じゃがいもの保存方法を常温・冷蔵・冷凍別に徹底解説!農家おすすめの保存法も紹介
長期保存できる野菜として有名なじゃがいもですが、保存しているうちに芽が出てしまったりぶよぶよになってしまったりしたことがある人もいるのではないでしょうか。
じゃがいもを長期保存するためには、適切な保存方法を実践する必要があります。
この記事では、常温、冷蔵、冷凍に分けてじゃがいもの保存方法を紹介します。合わせて、農家のおすすめの保存方法や傷んでしまった場合の特徴なども解説しているので参考にしてみてください。
この記事でわかること
- じゃがいもを常温保存する場合は湿気対策をして冷暗所で保存する
- じゃがいもを冷蔵保尊する場合は野菜室がベター
- じゃがいもは使用用途によって冷凍保存も可能
じゃがいもは適切な方法で長期保存が可能
保存野菜の代名詞とも言えるじゃがいも。じゃがいもは、長期保存が可能なことから年中流通しており、農家から直接買い付けて自宅で保存しているという人もいます。
しかし、保存していたじゃがいもがぶよぶよになってしまったり、芽が出てしまったりして「じゃがいもなのに何故ダメになってしまったんだろう?」と思ったことがある人もいるのではないでしょうか。
じゃがいもが長期保存可能なのは、あくまで適切な保存方法を実践している場合に限ります。じゃがいもを保存する際には、適切な方法で鮮度を保ちながら保存しましょう。
常温でじゃがいもを保存する方法
じゃがいもは一般的に常温での保存が可能と言われていますが、あくまで時期によります。また、住まいの地域の気温なども重要になってくるため、自宅が常温に適した環境か見極めることが大切です。
条件を満たしているなら、常温での保存が最も鮮度を保ちやすいでしょう。
じゃがいもの常温保存に適している環境・時期
じゃがいもの常温保存に必要なポイントは以下の3点です。
- 光のあたらない場所
- 涼しい場所
- 湿気の少ない場所
家のなかで言えば、パントリーや床下収納などが上記3点を満たしやすいでしょう。
また、じゃがいもの保存に適した気温は10~15度とされています。低温すぎると甘みを損ない、高温すぎても乾燥し過ぎて食感が悪くなります。湿度は60~70%がベターと言われているため、温度計や湿度計などで確認してみるのがおすすめです。
【常温】じゃがいもの保存方法
常温でじゃがいもを保存する方法は以下のとおりです。
- じゃがいもの泥や土を、キッチンペーパーなどで拭き取って落とす
- じゃがいもを新聞紙で包む
- 冷暗所で保存する
じゃがいもは、個別に包んでも複数個を一緒に包んでも構いません。新聞紙が湿度を吸収してくれるため、包みきれる量ならOKです。
また、大量のじゃがいもを購入した場合は、段ボールに新聞紙を敷き重ならないようにじゃがいもを並べ、上から新聞紙を敷き再び重ならないようにじゃがいもを並べていく方法でも適切に保存できます。
新聞紙が吸湿できる湿気には限りがあるため、定期的に確認して新聞紙に張りがなくなったら新しいものと交換してください。
【常温】じゃがいもの保存期間の目安
じゃがいもの常温保存の目安は約2~3ヶ月です。
ただし、2~3ヶ月同じ新聞紙で保存できる訳ではないので、保存環境の定期的なチェックを欠かさないようにしましょう。
冷蔵庫でじゃがいもを保存する方法
時期や住まいの気候によっては常温保存が適さず、冷蔵庫で保存する場合もあるかと思います。そんなときには、冷蔵庫でじゃがいもを保存するのがおすすめです。
【冷蔵庫】じゃがいもの保存方法
冷蔵庫でじゃがいもを保存する方法は以下のとおりです。
