北海道にしかいない動物12選!観察できるスポットも紹介
広大な大地と豊かな自然が広がる北海道へ、野生動物との出会いを求めて旅する人も少なくないでしょう。特に北海道は固有種も多く生息しているため、北海道にしかいない動物に会うため海外からの観光客も多いです。
今回は、北海道にしかいない動物を12種一挙紹介します。合わせて、観察スポットや野生動物を観察するときのマナーについても解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること
- 本州と北海道の動物分布はブラキストンラインで分かれている
- シマエナガやエゾモモンガなど北海道にしかいない可愛い動物が人気
- エゾヒグマなど野生で遭遇すると危険な動物もいる
シマエナガ
シマエナガはエナガ種の亜種で、北海道でしか見られない鳥です。北海道全域に生息しており、自然豊かな場所だけでなく街中の公園などでも見られることがあります。ジュリジュリといった特徴的な鳴き声が聞こえてきたら、付近の木を探してみてください。
可愛らしい見た目で人気のシマエナガですが、フワフワの白い羽を持っているのは冬だけです。夏はフワフワの羽がなくなり、頭と羽は灰色がかり冬とは全く違った姿をしています。白いフワフワの姿は冬にしか見られないため、観察しに行くタイミングにご注意ください。
シマエナガのおすすめ観察スポット
エゾリス
エゾリスはキタリスの亜種で北海道に生息するリスです。体長は25cm前後でシマリスなどと比べるとだいぶ大きく、一見ウサギのようにも見えるかもしれません。大きなしっぽも特徴的です。
毛色は夏は茶褐色・冬は灰褐色に変化しますが、1年を通してお腹は白で縞模様などはありません。
また、エゾリスは冬眠しないので真冬でも見ることができますが、寒さから身を守るため冬はふわふわの毛におおわれており、特に耳の先端は長毛が生えるので、夏とはまた違った姿を見ることができます。
昼行性で活発的なので、公園などで出会うチャンスは比較的多いと思います。
エゾリスのおすすめ観察スポット
- 円山公園
札幌市中央区宮ヶ丘[MAP]
TEL:011-621-0453
エゾシマリス
エゾシマリスはシベリアシマリスの亜種で、北海道にしかいない種として知られています。背中に5本の縞模様があり縞の間は白またはクリーム色っぽくなっているのが特徴です。また、エゾシマリスはエゾリスの1/2倍程の大きさでかなり小さいです。森林はもちろん、街中などでも見られることがあり、北海道で小さいシマリスを見つけたらエゾシマリスであることが多いでしょう。
また、エゾリスは冬眠しませんが、エゾシマリスは冬眠をします。
エゾシマリスのおすすめ観察スポット
エゾモモンガ
エゾモモンガはタイリクモモンガの亜種で、北海道の固有種です。アイヌ語で「アツ・カムイ(群棲する神)」と呼ばれ、神聖な動物として扱われていました。
真っ黒の大きな瞳と、前後の足を大きく広げて滑空する姿は、一度見れば虜になること間違いなしの可愛さです。主に、北海道全域の森林や亜高山帯に生息していますが、札幌市内の森林公園などでも目撃情報があります。身体も小さいうえに夜行性のため、見つけるのは至難の業です。どうしても会いたいなら、ガイドツアーなどを利用するとよいでしょう。
エゾモモンガのおすすめ観察スポット
エゾクロテン
エゾクロテンはイタチの仲間で、北海道に生息するクロテンです。手足と尻尾が黒く、黒い靴下を履いているような可愛い姿をしています。
元々は北海道全域に生息していたものの、毛皮を目的とした乱獲によって現在では個体数が激減してしまい、道北や道東の限られた地域に生息域を狭めています。現在は準絶滅危惧種に指定されており、狩猟も禁止されています。
個体数が少ないため、野生のエゾクロテンを観察するのは大変難しいでしょう。エゾクロテンに会いたい場合は、旭山動物園や釧路市動物園に足を運んでみてください。可愛いエゾクロテンを近くで観察できますよ。
エゾクロテンのおすすめ観察スポット
エゾナキウサギ
