乾燥ひじきの上手な戻し方! 健康効果や食べ方についても徹底解説
煮物によく使われる乾燥ひじきは、海藻の一種でミネラルや食物繊維などの栄養素たくさん含んでいます。スーパーでよく見かける“乾燥”タイプのものであれば、常温で約1年も保存が可能。まさに万能食材とです。
本記事では、乾燥ひじきの上手な戻し方や栄養素、美味しい食べ方について解説。乾燥ひじきを今まで以上に身近に、そして健康的な食事に活用してみましょう。
乾燥ひじきと生ひじきの違い
乾燥ひじきはその名の通り、茹でて乾燥させたひじきのことを指します。
一方で、生ひじきと聞くと、火を通さずにそのまま食べられるイメージがあると思います。しかし、本当に何も手を加えていない生ひじきは、渋みとアクが強くて食べられません。生ひじきと表記して販売されているひじきでも、必ず茹でる必要があります。
現在市場に流通している生ひじきは特別な流通を除き、ほとんどが“乾燥ひじきを水戻ししたもの”または“乾燥ひじきを水戻して塩蔵したもの”となっています。
乾燥ひじきの種類
乾燥ひじきには、芽ひじきと長ひじきの2種類があります。
芽ひじき
芽ひじきは、ひじきの葉の部分で「姫ひじき」や「米ひじき」とも呼ばれています。芽ひじきは長ひじきよりも柔らかく、口当たりが良いのが特徴です。また、味が染みやすいことから炊き込みご飯や煮物などに向いています。
長ひじき
長ひじきは茎の部分でできていることから「茎ひじき」とも呼ばれています。長ひじきは芽ひじきに比べて、歯ごたえが良いのが特徴です。シャキシャキとした食感を楽しめることから、炒め物やサラダなどに向いています。
乾燥ひじきの栄養素と健康効果
乾燥ひじきには、さまざまな栄養があり健康効果も抜群です。
歯や骨を丈夫にする
乾燥ひじきには、牛乳の10倍以上のカルシウムが含まれています。
カルシウム含有量(100gあたり) | |
---|---|
乾燥ひじき | 1400mg |
牛乳 | 110㎎ |
カルシウムは、ミネラルの中でも体内で最も多く、人体に必要不可欠な栄養素です。ひじきに含まれているカルシウムの健康効果は、骨や歯を丈夫にしてくれます。また、精神安定効果があるため、イライラ予防にも効果があります。
爪や髪を健康に保つ
ひじきに含まれているヨウ素は、甲状腺ホルモンの主原料です。
ヨウ素は、爪や髪を健康的に保つ役割があり、子どもの成長にも欠かせません。ヨウ素が不足すると甲状腺機能が低下し、髪が抜けやすくなったり、爪が痛みやすくなったりします。また、甲状腺ホルモンは妊娠出産に大きな関わりを持つホルモンのため、妊娠中は積極的に摂取したい栄養素です。
糖尿病の予防
ひじきには、血糖値を急激に上昇させないための水溶性食物繊維が豊富に含まれています。水溶性食物繊維は、体内で糖の吸収スピードを穏やかにするのが特徴です。そのため、糖尿病の予防に効果があります。
他には、水溶性食物繊維は水に溶けるとゼリー状になり、体内の余分な脂質や塩分を吸収し、体内へ排出してくれます。体内に残っている余分な脂質や塩分を吸収しないことで、糖尿病を予防してくれます。
乾燥ひじきはどんな料理に合うの?食べ方を解説
ひじきを使った料理…煮物くらいしか思い浮かばないという人も多いはず。しかしながら、ひじきは意外と『使える』食材なんです。
- 豆腐ハンバーグ
- ひじきご飯
- ひじきの卵焼き
- ひじきの白和え
- チャーハン
- サラダ
どの料理も、ひじきを入れるだけと簡単です。また、ひじきにはクセがないので他の食材の味にも影響しません。普段のお料理にひじきをプラスして、効率よく栄養を摂取してみよう。
乾燥ひじきの基本の戻し方とコツ
乾燥ひじきを上手に戻すことで、食感や味が良くなるため、より美味しく味わえます。
戻し方の基本
まずは、常温水を使用した乾燥ひじきの基本的な戻し方をマスターしましょう。コツさえ覚えれば簡単なので、ぜひ試してみてください。
- 乾燥ひじきを大きめのボウルに入れて、常温水を加えます。芽ひじきなら5分〜10分、長ひじきなら20分〜30程度おいて戻します。戻し時間は、パッケージを目安にしても良いでしょう。
- 時間が経ったら戻したひじきをザルにあげ、水を捨てます。
- 戻したひじきを再びボウルに入れ、軽く水洗いします。
- ひじきを手ですくいながらザルに移し、最後に流水を20秒ほど流します。
- よく水切りして完成です。
水は戻す量の10倍が目安
乾燥ひじきは水で戻すと、約8倍から10倍の量に増えます。例えば、たった10gのひじきでも、水に戻したら100gの重さになります。乾燥ひじきを戻すときは、必要な量を逆算して考えるのがコツです。
水の温度はぬるま湯で
乾燥ひじきは、常温かぬるま湯で戻すのが基本です。常温の場合は20℃前後、ぬるま湯の場合は35℃前後で戻しましょう。ちなみに、乾燥ひじきは、水の温度が冷たすぎると戻りにくい性質があるのでご注意ください。
砂糖とお湯で時短
乾燥ひじきを早く戻したい場合は、40℃〜90℃くらいのお湯に砂糖を加えると時短になります。砂糖の量は、小さじ2分の1くらいが目安です。
砂糖を入れると乾燥ひじきが早く戻る原理としては、砂糖の「浸透圧」を利用しているからです。水に砂糖を加えることで、浸透圧が高くなりひじきに水分が入り込みやすくなります。また、砂糖には保水効果があるので、ひじきを戻したときにふっくらとします。
ひじきを早く戻したい時は、砂糖を少し加えてみてくださいね。
ひじきには「無機ヒ素」が含まれているって本当?
