魚醤とは?特徴や使い方、醤油・ナンプラーとの違いについても解説

魚醤とは?特徴や使い方、醤油・ナンプラーとの違いについても解説の画像

海外の食文化が身近なものとなり、諸外国の調味料なども手軽に購入できるようになりました。エスニック料理などに最適なナンプラーも海外の調味料のひとつです。実は、ナンプラーは日本でもお馴染みの「魚醬(ぎょしょう)」であることをご存知ですか?

この記事では魚醬とナンプラーの違いや特徴、使い方などを徹底解説します。魚醬の歴史や世界の魚醬についても紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

    この記事でわかること

  • 魚醬は魚介類を塩で発酵させたもの
  • ナンプラーはタイの魚醬
  • 魚醬は世界中にある
  • 調味料に魚醬を加える食べ方がおすすめ
  • 北海道ご当地ラーメン
  • スープカレー特集

魚醬とは

魚醤(ぎょしょう)とは

魚醬は「ぎょしょう」と読みます。

「醤(ひしお)」には塩漬けという意味があり、大豆を塩漬けして作る醤油は穀醤の一種です。同じように魚介類を塩漬けにしたものを魚醬と言います。

一般的に魚介類を発酵させて液状にした調味料を魚醬と呼びますが、実はイカの塩辛やアンチョビ(カタクチイワシの塩漬け)なども魚醬の一種です。

魚醤の特徴

魚醬には豊富なグルタミン酸が含まれているのが特徴です。旨味成分であるグルタミン酸が豊富に含まれるため、魚醬はコクや味わい深さを感じやすくしてくれる調味料です。

また、ミネラルやビタミン、動物性タンパク質などを含んでおり、発酵調味料なので腸内環境を整える効果も期待できるでしょう。

ナンプラーとは

ナンプラーとは

ナンプラーはタイの伝統的な魚醬です。代表的なタイ料理であるトムヤンクンなどに欠かせない調味料で、ガパオライス、ナシゴレン、ミーゴレン、ヤムウンセンなど、さまざまなタイ料理に用いられています。

日本の魚醬とナンプラーの違い

日本で古くから作られてきた魚醬と、タイの伝統的な魚醬であるナンプラー。この2つは何が違うのでしょうか。

続いては、日本の魚醬とナンプラーの違いについて紹介していきます。

材料が違う

日本の魚醬はハタハタやイカナゴ、イワシ、アジ、サバ、イカなど様々な魚介類で作られているものがありますが、ナンプラーの原料は基本的にカタクチイワシです。

味が違う

魚醬は作り方や材料によって味が異なり、日本の魚醬は塩味が特に強く比較的クセの抑えたものが多いと言えます。一方、ナンプラーは魚の強みを強く感じるため苦手だと感じる人も少なくないでしょう。

魚の生臭さの他に、エスニックな風味を感じるのもナンプラーの特徴です。

発酵期間が違う

日本の魚醬は1~3年ほど発酵させますが、ナンプラーは7ヶ月~1年ほどで完成するのも大きな違いのひとつです。発酵期間が短いため、ナンプラーはとろみが強く、魚の臭いも強く感じる傾向にあります。

魚醬はナンプラー以外にもいろいろある

魚醬の歴史は長く、古代ローマでは「ガルム」という魚醬があったと記録されています。現在でも魚醬が世界各地にあり、それぞれに特徴があります。

続いては、日本の有名な魚醬や世界の魚醬をみていきましょう。

【日本】いしる

日本三大魚醬と呼ばれる魚醬のひとつで、原材料はイワシやサバ、イカの内臓です。能登半島の名産品で独特の香りが特徴です。発酵期間が長いため豊潤な香りが感じられ、能登半島では日常的に使う調味料として愛されています。

原材料は製造業者によって違い、イワシを使ったものを「いしる」、イカを使ったものを「いしり」などと呼び分けることもあるそうです。

【日本】しょっつる

日本三大魚醬と呼ばれる魚醬のひとつで、原材料はハタハタやアジ、イワシなど。秋田県の名産品で、「塩魚汁」と書いて「しょっつる」と読みます。

特に秋田県で多く水揚げされるハタハタを使ったしょっつるは、魚醬特有のクセが抑えられており、マイルドで食べやすいと人気です。しょっつるを使った郷土料理「しょっつる鍋」は、旨味とコクが強く感じられる絶品鍋です。

【日本】いかなご魚醬

日本三大魚醬と呼ばれる魚醬のひとつで、原材料はスズキ科の魚であるイカナゴです。古くから香川県で作られてきた魚醬でしたが、昭和時代には生産量が激減。近年地域の特産品として製造・販売が再開されつつあります。