- じゃがいもの泥や土を、キッチンペーパーなどで拭き取って落とす。
- じゃがいもを新聞紙で包む
- 新聞紙で包んだじゃがいもをポリ袋(もしくは冷蔵用保存袋)に入れる
- 冷蔵庫の野菜室で保存する
新聞紙で包んだじゃがいもをポリ袋に入れる際は、口を緩く結ぶかポリ袋に爪楊枝で小さな穴を空けましょう。密封してしまうとポリ袋のなかで結露が起こり、じゃがいもが濡れて傷む原因になります。
【冷蔵庫】じゃがいもの保存期間の目安
冷蔵庫でじゃがいもを保存する際には、2~3ヶ月以内に使い切るようにしましょう。特に冷蔵庫では湿気による結露が起こりやすいです。じゃがいもを保存している新聞紙が濡れていないか定期的に確認しておきましょう。
【冷蔵庫】カットしたじゃがいもを保存する方法
調理している途中で余ったじゃがいもなど、カットした状態のものを保存する場合は、以下の方法がおすすめです。
- カットしたじゃがいもをタッパーなどに入れる
- 断面が全て浸るように水を入れる
- タッパーに蓋をして冷蔵庫で保存する
じゃがいもをそのまま保存すると、断面から水分が抜けて黒く変色してしまいます。水に浸けて空気に触れないよう保存しましょう。
ただし、じゃがいもに含まれるビタミンやミネラルなどの成分は、水に溶けやすいものが多く保存中に栄養が流出してしまいます。味などに変わりはありませんが、栄養を残さず摂りたいならじゃがいもは使い切った方がよいでしょう。
【冷蔵庫】カットしたじゃがいもの保存期間の目安
カットしたじゃがいもは傷みやすいため、2~3日以内に使い切るようにしましょう。また、長時間置く程、栄養成分が流出してしまう点にも注意が必要です。
冷凍庫でじゃがいもを保存する方法
じゃがいもは基本的に冷凍に向かない野菜です。その理由は、冷凍した際に細胞が破壊されてしまい、解凍時に水分が流出してパサパサした食感になってしまうからと言われています。生のじゃがいもを冷凍すると食感はパサパサになり、甘みもほとんど抜けてしまうでしょう。
ただし、ある条件を満たした使い方をする場合にはじゃがいもの冷凍保存が可能です。
じゃがいもの冷凍に向いている使い方
じゃがいもは以下の用途で使うものなら、冷凍保存しても美味しく食べることができます。
解凍せずに使う場合
冷凍したじゃがいもから旨味や水分が抜けてしまうのは解凍した時です。そのため、解凍せずに料理に使う場合であれば、じゃがいもを冷凍して保存できます。
しっとりした食感は失われますが、ホクホク感や甘みは保てるので、フライドポテト用などのじゃがいもは冷凍でも保存しやすい でしょう。
事前に細胞を潰している場合
冷凍前にじゃがいもの細胞を潰してしまっている場合、冷凍したからといって特に食感に変化はなく、なるべく早く解凍できるよう工夫しておくことで甘みなども残せます。
代表的な調理方法のひとつにマッシュポテトがあります。既に1度茹でてマッシュしたじゃがいもであれば、味や食感を損なうことなく冷凍保存できるでしょう。サラダやコロッケなど、汎用性も高いため冷凍保存しておくと時短調理にも役立ちます。
【冷凍】じゃがいもの保存方法
じゃがいもの冷凍保存方法は、生から保存する場合と調理してから保存する場合で異なります。
生のじゃがいもを保存する場合
生のじゃがいもを冷凍保存する方法は以下のとおりです。
- じゃがいもの皮を剥き用途に合わせてカットする
- 水にさらしてあく抜きをする
- キッチンペーパーなどでしっかり水分を取り除く
- 冷凍保存用袋に重ならないように並べて冷凍する
