い、今さら聞けない。ソーセージとウインナーの違い

朝食の1品、お弁当のおかず、お酒のおつまみ、もちろん夕食にも大活躍のソーセージ。ウインナー? ソーセージ? 呼び方の違いに迷ったことはありませんか? 冷蔵庫にあるウインナーの袋を見てみると、「ポークソーセージ(ウインナー)」と表記されていたりして、結局どっちなのかがわからなかったりしますよね。
ソーセージとウインナーは何が違うのでしょうか。製法? それとも材料? 今さら聞けない、この素朴な疑問を調べてみました!
この記事でわかること
- ウインナーはソーセージの一種
- ウィーン風のソーセージ=ウインナー
- メジャーなソーセージは5種類
- 魚肉ソーセージと赤ウインナーは日本発祥
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ウインナーとソーセージの違いは?
ソーセージとウインナーは別のものではなく、ソーセージを総称として何種類もあり、その中のひとつがウインナーソーセージ、通称ウインナーです。
ソーセージとは?

ソーセージとはひき肉を塩やハーブ類で味付けし、腸詰めにした食べ物の総称です。ラテン語で「塩漬けされた」を意味する「salsus」が語源となっています。燻製で加熱をしたり、加熱をせずに乾燥させたりして作られます。
肉の塊そのものを味付けして保存するのはハムですが、ソーセージはひき肉にして、ケーシングという筒状のものに詰めたものを言います。ケーシングは動物(羊・豚・牛など)の腸を使いますが、最近ではコラーゲンなどで人工的に作られたものもあります。
また、ケーシングの中に詰めるものはひき肉だけに限らず、内臓や血液などでもソーセージが作られます。日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、血のソーセージは英語では「blood sausage(ブラッドソーセージ)」、ドイツ語では「Blutwurst(ブルートブルスト)」と呼ばれます。想像するような生臭みはなく、レバーのような濃厚な味わいが人気です。
ウインナーとは?

ソーセージの一種、ウインナー。こちらの語源は「ウィーン風の」という意味です。数あるソーセージの中でも、JAS規格によって「太さが20mm未満のもの、または羊の腸に詰めたもの」がウインナーと呼ばれます。これは太さが20mm未満であれば羊の腸でも人工のケーシングでもウインナーとなりますが、豚の腸や牛の腸を使うとウインナーとは呼ばれなくなります。
豚の腸を使用したもの(または製品の太さが20mm以上36mm未満のもの)はフランクフルトソーセージとなり、牛の腸を使用したもの(または又は製品の太さが36mm以上のもの)はボロニアソーセージとなります。
ただこの分類はあくまで日本国内のものなので、日本で「ウインナー」と呼ばれるものが、本場であるはずのウィーンでは「フランクフルトソーセージ」と呼ばれたりします。
ソーセージ誕生の歴史

ソーセージの歴史は古く、紀元前8世紀には似たような料理があったようです。その後、燻製技術の発達や、東洋から香辛料が持ち込まれたことで、12~13世紀頃にドイツで保存食として定着し、ヨーロッパ各地に普及していきました。
ソーセージには様々な種類があり、ウインナーソーセージの他にも、フランクフルトやサラミ、カルパス、チョリソー、ボロニア……日本では魚肉ソーセージも人気ですね。
こんなにあった! ソーセージの種類
ここまでソーセージとウインナーの呼び名の違いとソーセージ誕生の歴史について理解を深めましたが、ではソーセージそのものにはどれくらいの種類があるのでしょうか。

ソーセージの種類
- フランクフルトソーセージ
- ボロニアソーセージ
- リオナソーセージ
- チョリソー
- ドライソーセージ
フランクフルトソーセージ

豚の腸を使ったソーセージです。お祭りの屋台やコンビニのホットスナック、バーベキューなどで定番です。名前はドイツの都市フランクフルトに由来します。
フランクフルトはウインナーと同様に、調味料や香辛料を加えて練ったひき肉を、豚の腸や適した太さのケーシングに詰め、加熱して作られます。歯ごたえのある皮とジューシーな味わいで、食べごたえのあるソーセージです。
JAS規格では、豚の腸を使うと太さに関わらずフランクフルトとなり、豚の腸を使っていなくても、太さが20mm以上36mm未満のものであればフランクフルトと呼ばれます。ドイツでの正式名称は「フランクフルター・ヴルスト」です。
ボロニアソーセージ

