新米の時期は?古米とは何が違うの?水加減など新米を美味しく炊くポイントも紹介
ピカピカと輝くようなツヤと甘い香りが特徴的な新米は、限られた時期にしか食べられない希少なお米です。いつも食べているご飯とは違い、新米を炊いたご飯は特別なごちそうにもなるでしょう。
普段食べているお米と一味違う新米ですが、新米がどのようなお米なのか、いつ頃から流通しているものなのか知らない人も少なくありません。今回は、新米について紹介します。新米がどのようなお米なのか、収穫時期、美味しい炊き方、保存方法なども紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること
- 新米はその年に収穫し12月31日までに精米・包装されたお米のこと
- 古米に比べて新米は、粘りや甘み、艶やかさがある
- 新米の収穫時期は沖縄から北海道へと北上しながら迎える
- 新米は密閉容器に移して、冷蔵庫の野菜室で保管すると美味しさを維持しやすい
新米ってどんなお米?
何気なく秋の味覚として味わっている新米ですが、どのようなお米なのか知っていますか?最初に、新米の定義や普通のお米との違いについてみていきましょう。
新米とは
新米とは、その年の12月31日までに精米と包装が完了したお米のことを言います。文字通り、その年の新しいお米ということです。
新米と表示するためには、12月31日までに精米・包装を完了させなければなりません。そのため、12月31日に精米し、1月1日に包装したお米は食品表示基準に基づき新米と表示できなくなります。
古米とは
古米(こまい)とは、新米以外のお米を指します。しかし、その年に収穫したお米が翌年1月1日以降、急に古米になる訳ではありません。
新米はあくまで食品表示基準で定められた規定に基づいたもので、1月1日に精米・包装されたお米も品質としては新米と変わりないでしょう。そのため、お米の流通の際に用いられる米殻年度(年度を11月1日から翌年10月31日を1年とする米の流通規格)に合わせて11月1日以降に精米・包装されたものが古米と呼ばれるようになります。
そこから1年経ったお米は「古古米」、さらに1年経つと「古古古米」と1年ずつ「古」の数が増えていきます。
新米と古米の違い
新米と古米は見た目や味などさまざまな違いがあります。
収穫したての米は水分を豊富に含んでいるため、強い粘りを持っています。米の甘みも感じやすく、見た目も艶やかでふっくらしているのが特徴です。
一方、古米は時間が経つほど酸化し黄色っぽく変色してしまいます。周囲の匂いなどが移ってしまうこともあり、保存状態が悪いと美味しく味わえないこともあるでしょう。
色 | 香り | 食感 | |
---|---|---|---|
新米 | 艶があり白い | 米特有の甘い香り | 柔らかく粘りがある |
古米 | 黄色っぽい | 米特有の香りが薄く周囲の臭いが移っていることもある | 硬め |
ただし、古米だからといって全て味が悪いという訳ではありません。米には消費期限がないため、正しく保管していればどれだけ古くなっても食べられますし、水分量が少ない古米はチャーハンや酢飯など米一粒一粒の食感を大切にする料理によく合います。
新米が出回るのはいつからいつまで?
米の収穫時期は一般的に秋と言われています。お米の品種や産地によって収穫時期は異なりますが9~10月にかけて新米の流通が最も盛んになることが多いです。
食品表示基準によって新米と表示できるのは12月31日までに精米・包装を終えたお米だけです。ただし、1月1日から急に新米の品質が低下する訳ではないため、年始に流通しているお米も新米同様の品質であるケースが少なくありません。
新米の収穫時期
お米は南部の地域から順に収穫が始まり、桜前線のように北上していくのが特徴です。そのため、日本では沖縄から新米の収穫が始まり、北海道が一番最後に収穫時期を迎えます。
徐々に新米の収穫時期が北上していくことを「新米前線」と呼ぶこともあります。
沖縄
日本最南端の都道府県である沖縄県は、温暖な気候を活かして二期作で稲作をしているため、1年に2回収穫期を迎えるのが特徴です。
1度目は5月下旬~7月上旬にかけて、2度目は10月下旬~11月に収穫期を迎えます。
沖縄県のなかでも、最も収穫時期が早いのは石垣島と言われており、5月下旬から新米が収穫されます。「ひとめぼれ」や「ちゅらひかり」などの品種の生産が盛んなため、これらの品種の新米をいち早く味わいたいなら沖縄県産を選ぶのがよいでしょう。
九州
九州は7月下旬から収穫期が始まります。九州のなかでも、最も早く収穫期を迎えるのは鹿児島県です。
お米の人気品種であるコシヒカリは、鹿児島産が最も早く新米の出荷を始めます。