生のじゃがいもを冷凍する場合、早く凍れば凍るほど細胞の破壊を防ぎやすくなります。冷凍庫に瞬間冷凍機能がついている場合は利用するのがおすすめです。瞬間冷凍機能のない場合は、アルミ製のバットなどに冷凍保存袋に入れたじゃがいもを乗せて冷凍すると、通常よりも早く凍らせることができます。
調理したじゃがいもを保存する場合
調理したじゃがいもを冷凍保存する方法は以下のとおりです。
- じゃがいもを茹でて潰しマッシュポテトにする
- 粗熱がとれてから1回で使い切れる量に小分けする
- 1回分ずつラップにつつみ平たく形成する
- 冷凍用保存袋に入れて保存する
調理したじゃがいもを平たく潰しておくことで、早く冷凍でき解凍もしやすくなります。
冷凍したじゃがいもの解凍方法
冷凍したじゃがいもは、電子レンジを使って解凍します。
解凍する際は、解凍から加熱まで一気に行ってしまうと、じゃがいもが破裂してしまうことがあるため注意してください。必ず、電子レンジの解凍機能を使って半解凍にしてから耐熱容器に移し加熱しましょう。
生のじゃがいもを冷凍した場合は、解凍せずにそのまま調理に使うのがおすすめです。
じゃがいもを保存するときのポイント
じゃがいもを保存するときにはいくつかのポイントがあります。ここで紹介する方法を実践して、じゃがいもを美味しく保存してみてください。
新聞紙がないときはキッチンペーパーでも代用できる
じゃがいもを湿気や光から守りながら保存する際に大活躍する新聞紙ですが、近年新聞離れが進んでいると言われているだけあって、自宅に新聞がないという人も少なくないでしょう。
そんなときは、新聞の代わりにキッチンペーパーで代用してもOKです。
キッチンペーパーも新聞紙と同じく吸湿力に優れているため、キッチンペーパーで丁寧に包んでじゃがいもを保存しましょう。
冷蔵庫で保存するときは野菜室がベスト
冷蔵庫にじゃがいもを保存するときには、野菜室を利用しましょう。
冷蔵室の平均的な温度は0~12℃です。冷蔵庫の内容量や置く場所によっては、じゃがいもの保存に適さない環境になってしまうことがあります。一方、野菜室の温度は3~7度と野菜を保存する際に適切な温度設定です。
ただし、野菜室は冷蔵室に比べて密閉率が高く、野菜を乾燥させないよう充分な湿度を保てる構造になっています。じゃがいもを湿気から守るために、必ず適切な方法で保存しましょう。
リンゴと一緒に保存するのがおすすめ
リンゴはエチレンガスを放出する果物として知られています。エチレンガスは別名「熟成ガス」とも呼ばれており、野菜や果物の熟成を促す働きがあります。
野菜や果物の種類によっては追熟を通り越して傷んでしまうものもありますが、じゃがいもはエチレンガスの影響を受け難い野菜です。また、エチレンガスはじゃがいもの発芽成分ソラニンの抑制作用があるため、芽が出るのを防ぐ効果も期待できるでしょう。
エチレンガスはリンゴ以外にも、梨、メロン、パパイヤ、桃、アボガドなどから発生するので、これらの果物とじゃがいもを一緒に保存すると発芽を防ぎやすくなります。
土付きじゃがいもは水洗いせず保存して
じゃがいもを購入した際、土や泥がついているものも少なくありません。保存する際には、キッチンペーパーで土や泥を落としますが、この時水洗いしないよう注意してください。
湿気に弱いじゃがいもは、一度濡らしてしまうと拭いても傷みやすくなってしまいます。
「土がついたまま保存すればいいのでは?」と思うかもしれませんが、土や泥は湿気を含みやすいため、土や泥がついたまま保存しても傷みやすくなってしまうのです。
土や泥は、水洗いせずキッチンペーパーや乾いた布巾なので丁寧に落としてから保存しましょう。
農家が実践するじゃがいもの保存方法とは?