2004年7月、英国食品規格庁が「ひじきは健康を害するため食べない方がよい」と勧告を出しています。果たして、これは本当なのでしょうか?
乾燥ひじきと「無機ヒ素」の関係性
東京都福祉保健局の調査によると、日本で販売されている乾燥ひじきのヒ素含有量は以下の通りです。
乾燥ひじき(1kg) | |
---|---|
総ヒ素 | 82.5mg |
有機ヒ素 | 19.4mg |
無機ヒ素 | 63.1mg |
引用:東京都福祉保健局
ヒ素には、有機ヒ素と無機ヒ素の2種類があります。有機ヒ素の健康被害は、今のところよく分かっていませんが、無機ヒ素に関しては発熱・下痢などの健康被害が報告されています。そのため、有機ヒ素よりも無機ヒ素の方が人体にとっては有害な可能性が高いようです。
ひじきをはじめとするわかめや昆布などの海藻類には、無機ヒ素が含まれています。特に乾燥ひじきは、海藻類の中でも無機ヒ素を多く含んでいる食品でもあります。
ただ、無機ヒ素による健康被害が出るのは、ひじきを大量に摂取した場合です。例えば、体重50kgの人が毎日4.7g以上を継続的に摂取しない限り、ヒ素による健康被害はないとされています。ちなみに、日本人の1日のひじき摂取量は0.6gです。そのため、毎日大量にひじきを食べない限り、ヒ素による健康被害はないといえるでしょう。
水溶性だから、戻せばヒ素を軽減できる
乾燥ひじきに含まれる無機ヒ素は、水溶性のため水で戻すと軽減されます。水戻し時間により溶け出すヒ素量をみたところ、以下のような結果になりました。
芽ひじきは、水戻しから30分後に0.48ミリグラムのヒ素(36%)が溶け出し、60分後には0.89ミリグラム(68%)溶け出します。また、長ひじきは、30分後に0.37ミリグラム(34%)のヒ素が溶け出し、60分後には0.74ミリグラム(68%)溶け出すという調査委結果が発表されています。
芽ひじき | 長ひじき | |
---|---|---|
戻す前 | 1.30mg | 1.08mg |
戻し時間30分 | 0.82mg | 0.71mg |
戻し時間60分 | 0.41mg | 0.34mg |
このように、乾燥ひじきは水戻しすることにより、ヒ素の量を約3分の1にまで軽減します。
乾燥ひじきのヒ素を軽減する茹で戻し・茹でこぼしの方法
乾燥ひじきは、水戻しするだけでも軽減しますが、茹で戻し・茹でこぼしするとさらにヒ素含有量は軽減します。茹で戻しではヒ素を8割程度、茹でこぼしでは9割程度軽減できます。
茹で戻しの方法は、乾燥ひじきを戻さずにそのまま茹でる方法です。
茹で戻しの方法
- 沸騰後、乾燥ひじきを5分ほど茹でる。
- お湯を捨てる。
- 最後に流水で水洗いする。
次に、茹でこぼしの方法は乾燥ひじきを水戻してから、茹でる方法です。
茹でこぼしの方法
- 乾燥ひじきを水で戻す。
- 茹で戻しと同じ工程で5分茹でる。
- お湯を捨てる。
- 最後に流水で水洗いする。
乾燥ひじきのヒ素含有量をさらに軽減したい場合は、茹で戻し・茹でこぼしが有効的です。
まとめ
ここまで、乾燥ひじきの上手な戻し方とコツをお伝えしてきました。乾燥ひじきは、カルシウムやヨウ素が含まれており、栄養満点です。ヒ素についても、一定の量を超えて食べなければ健康上の問題はありません。
ぜひ、この記事を参考に乾燥ひじきの上手な戻し方を試して、さまざまな料理に活用してみてくださいね。