カレイの旬や種類、産地は?美味しい食べ方も解説
平たい身体で海底を泳ぐカレイは、食用として古くから親しまれている魚です。スーパーなどでもよく見かけますが、年中流通しているため「一番美味しく食べられる旬の時期っていつなんだろう?」と思ったことがある人もいるのではないでしょうか。
この記事では、カレイの旬や種類、産地などについて徹底解説します。合わせて、おすすめの食べ方や捌き方も紹介しているので、ぜひカレイを美味しく食べたい人は最後まで読んでみてください
この記事でわかること
- カレイは世界に100種以上、日本近海には約40種が生息
- カレイは身体の右側に顔がある
- 一大産地は北海道
- カレイの卵は生だと食中毒の危険がある
カレイってどんな魚?
カレイはカレイ目カレイ科の魚で、海底の砂や泥に擬態して生息する平たい身体が特徴的です。世界には約100種ほどのカレイが確認されており、そのうち約40種が日本近海に生息しています
平たい身体から葉っぱを連想し、漢字では「鰈」と表します。
身体の模様は環境に合わせて変えることができ、海底の砂や泥に擬態できるハイスペックな魚です。
カレイとヒラメの違いは?
カレイとヒラメの違いは多々ありますが、大まかに違いを挙げると以下のとおりです。
- カレイは身体の右に顔がついているが、ヒラメは左
- 鰈は寿命が長いがヒラメは短い
- カレイの身は柔らかく、ヒラメは締まっている
ちなみに、カレイの中でもヌマガレイなど一部の魚は顔が左側の種類もいます。
カレイとヒラメの違いは以下の記事でより詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
カレイの種類・旬・産地
日本近海で水揚げされるカレイには、さまざまな種類があります。カレイは種類によって産卵の時期が異なるため、旬の時期もそれぞれに違います。春から初夏にかけて旬を迎えるものもあれば、初夏から秋、秋から冬に旬を迎える種類もあります。
続いては、カレイの種類や旬、産地を合わせて紹介していきましょう。
マガレイ
旬 | 秋〜春 |
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産地 | 北海道、青森、山形、新潟、島根、山口 |
マガレイは一般的に知られているカレイで、北海道近海や日本海沿岸、福島以北の太平洋沿岸、瀬戸内海などさまざまな海域に生息しています。
旬は秋から春です。加熱しても身が柔らかく、さっぱりとした味わいを楽しめます。
マガレイはさまざまな海域で水揚げされるため、北海道や青森、山形、新潟、島根、山口なども産地として有名です。水揚げ量も多いため、リーズナブルに購入できるカレイとして親しまれています。
メイタガレイ
旬 | 夏〜秋 |
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産地 | 北陸から鳥取、島根、兵庫 |
メイタガレイは目と目の間に骨質板があるのが特徴です。約25cm程の個体が多く、カレイのなかではそれほど大きな種類ではありません。
夏から秋に旬を迎えます。旬の時期に食べるメイタガレイの刺身は絶品として知られており、高級料亭などでも扱われるほどです。秋から冬の時期に産卵を迎え、この時期には子持ちのメイタガレイを味わうことができます。
秋田から九州西岸の日本海に生息していますが、古くから関西で好まれている魚です。関東などでも水揚げされることがありますが、皮が厚く独特な匂いがあるため、あまり頻繁には食べられていないようです。
マコガレイ
旬 | 晩秋~冬、初夏 |
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産地 | 北海道、島根、兵庫、福島、宮城、山口 |
マガレイと同じく一般的に知られているカレイの種類です。関東でカレイと言えば、マコガレイをさします。
マコガレイは1年のうちに2回旬を迎える魚です。1度目は晩秋から冬にかけて、豊富な卵を抱えた子持ちモコガレイが旬を迎えます。2度目は、大きく育った初夏に旬を迎え、高級魚として刺身などでも味わうことができます。
北海道や島根、兵庫、福島、宮城、山口などで水揚げされることが多く、北にいく程産卵の時期が遅くなる傾向にあります。
カラスガレイ
旬 | 子持ちは冬 |
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産地 | 北海道、青森、岩手 |
カラスガレイは北海道で「ギンガレイ」と呼ばれることもある、大型のカレイです。アブラガレイとよく似ており、カラスガレイは頭の側面に目が接しているのに対して、アブラガレイは接していません。
年間を通して多く水揚げされているため、特に旬の時期はありません。秋から冬にかけて産卵するので、卵をもっているものを食べたいなら冬のカラスガレイがおすすめです。