そのほか、九州各地でさまざまな品種が生産されており「あきほなみ(鹿児島県)」「ひとめぼれ(大分県)」「ひのひかり(長崎県)」「さがびより(佐賀県)」「夢つくし(福岡県)」などの品種も順次新米が出荷されていきます。
中国・四国
中国・四国地方では、四国地方の方がやや収穫期が早い傾向にあります。四国地方では9月初旬に収穫が始まり、中国地方では9月中旬頃から始まるケースが多いです。
四国で最も早く新米のシーズンを迎えるのは高知県です。「にこまる(高知県)」「あきたこまち(愛媛県)」「ヒノヒカリ(香川県)」「あきさかり(徳島県)」などの品種が特に人気を集めています。
中国地方では、9月中旬から続々と新米の収穫が始まります。特に、岡山県は西日本のなかでも有数の「あきたこまち」生産県として知られています。他にも「きぬむすめ(岡山県)」「つや姫(島根県)」「あきさかり(広島県)」などの新米も、品質の高さが人気です。
近畿・中部・北陸
近畿や中部、北陸地方では、9月初旬から10月初旬にかけて新米の収穫期を迎えます。「新潟県魚沼産コシヒカリ」など、10月の中旬頃には全国的に知名度・人気の高い新米が一気に流通しはじめます。
関東・東北
関東地方では9月中旬から10月中旬、東北では9月下旬から10月下旬にかけて新米の収穫を行います。「あきたこまち(秋田県)」や「つや姫(山形県)」などが9月下旬から徐々に収穫され、「ひおめぼれ(宮城県)」「晴天の霹靂(青森県)」などは10月上旬にかけて収穫されることが多いです。
北海道
日本のなかでも最も新米の収穫時期が遅いのは北海道です。9月下旬から10月下旬にかけて収穫が行われるため、新米として流通する期間も最も短くなります。
「ゆめぴりか」「ななつぼし」「ふっくりんこ」などの人気品種も10月下旬~11月にかけて新米として流通し始めるでしょう。
新米は品種によっても出荷時期が違う
新米は南から北上しながら収穫期を迎えていきますが、同じ地域内なら品種によって収穫時期が異なる場合もあります。
お米には「早生種」「中生種」「晩生種」があり、これらの品種の違いによっても収穫時期が異なります。
また、お米は収穫後に乾燥させることで長期保存が可能になります。乾燥工程を機械によって短時間で行う農家も増えてきているため、これまでよりもスピーディーに新米が流通することもあるでしょう。一方、昔からのやり方で手間暇かけて乾燥をさせている農家もあるため、それぞれの製造方法によって新米流通の時期に差がでることもあります。
美味しい新米を選ぶポイント
新米が流通し始めると、次にどの新米を選ぶのか迷う人もいるでしょう。目当てのブランドがあるならまだしも、季節の味覚として新米を味わいたい人は、何を基準に新米を選べばよいのかわからないという人も多いです。
品種にこだわりがないのであれば、新米は「精米日」「等級」「産年」の3つのポイントで選んでみてはいかがでしょうか。
精米日
米は精米後、時間が経つにつれて鮮度が落ちていきます。そのため、同じ新米でも精米時期が近いものの方がより鮮度が高いといえるでしょう。
精米後の新米を美味しく食べられる時期は、季節によって異なります。新米はなるべく小分けパックのものを購入して、短期間のうちに食べ切るのがよいでしょう。また、玄米で購入して、小まめに精米所などで精米する方法もおすすめです。
等級
お米は1~4の等級で以下のように格付けされます。
1等級 | 整粒割合70%以上 | 含有水分15%以下 | 被害粒、死米、着色粒、異種殻粒、 異物混入の合計15%以下 |
---|---|---|---|
2等級 | 整粒割合60%以上 | 含有水分15%以下 | 被害粒、死米、着色粒、異種殻粒、 異物混入の合計20%以下 |
3等級 | 整粒割合45%以上 | 含有水分15%以下 | 被害粒、死米、着色粒、異種殻粒、 異物混入の合計30%以下 |
4等級 | 1~3等級に当てはまらないもの |
等級は見た目によって規格を振り分けられているため、味の違いまでは分かりません。しかし、等級が高いほど粒が整っていて見た目も綺麗なため、食欲をそそることは間違いないでしょう。
パッケージに等級を記載する義務はないため、流通しているもののなかには等級が判断できないものも少なくありません。しかし、同じ精米時期で等級の記載があるものとないものがあるなら、等級が記載されており、より高い等級のものを選ぶのがおすすめです。
産年
お米には収穫された年の記載が義務付けられており、これを産年と言います。新米と表示できるのはその年に収穫され12月31日までに精米と包装を完了したお米のみですが、1月1日以降も新米と同品質のお米が流通しています。
年明けからしばらくの間は、産年を確認してお米を選ぶのがよいでしょう。産年が前年であるものは新米と同等の品質を持っているお米です。より美味しいお米を選ぶためにも、産年の浅いものを選んでみてください。
新米を美味しく炊く方法
