北海道新幹線はいつ札幌に延伸予定?所要時間や停車駅のおすすめスポットも紹介
北海道新幹線が開通し、ついに鹿児島から北海道まで新幹線による移動が可能になりました。本州から北海道への移動時間が短縮され、多くの人が行き来する便利な移動手段として利用されています。
そんな北海道新幹線が札幌まで延伸予定であることをご存知ですか?この記事では、北海道新幹線の魅力や札幌への延伸計画などを紹介します。最後には北海道新幹線停車駅の見所スポットやグルメ情報も紹介しているので、ぜひご覧ください。
この記事でわかること
- 2016年に北海道新幹線が開通
- 2030年には新函館北斗駅から札幌駅まで延伸予定
- 札幌駅まで延伸されれば、新函館北斗駅から札幌駅までの移動も便利になる
- 東京-札幌間の所要時間は約4時間半の予定
北海道新幹線とは
北海道新幹線とは、2016年3月26日に開通した高速鉄道路線です。青森県のJR新青森駅と北海道のJR新函館北斗駅を結ぶ、日本で一番新しい新幹線です。
新幹線と在来線の違い
子どもに人気の乗り物である新幹線。在来線と違うことは分かっているけれど、詳しくその違いを説明できる人は案外少ないものです。ここで、新幹線と在来線の違いについて知っておきましょう。
最も分かりやすいのは速さの違いです。「全国新幹線鉄道整備法 第一章 第二条」によると以下のように定義されています。
この法律において「新幹線鉄道」とは、その主たる区間を列車が二百キロメートル毎時以上の高速度で走行できる幹線鉄道をいう。
引用元:全国新幹線鉄道整備法
ちなみに、特急列車は車両や区間によって走行速度が異なり、表定速度は時速80~100kmほどです。日本で最も早い特急列車は京成電鉄のスカイライナーで、一部の区間で見られる時速160km。新幹線がいかに早いのかよく分かりますね。
また、速さ以外にも以下の点が在来線とは異なります。
- 新幹線鉄道のレール幅は在来線よりも幅が広い
- 新幹線車両は在来線よりも1編成あたりの輸送力が大きい
- 新幹線の走る線路には踏切が設置されない
新幹線に乗る際に、人に話したくなる雑学ですね。
【2024年最新状況】2030年北海道新幹線の札幌延伸工事の完成は遅れる見通し
北海道新幹線の札幌延伸工事ですが、2024年7月時点で2030年度末(2031年春)までの完成が難しいという見解が、鉄道建設を行う独立行政法人・JRTTから発表されています。
2030年度末までの完成が遅れる見通しになった理由
2030年度末までの北海道新幹線延伸工事の完成が遅れる見通しになったのには、いくつかの理由があります。
理由1.トンネル工事に遅れが出ているから
北海道新幹線の札幌延伸工事を行う上で、当初の予想よりも地質が悪かったり、巨大な岩塊が出てきたりと整備工事に時間を取られたことが完成が遅れる大きな理由として挙げられています。
特に全長9,735mに及ぶ羊蹄トンネルでは、工事車両の不良や想定外の大雪などで工事が中止され、すでに3~4年の遅れが発生しています。
トンネルの掘削工事を行うにあたり、廃棄される土の処理場所などにも時間がかかっており、掘削した土に対して想定外の廃棄処置が必要となるなど計画が大きく乱れているのが現状です。
理由2.人手不足になっているから
2024年から、建設業界では残業規制が強化されたことも、北海道新幹線の札幌延伸計画が延期になる理由として挙げられます。これにより、工事現場での人手不足問題が浮上。今後益々、人手不足の問題は深刻になっていくことが予想されます。
北海道新幹線の延伸工事が始まったのは2012年なので、法改正までは予測できず仕方のない理由だとも考えられますね。
理由3.2030年オリンピックの招致を見送ったから
札幌市は2030年の冬季オリンピック・パラリンピックの招致を目標として活動していました。しかし、2023年12月に札幌市からオリンピック招致活動の停止が発表されています。
北海道新幹線の札幌延伸も、オリンピック招致に向けた事業計画であったため、招致活動が停止されたことで2030年末までの完成を目指す理由がなくなってしまいました。
参考:北海道・札幌2030オリンピック・パラリンピック冬季競技大会招致/札幌市
理由4.物価高や円安の影響を受けているから
