北海道で「たけのこ」といえば根曲がり竹! 特徴や旬、取れる場所も紹介
北海道では、たけのこ狩りと言えば、本州で収穫できる孟宗竹の筍ではなく、「根曲がり竹」を採りに行きます。根曲がり竹は、シャキシャキと歯切れのよい食感を楽しむことができ、ほのかな甘みを感じることができます。
本記事では、北海道のたけのこ(根曲がり竹)の特徴や旬を解説。取れる場所やおいしい食べ方を紹介するので、ぜひ参考に!
北海道のたけのこは「根曲がり竹」
北海道や東北でたけのこを指す根曲がり竹は、千島笹(チシマザサ)のことです。イネ科タケ亜科ササ属である千島笹の若竹で、地方によって呼び名が異なります。北海道や東北地方・信越地方では「根曲がり竹」、山陰地方では「姫竹」や「姫筍」とも呼ばれています。
北海道や東北地方・信越地方は雪の多い地域のため、雪の重みで根本が曲がってしまうことから、根曲がり竹と呼ばれるようになったそう。
たけのこ(根曲がり竹)の特徴
根曲がり竹は、一般的なたけのこよりも細くて小さいのが特徴。高さは3mになるものもありますが、孟宗竹のように太くはなりません。
また、断面を見ると、中は白く肉厚で、中の節ごとの空洞が狭いのが分かります。食べると、歯ざわりがとてもよく、優しくとても良い香りがします。また、アクが少ないので、生のままかじってもそれ程エグミは感じません。
おもな産地と旬の時期
根曲がり竹は、北海道や東北地方、それに山陰地方や信越などが主な産地。収穫時期と旬は、早いところでは5月初旬頃、遅いところでも5月下旬頃から収穫が始まり、同じくして5月から6月にかけて旬を迎えます。
たけのこ(根曲がり竹)の選び方
生の根曲がり竹を選ぶ際には、下記の3点を意識しましょう。
- 皮がみずみずしくてツヤがある
- 切り口がきれい
- 手に持って重さを感じる
切り口が乾燥しているものや変色しているものは、新鮮ではないので避けたほうが良いでしょう。
下ごしらえの方法
新鮮な根曲がり竹が手に入ったときの下ごしらえの方法をご紹介します。
- まずはきれいに水洗いをする
- 茎の硬い部分と穂先の先端を切り落とす
- 皮に切り込みを入れ、沸騰したお湯で8〜10分ほどゆでる
- 水にさらし、冷めたら皮をむく
根曲がり竹は、収穫から時間が経つほど味が落ちてアクが強くなってしまうので、収穫した“その日”に下ごしらえするのがおすすめです。
たけのこ(根曲がり竹)の保存方法
根曲がり竹は、冷蔵でも冷凍でも保存可能です。ここでは、2つの保存方法を紹介します。
冷蔵保存
皮をむき、下ゆでした根曲がり竹を水に浸して冷蔵庫で保存します。下ゆでしたあとは水にさらし、冷ましてから容器に入れましょう。根曲がり竹と一緒に入れる水は、毎日こまめに水を替えれば3日ほど持ちます。
また、水煮の状態で密封できるように、煮沸消毒をしたビンなどに詰めておけば長期間保存が可能。
冷凍保存
根曲がり竹を冷凍するときは、タケノコと同じように、一度下ゆでしてから冷ましたものを冷凍用保存袋に入れて冷凍します。保存期間の目安は2週間ほど。
ただ、風味も食感もかなり落ちてしまうので冷蔵保存をおすすめします。
北海道のたけのこ(根曲がり竹)が採れる場所
5月中旬から6月中旬にかけて、北海道の中でも雪が多く積もる、標高の高い地域に根曲がり竹が群生しています。根曲がり竹の高さは2〜3mありますが、竹藪に分け入って探すと、地面から根曲がり竹を採ることができます。
ここでは、札幌近郊でたけのこが採れる場所を紹介します。
清田区白旗山
札幌市清田区の白旗山は、登山道の周辺で根曲がり竹を採ることができる人気のスポット。毎年5月の下旬から6月初旬ごろになると、たけのこ狩りの人々で賑わいます。
白旗山の約75%は札幌市が所有していて、生息地も登山道に近いので、初心者でも比較的安全にたけのこを採ることができます。
長沼町から由仁町の山林
道道1008号線周辺の長沼町から由仁町にかけての山林は、人気のたけのこの収穫地。初心者は、道道付近で採るのがおすすめです。
