「ゆめぴりか」の特徴を詳しく解説! 味わいやおいしい炊き方、食べ方とは?

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北海道産米といえば、「ゆめぴりか」の名前を挙げる人も多いのではないでしょうか。

寒冷気候のために、稲作にはあまり向いていないと言われてきた北海道は、長年苦戦を強いられていました。土地も水も充分にあるけれど、寒すぎる……結果、あまり食味のよくない米が多いと言われてきたのです。

けれど、そんな数々の苦労を乗り越えて、2011年、北海道産の高級ブランド米として全国デビューした「ゆめぴりか」は、その食味の良さからファンも多く、テレビCMの効果もあって全国での認知度も高いお米です。

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ゆめぴりかの特徴

蘭越町の稲作の様子

北海道米の最高峰とも称さる「ゆめぴりか」ですが、その理由は、程よいもっちり感と豊かな甘みの両方を備えているバランスの良さにほかなりません。

炊き上がりも艶やかでキラキラと輝いており、これは偏に品種改良を何度も繰り返した生産者の努力の賜物。おいしいお米を追及し続けた北海道米の集大成と言えるのが「ゆめぴりか」です。

12年連続で最高ランクの特A評価

毎年、日本穀物検定協会が実施する「米の食味ランキング」では、2010年(平成22年)産から2021年(令和3年)産まで12年連続で最高ランクの特A評価を獲得し続けています。

令和3年産米の食味ランキング特A品種分布図

1971年(昭和46年)産米から始まったランキングは、2022年発表で通算51回目。ランキングの対象となるのは道府県の推奨品種であることや、作付面積が一定の基準を満たすなどの条件があります。

白飯の外観・香り・味・粘り・硬さ・総合評価の6項目を専門家が評価。基準米よりも特に良好なものを「特A」、基準米と同等のものを「A’」、やや劣るを「B」、劣るを「B’」としています。

北海道では、ゆめぴりかと並んで「ななつぼし」が同じく2010年(平成22年)産から特A評価を獲得しています。

最大の特徴は粘りの強さ

粘りが強い

ゆめぴりかは、お米に含まれるでんぷんの分子である「アミロース」が低い品種です。お米をおいしく感じるのは、粘りが強く関係していますが、粘りが強いほどおいしいと感じ、逆に粘りが少ないとパサパサしておいしくないと感じます。

この粘りを作り出すのがでんぷんですが、これにはアミロースとアミロペクチンの2種類があり、ご飯の粘りとして感じるでんぷんはアミロペクチンです。アミロースの割合が低いほど、アミロペクチンの割合が高くなるため、「粘りがあっておいしい」と感じます。

アミロースの割合が低い「ゆめぴりか」は粘りが強く、モチモチとした食感が特徴です。甘みが強く、冷めてもおいしいのでお弁当にもおすすめです。

ゆめぴりかの味わい

「ゆめぴりか」の味わい

ゆめぴりかは、「コシヒカリ」や「ミルキークィーン」にも似た味わいと表現されることがあります。それもそのはず。ゆめぴりかは品種改良を重ねて誕生した品種だからです。

有名品種のいいとこどり

認知度が高い北海道のブランド米に「おぼろづき」があります。こちらも低アミロースで粘りが強く、ほのかな甘みと風味の良さで、「コシヒカリ」に並ぶ評価を受けるお米です。

ゆめぴりかは「コシヒカリ」と「あきたこまち」、そして「おぼろづき」の遺伝子を導入するなど、「味の良さ」を武器にする数多くの品種を掛け合わせて生まれたおいしいお米なのです。

おかずがいらないほどの甘み

ゆめぴりかの特筆すべきおいしさは、甘みにあります。

甘み豊かで濃い味わいと、しっかりとした粘り、適度な硬さで噛んだ時に存分に甘さを味わえるお米です。飲み込んだ後でも喉の奥からふわりと甘みが戻ってくるほどとも言われます。

粘りや甘みは「おぼろづき」に勝り、硬さは「おぼろづき」よりもやや柔らい。その甘みの強さから「おかずがいらない」と言われるほどです。

ゆめぴりかの正しい炊き方

正しい炊き方

お米の正しい炊き方は、研ぐ、すすぐ、水に浸す時間が合計で2時間になるようにというのが基本です。

2時間経ったら浸していた水をよく切り、炊飯ジャーの釜に移します。目盛りに合わせて新しい水を入れますが、ゆめぴりかの場合は、お米1合につき大さじ1杯分の水を減らすとよりおいしく炊き上がります。

