シャインマスカットはなぜ希少? 北海道の代表的な産地や美味しい食べ方も紹介!
エメラルド色の美しい実から「ぶどうの女王」とも呼ばれる、シャインマスカット。香り高く、甘みが強くて上品な味わいで、贈りものとしても人気があります。
知れば納得のシャインマスカットが高価な理由と、美味しい食べ方、保存方法を紹介します。
シャインマスカットについて
シャインマスカット は、農林水産省が所管する国立の研究開発法人「農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)」で生まれたブドウの品種。2006年に品種登録された、まだまだ新しい品種です。
シャインマスカットの特徴
シャインマスカットの主な特徴は、以下の3つです。
- 一房の重さは平均400〜500g
- 粒は短い楕円形をしている
- 1粒が11~12gと巨峰と同じくらいの大きさ
糖度は20度前後と高く、酸味も少ないため甘く感じられます。皮の色は黄緑色で、果肉はシャリッとした硬さで、マスカットの香りがします。
おもな産地と旬
品種登録されて以来、ブドウ農家はもちろん、フルーツ好きの消費者にも早い段階から注目されてきました。一部を除き、現在はほとんどの都道府県で栽培されています。
生産量が多い地域と人気の拡大
シャインマスカットの主な産地は山梨・長野・岡山・山形の4県で、この4県で全国の生産量の75%を占めています。
病気に強く育てやすい品種のため、近年では全国の生産者が研究を重ね、おいしくて品質の高いシャインマスカットづくりに努めています。その結果、平成22年から27年までの5年間でシャインマスカットの全国の栽培面積は4倍近くに広がり、急速に全国で人気が広がっています。
一番おいしい旬
シャインマスカットの旬は、ハウス栽培と露地栽培で時期が異なります。収穫時期と旬の時期を紹介します。
ハウス栽培
- 早いものだと6月下旬ごろから収穫が始まります
- ハウスものの旬は7月中旬ごろ
露地栽培
- 8月中旬ごろから出回り、収穫は場所にも寄りますが10月の初旬あたりまでです
- 露地ものの旬は8月中旬〜9月下旬
北海道産のシャインマスカット
北海道で初めて本格的にシャインマスカットの出荷をしたのは、古くから果物の町として知られる仁木町です。仁木町は北海道の代表的な産地です。
仁木町では試験栽培を経て、寒冷地では難しいとされてきたシャインマスカットの栽培に成功。この仁木町のシャインマスカットは2020年10月に、「La・La・shine(ラ・ラ・シャイン)」と名付けられました。仁木町で栽培が可能になった要因は、シャインマスカットには耐寒性があり、凍害に遭わずにそのまま冬を越すことができるためです。
含まれる栄養素
シャインマスカットには、下記の栄養素が含まれています。
- たんぱく質
- 糖質
- 脂質
- ポリフェノール
- 炭水化物
- 食物繊維
- ナトリウム
- カリウム
- ビタミンB1
- ビタミンB2
- カルシウム
たった1粒のシャインマスカットの中に、必要とされる栄養素がぎゅっと詰まっているのが特徴的です。
「糖質」は脳のエネルギーになる大切な栄養素。体や脳が疲れているときに摂取するとリフレッシュ効果があります。ただし、体内で余ったブドウ糖は、脂肪となり体内に蓄積されるため、摂りすぎには注意しましょう。 ぶどうの品種には「ポリフェノール」と呼ばれる栄養素が多く含まれています。ポリフェノールは抗酸化作用の強い栄養素として知られていて、体の酸化を防ぐ働きがあります。体の中から健康的にするアンチエイジング効果があり、美容に最適で、老化防止に効果が期待できます。ポリフェノールは皮に多く含まれるので、皮ごといただきましょう。
ビタミンB1は、体内で糖質がエネルギーに変換されるのをサポートする働きがあります。そのため、疲労回復に効果が期待できます。糖質
ポリフェノール
ビタミンB1
シャインマスカットのカロリーについて
