夏と冬、年に2度旬を迎える「しじみ」。その小さな身には栄養がたっぷり!
みなさん、「しじみ」はお好きですか?
お味噌汁にすると美味しいですよね。「栄養の詳しいことはよくわからないけど、二日酔いの朝はしじみのお味噌汁を飲む」という方も多いかと思います。
黒くて小さな貝、しじみ。しじみに含まれる栄養にはどんなものがあるのか、二日酔いに効くのは本当なのか、いろいろと調べてみました!
- しじみとあさりは大きさ以外にも違いがある
- しじみは二日酔いに効く!
- 「土用しじみ」と「寒しじみ」
- しじみの下処理と保存方法
- 味噌汁以外のしじみレシピ
この記事でわかること
「しじみ」とは
しじみは小ぶりの黒っぽい二枚貝でシジミ科に属します。ヤマトシジミやマシジミ、セタシジミなどいくつかの種類があり、それらの総称となっています。
ただし、マシジミとセタシジミは近年では数が激減し、日本で食べられているシジミの約99%はヤマトシジミになっています。
しじみが住んでいる湖や河川はきれいですが、しじみはきれいな水の中にしか住めないというわけではありません。逆に、しじみがきれいな湖や河川を作っているのです。
プランクトンや有機物が含まれた水は、水辺の生物にとって大切なものですが、時には水質の悪化を招く原因にもなります。しじみはそれらを食べることで、水質を一定に保つ働きをしてくれる、天然のろ過装置なのです。
しじみとあさりの違いって?
あさりは海の貝なのに対し、しじみは汽水域の貝です。汽水域とは河口や海と隣接した湖のように淡水と海水が入り交じる場所で、しじみは塩分濃度が1%前後の水域に住んでいます。
しじみは、生息域の土壌の状態にもよりますが、ほとんどが真っ黒に近い単色なのに対し、あさりは白黒、白茶、茶色無地、青無地、青白など多様で、模様も横しまや幾何学模様、まだら模様など多彩です。
大きさはしじみが2~3cm程度なのに対し、あさりは最大で6cmほどになります(ただし、出回っているものの多くは4~5cm程度でしょうか)。
時折、あさりでも黒っぽいものがあるのでしじみと勘違いしがちですが、そんな時は貝の表面を見てみてください。しじみの表面はつやつやと光っており、あさりの表面はざらざらとしています。つやがあったらしじみ、ざらついていたらあさりです!
しじみに含まれるたっぷりの栄養
しじみは身が小さいから、あまり栄養がなさそう? そんなことはありません!あの小さな身には栄養がたっぷり詰まっています。
しじみ | アサリ | |
---|---|---|
タンパク質 | 6g | 5.6g |
カルシウム | 130mg | 66mg |
鉄分 | 5.3mg | 3.8mg |
ビタミンB2 | 0.25mg | 0.16mg |
ビタミンB12 | 62.4μg | 52.4μg |
オルニチン | 10~15mg | ほとんど含まれない |
オルニチン
オルニチンはアミノ酸の一種で、食欲増進や運動後の疲労回復が期待できます。また、体内でアンモニアの解毒や肝臓のアルコール分解を助ける働きもあります。
これが、しじみのお味噌汁が二日酔いに効くという理由のひとつですね。肝臓の働きを助けることで新陳代謝を高めるので、美肌にも効果的です。
タウリン
オルニチンと同じくアミノ酸の一種で、胆汁の主要な成分である胆汁酸と結合し、消化作用を助けます。アルコールやアンモニアを解毒して無害化・排出する役目も担うため、これも二日酔いに効果的な理由です。
そのほか、脂肪の分解、脂溶性ビタミンの消化吸収など、役割は様々です。
ビタミンB12
血液を造るのに必要な栄養素で、「造血のビタミン」「赤いビタミン」とも呼ばれています。不足すると貧血や、うつ病などになってしまう可能性もあります。
ビタミンB12には動脈硬化の危険因子とされている「ホモシステイン」の血中濃度を正常に保つはたらきもあるとされており、貧血予防や成人病予防に積極的に摂りたい栄養素です。
ビタミンB12は動物性の食品に多く含まれており、代表的なのはレバーですが、実はしじみに含まれる量は圧倒的!
二日酔いじゃない日でも、しじみのお味噌汁を飲むのがおすすめです。
鉄分
しじみには多くの鉄分も含まれています。鉄分はそれだけでは吸収されにくい栄養素ですが、鉄分の吸収を促すビタミンB12も多く含まれています。
また、鉄分とビタミンB12だけではなく、造血に作用する葉酸も多く含まれているので、貧血気味の方には効果的な食材です。
生産地や旬
しじみはどこで獲れるの?
しじみの漁獲高ランキングで、1位は島根県です。次いで青森県、茨城県、北海道と続きます。
島根県の国内シェアは約4割。島根県では汽水湖である宍道湖での漁獲が中心となっています。青森県では、同じく汽水湖である十三湖と小川原湖です。
北海道では網走湖のしじみが有名です。
網走湖のしじみは粒が大きいことで知られていますが、それを上回る巨大しじみが大樹町にあります。大樹町のヤマトシジミは殻の大きさが5cm以上にもなるとか。ただしこちらは資源保護のため、年に1日しか漁ができません。
しじみの旬は年に2回?
