意外と知らない!? ナスは生でも食べられる! 正しい下処理と調理法
様々な品種があり、ハウス栽培で1年を通して手に入るナス。
出荷のピークは8月頃で、夏野菜のひとつではありますが、10月頃に出荷される秋ナスはタネが少なく身が締まっていて、みずみずしい夏のナスとは違った魅力があります。
調理法もいろいろですが、よく知られているレシピのほとんどは加熱調理されたもの。実はナスは生でも食べられるってご存じでしたか?
- ナスは生でもOK!
- 生で食べる時はアク抜きが必要
- 生で食べることでカリウムを効果的に摂取できる
- 夏採りのナスが生食に向いている
この記事でわかること
ナスは生で食べても大丈夫?
結論から言うと、生で食べても大丈夫です!
意外に思われるかもしれませんが、生食のナスで一番ポピュラーな漬物を思い浮かべれば納得ですね。ただし、ナスにはアク(苦みやえぐみ)があるので、アクの少ないナスを選んで、きちんとアク抜きしましょう。
アクって何?
アクは食べた時のえぐみの原因にもなりますが、ナスが褐色に変色してしまう原因でもあります。
アク抜きをしていないと、食べた後に渋みが舌の上に残ったり、変色することで料理の見た目にも影響してしまうので、とくに生で食べる時にはなるべくアク抜きをします(アク自体はポリフェノールの一種なので、体に悪いものではありません)。
ポリフェノールが空気に触れることで酸化して変色するので、加熱調理する場合は、なるべく調理の直前に切ることで、アク抜きの必要がなくなります。
油と調理することで渋みなども気にならなくなるので、揚げ物や炒め物、濃いめの味付けで仕上げるものなどもアク抜きはしなくてもいいと思います。
ただ、サラダや漬物、色の薄い炊き合わせなどに使う場合はアク抜きをすると効果的です。
ナスのアク抜き方法
ナスのアク抜きの方法は、水にさらす、塩水にさらす、表面に塩を振るの3種類が一般的です。
一番手軽な「水にさらす」方法は、水を張ったボウルに切ったナスを入れるだけです。浮いてきたものを沈めながらザッとかき混ぜつつ、2~3分程度を目安にします。
「塩水にさらす」場合は、2リットルの水に小さじ半分程度の塩を入れてください。普通の水にさらした場合と同様に、軽くかき混ぜながら2~3分程度で大丈夫です。塩水はナスの味に影響するほどではないですが、水のみにさらした場合よりも、若干、ナスに味が染みやすくなるようです。
「塩をふる」場合は、切ったナスの表面に薄く塩を振ります。2~3分ほど待つと表面に水分が浮いてくるので、それをキッチンペーパーなどで拭き取ります。
ナスにほんのり塩味がつきますが、ほどよく水分も抜けるので、揚げ物や炒め物にする場合に向いています。
ナスの栄養価
ナスは90%以上が水分ですが、カリウムや食物繊維も多く、濃い紫色の皮にはポリフェノールの一種で抗酸化作用の高いナスニンも豊富に含まれています。
このナスニンが「アク」の正体でもあります。
ナスの栄養価(100gあたりの含有量) | |
---|---|
エネルギー | 18kcal |
水分 | 93.2g |
たんぱく質 | 1.1g |
炭水化物 | 5.1g |
カリウム | 220mg |
カルシウム | 18mg |
マグネシウム | 17mg |
リン | 30mg |
鉄 | 0.3mg |
ビタミンA(β-カロテン当量) | 100μg |
ビタミンB1 | 0.05mg |
ビタミンB2 | 0.05mg |
ビタミンB6 | 0.05mg |
葉酸 | 32μg |
ビタミンC | 4mg |
食物繊維総量 | 2.2g |
ナスを生食で味わうメリット
ナトリウムを排出する作用があり、塩分の摂り過ぎを体内で調節してくれるカリウムは加熱すると働きが少し弱まってしまうため、カリウムを効果的に摂取するためには生で食べるのが一番です。
ナスを加熱調理するメリット
ポリフェノール「ナスニン」は抗酸化作用が高く、がんの予防効果もあるのではと言われています。
また、悪玉コレステロール値を低下させる作用があり、血液を浄化し、流れを良くして高血圧や動脈硬化など血管のトラブルを防いでくれる効果もあります。
ただし、ナスニンは水溶性のポリフェノール。なので、水にさらしたりするアク抜きが効果的となり、油と調理すると効率的に摂取できます。
生食する場合はナスニンが多く残っていると変色したり、苦み・えぐみを感じてしまうので、美味しくいただくにはナスニンは諦めざるを得ないかもしれません。
ナスニンの効用を目当てとして食べるなら、アク抜きせずに炒め物や揚げ物などが向いています。
生食に向いているナスの選び方
まずは新鮮さが第一! そして品種も数多くあります。どの品種が生食に向いているのでしょうか。
新鮮なナスの選び方
新鮮で美味しいナスを見分けるポイントは、以下の3つです。