北海道新幹線の札幌延伸工事が開始されたのは2012年です。着工から10年以上が経過するなかで、消費税率の増加や物価高、近年の円安など、さまざまな影響を受けて資金計画通りには進んでいません。
2022年時点で事業費は当初の予定よりも6,445億増の2兆3,145億になる試算が発表されています。資金計画の見直しなども求められることから、工事にも遅れが発生してしまっているのが現状です。
国交省は札幌延伸に関しては金額では表せない効果があるとして、事業日の増加は認めつつも建設工事の継続を発表しています。
参考:国土交通省|北海道新幹線(新函館北斗・札幌間)の整備に関する報告書(令和4年報告)(概要)
2024年7月時点の進捗状況
北海道新幹線の延伸工事を行うJRTTによると、2024年7月時点の進捗状況は以下のとおりです。
土木工事も着手は99%開始されているものの、北海道新幹線の札幌延伸では約212kmの延伸が必要です。内、約80%(約168.9km)はトンネル、約14%(約30.3km)は高架の建設が必要であり、トンネル掘削工事は最も掘削率の低い場所で17%の進捗状況が報告されています。主に、トンネル工事で計画の遅れが出ているため、今後も地盤や岩石などによるトラブルで計画がさらに遅れていく可能性も少なくないでしょう。
北海道新幹線の車両とは【H5系とE5系の違い】
北海道新幹線では2つの車両が走行しています。
JR北海道H5系
JR北海道が保有するH5系車両は、シロハヤブサのシンボルマークを持つ新幹線です。常盤グリーンの車体が目印で、中央に彩香パープル、ボディ下部に飛鳥ホワイトが配色されています。
車両は10両編成。車内のカーペットやブラインドなどには流氷やアイヌ文様、雪の結晶といった北海道らしいデザインが採用されているので、ぜひ乗車した際には探してみてください。
JR東日本E5系
JR東日本が保有するE5系車両。実はJR北海道の保有するH5系は、E5系をベースに作られているため、見た目が大変似ています。
一目で違いを判断するなら、ボディ中央部分のラインカラーをチェックしてみてください。H5系は彩香パープルなのに対し、E5系はつつじピンクとなっています。
シンボルマークも大変似ていますがE5系はハヤブサです。どちらもハヤブサをイメージしていますがH5系のシンボルマークは、北海道に飛来しているシロハヤブサをデザインしているため、シルエットが北海道の形をしています。2つを見比べてみると、その違いがよく分かりますよ。
北海道新幹線の愛称
新幹線には、それぞれに愛称があります。代表的なものが東京-新大阪・博多の区間を運行する「のぞみ」や「ひかり」です。
北海道新幹線にも愛称があり、東京・仙台-新函館北斗の区間を運行する車両は「はやぶさ」、盛岡、新青森-新函館北斗の区間を運行する車両は「はやて」と呼ばれています。
各地から新函館北斗駅までの所要時間
北海道新幹線が開通したことで、各地から北海道までの陸路による移動時間が大幅に短縮されました。続いては、主要な駅から新函館北斗駅までの所要時間をみてみましょう。
新青森駅から新函館北斗駅
北海道新幹線の終端駅でもあるJR新青森駅。北海道新幹線で移動した場合、所要時間は最速で57分です。距離にすると148km、その内約54kmは青函トンネルを移動しています。
最速の場合の停車駅は、新青森駅から新函館北斗駅直通で停車駅はありません。
仙台駅から新函館北斗駅
東北の大都市・宮城県仙台市。牛タンやずんだなどが有名ですね。仙台駅からは「はやぶさ」が運行しており、新函館北斗駅までの所要時間は最速で2時間26分です。
最速の場合の停車駅は、仙台駅から盛岡駅・新青森駅・新函館北斗駅になります。
東京駅から新函館北斗駅
東京から新函館北斗駅までは、仙台同様「はやぶさ」が運行しています。所要時間は最速で3時間57分です。最速の場合の停車駅は、東京駅・大宮駅・仙台駅・盛岡駅・新青森駅・新函館北斗駅になります。
JR北海道の発表によると、札幌まで延伸した場合、東京-札幌間の所要時間は約4時間半。従来は9時間近くかかっていたため、新幹線が延伸すれば移動時間がほぼ半分になります。
北海道新幹線各停車駅の人気スポット&人気グルメ
最後に北海道新幹線が停車する駅の人気スポット&人気グルメを紹介します。札幌駅まで延伸した際の停車予定駅についても合わせてみていきましょう。