北海道や青森、岩手などで水揚げされるものが多いですが、近年はアイスランドやロシア、カナダ、グリーンランドからの輸入されたものが多く流通しています。
ムシガレイ
旬 | 日本海西南部は冬、日本海北部は春、三陸は初夏 |
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産地 | 巣真似、長崎 |
ムシガレイは、身体に虫食いのような斑紋の模様がついているのが特徴です。日本海側は北海道から長崎県まで、太平洋側は土佐湾まで生息しています。
ムシガレイは卵巣が特に美味しいため、卵を抱えた産卵期が旬と言われています。産卵期は生息地によって異なり、日本海の西南部は冬、北部では春から初夏にかけてが産卵期です。三陸では初夏に旬を迎えます。
主な水産地は島根や長崎などですが、鮮魚としてはあまり多く流通していません。干物などの加工品として流通していることが多いようです。
ソウハチガレイ
旬 | 晩秋~春 |
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産地 | 北海道、島根、兵庫、鳥取 |
ソウハチガレイとは、正面から見た姿が男性の髪型である総髪に似ていることから、その名前が付けられました。雄よりも雌の方が大きく育ち、10年ほど育ち続けます。
旬の時期は晩秋から春にかけてと言われており、最漁期が産卵期にあたるため子持ちソウハチガレイが多く流通しています。産卵期は水揚げ地によって変わり、山陰では冬、佐渡海峡や石狩湾では春、手塩沖は初夏です。
日本海側は北海道から対馬海峡まで、太平洋側は北海道から福島までに生息しており、北海道、島根、兵庫、鳥取など太平洋側に主な産地があります。
ヤナギムシガレイ(ササガレイ)
旬 | 冬~初夏 |
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産地 | 三陸、山陰、福井 |
ヤナギムシガレイは、ムシガレイに似ている斑紋とほっそりとした身体からその名がつけられました。京都以南では、笹の葉に似ているとしてササガレイと呼ばれることもあります。
旬は産卵期を迎える1~5月で、ヤナギムシガレイの産卵期は北にいくほど遅くなる傾向にあり 水揚げ地によって異なります。抱卵しているヤナギムシガレイは超高級魚として扱われ、キロ4,000円の価格になることもあるそうです。
主な産地は三陸や山陰などです。福井県では「若狭ガレイ」としてブランド化されています。
クロガレイ
旬 | 秋~春 |
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産地 | 北海道 |
クロガレイは北海道以北にしか生息していないため、日本で水揚げできるのは北海道だけです。
よく似た魚でクロガシラカレイというカレイがあり、どちらもクロガレイとして流通しています。旬の時期は秋から春にかけて。活き締めしたものは刺身などで食べても美味しいです。
カレイの最大産地は北海道
カレイは全国のさまざまな漁港で水揚げされていますが、最大漁獲量を誇るのは北海道です。カレイは冷たい海を好むため、北海道近海にはさまざまな種類のカレイが生息しています。
都道府県 | 水揚げ量(t) |
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北海道 | 23,218 |
鳥取 | 2,412 |
島根 | 2,216 |
兵庫 | 1,860 |
東京 | 1,249 |
2020年の農林水産省の調査によると、全国の水揚げ量が約40,000tに対して、北海道の水揚げ量は23,000tです。日本産のカレイの半分以上は北海道産ということになります。
新鮮なカレイを目利きする方法
新鮮なカレイを目利きしたいときには、以下のポイントに注目してみてください。
- 体表にぬめりがある
- 腹の部分に張りがある(柔らかくない)
- (切り身の場合)卵粒が零れていない
- (切り身の場合)ドリップが出ていない
カレイは切り身として流通しているものが多いため、触れて目利きするのは難しいでしょう。パック詰めされているものは、傾けてみてドリップ(体液)が出ていないものを選ぶようにするのがおすすめです。
カレイの捌き方
カレイを一匹丸ごと手に入れた場合「どうやって捌けばいいの?」と困惑してしまうこともあるでしょう。多くの場合切り身やフィレとして流通していますが、いざ活き締めにしたものが手に入った時に困らないよう、カレイの捌き方を知っておくのもおすすめです。
続いては、捌く前の下処理方法とカレイを捌く方法をそれぞれ解説していきます。
下処理の方法
カレイの鱗は比較的小さいため、包丁でこそぐようにすれば簡単にとれます。しかし、ぬめりが強いため、カレイを押さえている手が滑ってしまわないよう注意しましょう。