新米は手に入れて終わりではありません。新米の特徴を活かせるよう、美味しく炊き上げることも大切です。
続いては、新米を美味しく炊く方法を紹介していきます。
研ぎは軽めにする
新米を研ぐ時には、力をかけずに軽く終えることが大切です。水分量の多い新米は非常に割れやすいため、ギュッと力を込めてしまうと粒が崩れてしまいます。
また、研ぎ汁が透明になるまで何度も研いでいると、旨味や栄養も一緒に流れ出てしまいます。研ぎ加減にも注意しましょう。
- 計量した米に水を注いで、直ぐに捨てる
- 少量の水を注いで、混ぜるように軽く研ぎ、水を捨てる
- 【2】を4~5回繰り返して、とぎ汁が薄い白色になったらザルに米をあげる
- 3分ほど水を切る
新米は乾燥しやすいため、長時間水切りをするとひび割れてしまうことがあります。ひび割れから栄養や旨味が流出してしまうため、水切りは短時間で終えることもポイントです。
美味しい水を使って炊く
新米を炊く際には、どのような水を使うかが重要です。一般的に、米を炊くのに適した水は以下の条件に当てはまるものだと言われています。
- 軟水
- 弱アルカリ性
お米は最初に触れた水を最も多く吸収すると言われているため、条件を満たす水を研ぎの最初に使うことも大切です。その後の研ぎは水道水で行っても構いません。水切り後に炊飯用の水を注ぐ時も、条件を満たす水を使用しましょう。
ミネラルウォーターなどを使うとお米にぴったりな水を手軽に入手できますが、その際には硬度をよく確認してください。ミネラルウォーターのなかには硬水も多く、硬水を使ってお米を炊くとパサついた仕上がりになってしまいます。
水を少なくしない
水分量の豊富な新米は、昔から「やや少なめの水で炊くとよい」と言われています。しかし、全ての新米が同じ水分量ではないため、水を減らすことが必ずしもよいとは言えないでしょう。
そもそも、水分量はその年の気候や成育状況、品種によっても異なります。どのようなお米かも分からないのに、水の量や浸水時間を把握するのはプロの料理人でも不可能です。
最初に炊く新米は、規定量で炊飯するのがおすすめです。最初の新米の炊き加減をよく確認したうえで、水の量や浸水時間を次回から調整するのがよいでしょう。
炊飯後に蒸らす
新米は瑞々しく粘りの強い食感が特徴です。しかし、水分量が多いことから炊飯直後のお米は柔らかくべちゃっとした食感になりやすいです。
新米は、炊飯後に蒸らす時間をしっかりとることが重要です。炊きあがった新米を底から掬い上げるように混ぜたあと、10~15分ほど蒸らしましょう。ご飯のなかに溜まっていた水蒸気が程よく抜けて、ふっくらと粒の立つ仕上がりになります。
新米はいつまで美味しく食べられる?
新米は精米後、徐々に品質が劣化していきます。そのため、基本的には精米後2週間~1ヶ月以内に食べ切るのがよいでしょう。秋や冬など気温の低い時期なら1~2ヶ月程度を目安とします。
ただし、これらはあくまで美味しく食べられる期間の目安であり、なるべく早く食べる方が新鮮な新米を味わえます。新米は精米後なるべく早く食べ切るのがおすすめです。
新米を美味しく保存する方法
新米を美味しく食べるためには、品質の劣化を防げるよう適切な環境や方法で保存することも大切です。
最後に、新米を美味しく保存する方法を紹介します。
冷蔵庫の野菜室で保存する
お米の保管には気温の低い場所が適しています。米を保管する専用の倉庫などは約15℃以下に設定されており、この気温を維持することで品質の劣化を防げるだけでなく、害虫の発生予防にもなると言われています。
家庭で15℃以下を維持するなら、冷蔵庫の野菜室が最適でしょう。冷蔵庫の野菜室は、野菜を長く保存できるよう庫内の温度が3~8℃に設定されている製品が一般的です。ちなみに、冷蔵室は2~6℃とさらに庫内の温度が低くなっています。あまりに温度が低すぎると、乾燥しやすくなるため冷蔵室よりも野菜室の方が新米の保存に最適です。
密閉容器で保存する
新米は乾燥に弱く、酸素に触れ続けることで酸化が進み味も劣化してしまいます。そのため、新米は密閉容器に映して保管するのがおすすめです。
保存用密閉袋や洗浄・乾燥させたペットボトルなどに入れて保存するのもよいでしょう。
お米は流通上の問題で包装されている袋に小さな穴が空いています。購入してきた時の袋のまま保存しておくと、段々酸化が進んでしまうため注意してください。
まとめ
新米について紹介してきました。その年に収穫されて12月31日までに精米・包装されたお米だけが新米と呼ばれ、古米とは違った旨味や風味・粘りなどを持っています。産地によって初夏から秋にかけて収穫された新米は、その時期だけに食べられる贅沢な季節の味覚とも言えるでしょう。
新米を手に入れた時には、ぜひ今回紹介した炊き方のポイントや保存方法で、美味しく味わってみてください。