牛の腸を使用したソーセージで、こちらもJAS規格によれば牛の腸を使えばボロニア、牛の腸を使っていなくても太さが36mm以上のものはボロニアと呼ばれます。北イタリアのボローニャ地方が発祥のため、ボロニアと呼ばれるようになりました。
ピスタチオやパプリカ、チーズなどが一緒に練り込まれていることもあり、イタリアでは「モルタデッラ」と言います。柔らかい食感が魅力のソーセージで、スライスしてそのまま生食するのが一般的です。サラダやサンドイッチなどにもいいですね。
リオナソーセージ

フランス・リヨン地方が発祥のソーセージです。ボロニアソーセージと同じく、大型のソーセージで、JAS規格では「豚肉および牛肉のほかにグリンピースやにんじんなどの種ものを加えたもので、豚の脂肪層を除く原料臓器類を加えていないもの」と定義されています。米や麦などの穀物やベーコン、チーズなどが入る場合もあります。
あまり聞き馴染みのないソーセージかもしれませんが、綺麗な色合いで食卓を華やかに彩ってくれます。
チョリソー
「辛いソーセージ」というイメージがあるチョリソー。スペイン・イベリア半島が発祥で、細かく刻んだ豚肉ににんにく、パプリカといった香辛料を混ぜて作られるソーセージです。「chorizo」というスペイン語が由来となっており、語源はラテン語で「しょっぱい、塩辛い」を意味します。発祥地のスペインではパプリカパウダーをたっぷり入れるため、真っ赤な色になり、とても辛そうに見えますが必ずしも辛いわけではありません。
16世紀にスペインの食文化が中南米に伝わり、メキシコでは唐辛子を入れた辛いチョリソーがポピュラーなものになりました。そのメキシコから日本にチョリソーが伝わったため、日本のチョリソーは辛いものというイメージになったのです。
ドライソーセージ

JAS規格では加熱せずに乾燥させ、水分量を35%以下にしたものがドライソーセージと呼ばれます。馴染みがあるものは、おつまみとしてよく食べられるサラミです。通常のソーセージよりも水分量が少ないため長期保存に向いていて、常温保存ができるものも多いです。しっかりした味付けと噛み応えが人気ですね。
ちなみに、水分が35~55%のものは「セミドライソーセージ」と呼ばれ、サラミと同様におつまみとしてお馴染みのカルパスはこちらに入ります。
サラミはイタリア発祥ですが、カルパスはロシア発祥なのもちょっとした違いですね。
日本だけのソーセージは存在する?
子供たちが大好きな「魚肉ソーセージ」と「赤ウインナー」は、ヨーロッパや本場ドイツにはない、日本ならではのソーセージです。日本人にとっては馴染み深い2つのソーセージですが、これらはどのように誕生したのでしょうか。
魚肉ソーセージ

魚をよく食べる日本発祥のものです。通常のソーセージよりも安価なものが多いです。
主に使われるのは白身魚のスケトウダラ。最近では、マグロやアジ、イワシ、サバなどの材料も使われるようになっています。そのほかに結着材や食用油脂、塩、保存料などが加えられて作られています。JAS規格では、「魚肉及び鯨肉の原材料に占める重量の割合が50%以上のもの」を魚肉ソーセージとしており、15%未満はソーセージ、15%以上50%未満のものは混合ソーセージとして区別されています。
戦後には学校給食にも採用され、安価なこともあって大衆食として人気でしたが、食肉代用品としての価値が薄れると生産量も減少しました。近年では魚肉が低カロリー・低脂肪・高タンパクなこともあって、ヘルシー志向の食品として再注目されています。
赤ウインナー

お弁当に使われたり、お酒のおつまみとしても人気の「赤ウインナー」は日本独自のものです。戦後、まだ良質な材料が手に入らなかった時代に、ウインナーの発色が良くなかったため、着色料で表面を赤くして、おいしく見せようとしたことが始まりです。こちらは鶏肉ベースのものや魚肉ベースのものなど様々です。
最近ではキャラ弁などにも使われ、また、小さい頃に食べていたという大人が懐かしい味を求めておつまみとして食べるようになったことから、復権しているようですね。
ソーセージとハムの違いは何?