さまざまなじゃがいもの保存方法を紹介しましたが、じゃがいもの専門家である農家ではさらにこだわった保存方法を実践しているそうです。
じゃがいもをより美味しく保つためにも、ぜひ農家が実践する保存方法を試してみてはいかがでしょうか。
こだわり1.保存容器にこだわる
じゃがいもを常温保存する際に、入れておく容器は通気性がよく湿度を逃がすものがおすすめです。そこで、農家では編み込んで作られたバスケットなどを利用しています。網目があることで通気性がよく湿気が溜まりにくいので、じゃがいもにとってベストな環境で保存できます。
また、新聞紙を敷いて段ボールで保存する方法は、実際に農家で行っているケースも多いようです。
ただし、段ボールで保存する際には保存量に注意が必要です。じゃがいもは隣同士で湿気を放出し合ってしまうため、大量に保存が必要な場合はいくつかの段ボールに小分けに保存するのがおすすめです。
こだわり2.湿度対策にこだわる
じゃがいもを湿気から守るために、吸湿性の高い新聞紙を利用しますが、農家では新聞紙以外の方法で湿度対策をする場合もあるそうです。
竹炭や木炭などの吸湿性が高いものをじゃがいもと一緒に保存することで、適切な湿度に調整できます。竹炭や木炭は、過剰な湿気を吸い取り乾燥すると湿度を放出する働きがあるため、湿気を防ぐだけでなく過度な乾燥も防ぐことができるでしょう。
冷蔵庫で保存したじゃがいもは調理方法に注意
じゃがいもを冷蔵庫の低温環境で保存した場合、でんぷん質が増えます。じゃがいもは元々、アミノ酸を豊富に含む野菜であり、ここにでんぷん質(糖質)が加わった場合、これらの成分が高温で調理した際にアクリルアミドと呼ばれる有害物質に変化することが分かっています。
アクリルアミドは、劇薬指定にもなっている猛毒で発がん性物質です。しかし、「これまで冷蔵したじゃがいもを食べたけど、毒性なんて感じなかった」と思う人が多いでしょう。食品から発生するアクリルアミドの毒性については未だ分かっていないことが多く、ほうじ茶や麦茶、米などさまざまな食品で条件が重なった場合に発生します。
毒性や発がん性については、未だ詳しく分かっていませんがJECFA(FAO/WHO食品添加物専門家会議)によって人に対する危険性が指摘されているため、農林水産省からも注意喚起がされています。
冷蔵保存したじゃがいもは揚げ物などにするのは避けた方がよいでしょう。
参考:農林水産省|食品中のアクリルアミド低減に向けた取組み
こんな風になったら危険!食べない方がよいじゃがいもの特徴
適切に保存していたつもりでも、何らかのトラブルでじゃがいもが傷んでしまうこともあります。傷んでいるものや破棄した方がよいものの特徴を知っておき、有害なものは速やかに廃棄するようにしましょう。
ぶよぶよした柔らかい触感になっている
じゃがいもは通常しっかりとした固さがあるものです。しかし、触ったときにぶよぶよした柔らかい手触りになっているものは、傷み始めている可能性が高いでしょう。
やや柔らかいくらいなら、食べられないこともないですが、基本的に廃棄してしまった方が無難です。
茶色の液体が漏れ出ている
じゃがいもから滲み出るように茶色の液体が出ている場合は、完全に腐敗しているので直ぐに破棄してください。液体が付着した他のじゃがいもも腐敗が進みやすいため、周囲のじゃがいもが腐敗していないか確認しておいた方がよいでしょう。
酸っぱいにおいがしている
じゃがいもは本来無臭の野菜ですが、腐敗している場合、鼻につく酸っぱいにおいを放ちます。異様なにおいがするときには、すぐに廃棄しましょう。
また、見た目には何ともないのに、じゃがいもを加熱すると酸っぱいにおいがすることがあります。この場合も、じゃがいもが傷んでいるため食べるのをやめて廃棄した方がよいです。
表面に白っぽいカビがついている
保存していたじゃがいもを取り出した際に、皮の表面に白っぽいものがついていることがあります。この正体はカビである場合が多いです。
カビの部分を厚めにカットすれば食べられるケースもありますが、カビは深く根を張って増殖するため破棄するのが無難です。
芽が出ている
じゃがいもから芽が出てしまった場合、芽の根元部分にはソラニンやチャコニンという有毒成分が発生しています。しかし、基本的には芽と根元部分を抉り取れば食べることができます。
有毒成分は芽の根元に集中しているので、必ず芽の根元付近のじゃがいもを取り除いてください。
皮が緑になっている
じゃがいもの皮が緑色に変色している場合、ソラニンやチャコニンなどの有毒成分が発生しています。緑色の皮を厚めに剥いて、中身が通常のじゃがいもの色であれば食べられます。
しかし、まれに皮を剥いても中身が緑色になっている場合があり、有毒成分が広範囲に広がっているため、中身も緑のじゃがいもは破棄しましょう。
まとめ
じゃがいもの保存方法について紹介してきました。長期保存が可能なことで有名なじゃがいもですが、適切な方法を選ばなければ簡単に傷んでしまいます。常温や冷蔵なら湿度と温度に気を付けて保存し、冷凍の場合は使用用途によって保存方法を変えましょう。
今回紹介した常温、冷蔵、冷凍のいずれかの方法で、じゃがいもの鮮度を保ち上手に保管してみてくださいね。