北海道米「ななつぼし」をおいしく食べるには? 炊き方やおすすめの食べ方を紹介
ネットやクチコミなどで「ななつぼし」はまずい、という声を見かけることがありますが、本当でしょうか? 2001年に北海道の優良品種として登録された「ななつぼし」は現在、北海道で最も生産が多いお米です。生産量・消費量ともに北海道内で最大レベルの品種なのです。
こちらの記事では「ななつぼし」の特徴や味わい、正しい炊き方などについてご紹介します。
ななつぼしの特徴
土地が広く、日本有数の米どころでもある北海道で最も生産されているお米「ななつぼし」。北海道で最大レベルということは、全国の品種別作付け面積でももちろんトップクラス。
多くの人に食べらている「ななつぼし」には、どんな特徴があるのでしょうか。
12年連続で特Aを獲得
日本穀物検定協会が実施する「米の食味ランキング」で、ななつぼしは2010年度から令和3年度産まで12年連続で特A評価を獲得し続けています。
「ななつぼし」はクセが少なく、味と食感のバランスがよい品種として高い評価を受けています。価格帯も、贈答品や産地こだわりのものは高めになっていますが、一般に出回ってるものは特A評価のお米なのにもかかわらず手頃な価格帯で日常使いにぴったりのお米です。
「米の食味ランキング」は、白飯の外観・香り・味・粘り・硬さ・総合評価の6項目を専門家が評価。以下のような評価に分類されるほか、そもそもエントリーには道府県の推奨品種であることや作付面積が一定の基準を満たすなど、諸条件が設けられています。
評価 | 基準 |
---|---|
特A | 基準米よりも特に良好 |
A’ | 基準米と同等 |
B | 基準米よりもやや劣る |
B’ | 基準米より劣る |
この「米の食味ランキング」では、同じく北海道産米の「ゆめぴりか」が2010年(平成22年)産から2021年(令和3年)産まで12年連続で特A評価を受けています。
冷めてもおいしいお米
おいしいお米として名高い「コシヒカリ」の食味を受け継ぐ「ひとめぼれ」というお米がありますが、ななつぼしはこの「ひとめぼれ」を親に持つ品種です。
しっかりとした粒立ち、ほどよい粘りと甘みで、さっぱりとした口当たりが特徴です。冷めても味や香りが飛びにくく、お弁当に最適です。
「まずい」はウソ!?
ななつぼしは、他の北海道米「ゆめぴりか」や「おぼろづき」などに比べるとしっかりとした歯応えがあり、上記2品種よりは粘りも少なめなので、もっちりとした柔らかいご飯が好きな方には「まずい」と感じてしまうのかもしれません。
しかしこれは、あくまで一部の人の感想にすぎません。生産量も多く、多くの人に食べられているお米でさらに特A評価ということを考えれば、十分においしいお米と言えます。
ななつぼしの味わい
ほどよい粘りと甘さが魅力の北海道のエース米「ななつぼし」。その味わいには、アミロースというでんぷんが影響しています。
でんぷん質がやや高め
お米の粘りに影響するアミロースは、アミロース含有量が高いと炊き上がりの粘りが弱くなり、アミロース含有量が低いと粘りが強くなります。アミロース含有量は、肥料や気象、土壌によっても変わるため、同じ品種でも作付けされる地域によって、粘りや味に違いが出てきます。
特に、広い北海道のほぼ全域で作付けされている「ななつぼし」は、生産する農家さんやその地域によって、味に大きな違いがあります。
このアミロースが「ゆめぴりか」などに比べるとやや高いのが「ななつぼし」です。
バランスが良いからおいしい
「ななつぼし」のおいしさはそのバランスのよさです。ご飯そのもので食べた時に、際立った甘みや粘り、柔らかさなどは感じないかもしれません。ただ、さっぱりとした口当たりはどんなおかずに合わせても、おいしく食べられます。
「ゆめぴりか」と対極にある味わい