ハムとは、主に豚のもも肉を塩漬けや燻製にして加工した食品です。肉の保存性を高めるために古くから利用されてきました。伝統的なハムは骨付きのもも肉を使用することが多く、特にヨーロッパでは加熱せずに作られる生ハムが主流です。日本では、もも肉以外の肉塊でも、大きな形に加工したものをハムとよぶことが多いです。たとえば、豚もも肉のボンレスハム、豚ロース肉のロースハムなど部位や製法によりさまざまな種類のハムがあります。
一方で、ソーセージやウインナーは、挽いた肉を腸に詰める形で作られるため、ハムとは大きく異なります。ハムは肉の塊をそのまま加工するのが特徴で、スライスして食べられることが多いです。塩漬けの過程で肉から水分が抜けて塩分が浸透することで保存性が向上する食品です。
日本でソーセージが広まった背景(歴史)
日本でソーセージが初めて試作されたのは、外国文化が入り始めた明治時代です。その後、第一次世界大戦時に、捕虜として収容されていたドイツのカール・ヤーン氏ら5名のソーセージ職人がソーセージの作り方を伝えたと言われています。
昭和の初めにはソーセージの缶詰が発売され、銀座にハムソーセージの専門店がオープンするなどして、少しずつ日本人にも広がっていきました。第二次世界大戦があり、ハムやソーセージは影を潜めてしまいましたが、戦後、プレスハムや魚肉ソーセージの登場によって一般化しました。
あらびきウインナーの登場で市場が変化
戦後から昭和まで、本場ドイツの製法で作られたソーセージは高級食材でもありました。一般的に家庭で食べられていたのは赤いウインナーや皮なしウインナー、魚肉ソーセージが多かったのです。それが変わったのが、1985年(昭和60年)です。今も人気商品として知られる「シャウエッセン®」が発売されました。

それまでウインナーと言えば、フライパンで炒めるのが主流でしたが、シャウエッセン®発売時のテレビCMで、ボイルして食べることが提案されたのです。天然の羊の腸で作られた良質のウインナーは、ボイルされることにより中の脂が溶け、羊の腸が張り詰め、噛んだ時にパリッと音がします。
そのCMは大反響を呼び、発売初年度から大ヒット商品となりました。これをきっかけに、「あらびきウインナー」が一般家庭に受け入れられ、各メーカーも参入して、定番食材として現在に続くことになったのです。
ソーセージを使ったアレンジレシピ【知っ得】
炒めたりボイルしたり、パスタやピザ、サンドイッチ、スープの具など利用法が幅広いソーセージですが、それ以外にもいろいろ楽しめます!
ミニアメリカンドッグ

ソーセージ(皮なしウインナーがおすすめです)に、溶いたホットケーキミックスを絡めて油で揚げるだけ!自宅で手作りすれば、揚げたてが楽しめるのも嬉しいポイントです。ケチャップやマスタード、グラニュー糖などもお好みで。子どものおやつや休日のランチにおすすめです。
ひとくちソーセージパイ

あらびきウインナーを、冷凍パイシートでくるっと包んでオーブンで焼くだけです。ソーセージを巻き込む時に、ミートソースやトマトケチャップ、マスタードなどを一緒に巻くと美味しさもアップ!こちらも休日のランチにぴったりですね。
ソーセージとカレーの春巻き
春巻きの皮で、カレー(レトルトでOK!)と小さくカットしたソーセージを巻いて低温で揚げるか、フライパンで転がすように焼きましょう。チーズやお好みの野菜を加えてもいいですね。野菜を加える場合は先にボイルするか、レンジで加熱しておくと、皮で包んでからの調理時間が短くて済みます。
うどんでもちもちドッグ
冷凍うどんをレンジで解凍して片栗粉をまぶします。それをウインナーにぐるぐると巻き付け、フライパンで揚げ焼きにするだけ!うどんがこんがりと色づいたらできあがりです。冷凍うどん独特のもちもちとした歯ごたえと、ジューシーなソーセージが相性ぴったり。お好みでケチャップをつけていただきます。
マッシュポテトドッグ
ウインナーはひと口大にカットします。じゃがいもはレンジで加熱し、塩コショウで軽く味をつけてマッシュします。マッシュポテトでウインナーを包み、ホットケーキミックスの衣をつけてきつね色になるまで揚げるだけです。これもお好みでケチャップを。ホットケーキミックスの甘さとじゃがいものほっくり感、ウインナーの肉汁が混ざり合っておやつや軽食、おつまみにぴったりの品になりますよ。
まとめ
ウインナーとソーセージの違いから、日本のソーセージの歴史、ちょっと変わったレシピまでまとめてみました。みなさんはどのソーセージが好きですか? 定番のあらびきウインナーも、ボイル派、焼く派、ボイルしてから焼く派など、ちょっとした“派閥”がありますね。
普段行くスーパーではいつものソーセージを買ってしまいますが、大型スーパーやデパ地下などを訪れた際にはいつもと違う種類のものを買ってみるのもいいかもしれません。