エゾナキウサギは体長15cm前後の小型のウサギで、キタナキウサギの亜種として北海道の道央や道東に生息しています。夏と冬で見た目が変わるウサギで、夏は赤褐色、冬は灰褐色をしているのが特徴です。
その名の通り、よく鳴くウサギで「キチュキチュ」「ピィルルル」など甲高い鳴き声をしています。現在は準絶滅危惧種に指定されていますが、群棲しているため森林などで耳を澄ましていればエゾナキウサギの群れを見つけることができるかもしれません。
ちなみに、札幌市のご当地ゆるきゃら「キュンちゃん」はエゾナキウサギをモチーフにしているそうです。可愛い見た目はマスコットキャラクターにもぴったりですね。
エゾナキウサギのおすすめ観察スポット
キタキツネ
黄金色の毛並みからスラっと伸びる手足が可愛くカッコイイと人気のキタキツネは、北半球に生息するアカギツネの亜種と言われています。
本州に生息しているキツネはホンドギツネと言い、別種です。キタキツネはホンドギツネよりも一回り大きく耳の後ろや足先に黒い毛を持っているため、簡単に見分けることができるでしょう。
春から初夏にかけて子育てをするキタキツネや仔ギツネを観察できるかもしれません。ちなみに、キタキツネはイヌのように「ワンッ」と鳴くため、鳴き声を聞いて驚く人も多いです。
キタキツネのおすすめ観察スポット
シマフクロウ
シマフクロウは日本で最も大きいフクロウの種であることが知られており、現在は北海道にしか生息していません。世界でも極東ロシアの一部にしか生息しておらず、絶滅危惧種に指定されているため海外からシマフクロウの観察に訪れる観光客も多くいます。
どっしりとした逞しい身体付きとキリっと鋭い眼光を持つ姿は神聖な動物のように見えます。アイヌ語では「コタン コロ カムイ(村を領有する神)」と呼ばれ守り神のような存在だと信じられていました。
北海道では、知床羅臼の「鷲の宿」がシマフクロウの観光スポットとして有名です。鷲の宿では、人工的な給餌池に飛来する野生のシマフクロウを観察できます。また、旭山動物園や釧路市動物園などでもシマフクロウを展示しています。
シマフクロウのおすすめ観察スポット
エゾシカ
エゾシカはニホンジカの亜種で、北海道全域に生息しています。ニホンジカよりも一回り大きいのが特徴で、ニホンジカを見慣れた本州の人達からするとエゾシカはとても大きな鹿に見えるでしょう。
寒さの厳しい北海道で生き残るために進化した結果だと言われており、筋肉量はニホンジカの2~3倍もあるそうです。
近年生息域が広がり、道内では1,000頭近くのエゾシカの群れも確認されているそうです。市街に出没することも多々あり、比較的会いやすい動物と言えるでしょう。
エゾシカのおすすめ観察スポット
エゾヒグマ
エゾヒグマは、ヒグマの亜種で北海道にのみ生息していると言われています。北海道に生息する哺乳類のなかで最も強い動物と考えられ、日本に生息するクマの中でも最大種です。北海道で度々目撃されているクマの多くはエゾヒグマでしょう。
北海道では農業や家畜などの熊害や人的被害も問題になっていますが、道外の観光客からは人気のエゾヒグマ。観察する際には安全を確保したうえで、適切な行動を指示できるガイドに従うのが鉄則です。
エゾヒグマのおすすめ観察スポット
ヤマゲラ
ヤマゲラはキツツキ科の鳥で、北海道にのみ生息しています。灰褐色の羽と額の赤い模様が特徴的で、ハト位の大きさです。北海道全域の森林に生息していますが、群れを作らず単独や番(つがい)で暮らしているため、注意深く探さなければ見つけるのは難しいでしょう。
キツツキらしく木を突つくドラミングという行動を取りますが、本州のキツツキに比べるとその回数は少ないです。ドラミングをしているヤマゲラを見れたら幸運ということですね。
ヤマゲラのおすすめ観察スポット
タンチョウ
タンチョウは「タンチョウヅル」とも呼ばれる代表的なツルの一種です。ツルは冬になると日本に訪れる渡り鳥として知られており、全国各地に飛来地があります。しかし、本州の飛来地に訪れるツルの多くはクロヅルやマナヅルで、タンチョウが見れるのは北海道だけです。