奥へ進むと、山が複雑な地形になってくるので、GPSを利用した方がいいでしょう。山林のほとんどは国有林ですが、私有地もあるので、立ち入らないように注意しましょう。
滝野から恵庭の山林
国道453号線周辺、札幌市南区滝野から恵庭市盤尻までの広い範囲はたけのこの人気の収穫地。札幌市内から国道453号線を支笏湖方向へ、滝野カントリークラブを過ぎてしばらく進むと、国道沿いに根曲がり竹の群生地があります。
国道付近でも採れますが、山林のほとんどは国有林で、山林の中でもたくさん採ることができます。
国道453号線の美笛峠付近
札幌市内から、千歳を経由して国道453号線を喜茂別方向へ進み、美笛の除雪ステーションを目印に行くと、国道沿いに根曲がり竹が生えています。
急な勾配の所もあり滑落などの危険もあるので、初心者は、国道から離れていない場所で採るのが賢明です。
遭難事故を防ぐための注意点
毎年道内ではたけのこ狩りでの遭難等の事故が多く発生しています。遭難等の事故を防ぐために、次のことに気を付けましょう。
- 出かける前に天候を確認する
- 入林する場所を家族に知らせておく
- 一人での入林は危険なので、必ず複数の人と一緒に入林する
- できるだけ、目立つ服装で出かける
- GPSを持参し、常に自分の位置を確認しながら行動する
- 急傾斜のところもあるので、滑落しないように気を付ける
遭難しないように事前準備も含め、細心の注意を払いましょう。
たけのこ(根曲がり竹)の美味しい食べ方
根曲がり竹は、アクが少ないので基本的にはアク抜きは必要はありません。もし気になる場合は、米のとぎ汁や米ぬかを使って下茹でしてアク抜きをすると良いでしょう。
ここでは、根曲がり竹の美味しい食べ方を紹介します。
味噌汁に入れる
東北地方や信越地方では、根曲がり竹とサバの水煮缶を使った味噌仕立ての「たけのこ汁」が郷土料理として親しまれています。
作り方は家庭により違いますが、基本的には沸騰させたお湯に根曲がり竹を入れて、火が通ったらサバの水煮を加えてさらに煮て、仕上げに味噌を溶いて出来あがり。
根曲がり竹、サバ缶の相性は抜群ですので、ぜひ試してみてください。
シンプルに皮ごと素焼き
収穫後1日〜2日以内であれば、そのまま皮ごと七輪やグリルで素焼きして、皮を剥いて味噌や醤油などを付けて召し上がってみてください。
皮を剥いた時に自然な香りと甘みが口の中で広がり、思わず舌鼓を打ってしまう美味しさです。
てんぷらなどの揚げ物に
収穫したての根曲がり竹を、茹でずに生のまま皮を剥いて、縦に半分に切った物を天ぷらにするのもよし。軽く塩を付けたり、レモン汁を絞ったり、天つゆにつけて召し上がるもよし。
ただし、半分に切らないと油の中で破裂する危険があるので、必ず半分に切りましょう。
煮物にする
根曲がり竹の味わいを楽しむなら、シンプルが一番。薄く味付けした煮物はまさに絶品です。煮込む場合、根曲がり竹の節や根元付近は色が変わり、硬くなる可能性があります。その際は食感も悪く、筋っぽく嚙み切れないので取り除きましょう。
作り方の簡単な説明
- 鍋に出汁を多めに入れる
- 酒を少々(出汁の半分程度)に塩・砂糖を少々入れて火にかける
- たっぷりと時間をかけて煮含めていく
- 仕上げる直前にさっと醤油を回し入れし、火を止め完成
炊き込みご飯にする
たけのこの調理法としては、定番の「たけのこの炊き込みご飯」がおすすめ。
作り方の簡単な説明
- 米をといで水を測り、下茹でした根曲がり竹を適当に切って入れる
- 油抜きした油揚げを入れて、ダシの素、醤油、酒、麺つゆなどを入れて炊飯(根曲がり竹のおいしさを味わうために、なるべく入れる具材は少なめにするのがおすすめ)
まとめ
根曲がり竹は、成長が早いため収穫時期が短く、産地も限られているため、生の根曲がり竹を見る機会は少ないでしょう。もし生の根曲がり竹を手にした際は、紹介した食べ方を参考にたけのこの味を存分に味わってみてくださいね。