シャインマスカットのカロリーは、1粒10gあたり約10kcalと、他のぶどうと比べると低カロリーです。これは、甘みは強いものの、水分が多いためです。シャインマスカットの1房(約400g)のカロリーは、食パン6枚切りの1枚分程度です。
シャインマスカットはなぜ高級なのか
百貨店に限らず、スーパーや八百屋で購入したとしても、1房3,000円以上します。また、シャインマスカットは贈答品としても喜ばれる高級ぶどう。ここでは、高級品である理由を紹介します。
ぶどうの女王と呼ばれている
「果物の王様」と呼ばれる『マスカット・オブ・アレキサンドリア』と比べると、シャインマスカットの甘さはほぼ同等。しかしながら、香りはそれ以上のため「ぶどうの女王」と呼ばれるようになりました。さらに、種ができないように1房ずつ丁寧に処理されているのも特徴的。育成に手間がかかっているというのも、女王と呼ばれる所以です。
希少種ゆえ、相場が高い
2006年に登録された比較的若い品種であり、生産者も生産量もまだ少なくため、まだまだ希少品種の部類に入ります。そのため、買いたいという需要に対して、売りたいという供給のバランスが取れていません。
これらの理由が高値の要因と考えられます。
シャインマスカットが人気の理由
シャインマスカットの人気の秘密は、甘さや香り、食べやすさなどが挙げられます。
この項目では、人気の秘密をご紹介します。
糖度18度以上の強い甘み
シャインマスカットの糖度は18度以上あります。「ブドウの王様」である巨峰(糖度は18〜20度)にも負けない強い甘みを楽しむことができます。また、他のブドウの品種は、最高糖度に達するとそれ以上糖度は上がりませんが、シャインマスカットはどんどん糖度が上がっていき、完熟すると糖度20度以上になります。
さわやかなマスカットの香り
ヨーロッパブドウに由来する、爽やかなマスカットの香りが特徴。「リナロール」と呼ばれるマスカットの主要な香りの成分を占める割合が、他のぶどうよりも高いため、香りが際立っています。凝縮された強い甘みに負けない芳醇な香りが人気の秘密ですね。
大粒で歯ごたえ抜群
巨峰にも迫るくらいの大粒サイズのシャインマスカット。果肉がしまり、サクッとした歯ごたえです。噛んだ瞬間、口の中いっぱいに甘い果汁が広がります。
皮ごと食べられる
皮の渋みが少ないため、皮ごとパリッ(シャリッ)と食べられるのが魅力。種なしで皮をむく手間がないので、手を汚さずに気楽に楽しめます。
種なしで食べやすい
種なしなので子どもからお年寄りまで食べやすく、贈り物にもぴったり。種取りの手間が省けるので、お菓子作りにも使いやすいです。
美味しい食べ方
甘くて香り高いシャインマスカットの美味しい食べ方を紹介します。
冷やして、皮ごと食べる
シャインマスカットは残暑の季節に旬を迎えるだけに、冷やして食べるとさらに美味しくなります。冷やす際は冷蔵庫で2時間ほど冷やせば内部まで冷えてヒヤッとした食感を堪能できるでしょう。
デザートに添える
ケーキやタルトの上にデコレーションすれば、鮮やかな黄緑色がケーキに映えます。生クリームとの相性も抜群なので、はやりのフルーツサンドにしても良いですね。
絞ってジュースにする
そのままか冷凍したものをジューサーで絞ってジュースにしても良いですし、他の果物や野菜と合わせてスムージーを作るのもおすすめです。
保存方法・長持ちさせる方法
シャインマスカットを保存する場合は、果実に負担がかからないよう、ひと房ずつラップやポリ袋に入れて乾燥を防ぐのが重要です。冷蔵庫は野菜室が最適と言われています。より長く保存したい場合は、房から実を一粒ずつ切り離して保存袋や密閉容器に入れて保存しましょう。冷蔵庫保管であれば、3〜5日以内に食べきるのがおすすめです。
ちなみに、冷凍保存も可能です。密閉容器やガラス容器など乾燥を防ぐ入れもので冷凍しましょう。
まとめ
甘くてジューシーな果肉、種なしのため皮ごとそのまま食べることできる「シャインマスカット」。一粒一粒大切に育てられた “宝石のようなぶどう” を、ぜひ味わってみてください。