュウ酸や、ワラビに含まれるプタキロサイドなどは食感を損ねるだけではなく、体に害を及ぼす物質なので、アク抜きが必須となります。
ほうれん草と見た目が似ている小松菜も、下茹でが必要なのではと思いがちですが、小松菜にはシュウ酸がほとんど含まれていません。なので、アク抜きの必要もなく、生で食べられるのです。生の小松菜は茎のシャキシャキとしたみずみずしい食感を堪能できるので美味しいですよ!
小松菜の栄養成分はむしろ熱に弱いものもある
小松菜はビタミンA、C、Eの他、カルシウムや鉄分なども豊富な緑黄色野菜です。とくにカルシウムと鉄分についてはほうれん草の倍以上という優秀さ。また、アブラナ科の野菜に含まれるイソチアシアネートという成分も含まれています。
イソチアシアネートは、人間が体の中では作れないフィトケミカルの一種です。リコピンやイソフラボン、アントシアニン、カテキンなども数あるフィトケミカルの一部です。フィトケミカルには抗酸化作用や抗がん作用、免疫力を高める作用などがあり、積極的に摂取していきたい成分となっています。
このイソチアシアネートは熱に弱い成分で、茹でたり炒めたりすると失われてしまいます。また、ビタミンも熱に弱く、水に溶け出してしまう成分。これらを余すところなく摂取するには生食が一番です。
小松菜の栄養成分と効果
栄養豊富な小松菜ですが、生で食べるのと茹でて食べるのでは違いがあります。小松菜100gあたりの栄養価を見てみましょう。
小松菜(生) | 小松菜(茹で) | |
---|---|---|
β-カロテン | 3,100㎍ | 3,100㎍ |
ビタミンC | 39mg | 21mg |
カルシウム | 170mg | 150mg |
鉄 | 2.8mg | 2.1mg |
食物繊維 | 1.9g | 2.4g |
β-カロテン
私たちの体には、呼吸によって得る酸素から発生する活性酸素というものがあります。本来であれば体の免疫機能を維持するためのものですが、これが増えすぎると疲労や老化の原因となってしまいます。なので、これを抑制する働きである「抗酸化作用」のあるものを日々の生活に取り入れていくのが良いと言われています。β-カロテンはまさにその抗酸化作用を持つ物質です。
また、β-カロテンは体内でビタミンAを作ります。ビタミンAは目の働きを助けたり、肌の新陳代謝を高める効果のある物質。視力低下の予防や、肌トラブルの改善などに役立ちそうですね。ビタミンAは粘膜の健康維持にも役立つので、喉や鼻、口内など粘膜の荒れが気になるかたはぜひ!
β-カロテンは油と一緒に摂取すると吸収が良くなります。油でさっと炒めるか、生で食べるならオイルを使ったドレッシングと一緒に食べるのがおすすめです。
ビタミンC
ビタミンCは人間が体内で合成できない栄養素の1つです。骨や腱、血管などに必要なコラーゲンの生成に必須で、ビタミンCが不足するとコラーゲンが不足するので血管がもろくなってしまいます。ビタミンCは、毛細血管や歯・軟骨などを正常に保つ働きがある他、皮膚のメラニン色素の生成を抑え、日焼けによるトラブルを防ぐ効果や、風邪などの病気に対する抵抗力を強める働きがあります。
また、ビタミンCにも抗酸化作用があり、がんや動脈硬化の予防、老化防止などにも有効とされています。成人では1日あたり100mgのビタミンCが必要といわれていますが、小松菜は100gで39mg。必要量の4割近くを補えてしまう優秀な野菜です。
ビタミンCは水溶性のため、茹でると減ってしまいます。なのでビタミンCを多く摂りたいという方には生食がおすすめ!