- 皮の色が濃く、張りとツヤがある
- ヘタやガクがしっかりとしている
- 持ってみてずっしり重たいもの
皮に張りがなかったり、ヘタやガクがしおれているものは、収穫してから時間が経っているものです。ナスは水分が多い野菜なので、収穫後の時間経過でどんどん水分が失われて、傷みやすくなっていきます。
ガクの部分は、新鮮であればトゲがあります。チクチクと痛いほどのトゲがあれば、新鮮なナスです。
生食に向いているナス
一番、生食に向いているのはアクの少ない「水ナス」です。ころりと丸く、可愛らしい卵形のナスで、皮も薄く、実はみずみずしく柔らかでほんのりと甘みがあり、サラダや漬物に向いています。
大阪の特産品であり、栽培が難しいためあまり多くは出回りませんが、水ナスが出回る夏の時期には野菜売り場をぜひチェックしてみてください。
水ナス以外のナスも生食は可能ですが、より皮が薄いものが生で食べやすいです。水ナス以外の丸いナス(米ナスなど)は皮が厚く、実もしっかりとしているため、加熱調理に向いています。一般に出回ってる中長ナス(千両ナスなど)、小ナス、長ナスなどは、産地や個体差もありますが、皮が薄めなので生食でも美味しくいただけます。
収穫時期としては、秋に出回るものよりも、夏場のみずみずしいナスのほうが生食には向いています。
白ナスというのもあり、これは皮が白くポリフェノールが含まれないため、アクはほとんどありません。実も柔らかくみずみずしいので、生で食べられますが、皮がやや固めです。また、白ナスは加熱した場合にトロッとした食感になるのが魅力的なナスなので、生食より加熱調理のほうが美味しくいただけるでしょう。
生食に向かないナス
どんな野菜にも言えることですが、鮮度が落ちたものは生で食べないほうがいいでしょう。
ナスの保管の適温は8~12度とされ、下回れば低温障害をおこして表面が茶色くなってしまいます。このように、変色が始まってしまったもの、切ってみて種が黒ずんできているものは、生食には向きません。
ちなみに、種が黒ずんだだけであれば、加熱調理するのは大丈夫です。
ナスの水分が充分に保たれていれば種は白いままですが、収穫後、時間が経ってしまうと水分が失われ、中の種から変色していきます。
なので、種だけ黒ずんでいる状態はまだ充分に食べられます!
生ナスをおいしく味わえる料理
ナスの刺身
新鮮な水ナスが手に入ったらぜひ試していただきたいのが、ナスの刺身です。
ナスのヘタを落として皮を何カ所か剥き、縦に半割した後、食べやすい大きさに切り、塩水に数分さらします。その後、キッチンペーパーなどで水気を拭き取り、生姜醤油でいただきます。
ナスのヨーグルトサラダ
ナスは皮を剥いて、1cm四方程度のサイコロにカットして、塩水でアク抜きをします。
キュウリをナスより少し小さめに切り、軽く塩を振って5分ほど馴染ませます。プレーンヨーグルトに塩少々と粒マスタード少々を入れて混ぜ、水気を切ったナスとキュウリをあわせれば出来上がりです!
皮を剥いたナスのヒスイ色がきれいなサラダに仕上がりますよ。トマトを合わせても美味しいです。
ナスとミョウガの塩もみ
ナスは薄切りにして水にさらします。ミョウガは縦半分に切って斜め薄切りに。ビニール袋に水を切ったナスとミョウガ、塩少々を入れ、袋ごともみます。
しんなりしたら、袋の空気を抜いて口を縛り、10分ほど置きます。
ナスから水分が出たらそれを軽く絞り、千切りにした大葉とポン酢醤油を合わせて出来上がりです。箸休めにぴったりな、爽やかな一品です。
ナスとトマトの大葉サラダ
1~1.5cm程度の半月切りにしたナスを塩水にさらしてアク抜きします。
プチトマトは4つ割りに。にんにく少々、オリーブオイル、米酢、塩、砂糖、コショウで作ったドレッシングで、水気を切ったナスとトマトを和え、そこへちぎった大葉を加えます。ツナなどを加えても、食べ応えが出ます。
作ってから冷蔵庫で30分ほど置くと、味がほどよく馴染みます。
生ナスとアボカドのカルパッチョ
3~5ミリ程度の薄切りにしたナスを塩水にさらしてアク抜きします。
アボカドもナスと同じように薄切りにします。
水気を切ったナスとアボカドを皿に並べ、全体に軽く塩・コショウを振ります。オリーブオイルにポン酢(またはレモン汁)を合わせ、小口切りにした小ネギも混ぜてドレッシングを作ります。
食べる直前に、ナスとアボカドにドレッシングを回し掛けましょう。
まとめ
加熱調理でとろける食感のナスも美味しいですが、生で食べる時のふわふわ&みずみずしい、独特の食感も美味しいですよ!
ナスを生で?と違和感を覚える方もいらっしゃるかと思いますが、ナスの漬物、とくに浅漬けは生食のひとつです。浅漬けのバリエーションと思えば、生ナスのレシピも受け入れやすいですよね。ナスのサラダをレパートリーに加えてみてはいかがでしょう。