いかなごの独特な香りが強いものの、味わい深く料理などに使うとコクが出るため、1950年頃までは醤油の代用品とされていたこともありました。

【ベトナム】ヌクマム

ヌクマム(ヌックマム・ニョクマム)とは、ベトナムの魚醬です。原材料はアジやイワシなどの青魚。魚の生臭さ以外にもエスニックな独特の香りを強く感じるのが特徴です。魚醬の中では比較的塩味が弱く、料理の風味付けに使われることが多いと言われています。

【イタリア】コルトゥーラ

コルトゥーラはイタリアの魚醬です。材料はカタクチイワシ。世界各国の魚醬の中でも、特に発酵期間が長いことが特徴です。平均で3~4年の発酵期間を置くコルトゥーラは、まろやかで口当たりが優しく、イタリア料理の隠し味として用いられています。

【中国】ユイルウ(魚露)

ユイルウは中国の魚醬です。春巻きなどに添えられていますが、現地では「ケチャップ」と呼ばれ、外国人を驚かせているんだとか。

ケチャップと言えばトマトが連想されますが、実はケチャップとは魚介類・野菜・キノコ・果物などから作ったソースのことを言います。日本やアメリカではケチャップと言えばトマトソースですが、ヨーロッパではキノコやクルミを使ったソースを指します。実は世界で愛される調味料ケチャップの語源は、昔の中国の魚醬「ケ・ツィアプ」から派生しており、今も「ケチャップ」としてユイルウが出てくるお店があるそうです。

【韓国】エクジョ

エクジョは韓国の魚醬です。原材料はイワシですが、生臭さや独特な風味は抑えらえており食べやすいのが特徴。韓国の特産品であるキムチの隠し味としてもよく使われているそうです。

魚醬のおすすめの使い方

魚醬のおすすめの使い方

魚醬に馴染みのない人の中には、魚醬をどのように使えばいいのか分からない人も少なくないでしょう。

続いては、魚醬のおすすめの使い方について紹介していきます。

隠し味に使う

魚醬に含まれる旨味成分の強さは隠し味にぴったりです。少量加えるだけでも、料理の旨味を底上げしてくれます。

また、魚醬は醤油やポン酢などの調味料に少量加える食べ方もおすすめです。いつもの調味料に深いコクや旨味が加わります。魚醬入り醤油はお刺身を食べる時にぴったりです。また、魚醬入りのポン酢はシンプルな冷奴などと相性抜群。魚醬を特産品とする地域で定番の使い方です。

塩の代用品として使う

魚醬は醤油の位置づけで使われることが多いですが、元を辿れば魚の塩漬けです。そのため、塩の代用品として使うこともできます。塩の代わりに魚醬を使うことで、料理の旨味やコクが大幅にアップします。

加熱せずに使う

魚醬が苦手という人の多くは、独特な香りが気になるようです。魚醬は、加熱することで香りや風味が増すため、香りが苦手な人は加熱せずに食べるのがおすすめ。スープや鍋などに加えると、確かに旨味やコクが引き立ちますが、風味も各段にアップするのでご注意ください。

魚醬にレモンや酢、砂糖などを混ぜてドレッシングにすると、魚醬が苦手だという人でも美味しく味わいやすくなりますよ。

アレルギーのある人は魚醬の成分表示を要チェック

魚醬を食べる時に注意したいのが食物アレルギーです。魚醬は魚介類を原料としているため、エビやイカ、貝類など比較的食物アレルギーが起こりやすい素材が含まれるケースもあります。魚醬を食べる際には、原材料をチェックしてアレルギーのある食品が含まれていないか確認してください。

また、魚醬を発酵させる際、極少量のヒスタミンが発生します。400mg/kgを超えるヒスタミンが検出されると市場には流通させられないため、魚醬のヒスタミン含有量はわずかです。しかしヒスタミンに強いアレルギーのある人は、魚醬を食べる際に注意した方がよいでしょう。

まとめ

世界中で食べられてきた魚醬について、ナンプラーとの違いも合わせて紹介しました。ナンプラーが有名になったことで、魚醬=海外風のエスニックな味を連想する人も多いですが、日本で作られた魚醬は和食にとてもよく合います。

ぜひ日本の魚醬を味わってみてはいかがでしょうか。

PREZO編集部
PREZO編集部
美味しいものに目がない。食べ歩きやお取り寄せ大好きなPREZOのスタッフが、地域の魅力や商品にまつわるストーリー、北海道の豆知識など、とっておきの情報を発信!