カルシウム
骨や歯の形成に必須のカルシウム。成長期にはもちろん欠かせないものですが、大人になってからもこれが不足すると骨密度の低下を招き、骨や歯がもろくなってしまいます。カルシウムは、摂取しても日々の便や尿と一緒に排泄されてしまうため、毎日摂取していくのが大切です。
カルシウムと言われて一番最初に考えつくのは牛乳ですが、実は小松菜100gあたりのカルシウム量は170mg。牛乳100ml(コップ半分程度l)に含まれるカルシウム量は110mgなので、単純に重量で換算するなら牛乳よりも小松菜のほうがカルシウム量は多いといえます。
ただし、小松菜のカルシウムはあまり吸収率がよくないので、吸収を促すビタミンDと一緒に摂取すると効果的です。ビタミンDはきのこ類や魚などに多く含まれています。
鉄
酸素を運ぶ赤血球に多く含まれている鉄分は、不足すると赤血球の機能が下がり、体内に十分な酸素が届かなくなってしまいます。倦怠感や頭痛、めまい、集中力の低下などを引き起こす鉄欠乏性貧血になってしまいます。女性、とくに妊娠中や授乳期の女性は鉄分の必要量も多くなるので、サプリだけではなく日々の食べ物で積極的に摂っていきたい成分です。
小松菜の鉄分は100gあたり2.8mgです。これは鉄鍋で茹でたひじき100gあたりの2.7mgを上回る数値です。ただし、植物からとれる鉄分は非ヘム鉄と呼ばれ、動物性のヘム鉄よりも吸収が良くないのが難点です。なので、鉄の吸収を良くする動物性たんぱく質やビタミンCと一緒に摂ると、効率が良くなりますよ!
食物繊維
小松菜に含まれる食物繊維は、不溶性食物繊維と呼ばれるものです。水に溶けにくい不溶性食物繊維は、腸内で水分を吸収し、便の容積を増やしてくれます。便が増えると大腸が刺激されて排便がスムーズになります。また、腸の中で有害物質を吸着して便と一緒に排出する作用もあるため、大腸がんのリスクを減らすと言われています。
大腸内の細菌により発酵・分解されることで、ビフィズス菌などの善玉腸内細菌の餌になるため、善玉菌が増えて腸内環境の改善も期待できます。
似ている2つ。小松菜とほうれん草の栄養面の違い
小松菜(生) | ほうれん草(生) | |
---|---|---|
β-カロテン | 3,100㎍ | 4,200㎍ |
ビタミンC | 39mg | 35mg |
カルシウム | 170mg | 49mg |
カリウム | 500mg | 690mg |
葉酸 | 110㎍ | 210㎍ |
鉄 | 2.8mg | 2.0mg |
食物繊維 | 1.9g | 2.8g |
ビタミンCとカルシウム、鉄分は小松菜のほうが多く含まれています。逆にβ-カロテン、カリウム、食物繊維はほうれん草のほうが上回っています。骨粗しょう症や貧血の予防に効果的なのは小松菜、体のむくみやリウマチ、痛風の予防などに効果的なのはほうれん草です。
味や食感による好き嫌いはあるかもしれませんが、摂りたい栄養素にあわせて小松菜とほうれん草を上手に使い分けていくのもいいですね!
おいしい小松菜の選び方
小松菜を生食するのであればとくに、鮮度の良いものを選びましょう。葉物野菜に共通するポイントでもありますが、まずは葉が厚く、鮮やかな緑色をしているものが新鮮です。黄色っぽく変色してしまっているものは避けてください。生で食べる場合には、葉脈がしっかりしすぎていると少し固く感じてしまいます。用途に応じて選びましょう。
また、茎が太くしっかりとしているものであればシャキシャキ食感が楽しめます。茎がしっかりしていると、葉先までピンとまっすぐです。
買う時にはここもチェック!
食べる時には切り落としてしまう根元ですが、根がしっかりと大ぶりなものは栄養が充分に行き届いている証拠です。根、茎、葉、全体的にみずみずしく、乾燥していないものを選びましょう。
栄養・効能がアップする小松菜の食べ方
カルシウム、鉄分、ビタミンC、カリウムなどは水に溶けやすい成分なので、洗うのも手早く、火を通すならできるだけ短時間にしましょう。
手早くとはいえ、生食するのであればきちんと丁寧に洗いたいもの。葉物野菜をきれいに洗うには、まず根元に十字の切れ込みを入れます。ボウルに張った水の中で振り洗いをし、葉の内側を手でこすりながら土を落としていきましょう。ボウルの水を張り替え、葉も丁寧に洗います。
小松菜のサラダ
きれいに洗った小松菜の根元を切り落とし、4cm程度に切ってドレッシングをかければそのままサラダに!ちなみにサラダで食べるなら内側にある小さめの葉のほうが柔らかくて美味しいですよ。外側の葉は汁物や炒め物、内側の葉は生食というように使い分けてもいいでしょう。
サラダのバリエーションは様々。たとえば中華風のドレッシング(ごま油・醤油・酢・塩・胡麻)などに、すりおろしのショウガとニンニクを合わせ、これを生の小松菜に和えて最後にすりごまをふりかければ、生の小松菜のナムル風に!茹でて作るよりもシャキシャキ感が楽しめます。また、カリカリに焼いたベーコンなどを合わせて、シーザードレッシングをかけるのもおすすめです。もっとシンプルに、塩とオリーブオイル、粉チーズだけでも美味しいですよ。
軽く塩もみをして、少ししんなりさせた小松菜なら、ポテトサラダに混ぜるのもいいですね。彩りと食感のアクセントになります。マスタードやわさびなどで、風味をアレンジするのもおすすめ!