また、タンチョウは北海道に周年生息しているため、時期を問わずに観察できるのも特徴です。タンチョウは1942年まで絶滅したと考えられており、絶滅危惧種に指定されています。北海道ではタンチョウの保護や調査が行われており、現在は約1,500羽のタンチョウの生存が確認されているようです。
タンチョウのおすすめ観察スポット
北海道にしかいない動物が多い理由とは
北海道には亜種として進化を分けた固有種や、本州には飛来しないのに北海道に飛来する渡り鳥などが多く生息します。「北海道は自然豊かだからでは?」と思う人も多いでしょうが、実はこれには理由があります。
本州と北海道の間にある津軽海峡には、ブラキストンラインと呼ばれる動物の分布境界線があります。ブラキストンラインを境に、動物の分布する種類が変わると言われているのです。
エゾリスやエゾヒグマなどはブラキストンラインを南限としているため北海道にしか生息していません。反対に、ニホンザルやツキノワグマなどはブラキストンラインを北限としているため北海道には生息していないのです。
北海道と本州の境目にブラキストンラインがあるからこそ、北海道にしかいない動物が数多く生息しています。
北海道では野生動物に遭遇すると危険な場合もある
野生動物の観察を目的に北海道ヘ行きたいという人は少なくないでしょう。しかし、野生動物との遭遇は楽しいものばかりではありません。
特に、エゾヒグマやヒグマに遭遇すると命の危険に直面するケースもあります。北海道では観光地のクマ出没状況をチェックすることが欠かせません。観光案内所などで出没状況をお知らせしていることが多いので、確認してみるとよいでしょう。
また、北海道全土でエゾシカによる交通事故も多く聞かれます。エゾシカは身体が大きく、道路への飛び出しなどで事故が起これば、エゾシカも人間も大きな怪我を負っててしまう危険性があるでしょう。
道内を車で観光しようと考えている方は注意が必要です。
北海道で野生動物を観察する際の注意点
北海道で野生動物を観察する際には、いくつか注意しておきたいことがあります。
餌付けをしない
野生動物に餌付けをしてしまうと、動物が人慣れしてしまうことでさまざまな悪影響が起こります。人の食べ物の味を知ってしまったばかりに、市街地に入り込み害獣として駆除されたり交通事故に遭ってしまうというケースも考えられるでしょう。
「厳しい自然の中でお腹を空かせてかわいそう」と思うかもしれませんが、決して餌付けをせず見守るだけに留めましょう。
野生動物との触れ合いはNG
可愛い野生動物と触れ合いたいと思うこともあるでしょうが、基本的に触れ合いは厳禁です。野生動物のなかには寄生虫や感染症の媒体となる動物もいます。また、野生動物に人間の匂いがつくことで群れから追い出されてしまう危険性もあるでしょう。
野生動物が近づいてきても、決して触れずに観察してください。
フラッシュ撮影は控える
動物の多くは光に敏感です。フラッシュ撮影をしてしまうと、驚いて逃げてしまうことが多いでしょう。また、夜行性の野生動物は日中に睡眠を取るため強い光を苦手とするケースも多いです。野生動物を過度に興奮させてしまったり、健康を害したりする恐れがあるので、フラッシュ撮影は控えてください。
安全に配慮したツアーに参加する
野生動物が自然のなかで生きる姿を観察したい場合、ネイチャーツアーなどに申し込む人も多いでしょう。しかし、近年安全対策を怠ったツアー会社の起こす事故なども問題視されています。
口コミやサービス会社の行っている安全対策をしっかり確認し、安全に配慮したツアーに参加するのが望ましいです。もちろん、ツアー参加中はガイドの指示を守って行動してください。
まとめ
北海道の広大な大地では、人間だけでなく多くの動物が共存しています。そんな動物達の姿を観察することで、野生動物や自然環境について考えるきっかけになるかもしれません。
北海道を訪れた際には、ぜひ今回した動物達との出会いを探してみてくださいね。