干し芋の白い粉の正体とは?食べられる?カビの見分け方も解説
干し芋に白い粉がふいているのを見て「カビが生えている?」「食べられる?」と不安になったことはありませんか。干し芋の表面についた白い粉の正体は糖のかたまりです。問題なく食べることができますが、カビと見間違えないよう注意しましょう。
こちらの記事では、干し芋の白い粉の詳細やカビの見分け方、白い粉をふかせる方法を紹介します。
- 干し芋にできる白い粉は食べられる
- 干し芋にできる黒っぽい部分も食べられる
- 青色や緑色の斑点があるとカビが生えている
- 湿度が高いところで保存するとカビができやすい
- 干し芋は便秘改善やシミの予防にも役立つ
この記事でわかること
干し芋の表面の白い粉は食べられる?正体は糖分のかたまり
干し芋の表面にできる白い粉は、糖のかたまりなので食べることができます。干し芋には「マルトース(麦芽糖)」と呼ばれる糖分が含まれており、その糖分が干し芋の表面で結晶化することによって白い粉が発生します。マルトースとは、酵素などによりデンプンが分解されてできる糖です。
つまり白い粉の正体は、干し芋の甘味そのものと言えます。
できたばかりの干し芋には白い粉はありませんが、数週間ほど寝かせておくことで白い粉が出るようになります。「白い粉がある干し芋は甘い」と言われることもありますが、芋により白い粉が出る期間に違いがあり、白い粉だけで判断することはできません。
また、さつまいもの品種により白い粉の現れ方は異なり、表面が真っ白くなるほど粉が発生するものもあれば、表面の一部に白い粉ができるものなどさまざまです。なかでも、しっかり乾燥させた干し芋には白い粉が発生しやすいとされています。
干し芋の保存期間は3カ月が目安
干し芋の保存期間は3カ月が目安です。干し芋をひとつずつ小分けにして、冷蔵庫に入れておけば3カ月は保存できます。また市販の干し芋の場合、製品により異なりますが冷暗所に置いておけば、未開封の状態で2カ月ほど保存可能です。
開封すると腐りやすくなるため、余った干し芋は冷蔵庫で保存しましょう。
干し芋に黒っぽい部分がある場合は食べられる?
干し芋に白い粉が出た後、黒っぽい部分ができることがあります。黒い部分はさつまいもに含まれる「クロロゲン酸」が酸化して変色したもので、問題なく食べることが可能です。さつまいもの品種によって黒っぽい部分が出やすいものと出にくいものがあり、「玉豊」で作られた干し芋は黒い部分が出る傾向にあります。
また、黒い部分はカビと見間違えないように注意が必要です。うっすらと黒い変色がある場合は食べられますが、黒い部分がポツポツとした斑点状の場合はカビの可能性があり食べられません。
食べられない干し芋の特徴は?カビの見分け方
干し芋には白い粉や黒っぽい部分が出ることがありますが、カビにより変色している干し芋は食べられないので注意しましょう。カビが生えている干し芋には、次のような特徴があります。
カビが生えている干し芋の特徴
- 色:青色・緑色・ピンク・赤茶色の斑点がある
- 状態:表面が白く盛り上がって胞子ができている
- におい:ツンとするにおい、発酵したアルコール臭がする
1.色で見分ける
干し芋のカビは色で見分けることが可能です。干し芋の表面に青色・緑色・ピンク・赤茶色の斑点がある場合、青カビまたは赤カビが発生している可能性があるため食べてはいけません。なかには黒色のカビもあり、斑点状に変色している場合はカビの可能性が高いです。
また、干し芋は表面だけでなく内側にもカビが発生していることもあるので、干し芋を割いて中身の色も確認しましょう。
2.白い部分の状態で見分ける
干し芋に白い粉が出ている場合、白い部分の状態でカビかどうか見分けることもできます。干し芋の表面にできる白い粉は、通常は粉状で表面の全体がまんべんなく白っぽくなります。しかし、表面が白く盛り上がって、ふわふわとした胞子のようになっている場合はカビの可能性が高いです。
干し芋の内側にも白い胞子状のカビができていないか確認しましょう。
3.においで見分ける
白い粉かカビか見分けがつかない場合は、においを嗅いでみましょう。カビが生えている場合は、カビ特有のツンとするようなにおいや、発酵したアルコール臭がします。また、においではわからない場合は、味を確認してみるのもカビを見分ける方法のひとつです。少しかじってみて、干し芋の甘味がなく、パサパサして酸味を感じるようであればカビが発生している可能性があります。
干し芋に異変を感じたら、食べたり飲み込んだりせずに捨てましょう。
干し芋にカビができる原因
干し芋にカビができる主な原因は水分です。しっかり乾燥させてカチカチの干し芋はカビができにくく、長期保存することができます。しかし、食感を重視して作られた干し芋は、水分が残ってしっとりとしているのでカビが生えやすいです。長期的に保存できる市販の干し芋を購入する際は、水分の少ない硬い製品を選びましょう。
また、保存場所の湿度が高いとカビが生えやすくなるため、乾燥して日光の届かない冷暗所や冷蔵庫などで保存させることが大切。その他、糖分が高い干し芋は「ワレミア」「セビ」という茶色っぽいカビが生えやすいです。
干し芋に白い粉がない?粉をふかせる方法・作り方
干し芋に白い粉が出ていればおいしそうに見えますが、手作りすると白い粉がなかなか出てこないことがあります。白い粉がふいていない干し芋もおいしく食べられますが、物足りないと感じる方もいるかもしれません。
そんな時には、白い粉をふかせるという方法もあります!