小松菜の塩昆布炒め
小松菜のカルシウムを効率よく吸収するためにはビタミンDが必要ですが、このビタミンDが含まれているのがツナです。昆布とツナで旨みもアップするので、おかずにぴったりの品です。作り方は、3~4cmのざく切りにした小松菜をごま油で炒め、そこにツナ缶(オイルごと)と塩昆布を入れて炒め合わせるだけです。塩分は塩昆布で調整してください。
小松菜の正しい保存方法と保存期間
生食する場合は新鮮なものを使いましょう。購入したら早めに食べるのが理想ですが、すぐには食べきれないという場合は、正しく保存することで長持ちさせることができます。
1週間OK!小松菜の冷蔵保存方法
冷蔵保存する場合は、小松菜全体をキッチンペーパーか新聞紙で包み、乾燥させないためにビニール袋にいれ、冷蔵庫の野菜室で立てて保存するのがベストです。これでだいたい1週間程度は保存できます。
1カ月OK!小松菜の冷凍保存方法
たくさんまとめ買いしてしまった場合には、冷凍保存もおすすめです。そう、意外にも小松菜は下処理せずに冷凍できる野菜のひとつなんです。
小松菜をきれいに洗い、ペーパータオルや清潔な布巾で水気を丁寧に拭き取ります。ここで表面に水分が残っていると冷凍中にくっついてしまうので、しっかりと拭き取りましょう。その後、食べやすい大きさに切り、冷凍保存用のジッパー付き袋などに入れて冷凍庫へ。これで1カ月程度は保存できます。
冷凍したものを食べる場合は、汁物や炒め物ならそのまま解凍せずに加えるだけでOKです。他の食材にほぼ火が通ったタイミングで加えると良いでしょう。
また、火を通さなくとも食べられます。解凍すると水分が出てしんなりしてしまうので、サラダとまではいきませんが、冷蔵庫で自然解凍(2~4時間)した後は、水分を絞り、ナムルなど和え物にするのがおすすめです。また、スムージーにするなら凍ったままミキサーに入れてしまうのがいいでしょう。
生の小松菜が苦手な人が手軽に摂取できる方法
小松菜をスムージーで摂取する
生の小松菜はちょっと苦手、という方におすすめなのはスムージーです。バナナやキウイを一緒に入れれば甘くて飲みやすいスムージーになりますよ。
おすすめは、凍らせたバナナ1本と生のキウイ1個に対して小松菜2束分を使うレシピ。ここに200mlの豆乳を加えてジューサーにかけます。豆乳が苦手な方は牛乳でも。小松菜は冷凍したものを入れても大丈夫です!
小松菜をお菓子で摂取する
小松菜はアクや青臭さが少ないため、お菓子に混ぜるのにも向いている野菜です。小松菜をミキサーやフードプロセッサーで細かくして使いましょう。パウンドケーキやクッキー、マドレーヌなどの焼き菓子や、蒸しパンなどにも!鮮やかな緑色が残るので、見た目も華やかです。
まとめ
ほうれん草は苦手でも、小松菜なら食べられるという方も多いと思います(実は私がそうです)。スーパーで1年中手軽に手に入る野菜のひとつですが、生で食べられることや冷凍保存できることなどは意外と知られていなかったのではないでしょうか?
栄養豊富で、特に日本人に不足しがちな鉄分やカルシウムが多く含まれている小松菜。冷凍保存しておけば、日々の食事で手軽に一品増やせるのも魅力ですね。