野菜や魚介類などの多くは年に1度が旬ですが、しじみの旬は2度あります。
しじみは夏に産卵するため、産卵前の栄養を蓄えた時期である、春の終わりから初夏にかけてが1度目の旬となります。
夏のしじみは「土用しじみ」と言われ、土用(7月20日前後)が旬とも言われますが、これは「土用のうなぎ」と同様に、夏に備えて体に良いものを食べようということで、ビタミンやアミノ酸などが豊富なしじみを土用の頃に食べていたのではないか、という説もあります。
そのため、「土用のしじみは腹薬」などとも言われていたようです。夏に美味しくなるのは確かですが、産卵前の栄養豊富な時期を狙うなら、土用よりもやや早い時期のほうがおすすめです。
冬のしじみは「寒しじみ」と言われ、これは夏に産卵を終えたしじみが秋から冬にかけて越冬のために栄養を蓄えるため、厳寒期のしじみが美味しくなるからです。
砂抜きと保存方法
しじみの下処理
二枚貝は海や湖、川の底に生息し、そこで呼吸しているため、身の内部に砂が残っていることが多くあります。
なので、「砂抜き」が必要となります。二枚貝の砂抜きは基本的に生息域と同じ塩分濃度の塩水に入れることで、きれいな水で呼吸をさせ、砂を吐き出させます。
しじみは汽水域ですので、真水でも砂抜きは可能ですが、本来の濃度である1%前後の塩水で砂抜きをすると、真水よりも美味しいです。
これは塩分濃度と浸透圧の関係で、しじみの中の旨み成分が水に流れ出さないためです。
しじみが重ならないように、バットなどに並べたあと、1%の塩水をひたひたに(しじみが半分浸かるくらい)注ぎ、冷暗所に2~3時間置くと砂を吐き出します。
充分に砂を吐き出したら、貝殻同士をこすりあわせて、表面の汚れも落とします。
もちろん、しじみが呼吸をしていなくてはきちんと砂抜きができないので、貝殻の表面につやがあり、元気の良いしじみを選ぶことも大切です。
冷凍保存もOK!
砂抜きをしたあとの貝は急いで食べきってしまうのが鉄則!と思われがちですが、実は冷凍ができます。
しじみはもちろん、あさりも同様ですが、砂抜きをした後にラップにくるむか保存袋に入れて冷凍庫に入れてください。調理に使う時は冷凍のまま使います。冷凍したもののほうが旨み成分が増えるとも言われます。
砂抜きは生きて呼吸をしている状態でなければできないため、冷凍保存する場合でも必ず最初に砂抜きをします。
おすすめのしじみ料理
しじみと言えばお味噌汁の具ですが、ここではそれ以外の調理法をいくつかご紹介します。
しじみパスタ
あさりを使うボンゴレと同様に、あさりの代わりにしじみを使っても美味しいですよ!
にんにくとショウガをオリーブオイルで炒め、香りが出たら砂抜きをしたしじみと日本酒を少々加えます。しじみの口が開いたら醤油と塩コショウで味を調え、茹でたパスタと絡めればOK!
しじみの佃煮
しじみをたっぷり使うので、たくさん獲れていた昔ならともかく、今では高級料理になってしまいそうですね。
砂抜きしたしじみとみりんを鍋にいれて火にかけ、しじみの口が開いたら殻を外して、みりんの鍋に戻します。醤油と砂糖を加えて汁気がなくなるまで煮詰めたら完成です。
しじみの酒蒸し
砂抜きしたしじみを鍋に入れて火にかけ、塩少々と日本酒・水を注いだら鍋に蓋をします。しじみの口が開いたらできあがりです。
酒蒸しはレンジでもOKです。耐熱皿にしじみを入れ、塩・日本酒・水を入れてラップをし、レンジで3分加熱します。
加熱後、かき混ぜて開いていない貝があれば、1分くらいずつ追加加熱してください。
しじみの炊き込みご飯
酒蒸しにしたしじみを煮汁と一緒に炊き込みご飯にするのも美味しいです。
もちろん、佃煮にしたしじみをさらに炊き込みご飯に使っても!仕上げに針ショウガや万能ネギの小口切り、刻み海苔などを散らすと見た目も華やかです。
しじみの紹興酒蒸し
フライパンにサラダ油を入れてにんにくとショウガを炒め、香りが出たら砂抜きしたしじみを入れます。
軽く油を馴染ませたら、紹興酒と鶏ガラスープを入れて蓋をします。しじみの口が開いたら、醤油をさっと回しかけてできあがりです。
しじみ鍋
冬の「寒しじみ」の時期にはお鍋はいかがでしょう? 鍋にごま油を入れてにんにくを炒め、香りが出たらしじみを入れます。
そこへ、鶏ガラスープをたっぷりと注ぎ、オイスターソースと醤油で味を調えます。そのしじみスープをベースにして、他の具材は寄せ鍋風に。
白菜、ニンジン、しめじ、しいたけ、豆腐、長ネギ、豚肉などが合います。お好みでキムチを加えても!
まとめ
栄養たっぷりのしじみを紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
粒が小さな貝なので、物足りないかもと思うかもしれませんが、実は栄養も旨みもぎっしり詰まってます!お味噌汁以外の調理法も紹介しましたので、ぜひ、レパートリーに加えてみてください!