炊き上がったら内釜の水滴を拭き取り、釜の中で上下を返すように、側面のご飯も上に出すようにしながら、ご飯をふんわりとかき混ぜましょう。

おすすめの食べ方

ゆめぴりかのおにぎり

ゆめぴりかは上で述べた通り、粘り気が強く柔らかいお米なので、冷めてもおいしいと言う特徴があります。その特徴を活かして、お弁当やおにぎりとの相性が非常に良いです。

ハンバーグとゆめぴりか

癖のない風味なので、和食をはじめ、洋食など幅広い料理に良く合うお米です。とくにハンバーグなどの肉料理や煮物のような味付けが濃い料理との相性が良く、おかずの存在感に負けない食味を持っています。

ただ、粘り気の強いモチモチ食感は、カレーやパエリア、チャーハンなど、パラパラのお米に合う料理には合わないかもしれません。カレーに合わせる時などは、少し水を減らして炊いてみてもいいかもしれませんね。

もちろん、一番のおすすめは、炊きたてをそのまま「白いごはん」として食べることです!

知るとおもしろい! ゆめぴりかの歴史

ゆめぴりかのクラフト米袋

かつて、おいしくないと言われ続けていた北海道産米ですが、1990年に品種登録された「きらら397」の登場でそのイメージが改善されます。その「きらら397」を皮切りに、「おいしい北海道米」の開発が進み、今では「北海道米はおいしい」という評価を勝ち取っています。

「きらら397」が「ゆめぴりか」に

ゆめぴりかが誕生したのは、北海道上川農業試験場から

試験場には交配した検体が約15万体も植えられており、約10年かけて「食味」「収量」「耐冷性」の観点から優良なものを絞り込んでいったそうです。10年間、研究者たちを支えていたのは代々受け継がれた「おいしいお米をつくりたい」という思い。

「コシヒカリ」や「あきたこまち」の遺伝子も受け継いで「きらら397」が生まれ、またそれらをいくつも交配させて、「ゆめぴりか」が誕生しました。

最初の種子は落第だった!

2000年のこと。研究を重ねる中で、抜群の食味を持つ検体が発見されます。耐冷性にも優れ、理想としているお米に近いものでしたが、収量の観点から落第してしまいます。

けれど、捨てがたいほどのおいしさを諦めることができず、その種子を絶やさぬように育て続けました。この決断が、今の北海道米の歴史を大きく変えることになります。

それから4年後の2004年。食味ランキングの最高位「特A」の品種を開発するよう要請された研究員たちは、保存していた「ゆめぴりか」の再試験に臨み、見事合格! その後、何度もその味を検証し、晴れて「ゆめぴりか」(開発当時は「上育453号」)が誕生します。

全国デビューの年は不作

そしていよいよ全国デビューとなるのが2009年ですが、その年は北海道が大規模な冷害に見舞われてまさかの不作となります。

販売数量が当初の生産・出荷見込み数量の1割にも満たず、800t程度しか確保できませんでした。また、それに加えて前評判の高さから品薄状態が続いて、数週間で販売を終了してしまいます。

このため、消費者からの要望に応える形で、「ゆめぴりか」としては出荷基準に達しなかった規格外米と「おぼろづき」をブレンドした米を追加で販売する措置もとられました。

ゆめぴりかの歴史

この時の教訓から冷害対策を強化し、あらためて米づくりの管理体制が徹底されます。そして2011年、満を持して「ゆめぴりか」がメジャーデビューに至りました。

語源はアイヌ語

「ゆめぴりか」の名前は、「日本一おいしい米を」という北海道民の「夢」に、アイヌ語で美しい・好ましいを意味する「ピリカ」を合わせたもので、北海道での一般公募で寄せられた中から選ばれました。

writerprof_minagawa
皆川 今日子
ライター
札幌在住。旅行誌を中心に、観光・グルメ系メディアにて執筆中。趣味は料理とゲーム。長年、掃除を苦手としていることで悩んでいたが、「掃除に必要な才能を生まれ持たなかった」と割り切ることで気が楽になった。