難しい場合には新聞で包んで擦れば、簡単に鱗やぬめりがとれます。
ぬめりを残してしまうと生臭くなってしまうため、しっかりと流水で濯ぎ落すのがポイントです。内臓を取るときには、頭を落とした切り口から包丁で掻き出すように処理しましょう。カレイの内臓は小さいため、切り開かなくても簡単に取り除くことができます。
捌き方
今回は5枚捌きを紹介します。5枚捌きは煮付け、塩焼き、刺身などにする際におすすめです。
- カレイを裏向き(お腹部分を上)にして置く
- 背びれに沿わせて尻尾から頭に切れ目を入れる(外側だけでよい)
- 中骨に沿って真ん中に切れ目を入れる
- 切れ目から背中側を開く
- 反対側も開く
- 表に返しにして2~5を繰り返す
皮は切り身に対して包丁を斜めに入れて引っ張れば簡単に剥がせます。
カレイの卵は生煮えに要注意
カレイの卵はホクホクとした触感と旨味、豊富な栄養が魅力です。しかし、生の状態で食べてしまうと食中毒の危険があります。
カレイの卵には、腸炎ビブリオ菌が潜んでいるケースがあります。腸炎ビブリオ菌に感染すると30時間以内に腹痛や嘔吐、下痢などの酷い食中毒症状を起こすといわれているのです。
カレイの卵胞は大きく、火が通りにくい傾向にあります。決して生煮えになってしまわないようしっかりと火を通していただきましょう。
カレイの美味しい食べ方
カレイは調理方法を選ばず、どんな料理でも美味しく食べられる食材です。さまざまな料理にして、旬のカレイを美味しく頂きましょう。
煮付け
カレイ料理の定番である煮付け。甘辛い出汁でぶつ切りのカレイを煮立てれば、身も卵もホクホクになり美味しく頂けます。カレイは淡泊な味わいの魚なので、濃い味付けがおすすめです。
煮付けにすると美味しいカレイの種類 |
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ムシガレイ、クロガレイ、マガレイ、メイタガレイ、カラスガレイ、ソウハチガレイ |
ムニエル
カレイの洋食の定番と言えばムニエルでしょう。ムニエルは小麦粉をまぶして、バターでこんがりと焼き上げる調理方法です。カレイの切り身をムニエルにすれば、濃厚なバターの風味が絡んで香り豊かなカレイ料理が味わえます。
ムニエルにすると美味しいカレイの種類 |
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ムシガレイ、クロガレイ、マガレイ、メイタガレイ、カラスガレイ、ソウハチガレイ、ヤナギムシガレイ |
唐揚げ
カレイは唐揚げにしても美味しいです。皮が薄いため表面がパリッとし、身はふんわりと仕上がります。カレイの骨は柔らかいため、しっかり揚げれば小さな骨ごと食べることもできるでしょう。おろした際の背骨だけを揚げると、骨せんべいとしてパリパリ美味しく食ることもできます。
唐揚げにすると美味しいカレイの種類 |
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ムシガレイ、マガレイ、メイタガレイ、ソウハチガレイ、ヤナギムシガレイ |
刺身
カレイは鮮魚として流通することが少ないため、あまり知られていませんが、刺身にしても美味しい魚です。口のなかに入れるとふわっとほどけるような柔らかさがあり、カレイの刺身は高級品として扱われることが多いです。
刺身にすると美味しいカレイの種類 |
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クロガレイ、メイタガレイ、カラスガレイ、ソウハチガレイ |
塩焼き
カレイは身が厚いものや脂ののったものであれば、塩焼きにしても美味しいです。特に、マコガレイなどの種類は塩焼きで美味しく食べられるでしょう。
カレイはもともとさっぱりとした淡白な美味しさが魅力の魚です。そのため、塩焼きで頂きたいのであれば、脂ののった産卵直前の時期のカレイを選ぶと美味しく食べられます。
塩焼きにすると美味しいカレイの種類 |
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ムシガレイ、クロガレイ、マガレイ、ソウハチガレイ |
カレイは栄養豊富で身も柔らかく離乳食にもおすすめ
カレイは高たんぱく低カロリーで、ビタミンDやE、タウリン、パントテン酸などの栄養が豊富に含まれています。消化もしやすいため、赤ちゃんの離乳食にも最適で、離乳食初期から食べられます。
ただし、カレイは小さな骨が多くついているため、離乳食にする場合には骨が入ってしまわないように充分注意してください。
まとめ
カレイは種類が豊富で、多くが食用できる魚です。そのため、日本の食文化にも馴染みが深く、古くから愛されてきた食材とも言えるでしょう。
カレイは旬の時期に食べると、脂のりが良かったり卵を味わったりできます。ぜひ、種類ごとに異なる旬の時期を押さえて、美味しいカレイを味わってみてください。