新青森
新青森駅周辺の人気スポットは、2021年に世界遺産登録された縄文遺跡群の構成資産のひとつ「山内円山遺跡」です。構成資産の中でも特別史跡に位置づけられ、大規模な集落の痕跡が見られるスポットとして多くの観光客が足を運んでいます。
また、JR青森駅近くにある「ねぶたの家ワ・ラッセ」も、青森名物のねぶたを見学できる施設として人気です。
奥津軽いまべつ
青函トンネルを目前にした奥津軽いまべつ駅。駅の中にはお土産屋さんすらなく、簡素な駅です。しかし、駅周辺には青函トンネル記念館や龍飛崎などの、津軽海峡を望むスポットが盛りだくさん。青函トンネル記念館では、工事の時に使われていた坑道を歩く体験など、ここでしかできないこと・見れないものも多くあります。
木古内
北海道に上陸して最初に停車する駅は渡島総合振興局の中部に位置する木古内(きこない)駅です。年間約220頭ほどしか出荷されないと言われる「はこだて和牛」の産地で、ご当地ゆるキャラ「キーコ」が人気。木古内で降車した際には、はこだて和牛を味わってみてはいかがでしょうか。
春には木古内駅から車で15分程の距離にあるサラキ岬にたくさんのチューリップが咲き乱れることでも有名です。
新函館北斗
北海道側の終端駅である新函館北斗駅で話題のグルメが「鰊みがき弁当」です。初めて販売された昭和41年から変わらぬ味を保ち続ける鰊みがき弁当は、JR北海道函館本線函館駅の王道駅弁。そんな人気駅弁を新函館北斗駅でも購入できます。
大ぶりの数の子と甘しょっぱく味付けされた鰊の身欠きを使った甘露煮。一度でも食べると「函館に来たら鰊みがき弁当を食べないと帰れない」と言いたくなる美味しさなんだそうです。新函館北斗駅で降車した際には、ぜひご賞味ください。
新八雲(仮称)
札幌延伸の際の停車駅として新設される予定の新八雲駅。渡島半島の丁度中心部に位置し、函館と室蘭の中間地点でもあります。開業は2031年予定なので名称は仮称です。開業すると北海道最西端の駅になります。
新八雲駅を建設予定の八雲町は噴火湾に面しており、ホタテの養殖でも有名です。漁業だけでなく酪農も盛んで、バター飴は八雲町が発祥と言われています。
長万部
札幌延伸の際の停車駅として予定されている長万部(おしゃまんべ)駅。長万部温泉なども有名な観光地のひとつです。
また、長万部は毛ガニの名産地としても知られています。実は、駅弁などでよく見られる「かにめし」は長万部発祥の特産品です。お店ごとに違う絶品かにめしの食べ比べをしてみてはいかがですか。
倶知安
札幌延伸の際の停車駅として予定されている倶知安(くっちゃん)駅。倶知安町は北海道の難読地名としても有名です。
倶知安駅から在来線に乗り換えると約15分でニセコに行けるのも魅力と言えます。アクティビティスポットが多く観光地として人気のニセコ。北海道新幹線が札幌に延伸すれば、今よりさらにアクセスが良くなりますね。
新小樽(仮称)
札幌延伸の際の停車駅として新設される予定の新小樽駅。こちらも新八雲駅と同じく、開業が2030年予定のため名称が仮称です。
小樽と言えば、スイーツが人気です。全国的にも知名度の高い「LeTAO(ルタオ)」の本店があることも理由のひとつ。また、他府県民が驚くのは小樽名物「パンロール」です。すり身をパンで包むという斬新な発想のパンですが、一度食べると病みつきになること間違いなし。
小樽運河や天狗山など、さまざまな見所がありますよ。
札幌
北海道新幹線延伸の際の終端駅として予定されている札幌駅。すでに駅前は都市開発が進んでいて、2030年の開業を迎える事には札幌の町並みが大きく変化していることでしょう。
言わずもがな北海道の主要都市のひとつで、時計台や円山動物園、大通り公園、すすきのなど、さまざまな人気スポットがある町です。新幹線の延伸が完成すれば、北海道新幹線で札幌まで移動し、札幌を中心に北海道観光を楽しむ人も増えるでしょう。
まとめ
北海道新幹線の開通したことで北海道と本州の行き来がとても快適になり、所要時間も短縮できるようになりました。東京や仙台など主要都市からも直通での移動が可能となり、今後も北海道新幹線はより賑わいを見せることでしょう。
2030年予定の札幌延伸が実現すれば、さらに道内での移動も便利になります。ぜひ、他府県から北海道へお越しの際は北海道新幹線で快適な旅を楽しんでくださいね。