上でも述べましたが、同じ道産米の「ゆめぴりか」とは対極にある味と言われます。甘くて粘りが強く、もっちりと柔らかな食感の「ゆめぴりか」はその独特の風味の良さから、ご飯そのものを味わうのに向いていると言われます。
一方で「ななつぼし」は甘さも粘りも適度で、「甘すぎるお米は苦手」という方におすすめのお米です。
保存状態が重要
また、お米は野菜などと同じ生鮮食品です。保存状態が悪いと乾燥し過ぎてしまい、パサパサとした炊き上がりになってしまいます。保存する際には、保存場所や保存方法などに注意しておいしいうちに食べきることができる量を購入するようにしましょう。
ななつぼしの正しい炊き方
せっかくの特Aランク米ですから、正しい炊き方でおいしくいただきたいですよね。ここでは、ななつぼしの正しい炊き方について紹介します。
分量をキチンと量る
まずは分量をきっちりと量りましょう。お米をちゃんと量ることで、お米に適した水分量を守ることができます。お米を研ぐ前には最初の水でさっとすすいですぐその水を流すこと。
乾燥したお米にはぬかや汚れが付いているので、始めに汚れを落として、その水をすぐ捨てることでお米にいやな味や匂いがつくことを防ぎます。
浸水させて水を吸わせる
しっかりと浸水させることも大事です。夏場は30分程度、冬場や古米の場合は1時間程度を目安としてください。お米にしっかり水を吸わせることで、炊き上がりにムラが少なくなり、お米の甘みを引き出します。
炊き上がったら、釜の中でざっくりと十字に切り分け、上下を返すように優しく混ぜます。しゃもじで切るようにして、お米の粒を潰さないようにほぐしましょう。
おすすめの食べ方
「ななつぼし」は甘さ・硬さ・粘りも適度でさっぱりめの食べ心地が魅力です。香りが控えめなので、酢飯がおいしく作れます。
しっかりとした粒で形が崩れにくいので手巻き寿司などにおすすめです。甘いけれど甘すぎない、歯切れの良いさっぱりとした味わいは濃いめのおかずにも負けません。
和食にはもちろんですが、粘りが少ないので、少し固めに炊くとカレーライスやチャーハンにも合います。
また、冷めてもおいしさが長持ちするのでお弁当やおにぎりにもぴったりのお米です。特におにぎりにすると、粘り過ぎないため口の中で程よくお米の粒がほぐれていくような食感です。
知ると面白い! ななつぼし誕生の歴史
北斗七星のように輝いて・・・
名前の由来は、星がきれいに見える北海道で生まれたお米として、北斗七星のように輝いてほしいとの願いからです。北海道立中央農業試験場で育成され、2001年に優良品種として登録されました。
北海道は稲作に向いていなかった
かつての北海道は酪農と畑作を主として、稲作にはあまり向いていないとされていました。もちろん寒冷な気候であったこともありますが、稲に関してはそれだけではありません。
稲は日照時間が短くなると秋がきたと感じ、穂をつけるようになりますが、北海道では緯度が高いため日照時間が長く、その結果として、穂が実るタイミングを逸してしまうのです。そのため北海道では短日性(稲が秋を感じる性質)が弱い、北海道オリジナルの品種になります。
「きらら397」の後に続く優良品種
1990年に登録された「きらら397」を皮切りとして、北海道米の評価がぐんぐんと上がっていきますが、「きらら397」に続くようにして生まれたのが2001年の「ななつぼし」です。
販売促進活動なども熱心に行われ、もちろん食味の改良もずっと行われ、2010年のお米では、特A評価を獲得しました。これは北海道米では初めての快挙です。このことをきっかけとして、北海道米の知名度が上がったとも言えます。
7月2日は「ななつぼしの日」
文字合わせですが、2021年7月2日に「“なな”(7)“つ”(2)ぼし」の日として制定されています。