干し芋に白い粉をふかせる方法
- 寒い時期に作る
- 寒い場所で寝かせる
ここからは、干し芋に白い粉がふく仕組みと粉をふかせる方法について詳しく紹介します。
方法1.寒い時期に作る
手作りの干し芋に白い粉をふかせる場合は、寒い時期に作るのがポイントです。
さつまいもをしっかり乾燥させれば白い粉が出てきやすくなります。寒い時期は冷たくて乾いた風が吹くのでさつまいもが乾燥しやすいです。特に、日中の気温が10℃以下で晴天の日が続けば、乾燥が進みます。また、日中と夜間の気温差も重要です。夜間に冷たくなったさつまいもが、日中の日差しで温度が上がると、水分と一緒に糖が表面に出てきて、その糖が乾燥することで白い粉になる仕組みです。
干し芋に白い粉が出てくるには時間がかかるため、気温が低く晴天が続く時期に干し芋作りをしましょう。
方法2.寒い場所で寝かせる
干し芋を干し終わったら、寒い場所で寝かせましょう。干し芋は干している間だけでなく、保存している間も酵素がはたらいてデンプンを糖に分解してくれます。寒く乾燥した場所で干し芋を寝かせると、熟成されてデンプンが糖になり干し芋の甘味が増し、糖が増えれば白い粉もふきやすくなります。市販の干し芋も、寝かせておけば白い粉をふかせることが可能です。
ただし、干し芋を乾燥させすぎると水分が抜けて徐々に硬くなるため注意が必要です。しっとりとした食感を楽しみたい場合は、長期保存せずに好みの食感の状態で早めに食べてしまいましょう。白い粉が出てくるまでの保存期間は、1週間が目安です。
干し芋は栄養豊富なパワーフード
干し芋は甘くおいしいだけでなく、栄養豊富なパワーフードでもあります。干し芋に含まれる栄養成分には、次のような効果が期待できます。
干し芋に含まれる栄養成分の効果
- 便秘の改善
- 免疫力の向上
- シミの予防
干し芋には、腸内環境を整える「食物繊維」が豊富に含まれており、便秘の改善に役立ちます。さつまいも100gあたりの食物繊維量は2.3gですが、干し芋は100gあたり5.9gの食物繊維が含まれており、さつまいもの倍以上の含有量です。
さらに、干し芋に含まれる「ビタミンC」や「ビタミンB」には免疫力を向上させるはたらきがあります。風邪予防になるほか、ビタミンBには疲労回復の効果があるため身体の健康維持が期待できます。
そのほかにも、干し芋に含まれる栄養成分は「カリウム」「マグネシウム」「ビタミンE」などさまざまです。ビタミンEは紫外線をはじめとする外的刺激から肌を守り、シミの予防につながります。肌の新陳代謝を高める効果もあり、シミの原因となるメラニン色素を排出し、シミの改善も期待できます。
さつまいもと干し芋の栄養素比較(100gあたり) | ||
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栄養素 | さつまいも | 干し芋 |
カロリー | 126kcal | 277kcal |
たんぱく質 | 1.2g | 3.1g |
食物繊維 | 2.3g | 5.9g |
ビタミンE | 1.5mg | 1.3mg |
ビタミンB1 | 0.11mg | 0.19mg |
ビタミンB2 | 0.04mg | 0.08mg |
ビタミンC | 29mg | 9mg |
カリウム | 480mg | 980mg |
カルシウム | 36mg | 53mg |
マグネシウム | 24mg | 45mg |
まとめ
干し芋の表面にできる白い粉の正体は、糖のかたまりです。問題なく食べられますが、青色・緑色などの斑点が出ているとカビが生えている可能性があるため注意しましょう。
干し芋はおいしいだけでなく、栄養豊富なので健康にもいい食べ物です。ぜひ白い粉をふかせて、おやつなどに食べてください。